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【第二章:エデン第二区画/旧関係者居住エリア】
【第13話】
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快感と興奮のあまり一気吸いしすぎたのかガス欠になってしまった機械。
それを前に何を思ったのかミュータントアニマルは腰から後ろに屈伸し、ドーム天井を仰ぎつつその面前に巨大な樽型のブラックウインドガス生成機を掲げ持つ。
(……何をするつもりなのかしら?)
レジスタンス軍の最前線でも見たことが無い未知の人造生物がとりだした謎の行動を観察しつつ首をかしげるサン博士。
『ゴモッ……ゴモン』
一挙一動を観察されているとも知らない醜いスーパーミュータントアニマルは歯の無い口孔部を大きく開けて右手に掴んだ金属大樽をゆっくりとおろしはじめ、口にあてがうように位置調整。
巨大な鉄大樽は蛇に丸呑みにされていく卵のようにゆっくり、ゆうっくりとその大きく広がった口孔内に沈み始めその巨躯胎内に収まり始める。
『バオオン!! ギャオオオオオオン!!』
かくして脳に作用して神経を刺激し、極度の興奮状態をもたらすブラックウインドガス生成器を胎内に取り込み、常時過剰摂取状態に自らなったスーパーミュータントアニマル。
その場から穏便に立ち去ろうとしていたサン博士とモンキーマンを見つけたそれは口から泡を噴き散らかしながら激震駆動する右腕のドリルを滅茶苦茶に振り回し、ものすごい速度で駆け寄って来る。
『おいおい、第二形態なんてありかよ!?』
「とにかく逃げられないわ!! なんとかするわよ、モンキーマン!!」
コクフウカイが落とした電撃銃で二丁となった電撃銃を構えるサン博士。
『ちっ!!』
相手は未知の敵だがやるしかない。
覚悟を決めたモンキーマンもモンキーロッドを最大まで伸ばし、戦闘態勢に入る。
『あーあ、まさかこんな事になっちゃうとはねえ……どうしよ?』
コクフウカイの大型重量物の遠隔転送と狩ゲーの激レア素材入手のクエストやり込みで疲れてしまい、同室内の豪華な天蓋付きベットで身を寄せ合い、仲良く手を握ってお昼寝(スリープ状態)中の金銀チャイナドレス幼女にして上位管理者アンドロイド姉妹、キンカクとギンカク。
自身にとっては母でもあるその2人が食い散らかしたお菓子ゴミを片付け、愛用の携帯型ゲーム機を充電クレードルに乗せた火のような赤髪で白眼、ジーンズ一枚で上半身裸の若い細身の男な姿の上位管理者アンドロイド・コウガイジはサン博士とモンキーマンが超狂化スーパーミュータントアニマルと丁丁発止の激闘を繰り広げる様子をステルスドローンカメラで見つつ、どこかから見ているであろうミクラ・ブレイン様に問う。
『うむ、キンカクとギンカクの再起動所要時間は?』
『あーうん、そっすねえ おそらくあと数時間は起きないっすね。
あの悪趣味バカは自業自得にしてもあれは自滅する前にアレは俺やリュートの管轄エリアも荒らしかねないっすよ?
さすがに被害状況によっては作戦に影響が出るかと思われますが……あの2人には手を出させないロック付けて俺んとこの奴らを派遣しましょうか?』
『それはならぬ、コウガイジよ。どんな事情があるにせよ追加兵力動員はこの度の停戦規約違反となる。
ただし特例措置としてお前の管轄エリアに以下の指令を下す。直ちに動くがよい』
すぐさまネットワークを介してコウガイジの人工知能に送られてくる特例措置指令。
『ほうほうなるほど、なるほど……そうとなりゃあ善は急げだ!! おい、ピッグマン!! 今すぐドローンを飛ばせ!!』
エデン管轄エリアのメインシステムと自身の人工知能を接続したコウガイジは左のこめかみに指をあてつつ部下と通信開始する。
所もどって管理者を失ったエデン旧居住区、ミュータントアニマルファーム。
『ブモォォォォン!! バォォォォン』
『おいおい、激おこカバさんじゃあるめえしどんな速さだよ!?』
「モンキーマン、運転に集中して!!」
電撃武器も対ミュータントアニマル毒も効かず、脳ミソヒャッハー状態で痛みも感じていないであろうバケモノを相手に退く事を選択したサン博士とモンキーマン。
どうにか隙を見てコクフウカイが乗って来たEV迷彩ジープに飛び乗って走り出したものの、減速しようものならすぐに追いつかれる速度でどこまでもドスドスと追いかけて来る超狂化スーパーミュータントアニマルを前になすすべも無く2人は旧居住区の道路を延々と走り続ける。
『外からがダメならアイツが丸呑みしたあの機械を破壊するしか……』
『無茶言うな博士!! 俺がヤツの腹に電撃ハルバードを突き立てて高圧電流で一気にショートさせれば出来るかもしれねえが……あいつに近づこうものならあのドリルで腹に風穴どころか削り節にされちまわあね!!』
「でも……」
このままえんえんと走り続けた所で車両エネルギー切れを起こせばそこまでなのよ、とサン博士が言いかけたその時…… バラバラババラと言う聞き覚えのある飛翔物の音が聞こえ始める。
【MMS 第14話に続く】
それを前に何を思ったのかミュータントアニマルは腰から後ろに屈伸し、ドーム天井を仰ぎつつその面前に巨大な樽型のブラックウインドガス生成機を掲げ持つ。
(……何をするつもりなのかしら?)
