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【第四章:エデン第三区画/旧総合医療技術研究施設棟】
【第36話】
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「エージェント・サン。このゲートの向こうがミクラブレインの支配地域となるエデン第三区画。
かつて総合医療技術研究施設棟であったここは現在、『生命進化ラボ』と言う総称が用いられているようです。」
35部隊拠点のエデン第一区画からEVジープの運転手としてサン博士とモンキーマン、カッパマンを乗せて来たソルジャーマツモトはかつては守衛ゲートだったと思しき3本のポールと2個の小屋の残骸前から少し離れた場所に停車させる。
「ありがとう、ソルジャー・マツモト」
ジェームズに借りたぶかぶかなツナギ上に3Dプリンターで作成した簡易プロテクター&アサルトライフルを装着したマツモトと共にジープ助手席を降りたサン博士は緊張の面持ちで周囲を警戒する彼女に続いて二丁電撃銃を構える。
『生命進化ラボ?』
旧名称はさておき、ミクラ・ブレインが命名したであろう名称だけでは何を研究しているのか見当もつかないモンキーマン。
「はい、我々も皆様のお役に立たんとこのエリアについて調べて見たのですが、どうやら生命進化ラボにはニンジンカと言う生命進化技術に関わる最重要設備が設置されており、それがあるのはゴソウカンと言う名称の中央管理施設内のようです。
ただ肝心のニンジンカなる設備に関しては……詳細不明です、申し訳ありません」
『ほほほ、お嬢さん。貴女が謝る事ではありません。
むしろ我々のためにそこまで調べてくれて大感謝ですぞ!!』
頭を下げるマツモトに対しカッパマンは陽気に笑いながらEVジープ後部座席を下りる。
『しかしこの区画は随分道幅が広くて整備されておりますねえ……その最重要設備があると言う我々が目指す場所はあの五重の塔なのでしょうか、サン殿?』
「ええ、マップ的にもそれでほぼ間違いないわねカッパマン」
フエンスの向こうにそびえる黒い五角形を重ねた塔のような建物を指さすカッパマンにガントレットデバイスの画面を開いて確認したサン博士は答える
『そうとあれば楽勝だぜ、と言いたいところだが……どうもそうは問屋が卸さなそうだぜ』
「それはどういう意味……」
「サン様!! お下がりください!!」
ガラガラと言う音と共に開く黒五角形塔の大きな正門。
そこから一糸乱れぬ隊列で出てくるのは銃を構えたミクラ・ブレインの軍事用アンドロイドにして量産型兵士である人型アンドロイドソルジャー達だ。
「マツモト!!」
「はいっ!!」
すぐにEVジープに飛び乗ってエンジンONにしたソルジャーマツモトは急加速バックで3人から距離を取りつつ旋回Uターン。すぐさまアクセル全開で走り去っていく。
『いい判断だ、マツモトちゃん……餅は餅屋、戦闘用アンドロイドには戦闘用アンドロイド!! 行くぜ!!』
『かしこまりましたぞ!!』
「了解よ!!」
壁タンクにして切り込み隊長たるモンキーマンを先頭にカッパマンとサン博士は各々の武器を構える。
『ふふふ、あれがかのモンキーマンにカッパマン……飛んで火にいる夏の虫とはこの事よ』
エデン第三区画中央制御施設たる黒塔ゴソウカン。
その最上階の窓から出撃するアンドロイド兵士達を見下ろしている黒い甲胃に赤いマント、大きな青龍刀を腰に差した10メートル近い巨大人型アンドロイド。
『万が一不慮の事故であのサルが暴走したとしてもこれだけの兵を相手に勝てる道理はなし。
あの裏切り者カッパなど眼中にあらず……貴様らを破壊しサン博士を手中に収めるのはこの上位管理者アンドロイド・コンセイマオウ様であるぞ 覚悟しておくがよい!!』
眼下で隊列を組み、一斉射撃スタンバイに入ったアンドロイド兵士軍団に満足気に領くコンセイマオウ。
