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【第十三話:クレイジー・ヴィトレイヤー】
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『ゲーム・スタート!!』
レディのスタートコールと共にボォン、ボォンと動き出す部屋の隅のアンティーク振り子大時計。
そしてどんでん返しした壁から現れた追加大型キャビネットと天丼から落ちて来た縄梯子に安置された大量のガスマスクドール。
「おいおい増えやがったぞ!!」
「とにかく探すぞ!! 私は1番のページを」
「じゃあ僕は2番!!」
「わっ、私は3番で」
革張りの手帳の写真でお家に帰りたいお人形さんを探し始めた7人。細かいドレスデザインはさておき、大きくて特徴的なガスマスクの色と形、目の透明パーツ色の組み合わせから大まかな目測を付けるべく7人は動き出す。
~それから数十分後~
(ええと、1番の人形はピンクのガスマスクで目は緑で…… いったいどこにあると言うんだ? 誰かが1つ見つけたと言う反応も無いようだし、どういう事だ!?)
焦る気持ちを抑えつつ、冷静に棚を上下左右くまなく見回してピンクのガスマスクを見つけ次第すぐに確認していく牛田。
(あった!! だが服が……緑じゃなくて赤だ!!)
条件に合うガスマスクドールを手に取ったものの、手帳の写真と服の色が違う事に気づいた牛田はすぐに棚に戻して別の人形を確認しに向かおうとする。
「うおっ!?」
「きゃん!?」
7人が狭い室内をわちゃわちゃと行きかう中、うっかりRINKOの胸に肘が当たってしまった牛田。
RINKOが全体的に痩せすぎとは言え無機質すぎる固い感触、そして男女問わず体型がそのまま出る青いビニール手術着で数日間を共に過ごしてきたからこそわかる明らかに何か詰め物をしているでこぼこで不自然な左右の盛り上がり……
「RINKOさん……その胸、何か入れているんですか?」
「牛田君!! いきなり何を言いだすのかね!?」
突如発せられた完全OUT発言。手帳の写真を頼りに7体のガスマスクドールを探していた5人は思わずそちらを振り向く。
「なっ、何を言いますの、牛田さん? そういうセクハラ発言をなさるヒマがあるなら早くお人形さんを見つけてお家に帰してあげないと……かわいそうじゃないですか?」
いつものサバサバした雰囲気はみじんもなく、目を泳がせながらエアタバコをペン回ししてしまう明らかに狼狽しているRINKOの声。何か不穏な気配を感じた5人はガスマスクドール探しを中断してそちらに向かう。
「RINKOちゃん、どうしたの?」
「ウタちゃん、助けて!! 私、何か疑われてるの!」
いつものように優しく穏やかな声をかける信濃さんに助けを求め、駆け寄るRINKO。
「んっ……ねえ、RINKOちゃん。スカートの中がゴソゴソして変じゃない? お腹と胸も……あなたのコルセットだけパッド入りだったのかしら?」
「……クッ!!」
信濃さんの抱擁ボディーチェックでRINKOがクロだと確信した5人。
レディに命じられた人形を見つけて指定箇所に安置しないとあのまだら金髪男や不幸な少年と同じ運命をたどる事が分かっている6人は、良き仲間だったはずのRINKOの突然の裏切りに戸惑いつつも女性に対する暴力やセクハラとか云々言っていられない極限状況下で取り押さえようとする。
「うわぁぁぁぁ!!」
こちらに向かってくる5人の男衆を前に信濃さんを突き飛ばして部屋の奥に逃げたRINKO。
ガスマスクドールの置かれたキャビネットのガラスをとっさに叩き割って刃物のような棒ガラス片を掴んだ彼女は部屋の角に陣取る。
「こっ、来ないで!! 来ないでえ!! 来るなぁぁ!! 今見せるからぁぁぁぁ」
錯乱しながらドレスをビリビリに引き裂き、ガーターベルト&ニーストッキング、コルセットのセミヌードになったRINKO。コルセット左右の胸に隠した1体ずつの合計2体、足のガーターベルトに器用に隠し挟まれた2体、パンティーのお尻に無理やり頭をねじ込んだ1体。
まさかの手段で服の中に5体もの人形を隠していたRINKOは血走った日で息も荒くガラス片を握りしめる。
「あの5体、全部……正解の人形です!!」
手帳で迷子の人形リストを見返した聖は思わず指さす。
「指さすなぁ!!… …お前達もみんなと一緒に全員道連れにしてやるぅ、心中よぉお!!」
「おっ、落ち着くんだRINKOさん。皆で助かるって決めただろ? どうしてそんな事をするんだ?」
狂人にナイフ、仲間割れしている間にも大時計の動きは止まらない。佐倉川はどうにか説得を試みる。
「助かる、か……ふぶっ。 逆に聞きたいんだけどあんたらはこのグームでもらった賞金はどう使うの?」
瞳孔全開で見開いた目を向けたまま、口元だけで笑うRINKO。
「賞金……?」
記憶を最初の拘束電気椅子まで巻き戻しようやくその事を思い出した6人。
「家族も金もあるアンタらには分からないだろうけどアタシの親父は小っちゃい頃女作って蒸発、ママは怪しげな宗教家様に心酔しラブラブ……育ててくれたばあちゃんもじいちゃんも死んじまった」
ふひふひ笑いながら自分語りし始めるRINKO。
「それで学校にも行けずお水なお店で働いていて、お忍びでやって来たABC15関係者にスカウトされたはいいけど……所詮は底辺枕営業担当で上を目指す女の子同士のいじめに内ゲバ、足の引っ張り合い。まさに生き地獄とはこの事だってね」
自嘲的に笑うRINKOの手から血がしたたる。
【第十四話:ブレイブ・ヒーローに続く】
レディのスタートコールと共にボォン、ボォンと動き出す部屋の隅のアンティーク振り子大時計。
そしてどんでん返しした壁から現れた追加大型キャビネットと天丼から落ちて来た縄梯子に安置された大量のガスマスクドール。
「おいおい増えやがったぞ!!」
「とにかく探すぞ!! 私は1番のページを」
「じゃあ僕は2番!!」
「わっ、私は3番で」
革張りの手帳の写真でお家に帰りたいお人形さんを探し始めた7人。細かいドレスデザインはさておき、大きくて特徴的なガスマスクの色と形、目の透明パーツ色の組み合わせから大まかな目測を付けるべく7人は動き出す。
~それから数十分後~
(ええと、1番の人形はピンクのガスマスクで目は緑で…… いったいどこにあると言うんだ? 誰かが1つ見つけたと言う反応も無いようだし、どういう事だ!?)