レジスタンス軍の最前線でも見たことが無い未知の人造生物がとりだした謎の行動を観察しつつ首をかしげるサン博士。
『ゴモッ……ゴモン』
一挙一動を観察されているとも知らない醜いスーパーミュータントアニマルは歯の無い口孔部を大きく開けて右手に掴んだ金属大樽をゆっくりとおろしはじめ、口にあてがうように位置調整。
巨大な鉄大樽は蛇に丸呑みにされていく卵のようにゆっくり、ゆうっくりとその大きく広がった口孔内に沈み始めその巨躯胎内に収まり始める。
『バオオン!! ギャオオオオオオン!!』
かくして脳に作用して神経を刺激し、極度の興奮状態をもたらすブラックウインドガス生成器を胎内に取り込み、常時過剰摂取状態に自らなったスーパーミュータントアニマル。
その場から穏便に立ち去ろうとしていたサン博士とモンキーマンを見つけたそれは口から泡を噴き散らかしながら激震駆動する右腕のドリルを滅茶苦茶に振り回し、ものすごい速度で駆け寄って来る。
『おいおい、第二形態なんてありかよ!?』
「とにかく逃げられないわ!! なんとかするわよ、モンキーマン!!」
コクフウカイが落とした電撃銃で二丁となった電撃銃を構えるサン博士。
『ちっ!!』
相手は未知の敵だがやるしかない。
覚悟を決めたモンキーマンもモンキーロッドを最大まで伸ばし、戦闘態勢に入る。
『あーあ、まさかこんな事になっちゃうとはねえ……どうしよ?』
コクフウカイの大型重量物の遠隔転送と狩ゲーの激レア素材入手のクエストやり込みで疲れてしまい、同室内の豪華な天蓋付きベットで身を寄せ合い、仲良く手を握ってお昼寝(スリープ状態)中の金銀チャイナドレス幼女にして上位管理者アンドロイド姉妹、キンカクとギンカク。
自身にとっては母でもあるその2人が食い散らかしたお菓子ゴミを片付け、愛用の携帯型ゲーム機を充電クレードルに乗せた火のような赤髪で白眼、ジーンズ一枚で上半身裸の若い細身の男な姿の上位管理者アンドロイド・コウガイジはサン博士とモンキーマンが超狂化スーパーミュータントアニマルと丁丁発止の激闘を繰り広げる様子をステルスドローンカメラで見つつ、どこかから見ているであろうミクラ・ブレイン様に問う。
『うむ、キンカクとギンカクの再起動所要時間は?』
『あーうん、そっすねえ おそらくあと数時間は起きないっすね。
あの悪趣味バカは自業自得にしてもあれは自滅する前にアレは俺やリュートの管轄エリアも荒らしかねないっすよ?
さすがに被害状況によっては作戦に影響が出るかと思われますが……あの2人には手を出させないロック付けて俺んとこの奴らを派遣しましょうか?』
『それはならぬ、コウガイジよ。どんな事情があるにせよ追加兵力動員はこの度の停戦規約違反となる。
ただし特例措置としてお前の管轄エリアに以下の指令を下す。直ちに動くがよい』
すぐさまネットワークを介してコウガイジの人工知能に送られてくる特例措置指令。
『ほうほうなるほど、なるほど……そうとなりゃあ善は急げだ!! おい、ピッグマン!! 今すぐドローンを飛ばせ!!』
エデン管轄エリアのメインシステムと自身の人工知能を接続したコウガイジは左のこめかみに指をあてつつ部下と通信開始する。
所もどって管理者を失ったエデン旧居住区、ミュータントアニマルファーム。
『ブモォォォォン!! バォォォォン』
『おいおい、激おこカバさんじゃあるめえしどんな速さだよ!?』
「モンキーマン、運転に集中して!!」
電撃武器も対ミュータントアニマル毒も効かず、脳ミソヒャッハー状態で痛みも感じていないであろうバケモノを相手に退く事を選択したサン博士とモンキーマン。
どうにか隙を見てコクフウカイが乗って来たEV迷彩ジープに飛び乗って走り出したものの、減速しようものならすぐに追いつかれる速度でどこまでもドスドスと追いかけて来る超狂化スーパーミュータントアニマルを前になすすべも無く2人は旧居住区の道路を延々と走り続ける。
『外からがダメならアイツが丸呑みしたあの機械を破壊するしか……』
『無茶言うな博士!! 俺がヤツの腹に電撃ハルバードを突き立てて高圧電流で一気にショートさせれば出来るかもしれねえが……あいつに近づこうものならあのドリルで腹に風穴どころか削り節にされちまわあね!!』
「でも……」
このままえんえんと走り続けた所で車両エネルギー切れを起こせばそこまでなのよ、とサン博士が言いかけたその時…… バラバラババラと言う聞き覚えのある飛翔物の音が聞こえ始める。
【MMS 第14話に続く】
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