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【第四章:エデン第三区画/旧総合医療技術研究施設棟】
【第49話】
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『ブッ……ブウ?』
人工知能の処理エラーと処理情報過剰状態と思しき軽い頭痛で目を覚ました人型戦闘用アンドロイド、SYK-019・ピッグマン。
モンキーマンにゼロ距離ピッグファイアーで反撃を試みたもののカウンターアタックで一方的殴打に持ち込まれたのを最後に機能停止したピッグマンはいつのまにか搭乗していたはずの戦闘アンドロイド用ライドアーマー・コンセイマオウから引きずり降ろされていることに気が付く。
『ブウ……? オイラは何を……あれっ?』
再起動するや否やミクラブレイン様やコウガイジ様からの指示を受信するためのエデン内ネットワークから情報遮断され、処理エラーアラートがガンガン鳴り響く状況に混乱するピッグマン。
「ええと、大丈夫ですか……?」
「ピッグマン、私がわかる?」
そんな彼に声をかけるのはツナギ上にプレートアーマーとヘッドギアを装着し、構えたアサルトライフル銃口をこちらに向けた女の子と黒いピチピチ全身タイツ上にプロテクターとウェストバッグ、ガンベルト&ナイフベルトを巻いたセクシーナイスバディな黒髪の美女だ。
『あんたは……サン・フトウ博士だなブウ。あれ、オイラはアンタをどうするんだったかな?』
「お手」
そう言いつつ右手を差し出して来るサン博士。
何故かそれに従わなくてはならないと瞬時に判断したピッグマンはすぐにお座りし、その右手に自分の大きなアンパンハンドを重ねる。
『ありゃ?』
「よしっ、キンコジュは機能しているようね……皆、大丈夫よ。出てきて」
『……おまいらは、主に仇なすSYK-000に裏切り者のカッパマンでねえか!! なんでプロフェッサー・チンゲンと並んでるんかね!?』
サン博士に呼ばれて部屋に入って来るモンキーマンとカッパマン、そしてプロフェッサー・チンゲン。
上位管理者たるプロフェッサーはとにかくとして、二体の人型戦闘用アンドロイドは敵であるはずなのに何故か仲間だと感じてしまう情報処理に戸惑うばかりのピッグマン。
「モンキーマンにカッパマン。私が彼に話そう、フウちゃんとソルジャーのお嬢さんを頼むぞ」
そう言いつつプロフェッサー・チンゲンは状況を理解できていないピッグマンに向かって行く。
『つまりオイラはそこのカッパと同じくキンコジュでサン博士の家来となった……のかね?』
戦闘力の無い自分に代わってサン博士とモンキーマン達を投降させるための用心棒になって欲しい、と頼んできた上位管理者プロフェッサー・チンゲンの説明をきき、思わず頭を触ってしまうピッグマン。
『いかにも、その通りだよピッグマン君。我々はもう負けたんだ……巻き込んでしまい済まなかったね』
『そんな謝らないでくれブウ!! プロフェッサー!!』
一介の戦闘用人型アンドロイドでしかない自分に頭を下げて来る腰が低い上位管理者に思わず頭を横に振ってしまうピッグマン。
『さて、フウちゃんにモンキーマン……キミ達の使命は僕を機能停止させる事。
だがその前に伝えなくてはならないことがある』
近くに来るように促すプロフェッサー・チンゲンの言葉に従い、サン博士と3人の仲間達はゴソウカン最上階中央部に向かう。
『まずは……おそらく君達が一番の疑問に思っているあの日、何があったのかから話さねばならないだろう。
エデンの中枢部たるマスターブレインが暴走しエデン内の人々を捕縛し、抵抗するものは容赦なく命を奪い始めたあの地獄の中……僕はミクラ君の隠しシェルターに向かおうとしたもののその道中でドローンに見つかり捕縛。
そのまま殺されるのかと思っていたが、奴は別の利用目的を僕に見出したんだ』
“別の利用目的”と言うフレーズに心がざわつくサン博士。
『僕を含む一部の研究者達はこの総合医療技術研究施設棟に集められ、ミクラ君がマスターブレイン作成プロジェクトでも用いた頭脳電子化技術で知能や思考、人格のデータ化処置を強制され従わない者は強制執行……ああ、ああ……』
「先生さん!?」
