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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第111話)】「珍客神来@守屋家!! 白蛇ノ舞2025」
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都内S区某所にあるマンション、508号室。
「アラン君。今、NEKOLANDSの4巻読んでる?」
ここに住まう会社員女性、守屋美希・通称ミキちゃんはホットカーペット上であおむけに寝転んだまま同居人の金髪碧眼イケメン男淫魔、アラン・インマに尋ねる。
「僕は今1巻です。4巻ならここに……よっこらせ」
猫を題材にした異能バトル少年漫画作品『THE・NEKOLANDS』をうつ伏せに寝ながら読んでいたアランは脇に積まれていた漫画本を1冊手に取ってミキちゃんに渡しつつトイレに向かう。
「ありがと、アラン君……」
2025年正月の元旦にみんなでギンコさんの所をお参りした後は何もせずにだらだらと積み本状態だった漫画を満喫していたミキちゃんとアラン。
3巻を脇に置いたミキちゃんが4巻を開こうとしたその時、インターホンが鳴る。
「こんな時期に誰かしら? あら……?」
1階ロビーではなく部屋の扉の前を写すインターホンモニター。
そこにいるのは黒いマスクをつけたロングスカートとフード付きパーカー姿の尖った耳に長い水色の髪を持つ若い女性だ。
(この人、魔界人っぽいけどどこかで見たような気が……?)
トイレから出てきたアランにミキちゃんは静かにここに来て画面を見るようにジェスチャーする。
(この人は……!!)
インターホンの女性を見た瞬間、すぐに魔界スマホを取り出しチャットアプリ画面を見せるアラン。
(ああ、この人だわ!!)
昨日、鬼丸君から届いた『この人だから、よろしくな!!』と言うチャットメッセージに添付されていた同芸能事務所の後輩エンターティナー魔界人女性の写真と完全合致する事に気が付いたミキちゃんはすぐにインターホンを取る。
「初めまして、アラン様。あけましておめでとうございます。
私は鬼丸くにお様の紹介で参りましたエンターティナーの白蛇 簪(しらへび さん)と申します」
パーカーを脱ぎ、デスメタルアレンジなグラサン猫Tシャツ&超ロングスカート姿でアランに深々と頭を下げる水色ヘアーの女性。
「初めまして、白蛇さん。私は人間の両親とボディービルダーの兄を持つ人間族女性、守屋美希です……以後よろしく」
来客用のブラウスとスカートに早着替えし、会社名刺を用意したミキちゃんは白蛇さんにそれを差し出す。
「ありがとうございます!! こちら私の名刺となります、どうぞ!!」
そう言いつつスポーツバッグから名刺ケースを取り出す白蛇さん。
『アナザーワールド株式会社 所属ダンサー 白蛇 簪 San Shirahebi』
事務所連絡先と名前が書かれた名刺をミキちゃんとアランは丁寧に受け取る。
「守屋様とアラン様へ鬼丸様からご連絡があったとは思いますが……私は先日、鬼丸くにお様のご紹介で鬼丸建設の新年会の宴席に出演し、五穀豊穣、商売繁盛、無病息災に長命をもたらす神聖な白蛇の舞を披露。
その際に人間界にご滞在中の淫魔財閥総帥ご子息さま……あっ」
アランの一人の友人として依頼した鬼丸君に淫魔財閥の名を出さないようにと言われていたにも関わらずうっかり口が滑ってしまった白蛇さんは思わず口をふさぐ。
「うん、それで僕と守屋さんにも今年の幸福を授ける白蛇の舞を見せに来てくれたんだよね?」
「そういえばそうだったわね!! 遠路はるばるありがとうだわ!!」
色々な事情を察しつつもスルーしたアランとチャット内容を思い出しつつ純粋に喜ぶミキちゃん。
「では、これより着替えてまいりますので……しばしお待ちを」
二人の粋な配慮に感謝しつつ立ち上がった白蛇さんはスポーツバッグを持って更衣室代わりのバスルームに入っていく。
~しばらくして~
「お待たせしました、守屋様にアラン様」
「うわぁ……すごくきれい。あの長いスカートはその下半身を隠すための物だったのね!!」
口元をシースルーな紫色の布で覆い、頭は紫色の刺繍入りベールをかぶって金の帯で固定。
透き通るような白い肌の美ボディライン上半身に纏うのは紫色の胸巻&腰巻。
腕と首には金銀の腕輪とネックレス、尖った耳とへそにはピアス。
そしてロングスカートで完全に隠されていた下半身は……金色の鱗が点在する白銀の蛇ボディ。
「ありがとうございます、守屋様。
私は八百万の神が一人・アメノウズメ様と水を司る蛇神・ナーガ様の魂分けにより八百万の神の1人として生まれた存在……たまにエンターティナーの仕事で人間界に来る際は尻尾を調整してブーツを履いて歩いているように見せています」
本来の姿に戻り、魔界流(?)自己紹介フォーマットで説明する白蛇さん。
「タマワケか……なるほどね」
魔界人として納得するアラン。
「ありがとうございます、アラン様。では、ご覧ください……白蛇の舞でございます」
アラビアンダンサーな衣装をまとった八百万の神・白蛇さんが五色の紐のついた神楽鈴をしゃらしゃらと鳴らしだすと同時に彼女の魔界スマホから流れ出す神楽のメロディー。
(きれい……だわ)
それに合わせてとぐろを巻いた蛇の下半身を旋回させ、全身を上下させながらゆったりと廻り舞う様は五穀豊穣、商売繁盛、無病息災長命そのものな『美』そのものであり東西文化の融合の新境地。
(今年もいい年になりますように……)
ミキちゃんとアランは優雅にしゃらしゃらと舞う白蛇さんの神々しさに思わずを手を合わせ、今年の幸せを祈るのであった。
【FIN】
「アラン君。今、NEKOLANDSの4巻読んでる?」
ここに住まう会社員女性、守屋美希・通称ミキちゃんはホットカーペット上であおむけに寝転んだまま同居人の金髪碧眼イケメン男淫魔、アラン・インマに尋ねる。
「僕は今1巻です。4巻ならここに……よっこらせ」
猫を題材にした異能バトル少年漫画作品『THE・NEKOLANDS』をうつ伏せに寝ながら読んでいたアランは脇に積まれていた漫画本を1冊手に取ってミキちゃんに渡しつつトイレに向かう。
「ありがと、アラン君……」
2025年正月の元旦にみんなでギンコさんの所をお参りした後は何もせずにだらだらと積み本状態だった漫画を満喫していたミキちゃんとアラン。
3巻を脇に置いたミキちゃんが4巻を開こうとしたその時、インターホンが鳴る。
「こんな時期に誰かしら? あら……?」
1階ロビーではなく部屋の扉の前を写すインターホンモニター。
そこにいるのは黒いマスクをつけたロングスカートとフード付きパーカー姿の尖った耳に長い水色の髪を持つ若い女性だ。
(この人、魔界人っぽいけどどこかで見たような気が……?)
