ミキちゃんちのインキュバス 2 !!

千両文士

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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第96話)】「ダンシング残暑!! ハーフサキュバス・キアラのサンバカーニバル@エリザベス・エイジ」

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 週末日曜日の都内T区、浅草の目抜き通り。
「何十年ぶりかでこんな目近に見たが……すごい音に人じやのう!!」
 本場のダンサーも多数出演する浅草の夏を締める風物詩となった浅草サンバカーニバル。
 背中に孔雀の如く羽を付け、ゴージャスなTバックビキニで舞い踊るサンバダンサー美女のセクシーナイスバディに一眼レフを構え、シャッターを無限連打するカメラ小僧達とお祭り騒ぎな往来を見回しつつ咳くのは隣S区で『甘味喫茶すえひろ』を営む翁・茶摘正太郎。
「そうですね、おじいさん……タク、ありがとうねわざわざこんな特等席に呼んでくれて」
「いや、どうしてもキアラがおじい様とお母様にもって言うから……こっちこそ来てくれてありがとう、母さん。」
 それに応じるのはサンバカーニバルの目玉として出場招待された衣装制作会社ヴィクトリア・エイジの関係者席に座る茶摘卓雄とその母、奈加子の母子である。
「タク、キアラちゃんはまだかね?」
「じいちゃん、落ち着け。キアラが出るエリザベス・エイジさんの山車はもうちょい後だから……」
 公式パンフレットで出場チームの出番を確認した茶摘はスマホで創作参考資料写真を撮りつつワクワクテカテカな祖父に答える。

 7月某日、都内T区にあるホテル1階のティーラウンジ。
「本日はありがとうございます、茶摘様にアンジェラ様」
 スカートスーツ姿でその席に座る黒髪おかっぱ頭の女性は衣装制作・販売及びファッションモデル派遣会社ヴィク卜サナ・エイジ社員、節原 奈加子(ふしはら なかこ)。
「こちらこそ先日はありがとうございました 」
 そんなナカコと同席し、頭を下げるのは白ポロシャツにズボン姿の株式会社サウザンド人事部社員・茶摘卓雄。
「お久しぶりですわ、ナカコさん!!」
 そして茶摘にホームレス転落寸前のところを救われ、事実上同棲中の元劇団員にして日本人とインド人のハーフ(と言うことになっている)金髪&褐色肌な天然黒ギャル、キアラ・アンジェラ(22)だ。
「実は、この度ヴィクトリア・エイジ社としてアンジェラ様にご相談したい事があります」
「ご相談ですの?」
「ええ、まず2か月後になりますが……9月15日のご予定はお空きですか?」
「私は別に何もありませんわ。茶摘さんは?」
「こっちもとくに……ですけど?」
 質問の意図が分からず、オウム返ししてしまう茶摘&キアラ。
「これは近日公開なのでまだご内密にお願いしたいのですが 我が株式会社ヴィクトリア・エイジは今年開催の浅草サンバカーニバルに企業枠ゲストとして招待されております」
「ゲホッ、ゲホゲホッ!!」
「茶摘さん、お水!!」
 豪快なティー噴射と共に『なっ、なんだってー!!』 と叫びそうになるのを必死にこらえてせき込む茶摘に水を差し出すキアラ。
「驚かせてしまい申し訳ありません。それで仔細は言えませんが……わが社としてはエリザベス女史と共に所属のモデルさん達にもサンバダンサーとして参加をしてもらう企画でおります」
「ブホォッ!?」
「キアラ!? 水!!」
 エリザベス女史の正体を知る者として彼女(?)がセクシー&ド派手なサンバ衣装(タンガ)を着用し腰やTバックなお尻をクネクネさせる様を想像してしまったキアラは気管に入ってしまった紅茶にゲホゲホしつつ茶摘が差し出して来たお冷を飲む。
「ええと、お2人とも大丈夫です……か? お話続けてもよろしいでしょうか?」
 自分が何か一言発するたびに豪快なリアクションを見せる2人を前に戸惑う奈加子。
「ごめんなさい エリザベス女史のフアンとしてあまりにもビックリしてしまい」
「私もですわ、お見苦しいモノばかりお見せしてしまい申し訳ありません」
 2人は平静を装いつつ話を聞く態勢に戻る。
「それで、私共ヴィクトリア・エイジ社としてはアンジェラ様にサンバダンサーチームとして御参加していただきたく思っておりまして いかがでしょうか?」
 わざわざお高いホテルラウンジに呼び出し、会社機密情報を部外者である自分達に明かす時点である程度予測はしていたが、キアラをスカウトしたいと言うまさかの大胆な申し出に驚くばかりの茶摘。
「私は構いませんけど……茶摘さんはどう思います?」
 舌なめずりをしながら女淫魔そのものの艶やかなキラキラ色目で見つめてくるキアラ。
「キアラが出演OKなら私は構いませんが……人事関係者として契約やその他もろもろ必要な件は一緒に確認させてもらいます。それでもよろしいでしょうか?」
 これは問うまでも無いな、大人の判断をした茶摘はナカコさんに向き合う
「ええ、もちろんでございます!! それは茶摘様に是非ともお願いいたしたく……今日はひとまずこちらをお渡しいたします!! そして再度ですがご確認事項の際はこちらへ!!」
 そう言いつつナカコが取り出したのは株式会社ヴィクトリア・エイジの優雅な社紋入りのクリームホワイトなクリアーフアイルと契約書一式、そして出演者向けのガイドライン冊子である。
「ありがとうございます!!」
 キアラはニコニコ笑顔でそれを受け取る。

「でも、どうしてキアラちゃんがダンサーとして登用されたのかしら?
 もしかして過去の劇団員時代に何かエリザベス社さんと御縁でもあったの?」
「あっ、ああ……ええと、それは」
 2か月前の事を思い返していた茶摘は新作写真集サイン会でトラブルを起こして事務所連行され、盃さんのMUSEの戦隊コスプレでエリザベス女史に個人的にお世話になっているとは言えない茶摘がお茶を濁そうとしたその時だった。
「タクに奈加子さん、キアラちゃんじゃぞ!!」
 このイベントの目玉にして大トリになるエリザベス・エイジ社チームの登場に大歓声を上げつつ一眼レフのシャッターに連打を喰らわせるカメラ小僧&スマホカメラの正太郎じいちゃん。
 エレガントなキラキラドレスに身を包んで馬車デザイン山車の頂上玉座に座り、優雅に微笑みながら沿道のファンに手を振るエリザベス女史とその周囲を王道サンバ衣装で舞うエリザベス・エイジ所属のモデルダンサー美女軍団。
「きゃー!! キアラちゃん可愛い、素敵!!」
「さっ、流石は女淫魔……ウツクシスギル、ウツクシスギル!!」
 バックダンサーの1人でありながら明らかに本場出身系な褐色肌に長い金髪&青い瞳のハーフ系モデル。
 人間離れしたメロンバストにくびれ腰、その天然褐色肌のコントラストとして栄える白銀のサンバ衣装……まさにイベントの大トリにふさわしいエリザベス女史のサンバチームの一員としてグラマーサキュバスボディを揺さぶって笑顔を振りまくキアラの艶やかさに魅了されてしまった茶摘は言葉を失った茶摘はスマホカメラでその光景をデジタル永久保存するのであった。

【FIN】
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