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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第99話)】「緊急事態!! 魔力変異生物・モスキートウーマンを捕獲せよ!!(後編)」
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~前回のあらすじ~
都内各所で目撃が相次ぐ複眼&口吻(こうふん)の全頭マスクを付けた変質者にしてUMA疑惑もある怪人物・モスキートウーマン。
その正体がミキちゃん・イザベラさん・キアラの血を吸って魔力突然変異を起こした蚊である事を突き止めた淫魔財閥研究職レイ・ビースト博士は大ごとになる前に捕獲すべく人間界に再来。
飢餓のあまり夜道でミキちゃんを襲おうとし、半回転裏拳で返り討ちにされた魔力突然変異生物……今、魔界捕物帳がここに始まった!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夜の都内S区某所にあるマンション、508号室。
「割木さん、出撃お願いします!! レイ博士!!」
ミキさんの緊急事態を前に魔界スマホで通話しつつ博士に指示するアラン。
「はいはい、ポチっとな!!」
『SYK032・キンカク&ギンカク(ワームホール・メイカー)』
レイ博士は人間界のGPSと連動させたマイ魔界ノートパソコンを操作し、空間接続操作特殊魔界暗器を起動。
ミキちゃんの作り出した結界内とある場所をワームホールで繋く
同時刻、都内S区某所の公園。
『ブブブブヴヴヴウ……』
魔力結界を張り終え、パパ直伝の武の構えを取って応戦の意思を示すミキちゃん。
後頭部に一撃を食らったとはいえ、このままミキちゃんの特濃魔力(血)を摂取できなければ数日ももたない餓死寸前のモスキートウーマンは一度距離を取って反撃しようとする。
『刈り』
『!?』
謎の詠唱と共に一気に消滅する内蔵魔力。
モスキートウーマンは倒れそうになる全身を気合と生存本能でどうにか立ち膝でこらえる。
『守屋さん、ご無事ですか!?』
「ええ、ありがとう……剣さん」
イザベラさんに仕える使用人としてモスキートウーマン捕獲作戦に協力することになり、レイ博士の試作型魔界暗器ワームホールでいの一番に駆け付けた割木夫妻。
緑色のマントを羽織って鎌を持った骸骨と言う本来の死神族の姿に戻った鎌雄がUMAの生命力を一気に吸いとって弱体化させている間にミキちゃんを護衛するのはその妻である戦乙女の剣(つるぎ)。
純白の鎧に全身を包み、背中に槍を背負ったまま剣と盾を構える勇壮な本来の姿にミキちゃんは少し見惚れてしまう。
『ブエェェェン!!』
「うおおおおお! !」
鎌雄に生命力を奪われてもなおミキちゃんを狙って襲い掛かるモスキートウーマン。
戦乙女の黒鳥翼を顕現させ、浮遊走行で一気に距離を詰めた剣さんはそれを迎撃し、丁々発止の切り結びに持ち込む。
「よしっ、あとは……割木さんにヤツを取り押さえてもらえれば!!」
ミキちゃんに預けておいた魔界暗器で結界生成してモスキートウーマンを閉じ込め、魔力吸収しようものなら生身の生物として逆にダメージを受けてしまう死神族の戦乙女に一騎打ちさせてダメージ蓄積させて捕獲する。
たまたま襲われたのがミキちゃんだったのはとにかく、姉さんの作戦が見事に成功したのを見守るアランは皆と共にレイ博士の魔界ノートパソコンの画面を見つつガッツポーズする。
「うーん、そうできれば一番いいんですけど……あの総帥殿がお呼びしたお助けワルキューレさんひいき目に見てもあんまり強くないようなんですけど?
あの様子だと逆に返り討ちにされちゃいません?」
ミキちゃんと言う大御馳走を目の前にして見知らぬ輩に妨害され、死に物狂いで滅茶苦茶に暴れるモスキートウーマン。
その勢いに押されて反撃できず、盾での防戦一方となってしまう剣さんと近づこうものなら巻き添えを食ってしまうが故に何もできない死神モードの鎌雄。
「今さらですけど……この人間界の大気中魔力は魔界に比べると極薄。
仮に割木さんがイザベラさんの魔力をいただいて本来の戦闘フォームに戻れたとしても全力で戦えるはずがありませんわ!!」
あまりにも人間界滞在が長すぎたが故に基本的すぎる事を忘れていた魔界人達はキアラの指摘に息をのむ。
「おい、変態博士!! 俺とオヤジがミキさんを助けに行くからキンカクを起動させろ!!」
「待て、鳥魔!! ワシらが行こうものなら……敵を回復させずに弱らせるこの作戦が台無しじゃぞ!! それより守屋殿をここにお戻しするのじや、レイ!!」
「それはもっと駄目ですわ、ラビオさん!!