トイレから出てきたアランにミキちゃんは静かにここに来て画面を見るようにジェスチャーする。
(この人は……!!)
インターホンの女性を見た瞬間、すぐに魔界スマホを取り出しチャットアプリ画面を見せるアラン。
(ああ、この人だわ!!)
昨日、鬼丸君から届いた『この人だから、よろしくな!!』と言うチャットメッセージに添付されていた同芸能事務所の後輩エンターティナー魔界人女性の写真と完全合致する事に気が付いたミキちゃんはすぐにインターホンを取る。
「初めまして、アラン様。あけましておめでとうございます。
私は鬼丸くにお様の紹介で参りましたエンターティナーの白蛇 簪(しらへび さん)と申します」
パーカーを脱ぎ、デスメタルアレンジなグラサン猫Tシャツ&超ロングスカート姿でアランに深々と頭を下げる水色ヘアーの女性。
「初めまして、白蛇さん。私は人間の両親とボディービルダーの兄を持つ人間族女性、守屋美希です……以後よろしく」
来客用のブラウスとスカートに早着替えし、会社名刺を用意したミキちゃんは白蛇さんにそれを差し出す。
「ありがとうございます!! こちら私の名刺となります、どうぞ!!」
そう言いつつスポーツバッグから名刺ケースを取り出す白蛇さん。
『アナザーワールド株式会社 所属ダンサー 白蛇 簪 San Shirahebi』
事務所連絡先と名前が書かれた名刺をミキちゃんとアランは丁寧に受け取る。
「守屋様とアラン様へ鬼丸様からご連絡があったとは思いますが……私は先日、鬼丸くにお様のご紹介で鬼丸建設の新年会の宴席に出演し、五穀豊穣、商売繁盛、無病息災に長命をもたらす神聖な白蛇の舞を披露。
その際に人間界にご滞在中の淫魔財閥総帥ご子息さま……あっ」
アランの一人の友人として依頼した鬼丸君に淫魔財閥の名を出さないようにと言われていたにも関わらずうっかり口が滑ってしまった白蛇さんは思わず口をふさぐ。
「うん、それで僕と守屋さんにも今年の幸福を授ける白蛇の舞を見せに来てくれたんだよね?」
「そういえばそうだったわね!! 遠路はるばるありがとうだわ!!」
色々な事情を察しつつもスルーしたアランとチャット内容を思い出しつつ純粋に喜ぶミキちゃん。
「では、これより着替えてまいりますので……しばしお待ちを」
二人の粋な配慮に感謝しつつ立ち上がった白蛇さんはスポーツバッグを持って更衣室代わりのバスルームに入っていく。
~しばらくして~
「お待たせしました、守屋様にアラン様」
「うわぁ……すごくきれい。あの長いスカートはその下半身を隠すための物だったのね!!」
口元をシースルーな紫色の布で覆い、頭は紫色の刺繍入りベールをかぶって金の帯で固定。
透き通るような白い肌の美ボディライン上半身に纏うのは紫色の胸巻&腰巻。
腕と首には金銀の腕輪とネックレス、尖った耳とへそにはピアス。
そしてロングスカートで完全に隠されていた下半身は……金色の鱗が点在する白銀の蛇ボディ。
「ありがとうございます、守屋様。
私は八百万の神が一人・アメノウズメ様と水を司る蛇神・ナーガ様の魂分けにより八百万の神の1人として生まれた存在……たまにエンターティナーの仕事で人間界に来る際は尻尾を調整してブーツを履いて歩いているように見せています」
本来の姿に戻り、魔界流(?)自己紹介フォーマットで説明する白蛇さん。
「タマワケか……なるほどね」
魔界人として納得するアラン。
「ありがとうございます、アラン様。では、ご覧ください……白蛇の舞でございます」
アラビアンダンサーな衣装をまとった八百万の神・白蛇さんが五色の紐のついた神楽鈴をしゃらしゃらと鳴らしだすと同時に彼女の魔界スマホから流れ出す神楽のメロディー。
(きれい……だわ)
それに合わせてとぐろを巻いた蛇の下半身を旋回させ、全身を上下させながらゆったりと廻り舞う様は五穀豊穣、商売繁盛、無病息災長命そのものな『美』そのものであり東西文化の融合の新境地。
(今年もいい年になりますように……)
ミキちゃんとアランは優雅にしゃらしゃらと舞う白蛇さんの神々しさに思わずを手を合わせ、今年の幸せを祈るのであった。
【FIN】
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