9 / 26
【第九話:スタディ・マスマティクス】
しおりを挟む
『第二ゲームは……懐かしのドリルよ!! リチャード先生!! 例のモノを』
挑発的なポーズで妖艶に微笑むセクシーテイーチャー・レディに命じられたリチャードは『良い子のドリル:さんすう』の分厚い束を台車で運んできて各々の机に置き、鉛筆&消しゴムの入った筆箱を配っていく。
「うっ……」「うおっ……」
さんすうドリルとは思えないそのとんでもない厚みに8人はうめき声を上げる。
『もうおわかりだと思うけど……可愛い生徒さん達にはそのレディ先生特製のドリルをやってもらうわ!! 制限時間45分で解いた問題数と正解率でスコア算出、鉛筆&消しゴムの補充やおトイレはリチャード先生に言うのよ! さて、何か質問はあるかしら?』
教壇に腰かけたまま7人を見下ろすセクシーテイーチャー・レデイ。
『全員で同スコアになるように調整して同着1位となり、脱落者ゼロで全員生還を目指す』と言う合意形成をしていた参加者。昨日のチャンバラとは違って問題を解いた数と言う分かりやすい算出方法なら上手く行くと確証した6人は犠牲者ゼロの成功を確信する。
『質問はないみたいね……開始カウントダウン開始よ!!』
再び00:00:45カウントダウン表示となったスマートウォッチ。
6人は鉛筆を手に取り、スタートダッシュ体制に入る。
(1足す1は2、3引く2は1、5足す3は8……)
前から2列目の中央に座り、横眼で右隣席の源太郎の回答記入ペースに合わせて進める直樹。
斜め左前、1列目の中央席の牛田の回答記入ペースに合わせて進める源太郎。
その牛田を基準に回答していくRINKOと聖。
中身は小学校低学年レベルの四則演算のみのごく普通のさんすうドリルで、図形の角度や面積計算、因数分解に正負の概念も出てこない内容にそこまで苦労することなくサクサクと進めて行く参加者達。
(私の後ろの2人は大丈夫かしら…… ?)
そんな中、直樹の速度に合わせて回答していた信濃さんは最後列の加藤少年と佐倉川に目をやる。
カランカラン……鉛筆が落ちる音と共に止まる参加者の手。
『あら、信濃ちゃん。どうしたの?』
鉛筆を落としてしまった当事者たる小学生信濃さんに5人の眼が向けられる。
「えっ、ええと…… 加藤君が気分が悪いみたいなんです!!」
必死で鉛筆を握っているものの、瞳孔を見開いたまま青ざめた表情で大粒の汗を流しつつ完全に固まった加藤少年と目の前の直樹の動きの合わせるのに必死で気が付くのに遅れた佐倉川。
「おっ、おい……大丈夫か?」
「しっかりしろ、おい!!」
自身のドリルを放り出して加藤少年に駆け寄った7人はその机上に置かれた1ページ目から全く進んでいないドリルに気づく。
『あらあら、それは色々な意味で大変ねぇ!! リチャード、苦くてまずぅい気付け薬を用意してあげて!!』
『かしこまりました』
部屋の隅で控えていたリチャード副教師は教室の常備薬箱に向かう。
(おい、どうしたんだ!? 早く進めるんだ!! 今は24ページの5番までだからまだ間に合う!)
薬箱を探すリチャードと満足気にニコニコしながらこの様子を見守るセクシーテイーチャー・レディに気づかれないようにカンニング耳打ちする牛田。
(一体どうしたんだよ!? 俺達全員でここを出るって決めただろ!? しっかりしてくれよ!!)
明らかに様子がおかしい加藤少年を半泣きで見守る佐倉川。
『ふつうのこどもになりたいです はやかわこうすけ』
そんな中、8人の背後で突如意味不明な事を言い出すセクシーティーチャー・レデイ。
明らかに様子がおかしい加藤少年を励ましていた7人の大人達は思わずそちらの方に向く。
『うふふ、生徒があまりにも優秀で先生ヒマだったから宿題チェックをしていたのよ』
足を組んで教卓に腰かけつつ、赤鉛筆片手に件の宿題プリントを見せつけるレディ。
事前に見せあったわけではないので誰の提出プリントかはか分からないが、酷い金釘文字で書かれたひらがなのみの文面にこの場の者ではない誰かの名前。
「うわああああ!! やめてくれぇ!!」
それをみるやいなや後頭部を抱えて、額を激しく机に殴打し始める加藤少年。
「浩介君!!」「何やってんだ、やめろよ!!」
信濃さんとRINKOは自称行為を止めさせ、落ち着かせる。
『うふふ、今回のグームはギフテッドな早川君には難しかったかしら?』
「ギフテッド…… ? もしかして君はあの早川君なのか?」
佐倉川の何気ない一言、『あの早川君』でその場の全員が数年前のニュースに思い至る。
【第十話:アンウォンテッド・ギフトに続く】
挑発的なポーズで妖艶に微笑むセクシーテイーチャー・レディに命じられたリチャードは『良い子のドリル:さんすう』の分厚い束を台車で運んできて各々の机に置き、鉛筆&消しゴムの入った筆箱を配っていく。
「うっ……」「うおっ……」
さんすうドリルとは思えないそのとんでもない厚みに8人はうめき声を上げる。
『もうおわかりだと思うけど……可愛い生徒さん達にはそのレディ先生特製のドリルをやってもらうわ!! 制限時間45分で解いた問題数と正解率でスコア算出、鉛筆&消しゴムの補充やおトイレはリチャード先生に言うのよ! さて、何か質問はあるかしら?』
教壇に腰かけたまま7人を見下ろすセクシーテイーチャー・レデイ。
『全員で同スコアになるように調整して同着1位となり、脱落者ゼロで全員生還を目指す』と言う合意形成をしていた参加者。昨日のチャンバラとは違って問題を解いた数と言う分かりやすい算出方法なら上手く行くと確証した6人は犠牲者ゼロの成功を確信する。
『質問はないみたいね……開始カウントダウン開始よ!!』
再び00:00:45カウントダウン表示となったスマートウォッチ。
6人は鉛筆を手に取り、スタートダッシュ体制に入る。
(1足す1は2、3引く2は1、5足す3は8……)
前から2列目の中央に座り、横眼で右隣席の源太郎の回答記入ペースに合わせて進める直樹。
斜め左前、1列目の中央席の牛田の回答記入ペースに合わせて進める源太郎。
その牛田を基準に回答していくRINKOと聖。
中身は小学校低学年レベルの四則演算のみのごく普通のさんすうドリルで、図形の角度や面積計算、因数分解に正負の概念も出てこない内容にそこまで苦労することなくサクサクと進めて行く参加者達。
(私の後ろの2人は大丈夫かしら…… ?)
