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第四章:『突然変異!? 聖魔王子VS巨大軟体魔物・ギガントスライム!』
【第27話】
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「ギルティ!! 早く!!」
『無限収納の奇跡』に逃げ込む事を戸惑う旧友を安心させるべく右半身を入れた状態で左手を差し出すリィナ。
「おっ、おう!!」
何が起こっているのかはわからないが、行くしかない。
覚悟を決めたギルティが光の裂け目に駆け込もうとしたその時……大型動物の死骸を消化吸収し終えて一回り以上巨大化した赤い軟体魔物がその体を自ら平らに潰すように地面に押し付けだす。
「危ない!!」
謎の魔物が何をしようとしているのか瞬時に察したギルティは差し向けられたリィナの救いの手を振り払いつつローランを突き飛ばし、背中の鉄槌を抜く。
『ブルゥゥウンン!!』
「くそがぁぁぁぁぁ!!」
薄く潰れた形のまま頭上から巨大な真紅の天幕のように強襲してきた軟体魔物。
それはコア目掛けて振り上げたギルティの力任せの一撃を無効化して覆いかぶさり、暴れて抵抗するのも構うことなくどろっとした生体粘液でビキニアーマーな巨躯を包みこむように中に取り入れていく。
「ギルティさん! !」
「よくもお姉ちゃんを!! この野郎!!」
助けねばならない、だがどうやって?
あの捕食行動的に恐らく彼女は助かってはいまい、奇跡の力で逃げるなら今だ。
あの鋼の肉体を持つ戦士が死ぬはずがない、いやどうなんだ。 流石に無理か?
『無限収納の奇跡』内にいたが故に無事だったものの、旧友を目の前で捕食され、錯乱のあまり目の前でぶるぷるしている真っ赤な魔物にナイフを持って突っ込んでしまいそうなリィナ先輩を物理的に取り押さえつつローランは今この場でやるべき事を模索する。
「先輩、ごめんなさい!!」
とにかく今の僕とリィナ先輩がやるべきことはなにがなんでも逃げ延びて東の森に突如出現したこの危険な魔物の存在をハルメンの町に報せる事だ。
そう判断したローランは錯乱したリィナを再度『無限収納の奇跡』に押し込もうとする。
「どっせぇぇぇい!!」
「ええっ!?」
「ギルティ! !」
真っ赤なスライムの正面をぶち破り、ビキニアーマーの胸当てを失いつつも自力で上半身だけ脱出したギルティ。
「お前ら無事だったか!! よく分からんがリィナちゃんを守ってくれてサンキューだぜ、ローラン!!」
赤いスライムの硬粘液による嬬動で体内に引き戻されそうになりつつもギルティは歯を見せて笑いつつサムズアップする。
「ギルティさん! 今助けに……」
「ダメだ来るな!! アタシはどうにか力づくで皮を破って上半身だけ脱出できたが……下半身は無理っぼいぞ!! お前らが体の一部でも取り込まれたら即終わりだ、マジで近づくな!!」
敵に取り込まれて囚われの下半身をジワジワと侵されつつも冷静に分析結果を伝えるギルティ。
「アタシの馬車ですぐに町に戻れ!! 緊急討伐クエスト発注だ!!」
「そんな……お姉ちゃん、お姉ちゃぁぁぁん!!」
「リィナちゃん、ごめんな……」
助けるに助けられず、生きたまま溶かされるのを見捨てるしかない状況となったリィナはいつもの冷静さが嘘のようにわぁわぁ泣き叫ぶ。
「ローラン君、リィナちゃんを頼むよ……」
『無限収納の奇跡』
「きゃっ!!」
足下に現れた光の裂け目に落ちて消えるリィナ。
「リィナちゃん!?」
いきなり地面の下に消えたリィナに驚きの声をあげるギルティ。
「ギルティさん、今から貴女を助けますが一つだけ約束してください……今から僕がやる事は見なかった事にして口外厳禁です」
「ああ、うん」
「そして今後、僕と先輩は王家公認クランヘのご協力は拒みませんが……貴女が気づいた事は勘違いだったという事にしてもらえませんか? 僕はこの世界で故あって狂魔化魔物を倒さねばならない身なのですが冒険者として必要以上に有名になる事はとても都合が悪いんです。」
「回りっくどくてよくわからないが……とにかく分かった。助かるなら問題ない。うぐうっ!!」
腰から上の半身だけ力づくで脱出したものの、赤軟体魔物の嬬動で体内に引き戻されつつあるギルティは腹を締め付けられて悲鳴を上げる。
「よしっ、 聖剣解放! !」
ローランの正体を隠すべく数日間の間魔力を流し込まれていなかった聖剣フェルティーレ。
創生神フェルティーレ様が乙女騎士に授けた聖剣は聖魔王子の魔力を流し込まれる事で滅びし王国の遺跡で見つかったただの古い大剣と言う鈍器にはないその本来の力を取り戻し、その鍛えられた刃は白銀に輝き始める。
【第28話に続く】
『無限収納の奇跡』に逃げ込む事を戸惑う旧友を安心させるべく右半身を入れた状態で左手を差し出すリィナ。
「おっ、おう!!」
何が起こっているのかはわからないが、行くしかない。
覚悟を決めたギルティが光の裂け目に駆け込もうとしたその時……大型動物の死骸を消化吸収し終えて一回り以上巨大化した赤い軟体魔物がその体を自ら平らに潰すように地面に押し付けだす。
「危ない!!」
謎の魔物が何をしようとしているのか瞬時に察したギルティは差し向けられたリィナの救いの手を振り払いつつローランを突き飛ばし、背中の鉄槌を抜く。
『ブルゥゥウンン!!』
「くそがぁぁぁぁぁ!!」
薄く潰れた形のまま頭上から巨大な真紅の天幕のように強襲してきた軟体魔物。
それはコア目掛けて振り上げたギルティの力任せの一撃を無効化して覆いかぶさり、暴れて抵抗するのも構うことなくどろっとした生体粘液でビキニアーマーな巨躯を包みこむように中に取り入れていく。
「ギルティさん! !」
「よくもお姉ちゃんを!! この野郎!!」
助けねばならない、だがどうやって?