もしこの機会を逃したら……次の捕獲チャンスはありません事よ」
「私が直接行ければ魔界暗器で…… !!」
人間界の良き友であるミキちゃんだけを危険にさらさざるを得ない状況に歯噛みするばかりのイザベラさん。
「まあまあ、とりあえず落ち着いてくださいな皆さん!!
こんな事態も想定してボクはいろいろな準備をしておいたんです……せっかくなので最新作をお見せしましよう!!」
そう言いつつレイ博士は魔界ノートパソコンを操作する。
再度ところ変わって、都内S区某所の公園。
『きゃあっ!!』
魔力突然変異生物に剣を弾き飛ばされたものの、すぐに戦乙女らしく盾パリィで追撃を無効化する剣さん。
『つるぎ!!』
ミキちゃんの護衛として後退していた死神の鎌雄が愛しの妻を助けに行こうとしたその時だった。
『ギチイッ!!』
『ブッ!?』
突如夜闇にぬっと現れる逆三角形に触覚を持つ大きな眼の昆虫顔。
トゲ返しが幾重にもついた巨大で細いトングのような腕に一瞬で挟み掴まれ、何を考えているのかよくわからない大きな眼でじっと見つめられるモスキートウーマンは全身真っ青になり、ガタガタ震えだす。
『あっ、あれは間違いなく……魔界生物です!!』
『私たちはとにかくとして守屋さんはお逃げください!!』
「うっ、うん。わかったわ!!」
武道家のカンで敵の危険性を察知したミキちゃんが足元のカバンからつかみ取るや否や鳴り出すスマホ。
『ああ。すみませんね守屋さんに死神さん方!! 聞こえてます? レイです!!』
自宅番号からの電話をかけてきたのはレイ博士だ。
「レイ!?」
『この子は魔界ギガントマンティスの幼体でキアラ様の祖母様のペットの一匹です!!
メスで名前はマリーゴールドちゃん、人を襲わないとってもおとなしくて良い子だからご安心ください!!
今、魔界暗器でアラン様方も行きますのでご一緒に戻ってくださいませ!!』
「ミキさん!!」
「アラン君!!」
すぐさま空間に現れた光の穴から飛び出してくるアラン君。
それに続いて結界内に駆け付けたイザベラさんとキアラちゃんがマリーゴールドちゃんから解放されたモスキートウーマンを手早く縛り上げて簀巻きにしていく様を見守るミキちゃんは一気に緊張感から解放され、思わず地面にへたりこんでしまうのであった。
【FIN】
都内各所で目撃が相次ぐ複眼&口吻(こうふん)の全頭マスクを付けた変質者にしてUMA疑惑もある怪人物・モスキートウーマン。
その正体がミキちゃん・イザベラさん・キアラの血を吸って魔力突然変異を起こした蚊である事を突き止めた淫魔財閥研究職レイ・ビースト博士は大ごとになる前に捕獲すべく人間界に再来。
飢餓のあまり夜道でミキちゃんを襲おうとし、半回転裏拳で返り討ちにされた魔力突然変異生物……今、魔界捕物帳がここに始まった!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夜の都内S区某所にあるマンション、508号室。
「割木さん、出撃お願いします!! レイ博士!!」
ミキさんの緊急事態を前に魔界スマホで通話しつつ博士に指示するアラン。
「はいはい、ポチっとな!!」
『SYK032・キンカク&ギンカク(ワームホール・メイカー)』
レイ博士は人間界のGPSと連動させたマイ魔界ノートパソコンを操作し、空間接続操作特殊魔界暗器を起動。
ミキちゃんの作り出した結界内とある場所をワームホールで繋く
同時刻、都内S区某所の公園。
『ブブブブヴヴヴウ……』
魔力結界を張り終え、パパ直伝の武の構えを取って応戦の意思を示すミキちゃん。
後頭部に一撃を食らったとはいえ、このままミキちゃんの特濃魔力(血)を摂取できなければ数日ももたない餓死寸前のモスキートウーマンは一度距離を取って反撃しようとする。
『刈り』
『!?』
謎の詠唱と共に一気に消滅する内蔵魔力。
モスキートウーマンは倒れそうになる全身を気合と生存本能でどうにか立ち膝でこらえる。
『守屋さん、ご無事ですか!?』
「ええ、ありがとう……剣さん」
イザベラさんに仕える使用人としてモスキートウーマン捕獲作戦に協力することになり、レイ博士の試作型魔界暗器ワームホールでいの一番に駆け付けた割木夫妻。
緑色のマントを羽織って鎌を持った骸骨と言う本来の死神族の姿に戻った鎌雄がUMAの生命力を一気に吸いとって弱体化させている間にミキちゃんを護衛するのはその妻である戦乙女の剣(つるぎ)。
純白の鎧に全身を包み、背中に槍を背負ったまま剣と盾を構える勇壮な本来の姿にミキちゃんは少し見惚れてしまう。
『ブエェェェン!!』
「うおおおおお! !」
鎌雄に生命力を奪われてもなおミキちゃんを狙って襲い掛かるモスキートウーマン。
戦乙女の黒鳥翼を顕現させ、浮遊走行で一気に距離を詰めた剣さんはそれを迎撃し、丁々発止の切り結びに持ち込む。
「よしっ、あとは……割木さんにヤツを取り押さえてもらえれば!!」
ミキちゃんに預けておいた魔界暗器で結界生成してモスキートウーマンを閉じ込め、魔力吸収しようものなら生身の生物として逆にダメージを受けてしまう死神族の戦乙女に一騎打ちさせてダメージ蓄積させて捕獲する。
たまたま襲われたのがミキちゃんだったのはとにかく、姉さんの作戦が見事に成功したのを見守るアランは皆と共にレイ博士の魔界ノートパソコンの画面を見つつガッツポーズする。
「うーん、そうできれば一番いいんですけど……あの総帥殿がお呼びしたお助けワルキューレさんひいき目に見てもあんまり強くないようなんですけど?
