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【第三章:エデン第一区画/旧動植物研究所ビオトープエリア】

【第26話】

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『緊急警報!! 緊急警報!! 侵入者!! 侵入者あり!!』
 エデン第一区画、旧動植物研究ビオトープエリア中央管理施設である旧迎賓館全体に響くサイレンと緊急警報。
『カッパマン、行くぜ!!』
 緊急事態とは言え物理的に強硬突入した当然の結果に陥りつつも傍らのパートナーを鼓舞するモンキーマン。
『こちらこそ……チーム・サン初陣よろしくお願いいたします、モンキーマン殿!!』
 モンキーマンのパートナーとして並んで走る細長い噛と暗視ゴーグルを持つ細身の人型戦闘用アンドロイド・カッパマンは笠の端をつまんで会釈する。
『チーム・サンか、いい名前じゃねえか!! お前賢いな!!』
『ありがとうございます、モンキーマン殿……来ますぞ!!』
 暗い廊下の前方から2人に襲い掛かる見覚えのある白球弾幕。
『カッパフリスビー!!』
 地下室へ至る道はほぼ1本で、侵入に気づかれている以上待ち伏せされるのは不可避。
 粘糸弾の軌道から蜘妹アンドロイドメイドの潜伏箇所を瞬時に算出したカッパマンはすぐに頭の笠を外し、横持ちで回転投げ。
『アクスヘッドブーメラン!!』
 前述の通りにカッパマンと同じ判断をしたモンキーマンもすぐに背中のモンキーロッド専用アタッチメントを掴んで横持ち回転投げ。
 事前に粘糸無効化オイルを塗布されていたそれは弧を描くように粘糸弾に正面衝突して融解無効化。
『ぎゃっ!!』
『ぐあっ!!』
 そして2人のダブルブーメランが暗闇から戻ってキャッチすると同時に2体の蜘妹アンドロイドメイドが天井から落ちて来る。
『はあっ!!』
 暗闇に潜む敵をはたき出したカッパマンは背中の小刀二刀を抜き、敵が態勢を立て直す間も与えずナイフ投げ。
 風を切って飛ぶその刃は粘糸弾発射口となるへそに深く突き刺さる。
『ON!!』
『ぐあああああああ!!』
『きゃあああああ!?』
 遠隔操作で超振動切断スイッチが入ったナイフの衝撃をゼロ距離、それも精密機器が大量に詰め込まれた内部に直接流し込まれた2体の蜘妹アンドロイドメイドの内部機構は連鎖破壊され、そのまま自己修復不可能レベルの大破で廊下に崩れ落ちる。

『ユカにクレア!!』
 目の前で無惨に破壊された仲間の弔い合戦とばかりに2人に襲い掛かる蜘妹メイドアンドロイド4体。
『カッパマン、下がれ!!』
 自身の武器をシュコンと縮ませて腕内の収納スペースにしまったモンキーマンは仲間を下がらせ、棍棒・手斧・銃で武装した敵に対時する。
『モンキーパンチ!!』
『ごばっ……』
 天井ダッシュで棍棒を振り下ろしてきた蜘妹メイドアンドロイド・アンナを腹パンの一撃で機能停止。
『モンキーキック!!』
『があっ!!』
 続いて手斧で脇腹を狙ってきた蜘妹メイドアンドロイド・ターマの武器をムエタイキックで叩き落とし、その勢いのままに蜘妹下半身の節足をボディもろとも粉砕するモンキーマン
『アンナにターマ!!』
 敵はあのSYK-000、モンキーマン。
 本来戦闘用ではない人型アンドロイドの自分達が隠密工作&エリア監視調査用に魔改造されて銃火器を持ったところで勝ち目があるわけがない事は明らか。
 それでも瞬殺された4体の仲間の後を追う覚悟を決めていたSYK-72-03、ホリィとSYK-72-05、ノーラは対アンドロイド弾装填済みの拳銃の引き金に指をあてようとする。
『ほほほ、お嬢さん。落とし物にはご注意なすった方が良いですぞ?』
『えっ?』
『あれっ?』
 そんな緊迫下の一瞬で手中から消え失せ、モンキーマンの後ろにいたカッパマンの手中に収まっていた拳銃。
『ぎっ!!』
『グエッ!!』
 全身に細く鋭い何かが食い込む痛覚ダメージアラートと共に天井に吊り下げられた2体の蜘妹アンドロイドメイド。
 いつの間にか切断されて床に残された2対8本×2体、合計16本の機械節足と1対2本×2体、合計4本の人間上半身アンドロイドアームを直視して敗北を悟ったホリィとノーラは目を閉じる。

【第27話に続く】
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