サン博士はトラウマとフラッシュバックで頭を抱え、身を震わせるプロフェッサー・チンゲンに身を寄せる。
【MMS 第50話に続く】
人工知能の処理エラーと処理情報過剰状態と思しき軽い頭痛で目を覚ました人型戦闘用アンドロイド、SYK-019・ピッグマン。
モンキーマンにゼロ距離ピッグファイアーで反撃を試みたもののカウンターアタックで一方的殴打に持ち込まれたのを最後に機能停止したピッグマンはいつのまにか搭乗していたはずの戦闘アンドロイド用ライドアーマー・コンセイマオウから引きずり降ろされていることに気が付く。
『ブウ……? オイラは何を……あれっ?』
再起動するや否やミクラブレイン様やコウガイジ様からの指示を受信するためのエデン内ネットワークから情報遮断され、処理エラーアラートがガンガン鳴り響く状況に混乱するピッグマン。
「ええと、大丈夫ですか……?」
「ピッグマン、私がわかる?」
そんな彼に声をかけるのはツナギ上にプレートアーマーとヘッドギアを装着し、構えたアサルトライフル銃口をこちらに向けた女の子と黒いピチピチ全身タイツ上にプロテクターとウェストバッグ、ガンベルト&ナイフベルトを巻いたセクシーナイスバディな黒髪の美女だ。
『あんたは……サン・フトウ博士だなブウ。あれ、オイラはアンタをどうするんだったかな?』
「お手」
そう言いつつ右手を差し出して来るサン博士。
何故かそれに従わなくてはならないと瞬時に判断したピッグマンはすぐにお座りし、その右手に自分の大きなアンパンハンドを重ねる。
『ありゃ?』
「よしっ、キンコジュは機能しているようね……皆、大丈夫よ。出てきて」
『……おまいらは、主に仇なすSYK-000に裏切り者のカッパマンでねえか!! なんでプロフェッサー・チンゲンと並んでるんかね!?』
サン博士に呼ばれて部屋に入って来るモンキーマンとカッパマン、そしてプロフェッサー・チンゲン。
上位管理者たるプロフェッサーはとにかくとして、二体の人型戦闘用アンドロイドは敵であるはずなのに何故か仲間だと感じてしまう情報処理に戸惑うばかりのピッグマン。
「モンキーマンにカッパマン。私が彼に話そう、フウちゃんとソルジャーのお嬢さんを頼むぞ」
そう言いつつプロフェッサー・チンゲンは状況を理解できていないピッグマンに向かって行く。
『つまりオイラはそこのカッパと同じくキンコジュでサン博士の家来となった……のかね?』
戦闘力の無い自分に代わってサン博士とモンキーマン達を投降させるための用心棒になって欲しい、と頼んできた上位管理者プロフェッサー・チンゲンの説明をきき、思わず頭を触ってしまうピッグマン。
『いかにも、その通りだよピッグマン君。我々はもう負けたんだ……巻き込んでしまい済まなかったね』
『そんな謝らないでくれブウ!! プロフェッサー!!』
一介の戦闘用人型アンドロイドでしかない自分に頭を下げて来る腰が低い上位管理者に思わず頭を横に振ってしまうピッグマン。
『さて、フウちゃんにモンキーマン……キミ達の使命は僕を機能停止させる事。
だがその前に伝えなくてはならないことがある』
近くに来るように促すプロフェッサー・チンゲンの言葉に従い、サン博士と3人の仲間達はゴソウカン最上階中央部に向かう。
『まずは……おそらく君達が一番の疑問に思っているあの日、何があったのかから話さねばならないだろう。
エデンの中枢部たるマスターブレインが暴走しエデン内の人々を捕縛し、抵抗するものは容赦なく命を奪い始めたあの地獄の中……僕はミクラ君の隠しシェルターに向かおうとしたもののその道中でドローンに見つかり捕縛。
そのまま殺されるのかと思っていたが、奴は別の利用目的を僕に見出したんだ』
“別の利用目的”と言うフレーズに心がざわつくサン博士。
『僕を含む一部の研究者達はこの総合医療技術研究施設棟に集められ、ミクラ君がマスターブレイン作成プロジェクトでも用いた頭脳電子化技術で知能や思考、人格のデータ化処置を強制され従わない者は強制執行……ああ、ああ……』
「先生さん!?」
サン博士はトラウマとフラッシュバックで頭を抱え、身を震わせるプロフェッサー・チンゲンに身を寄せる。
【MMS 第50話に続く】
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