あの様子だと逆に返り討ちにされちゃいません?」
ミキちゃんと言う大御馳走を目の前にして見知らぬ輩に妨害され、死に物狂いで滅茶苦茶に暴れるモスキートウーマン。
その勢いに押されて反撃できず、盾での防戦一方となってしまう剣さんと近づこうものなら巻き添えを食ってしまうが故に何もできない死神モードの鎌雄。
「今さらですけど……この人間界の大気中魔力は魔界に比べると極薄。
仮に割木さんがイザベラさんの魔力をいただいて本来の戦闘フォームに戻れたとしても全力で戦えるはずがありませんわ!!」
あまりにも人間界滞在が長すぎたが故に基本的すぎる事を忘れていた魔界人達はキアラの指摘に息をのむ。
「おい、変態博士!! 俺とオヤジがミキさんを助けに行くからキンカクを起動させろ!!」
「待て、鳥魔!! ワシらが行こうものなら……敵を回復させずに弱らせるこの作戦が台無しじゃぞ!! それより守屋殿をここにお戻しするのじや、レイ!!」
「それはもっと駄目ですわ、ラビオさん!!
もしこの機会を逃したら……次の捕獲チャンスはありません事よ」
「私が直接行ければ魔界暗器で…… !!」
人間界の良き友であるミキちゃんだけを危険にさらさざるを得ない状況に歯噛みするばかりのイザベラさん。
「まあまあ、とりあえず落ち着いてくださいな皆さん!!
こんな事態も想定してボクはいろいろな準備をしておいたんです……せっかくなので最新作をお見せしましよう!!」
そう言いつつレイ博士は魔界ノートパソコンを操作する。
再度ところ変わって、都内S区某所の公園。
『きゃあっ!!』
魔力突然変異生物に剣を弾き飛ばされたものの、すぐに戦乙女らしく盾パリィで追撃を無効化する剣さん。
『つるぎ!!』
ミキちゃんの護衛として後退していた死神の鎌雄が愛しの妻を助けに行こうとしたその時だった。
『ギチイッ!!』
『ブッ!?』
突如夜闇にぬっと現れる逆三角形に触覚を持つ大きな眼の昆虫顔。
トゲ返しが幾重にもついた巨大で細いトングのような腕に一瞬で挟み掴まれ、何を考えているのかよくわからない大きな眼でじっと見つめられるモスキートウーマンは全身真っ青になり、ガタガタ震えだす。
『あっ、あれは間違いなく……魔界生物です!!』
『私たちはとにかくとして守屋さんはお逃げください!!』
「うっ、うん。わかったわ!!」
武道家のカンで敵の危険性を察知したミキちゃんが足元のカバンからつかみ取るや否や鳴り出すスマホ。
『ああ。すみませんね守屋さんに死神さん方!! 聞こえてます? レイです!!』
自宅番号からの電話をかけてきたのはレイ博士だ。
「レイ!?」
『この子は魔界ギガントマンティスの幼体でキアラ様の祖母様のペットの一匹です!!
メスで名前はマリーゴールドちゃん、人を襲わないとってもおとなしくて良い子だからご安心ください!!
今、魔界暗器でアラン様方も行きますのでご一緒に戻ってくださいませ!!』
「ミキさん!!」
「アラン君!!」
すぐさま空間に現れた光の穴から飛び出してくるアラン君。
それに続いて結界内に駆け付けたイザベラさんとキアラちゃんがマリーゴールドちゃんから解放されたモスキートウーマンを手早く縛り上げて簀巻きにしていく様を見守るミキちゃんは一気に緊張感から解放され、思わず地面にへたりこんでしまうのであった。
【FIN】
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