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【第三章:エデン第一区画/旧動植物研究所ビオトープエリア】

【第17話】

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「ナビによればこの先、もう少し進めば中央制御塔が見える開けた場所に出るはずなんだけど……」
『博士はとにかく、俺は沈んじまうなあ……』
 居住者の憩いの場として整備された公園と動植物生態研究者向けの施設が明確に区別されていたエデン第一区画。
 かつては存在しなかったはずのメタセコイア級の巨木とその他もろもろの巨大化植物で中生代を想起させる原生林と化し、両者の区別すらつかなくなったそこで獣道(?)と思しき開かれた場所を進んでいたサン博士とモンキーマンは目の前に現れた大きな池で足止め。
 サン博士がガントレットデバイスを開いてマップ画面を出し、迂回ルートを探そうとしたその時だった。
『あぶねえっ!!』
「きゃっ!!」
 いきなりサン博士の顔スレスレで鉄腕右ストレートを決めるモンキーマン。
 その腕に鋭い音でぶつかり、地面に落ちるのは金属の針だ。
『そこかあっ!!』
 すぐに背中のモンキーロッド専用アタッチメントパーツ、ヴォルトアクスヘッドを掴み、目の前の池にブーメランスロー投入するモンキーマン。
 戦闘用アンドロイドをも焼き焦がす高圧電流放電を喰らった池は青い光と共にショック死した小さな虫や小魚が浮いてくる。
『ふふっ、流石はモンキーマン殿ですな……噂にたがわぬ動体視力、見事でございますぞ』
 池の側でそびえ立つメタセコイア級の巨木幹に細長い指の間の膜をべったりと付けて垂直に立つ細身の準人型アンドロイド。
 鶴やトキのような長いくちばしに暗視ゴーグルのような出っ張った眼を持ち、時代劇のような笠を被ったそれは吹き矢の棒を持ったままケタケタと笑う。
『お前が今の攻撃を仕掛けて来た奴だな?』
『いかにも、私は上位管理者アンドロイド・リュート様の配下にして水陸両用型戦闘用アンドロイド、SYK-022・カッパマン!! 主様の命によりサン博士殿をお迎えにあがりました!! 覚悟!!』
 背中の二刀流を抜き放って幹を蹴って加速しつつの自由落下アタックを仕掛けるカッパマン。
 あの刃に触れてはいけない、と直感的にそう判断したサン博士とモンキーマンはすぐさま身を低くしてそのヘッドチョップスラッシュを頭上通過させる。
「このっ!!」
 地面にうつ伏せになったまま電撃銃を抜き、電撃弾幕を張るサン博士。
『遅い!!』
 地面に着地したままのカエル座りからバックジャンプでそれらを股下通過させたカッパマン。
『ヨホホホホ!!』
 着地してニンジャダッシュの構えを取ったそれは正面で大きく腕を開いてサン博士に迫る。

 ここがそもそも敵のホームグラウンドで戦闘用アンドロイドの巣窟である事はさておき、色々な意味でHENTAI臭しかしないこいつにだけは捕まったらアカン。
 コイツは自分の下に滑り込むように入り込み、掴み上げたまま肩に乗せてヒトサライ運びで駆け出すのだろう。
 女とか云々ではなく生存防衛本能的に察しつつも間に合わないと察した体が動かないサン博士。
『どっせえい!!』
 そんな博士の危機をすくうべくでモンキーロッドを伸ばしたモンキーマンは一気に跳びあがる。

 ゴガチィィィィン!!

『ぎゃふううううん!!』
 サン博士と自身の間に突き立てられたしなやかで頑丈なモンキーロッドに顔面から突っ込んでしまったカッパマン。
 後方に弾き飛ばされ転がったそれはダメージセンサーアラート全開な顔面をおさえてさする。
『おい、変態ニンジャ野郎……さっきのは不意を突かれたが俺様の目が黒れえうちに博士を攫おうなんて百年早ええよ。まずは俺をぶっ壊してみろやあ!!』
 サン博士を下がらせつつ中指を立て、大音声で敵のヘイトを集中させるモンキーマン。
『ふふふ、変態ニンジャとは言ってくれますねえ……いいでしょう、貴方に対する破壊命令変更はありませんので先にそうさせてもらいましょうか!!』
 背中の二刀流を抜き構えるカッパマンとモンキーロッドを構えるモンキーマン。
 2体の戦闘用アンドロイドは宿命の激突カウントダウンに入る。

【MMS 第18話に続く】
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