そんな中、直樹の速度に合わせて回答していた信濃さんは最後列の加藤少年と佐倉川に目をやる。
カランカラン……鉛筆が落ちる音と共に止まる参加者の手。
『あら、信濃ちゃん。どうしたの?』
鉛筆を落としてしまった当事者たる小学生信濃さんに5人の眼が向けられる。
「えっ、ええと…… 加藤君が気分が悪いみたいなんです!!」
必死で鉛筆を握っているものの、瞳孔を見開いたまま青ざめた表情で大粒の汗を流しつつ完全に固まった加藤少年と目の前の直樹の動きの合わせるのに必死で気が付くのに遅れた佐倉川。
「おっ、おい……大丈夫か?」
「しっかりしろ、おい!!」
自身のドリルを放り出して加藤少年に駆け寄った7人はその机上に置かれた1ページ目から全く進んでいないドリルに気づく。
『あらあら、それは色々な意味で大変ねぇ!! リチャード、苦くてまずぅい気付け薬を用意してあげて!!』
『かしこまりました』
部屋の隅で控えていたリチャード副教師は教室の常備薬箱に向かう。
(おい、どうしたんだ!? 早く進めるんだ!! 今は24ページの5番までだからまだ間に合う!)
薬箱を探すリチャードと満足気にニコニコしながらこの様子を見守るセクシーテイーチャー・レディに気づかれないようにカンニング耳打ちする牛田。
(一体どうしたんだよ!? 俺達全員でここを出るって決めただろ!? しっかりしてくれよ!!)
明らかに様子がおかしい加藤少年を半泣きで見守る佐倉川。
『ふつうのこどもになりたいです はやかわこうすけ』
そんな中、8人の背後で突如意味不明な事を言い出すセクシーティーチャー・レデイ。
明らかに様子がおかしい加藤少年を励ましていた7人の大人達は思わずそちらの方に向く。
『うふふ、生徒があまりにも優秀で先生ヒマだったから宿題チェックをしていたのよ』
足を組んで教卓に腰かけつつ、赤鉛筆片手に件の宿題プリントを見せつけるレディ。
事前に見せあったわけではないので誰の提出プリントかはか分からないが、酷い金釘文字で書かれたひらがなのみの文面にこの場の者ではない誰かの名前。
「うわああああ!! やめてくれぇ!!」
それをみるやいなや後頭部を抱えて、額を激しく机に殴打し始める加藤少年。
「浩介君!!」「何やってんだ、やめろよ!!」
信濃さんとRINKOは自称行為を止めさせ、落ち着かせる。
『うふふ、今回のグームはギフテッドな早川君には難しかったかしら?』
「ギフテッド…… ? もしかして君はあの早川君なのか?」
佐倉川の何気ない一言、『あの早川君』でその場の全員が数年前のニュースに思い至る。
【第十話:アンウォンテッド・ギフトに続く】
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
いつもと違う日常
k33
ホラー
ある日 高校生のハイトはごく普通の日常をおくっていたが...学校に行く途中 空を眺めていた そしたら バルーンが空に飛んでいた...そして 学校につくと...窓にもバルーンが.....そして 恐怖のゲームが始まろうとしている...果たして ハイトは..この数々の恐怖のゲームを クリアできるのか!? そして 無事 ゲームクリアできるのか...そして 現実世界に戻れるのか..恐怖のデスゲーム..開幕!
終焉の教室
シロタカズキ
ホラー
30人の高校生が突如として閉じ込められた教室。
そこに響く無機質なアナウンス――「生き残りをかけたデスゲームを開始します」。
提示された“課題”をクリアしなければ、容赦なく“退場”となる。
最初の課題は「クラスメイトの中から裏切り者を見つけ出せ」。
しかし、誰もが疑心暗鬼に陥る中、タイムリミットが突如として加速。
そして、一人目の犠牲者が決まった――。
果たして、このデスゲームの真の目的は?
誰が裏切り者で、誰が生き残るのか?
友情と疑念、策略と裏切りが交錯する極限の心理戦が今、幕を開ける。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ルッキズムデスゲーム
はの
ホラー
『ただいまから、ルッキズムデスゲームを行います』
とある高校で唐突に始まったのは、容姿の良い人間から殺されるルッキズムデスゲーム。
知力も運も役に立たない、無慈悲なゲームが幕を開けた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる