MMS ~メタル・モンキー・サーガ~

千両文士

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【第三章:エデン第一区画/旧動植物研究所ビオトープエリア】

【第34話】

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 エデン第二区画、サン博士&モンキーマンの協力者たるレジスタンス軍35部隊の臨時拠点となった旧関係者居住区。
「マツモト、そっちはどうだ!?」
 屋外に停められたEVジープのボンネットを開けて上半身を押し入れるように内部機器を整備するツナギ姿の黒人男性マッチョマン。
 レジスタンス軍35部隊所属のレジスタンスメンバーにして機械整備及び改造を担う技術職、メカニック・ソルジャーのジェイコブはモニター確認役として運転席に座るマツモトに問う。
「異常表示なしです!!」
「そいつあVERY GOOD だぜマツモト!! 有事を除き今から大事な作業に入る俺様に話しかけるなよ、オーライ!?」
「オーライ!!」
 メカニック・ソルジャーの助手として運転席のインターフェイスを監視する職務を与えられた16歳の少女兵士、ソルジャー・マツモトはジェイコブの十八番ラップにラップで返し職務再開する。
(エージェント・サンとモンキーマン様はご無事だろうか……)
 35部隊のキャンプからも見えるエデン第一区画の巨木樹海を見つつ考えるマツモト。
(もしあの方たちの身になにかあったら私達は……再収監で済むのだろうか?)
 父と母との死別、レジスタンス軍による保護、ソルジャー訓練生としての厳しい日々、35部隊への配備決定、最前線での激闘の日々、アンドロイド兵による捕縛と連行……そして救助に来たエージェント・サンとモンキーマン様……そして。
 わずか16年とは言え波乱万丈の日々を過ごしてきた少女兵士はその先に起こりうるバッドエンドを考える事を止める。
(とにかく私達は一刻も早くエージェント・サンと合流しなくてはならないわ!!
 そのためにも……物資を整えて戦線復帰しないと!!)
 頬を挟み込むようにパンパンして気合を入れ直していたその時、巨木樹海の上空に何か点のような物が見える。
「あれは……ドローン?」
 すぐに双眼鏡を手に取り、確認するマツモト。
 大きな紐付き袋をアームに下げてこちらに飛んでくるそれは間違いなく……ミクラブレインの遠隔操作ドローン兵器である。
「ジェイコブ、敵襲よ!! ドローンだわ!!」
「……マジかよ、このタイミングで来やがったか!! 許せねえぞこのマ〇ーファッ〇ー!!」 
 2人はすぐさま緊急用呼子を咥えて力いっばい吹く。

「総員、家屋内に避難しろ!! 狙撃兵は銃を持て!!」
 マツモトとジェイコブの呼子で数分も経たずに駆け付け、こちらに向かってくる武装ドローンの襲来を知って蜂の巣をつついたような騒ぎになる35部隊拠点。
 そんな中でコマンダー・ジャンヌはどうにかかき集めた丁数も弾数も少ない対ドローンライフルを部下に持たせて迎撃体制を取らせ、それ以外の兵士は貴重な物資を安全な建物内に運びこみつつ避難する。
「弾は少ない、確実に落とせ!!」
「イエス!!」
 狙撃兵達はドローンに照準を合わせる。

『おおい、みんな待ってくれえ!! それは撃つな、撃つなあ!!』
「モンキーマン殿に……エージェント様!?」
 そんな中、樹海から息を切らして駆けて来るモンキーマン。
 そんな彼が何故か異常なまでの薄着姿のサン博士を背負っていると言う状況が理解できない隊長と狙撃兵達は目を白黒させつつもひとまず銃口を下ろす。

「なるほど、樹海の洋館でそのような事が……ご無事で何よりです、ェージェント」
「ありがとう、コマンダー・ジャンヌ」
 蜘妹アンドロイドメイドのジェインによってドローンに括り付けて飛ばされた自身の装備を追って仲間の元に帰還したサン博士。
 右肩に自己修復不可能な物理ダメージを受けたモンキーマンがアンドロイドクレードルで修理中に取り戻したいつもの黒ボディースーツに着替え、電撃銃&電撃ナイフを装備し終えたサン博士はコマンダー・ジャンヌの言葉に安堵の息を吐く。
「一休みしたいのはさておき……私達には時間が無いわ。新しい仲間も増えた事だし次の上位管理者アンドロイドの破壊任務を遂行しないと!! コマンダー、地図を!!」
「かしこまりました、エージェント!!」
 レジスタンス軍上官であるサン博士の命にコマンダージャンヌはすぐにエデン全体マップを取り出す。

【MMS 第35話に続く】
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