あの捕食行動的に恐らく彼女は助かってはいまい、奇跡の力で逃げるなら今だ。
あの鋼の肉体を持つ戦士が死ぬはずがない、いやどうなんだ。 流石に無理か?
『無限収納の奇跡』内にいたが故に無事だったものの、旧友を目の前で捕食され、錯乱のあまり目の前でぶるぷるしている真っ赤な魔物にナイフを持って突っ込んでしまいそうなリィナ先輩を物理的に取り押さえつつローランは今この場でやるべき事を模索する。
「先輩、ごめんなさい!!」
とにかく今の僕とリィナ先輩がやるべきことはなにがなんでも逃げ延びて東の森に突如出現したこの危険な魔物の存在をハルメンの町に報せる事だ。
そう判断したローランは錯乱したリィナを再度『無限収納の奇跡』に押し込もうとする。
「どっせぇぇぇい!!」
「ええっ!?」
「ギルティ! !」
真っ赤なスライムの正面をぶち破り、ビキニアーマーの胸当てを失いつつも自力で上半身だけ脱出したギルティ。
「お前ら無事だったか!! よく分からんがリィナちゃんを守ってくれてサンキューだぜ、ローラン!!」
赤いスライムの硬粘液による嬬動で体内に引き戻されそうになりつつもギルティは歯を見せて笑いつつサムズアップする。
「ギルティさん! 今助けに……」
「ダメだ来るな!! アタシはどうにか力づくで皮を破って上半身だけ脱出できたが……下半身は無理っぼいぞ!! お前らが体の一部でも取り込まれたら即終わりだ、マジで近づくな!!」
敵に取り込まれて囚われの下半身をジワジワと侵されつつも冷静に分析結果を伝えるギルティ。
「アタシの馬車ですぐに町に戻れ!! 緊急討伐クエスト発注だ!!」
「そんな……お姉ちゃん、お姉ちゃぁぁぁん!!」
「リィナちゃん、ごめんな……」
助けるに助けられず、生きたまま溶かされるのを見捨てるしかない状況となったリィナはいつもの冷静さが嘘のようにわぁわぁ泣き叫ぶ。
「ローラン君、リィナちゃんを頼むよ……」
『無限収納の奇跡』
「きゃっ!!」
足下に現れた光の裂け目に落ちて消えるリィナ。
「リィナちゃん!?」
いきなり地面の下に消えたリィナに驚きの声をあげるギルティ。
「ギルティさん、今から貴女を助けますが一つだけ約束してください……今から僕がやる事は見なかった事にして口外厳禁です」
「ああ、うん」
「そして今後、僕と先輩は王家公認クランヘのご協力は拒みませんが……貴女が気づいた事は勘違いだったという事にしてもらえませんか? 僕はこの世界で故あって狂魔化魔物を倒さねばならない身なのですが冒険者として必要以上に有名になる事はとても都合が悪いんです。」
「回りっくどくてよくわからないが……とにかく分かった。助かるなら問題ない。うぐうっ!!」
腰から上の半身だけ力づくで脱出したものの、赤軟体魔物の嬬動で体内に引き戻されつつあるギルティは腹を締め付けられて悲鳴を上げる。
「よしっ、 聖剣解放! !」
ローランの正体を隠すべく数日間の間魔力を流し込まれていなかった聖剣フェルティーレ。
創生神フェルティーレ様が乙女騎士に授けた聖剣は聖魔王子の魔力を流し込まれる事で滅びし王国の遺跡で見つかったただの古い大剣と言う鈍器にはないその本来の力を取り戻し、その鍛えられた刃は白銀に輝き始める。
【第28話に続く】
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