焦る気持ちを抑えつつ、冷静に棚を上下左右くまなく見回してピンクのガスマスクを見つけ次第すぐに確認していく牛田。
(あった!! だが服が……緑じゃなくて赤だ!!)
条件に合うガスマスクドールを手に取ったものの、手帳の写真と服の色が違う事に気づいた牛田はすぐに棚に戻して別の人形を確認しに向かおうとする。
「うおっ!?」
「きゃん!?」
7人が狭い室内をわちゃわちゃと行きかう中、うっかりRINKOの胸に肘が当たってしまった牛田。
RINKOが全体的に痩せすぎとは言え無機質すぎる固い感触、そして男女問わず体型がそのまま出る青いビニール手術着で数日間を共に過ごしてきたからこそわかる明らかに何か詰め物をしているでこぼこで不自然な左右の盛り上がり……
「RINKOさん……その胸、何か入れているんですか?」
「牛田君!! いきなり何を言いだすのかね!?」
突如発せられた完全OUT発言。手帳の写真を頼りに7体のガスマスクドールを探していた5人は思わずそちらを振り向く。
「なっ、何を言いますの、牛田さん? そういうセクハラ発言をなさるヒマがあるなら早くお人形さんを見つけてお家に帰してあげないと……かわいそうじゃないですか?」
いつものサバサバした雰囲気はみじんもなく、目を泳がせながらエアタバコをペン回ししてしまう明らかに狼狽しているRINKOの声。何か不穏な気配を感じた5人はガスマスクドール探しを中断してそちらに向かう。
「RINKOちゃん、どうしたの?」
「ウタちゃん、助けて!! 私、何か疑われてるの!」
いつものように優しく穏やかな声をかける信濃さんに助けを求め、駆け寄るRINKO。
「んっ……ねえ、RINKOちゃん。スカートの中がゴソゴソして変じゃない? お腹と胸も……あなたのコルセットだけパッド入りだったのかしら?」
「……クッ!!」
信濃さんの抱擁ボディーチェックでRINKOがクロだと確信した5人。
レディに命じられた人形を見つけて指定箇所に安置しないとあのまだら金髪男や不幸な少年と同じ運命をたどる事が分かっている6人は、良き仲間だったはずのRINKOの突然の裏切りに戸惑いつつも女性に対する暴力やセクハラとか云々言っていられない極限状況下で取り押さえようとする。
「うわぁぁぁぁ!!」
こちらに向かってくる5人の男衆を前に信濃さんを突き飛ばして部屋の奥に逃げたRINKO。
ガスマスクドールの置かれたキャビネットのガラスをとっさに叩き割って刃物のような棒ガラス片を掴んだ彼女は部屋の角に陣取る。
「こっ、来ないで!! 来ないでえ!! 来るなぁぁ!! 今見せるからぁぁぁぁ」
錯乱しながらドレスをビリビリに引き裂き、ガーターベルト&ニーストッキング、コルセットのセミヌードになったRINKO。コルセット左右の胸に隠した1体ずつの合計2体、足のガーターベルトに器用に隠し挟まれた2体、パンティーのお尻に無理やり頭をねじ込んだ1体。
まさかの手段で服の中に5体もの人形を隠していたRINKOは血走った日で息も荒くガラス片を握りしめる。
「あの5体、全部……正解の人形です!!」
手帳で迷子の人形リストを見返した聖は思わず指さす。
「指さすなぁ!!… …お前達もみんなと一緒に全員道連れにしてやるぅ、心中よぉお!!」
「おっ、落ち着くんだRINKOさん。皆で助かるって決めただろ? どうしてそんな事をするんだ?」
狂人にナイフ、仲間割れしている間にも大時計の動きは止まらない。佐倉川はどうにか説得を試みる。
「助かる、か……ふぶっ。 逆に聞きたいんだけどあんたらはこのグームでもらった賞金はどう使うの?」
瞳孔全開で見開いた目を向けたまま、口元だけで笑うRINKO。
「賞金……?」
記憶を最初の拘束電気椅子まで巻き戻しようやくその事を思い出した6人。
「家族も金もあるアンタらには分からないだろうけどアタシの親父は小っちゃい頃女作って蒸発、ママは怪しげな宗教家様に心酔しラブラブ……育ててくれたばあちゃんもじいちゃんも死んじまった」
ふひふひ笑いながら自分語りし始めるRINKO。
「それで学校にも行けずお水なお店で働いていて、お忍びでやって来たABC15関係者にスカウトされたはいいけど……所詮は底辺枕営業担当で上を目指す女の子同士のいじめに内ゲバ、足の引っ張り合い。まさに生き地獄とはこの事だってね」
自嘲的に笑うRINKOの手から血がしたたる。
【第十四話:ブレイブ・ヒーローに続く】
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