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【第三章:エデン第一区画/旧動植物研究所ビオトープエリア】

【第33話】

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「モンキーマン、しっかりして!!」
『うっ ううん。サン博士……?』
 上位管理者アンドロイドによる物理攻撃ダメージで機能停止に陥っていたモンキーマンを呼ぶ声。
『モンキーマン殿!! 目を覚ましてくだされ!!』
「モンキーマン!!」
『俺は……何が……ってうおい!? 博士、そのポルノみてえな恰好は何なんだ!?』
 全身にぴったりと貼り付いて動きを邪魔せず、防刃・防弾仕様な戦闘用ボディースーツではなく前も後ろもギリギリなランジェリーパンティー&マイクロビキニ上にシースルーなパープルキャミソールと言うポルノ雑誌のグラビアそのものなサン博士。
 眼を開けた瞬間お色気ドッキリ攻撃を受けたモンキーマンは思わず噴き出しツッコミしてしまう。
「こっ、これは……マリィに捕らわれた時に装備を奪われてこれを着せられていたの!! 不可抗力なのよ!!」
 赤面したまま胸を腕で隠し、Tバックランジェリーパンティの前を手で隠す博士。
『そうですぞ、モンキーマン殿!! 貴方様に代わって博士を救出すべく地下室に乗り込んだ私の気まずさをお分かりになるだろうかとはこの事ですぞ!!』
『ああもう、お前は黙れHENTA Iニンジャ野郎……とりあえず旧迎賓館が滅茶苦茶にぶっ壊れてるのはどういう事だ? それにあそこで仰向けになって大破しているリュートはお前がやったのか?』
『ええ、その件ですが……』
 腰を下ろし胡坐を組んだカッパマンは地面に座ったサン博士と庭の木に寄りかかるように倒れるモンキーマンの前でゆっくりと話し始める。

『つまり旧迎賓館に乗り込んできた2人を倒すべく現れたマリィさんは私の中身を人工知能に移植複製しようとしていた事がミクラ・ブレインにバレちゃって、仲間に粛清された……と言う事なのね?』
 迎賓館踊り場での激闘でメタルスコーピオンテイルに肩を貫かれたモンキーマンが叩きつけ連打攻撃で機能停止し、粘糸ネットに捕らわれた自身も破壊されそうになったその時……赤髪で白眼、上半身裸の若い男が現れリュートを庭にぶん投げてマウントを取り、機能停止するまで拳で殴り続けた。
 その後そいつは物陰で様子を見ていた自分にリュートが隠し持っていた地下室の鍵を渡して去って行った。
 ……と言う説明を要約してくれたサン博士にカッパマンは首を縦に振る。

『私はご本人かは存じ上げませんが……あの容姿と修羅の如き力はほぼ間違いなくエデン第六区画の上位管理者アンドロイド、コウガイジ様でほぼ間違いないでしよう』
 とっさに思いついた嘘とは言え2人に事実を話すわけにはいかないと判断したカッパマンはダメ押しで嘘にリアリティを上乗せしてこの話を締めくくろうとする。
『コウガイジめ……スーパーミュータントアニマルとのカーチェイスではナイスソルトだったが、これでプラマイゼロだな』
「そうね、いずれにせよ破壊しなくてはいけないんだけど……これで良くも悪くも心置きなく倒せるわ」
(お2人が単純でよかった……ふう)
 カッパマンはポーカーフェイスを維持しつつ心の中で冷や汗を拭う。

『……いずれにせよご無事で何よりです、フトウ様』
「ええ、そうね ? 貴女は!?」
 半壊した迎賓館玄関前に音もなく現れ、優雅にお辞儀する蜘妹アンドロイドメイド、SYK-72-01、ジェイン。
『ジェイン!! お前が密告者だったのか!?』
 丸腰で半裸のサン博士とまだ自由に動けないモンキーマンを庇うべく超振動ブレードを抜くカッパマン。
 相手が何を言おうとあくまでコウガイジが下手人であると言うシナリオに沿うべくカッパマンは発言を慎重に選ぶ。
『いえ、その件については私ではございません……まあいずれにせよリュートとその配下の者共は実験台にして臨時の捨て駒にしかすぎませんのでこうなる運命だったのでしょうね、あしからず』
 そう言いつつジェインがめくったメイド服スカートの中から転げ落ちて来たのは6体の蜘蛛メイドアンドロイドの機能停止破壊済みの頭部だ。
「ホリィ!! クレア!! ノーラ!! アンナ!! ユカ!! ターマ!!」
 下半身を蜘蛛にされ、内通者だったリーダーに首を刎ねられると言う悲惨な最期を迎えた優雅なウエイトレスアンドロイド達に涙するサン博士。
『私はエデン第五区画でお待ちしておりますので……またお会いできるのを楽しみにしておりますフトウ様』
『待て!!』
 カッパマンが投郷した超振動ブレードを前にジェインは一瞬で地面に沈むように姿を消す。

【MMS 第34話に続く】
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