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【第二章:エデン第二区画/旧関係者居住エリア】

【第14話】

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『博士、ヤツのドローンだ!!』
 ミュータントアニマルに追いかけられるジープの前方からバラバラと飛んでくるドローン。
 電撃銃を構えたサン博士がそれを撃墜しようとしたその時だった。
『あーあー、マイクテス、マイクテス。
 このドローンは武器非搭載です!! このドローンは武器非搭載です!!
 攻撃意思はありませんのでそのままお聞きください!!』
 サン博士は垂直離着陸機にハッキングをかけてきたマスターブレインのモノとは明らかに違うナチュラルな男の声で呼びかけて来るドローンに狙いをつけたまま耳を傾ける。
『私はエデン軍事兵器開発エリアを管轄する上位管理者アンドロイドSYK―041、コウガイジです。この度は主様のお許しを得て私共の開発しました試作型新兵器でお二方にシオを贈りに来た次第です。
 これよりそのジープに投下いたしますのでそのバケモノ討伐にお役立てください!!』
 そのまま急加速し、吊り下げていた袋をすれ違いざまにジープ上に投下してくるドローン。
 まさにジャストタイミングで腕の中に落ちて来たそれをサン博士は慌てて受け止める。
「これは……手榴弾?」
 一般的な手榴弾に欠かせない信管と安全装置と思しき物がついた赤・青・緑の金属製ボール。
 各色2個の合計6個と共に袋の中に入っていたメモを読んだサン博士はニヤリと笑う。
「なるほどね、ナイスソルトよコウガイジとやら!! しばらく真っすぐな道が続くわよね、モンキーマン!?」
『ああ、そうだ!!』
「そこに入ったらすぐにアクセル最大で加速して!!」
 サン博士は青いグレネードボールを手に取りつつジープのハンドルを握るモンキーマンに指示する。
『了解、任せるぜ博士!!』
 助手席から後部座席に転がり移動するサン博士にサムズアップしつつモンキーマンは応える。

『グェァァァイィィィィィィ!!』
 反撃準備が整っている事も知らず、興奮と本能のままに奇声を上げながらたジープを追いかけまわす発狂スーパーミュータントアニマル。
 角を曲がって何周目かもわからない4車線の旧居住区中央通りに入ったそれに続いたその時だった。
『COUNTDOWN START』
 後部座席から上半身を出した黒衣の女は手に握った青球のピンを抜いて安全装置解除。
 機械音声による警告が始まると同時にそれを車の後ろに投げる。
『……3……2……1』
 すぐさま始まるスリーカウント。
 スーパーミュータントアニマルの巨躯ではどうあがいても避けられない位置に着地したそれはいい感じに転がっていく。
『0!!』
『グワァ!?』
 物理的な熱と光と金属片ではなく泡のような白濁液をその爆発でまき散らしたグレネード。
 それを全身に浴びせられたスーパーミュータントアニマルは一瞬でネバネバに固まったそれに全身と足を固め囚われ、動きを完封されてしまう。
『うおい、すげえな!!』
 爆発によりまき散らされる特殊速乾性粘液で巨像の動きも一瞬で封じてしまう特殊グレネード『ブルーグレネード』で完封された敵を確認し、AKIRAスライディングでジープを急停止させるモンキーマン。
「モンキーマン!! これをヤツの口に投げ込んで!!」
 そう言いつつ後部座席から赤グレネードボールを相棒に渡すサン博士。
『よっしゃ、任せな!!』
 ジープ座席に立ち、ピッチャー構えを取ったモンキーマンは迷うことなく安全装置を外してアンダースロー。
 人間とは比較にならないパワーとコントロール力を持つ戦闘用アンドロイドのパワーで投げられた剛速球はミュータントアニマルの口に華麗なホールインを決める。

 ドゴォォォォオオオン!!

 かつて上位管理者アンドロイド・コクフウカイのボディだったブラックウインドガス生成機内に入り、そのまま大爆発を起こしたレッドグレネード。
 その逃げ場の無い衝撃で砕け散った機器もろとも中からバラバラとなったスーパーミュータントアニマルの肉片は熱で焼け焦げてステーキを通り越した消し炭となって崩れていく。
「勝負あったわね、モンキーマン」
『ああ、そうだな博士』
 初戦は紅余曲折あったものの、マスターブレインの配下として自分達が破壊しなくてはならない上位管理者アンドロイドは残り5体。
 人類の命運を託された2人はまだ始まったばかりの激闘に揮を締め直すのであった。

【MMS 第15話に続く】
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