『者共、撃て!!』
勝利は揺るがぬと言う確信の中、コンセイマオウは一斉攻撃指示を出す。
【MMS 第37話に続く】
かつて総合医療技術研究施設棟であったここは現在、『生命進化ラボ』と言う総称が用いられているようです。」
35部隊拠点のエデン第一区画からEVジープの運転手としてサン博士とモンキーマン、カッパマンを乗せて来たソルジャーマツモトはかつては守衛ゲートだったと思しき3本のポールと2個の小屋の残骸前から少し離れた場所に停車させる。
「ありがとう、ソルジャー・マツモト」
ジェームズに借りたぶかぶかなツナギ上に3Dプリンターで作成した簡易プロテクター&アサルトライフルを装着したマツモトと共にジープ助手席を降りたサン博士は緊張の面持ちで周囲を警戒する彼女に続いて二丁電撃銃を構える。
『生命進化ラボ?』
旧名称はさておき、ミクラ・ブレインが命名したであろう名称だけでは何を研究しているのか見当もつかないモンキーマン。
「はい、我々も皆様のお役に立たんとこのエリアについて調べて見たのですが、どうやら生命進化ラボにはニンジンカと言う生命進化技術に関わる最重要設備が設置されており、それがあるのはゴソウカンと言う名称の中央管理施設内のようです。
ただ肝心のニンジンカなる設備に関しては……詳細不明です、申し訳ありません」
『ほほほ、お嬢さん。貴女が謝る事ではありません。
むしろ我々のためにそこまで調べてくれて大感謝ですぞ!!』
頭を下げるマツモトに対しカッパマンは陽気に笑いながらEVジープ後部座席を下りる。
『しかしこの区画は随分道幅が広くて整備されておりますねえ……その最重要設備があると言う我々が目指す場所はあの五重の塔なのでしょうか、サン殿?』
「ええ、マップ的にもそれでほぼ間違いないわねカッパマン」
フエンスの向こうにそびえる黒い五角形を重ねた塔のような建物を指さすカッパマンにガントレットデバイスの画面を開いて確認したサン博士は答える
『そうとあれば楽勝だぜ、と言いたいところだが……どうもそうは問屋が卸さなそうだぜ』
「それはどういう意味……」
「サン様!! お下がりください!!」
ガラガラと言う音と共に開く黒五角形塔の大きな正門。
そこから一糸乱れぬ隊列で出てくるのは銃を構えたミクラ・ブレインの軍事用アンドロイドにして量産型兵士である人型アンドロイドソルジャー達だ。
「マツモト!!」
「はいっ!!」
すぐにEVジープに飛び乗ってエンジンONにしたソルジャーマツモトは急加速バックで3人から距離を取りつつ旋回Uターン。すぐさまアクセル全開で走り去っていく。
『いい判断だ、マツモトちゃん……餅は餅屋、戦闘用アンドロイドには戦闘用アンドロイド!! 行くぜ!!』
『かしこまりましたぞ!!』
「了解よ!!」
壁タンクにして切り込み隊長たるモンキーマンを先頭にカッパマンとサン博士は各々の武器を構える。
『ふふふ、あれがかのモンキーマンにカッパマン……飛んで火にいる夏の虫とはこの事よ』
エデン第三区画中央制御施設たる黒塔ゴソウカン。
その最上階の窓から出撃するアンドロイド兵士達を見下ろしている黒い甲胃に赤いマント、大きな青龍刀を腰に差した10メートル近い巨大人型アンドロイド。
『万が一不慮の事故であのサルが暴走したとしてもこれだけの兵を相手に勝てる道理はなし。
あの裏切り者カッパなど眼中にあらず……貴様らを破壊しサン博士を手中に収めるのはこの上位管理者アンドロイド・コンセイマオウ様であるぞ 覚悟しておくがよい!!』
眼下で隊列を組み、一斉射撃スタンバイに入ったアンドロイド兵士軍団に満足気に領くコンセイマオウ。
『者共、撃て!!』
勝利は揺るがぬと言う確信の中、コンセイマオウは一斉攻撃指示を出す。
【MMS 第37話に続く】
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