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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第82話)】「美食百合天使・シオン降臨!! 味わい尽くせ、ノコリモノの巻!!」
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週末、都内T区にあるタイガーメンマンション805号室。
『時間よ!! ニャンティ変身だにゃあん!!』
「おっ、時間か……昼の前に終わらせておこう!!」
キアラが家族行事と言う私用で天界に一時帰宅している快晴の週末。
アラビア~ンテイストなアニメテーマソングを鳴らし始めたスマホのアラームアプリ 『キャラクターおしゃべりアラーム04:ニヤンティ・ザ・ベリィ!!』 を止めた茶摘は読みかけの本を置き、ベランダで天日干しにされている自身の布団とキアラの股割れ寝袋を裏返すべく立ち上がる。
「きっ、君は……シオンちゃん!? いつの間に!?」
ベランダに出た茶摘の目に飛び込んできたのは805号室のベランダに不法侵入し、天日干しにされていたキアラの寝袋に火照った顔をうずめて一心不乱にすうすうはあはあしている女の子。
頭上の光輪をゲーミング点滅させながら背中の光翼をパタパタさせる金髪ツインテールで純白のノースリーブブラウス&ミニスカート、ニーソックスな女の子は見間違いようもなく天界神立学院中等部2年生にしてキアラの姪っ子、シオン・アンジェラだ。
「はっ、闇討ち失敗してしまったですわ!? キアラお姉さまの香しく甘美で清純な残留魔力がこの上なくたっぷりとしみ込んだ寝袋トラップで私を足止めしようとは……千年早いですのよ、下賎の者!!」
そう言いつつ光の粒子で大ぶりな抜き身の日本刀を生成していくシオン。
(シオンちゃん、声が大きい!! ひとまず話したい事があるなら家の中で、ねっ?)
週末の集合住宅で近所迷惑そのものな大仰な口上を述べ立てるシオンをしーっと黙らせた茶摘は室内に入るように促す。
「さて、天使の慈悲で最期に申し立てのチャンスをあげるわ……お前、先日はお姉さまとお楽しみのようだったようね?」
茶摘が滝れたティーバッグ紅茶を畷りつつシオンがリュックから取り出した冊子。
茶摘は読めない異世界文字で書かれたそれに掲載されているのはこの前のゴールデンウィークにアランのお姉さんと行った土井中温泉の露天風呂でタオル巻のキアラが自撮りしたと思しき写真である。
「申し立てと言われても……何をどうしろと?」
二番煎じティーバッグ紅茶を畷る茶摘。
「まあこの場に及んでしらばっくれるとは!!
どうせ変態ニンゲンなお前の事だから混浴露天風呂をお一人で楽しむお姉さまの所に押し入ってその美しきお体を隠す布を乱暴にむしり取るのみならず、ー糸まとわぬお姉さまを押し倒して屋外でケダモノのようにあんな事やこんな事……ああ、なんて汚らわしい!! 口に出すのも鳥肌が立つわ!!
お姉さまが淫魔族の血を継ぐ方とは言え天使族として赦したがたい暴挙とはこの事ですわ!!」
茶摘に対し動かぬ証拠を突きつけ、血も涙もない異端審問官を一生懸命演じようとするシオン。
[……キミ、天使だよね? 淫魔族が全てそうだかは知らないけど自分が知る淫魔族よりも思考がアレすぎじゃない?」
しかしながらその冷酷な瞳の奥に隠しきれない願望的期待感とピンク色の妄想を見出した茶摘は冷静なツッコミで否定。そのままぐうの音もでないツッコミで追い打ち論破する。
「ギルティ(有罪)」
「!?」
茶摘の反論に対し、眉間にしわをよせ両眼球をくわっと見開くシオン。
そのまま一瞬で生成した光刀を鞘から抜き放ち、抜刀一閃で茶摘を処刑しようとしたものの、その刀身はパラパラと崩れて床に散らばり、薄氷片の如く一瞬で蒸発してしまう。
「あっ……」
そのままフッと床に倒れたシオンの蒼白な表情に茶摘は慌ててスマホを手に取る。
「待って!! お姉さまやアラン様に電話しないで!! ただの魔力切れだから……何かお姉さまの魔力が染み付いた私物をくださいませ!! そうすれば治りますの!!」
「そんな急に言われても……そうだ!!」
ひとまずキアラ愛用のグラサン猫ぬいぐるみをシオンに持たせた茶摘はキッチンに向かい冷蔵庫を開ける。
「美味しいですわ!! お姉さまの温かい魔力が……体の中に充満していきますわ」
キアラがお弁当用で作りすぎたありったけのおかずタッパーの数々と共にあったかごはん3杯目をもりもり食べるシオン。
12:45と言うお昼な時間帯的に魔力切れではなくただ単にお腹がすいていただけなのでは……?
などと考えてしまう茶摘は余計な事を言わず黙ってその様を見守る。
「ふう……人間界にご滞在中のお姉さまがお作りになったノコリモノとやら、中々美味でしたことのよ」
「それは何よりでした」
茶摘はシオンに棒読み返答しつつ温かいほうじ茶を差し出す。
「まあ何という芳ばしいお茶……魔力はなくとも癒されますわあ……」
スプーンとフォークを置いて湯飲みを両手持ちするシオンはほっとした表情を浮かべる。
「下賎のモノ……いまさらですけど、もしかしてわたくし天使の身で人間にゴチになっちゃったんですの?」
いまさらのように空になったタッパーと食器の数々を見回しつつ問いかけるシオンに茶摘は黙ってうなずく。
「……おほほ、いいでしょう下賎のモノ!! 今日は下界に降りて来たわたくしの空腹……ではなく魔力を満たしてくれた功徳で不問といたしますわ!! もうお時間ですのでこれにて失礼!!」
顔を真っ赤にしつつも無理やり体裁を取り繕ったシオンは残留魔力を吸い尽くしたグラサン猫のぬいぐるみを茶摘に押し返し、慌ててリュックを掴んでベランダから飛び去っていくのであった。
【FIN】
『時間よ!! ニャンティ変身だにゃあん!!』
「おっ、時間か……昼の前に終わらせておこう!!」
キアラが家族行事と言う私用で天界に一時帰宅している快晴の週末。
アラビア~ンテイストなアニメテーマソングを鳴らし始めたスマホのアラームアプリ 『キャラクターおしゃべりアラーム04:ニヤンティ・ザ・ベリィ!!』 を止めた茶摘は読みかけの本を置き、ベランダで天日干しにされている自身の布団とキアラの股割れ寝袋を裏返すべく立ち上がる。
「きっ、君は……シオンちゃん!? いつの間に!?」
ベランダに出た茶摘の目に飛び込んできたのは805号室のベランダに不法侵入し、天日干しにされていたキアラの寝袋に火照った顔をうずめて一心不乱にすうすうはあはあしている女の子。
頭上の光輪をゲーミング点滅させながら背中の光翼をパタパタさせる金髪ツインテールで純白のノースリーブブラウス&ミニスカート、ニーソックスな女の子は見間違いようもなく天界神立学院中等部2年生にしてキアラの姪っ子、シオン・アンジェラだ。
「はっ、闇討ち失敗してしまったですわ!? キアラお姉さまの香しく甘美で清純な残留魔力がこの上なくたっぷりとしみ込んだ寝袋トラップで私を足止めしようとは……千年早いですのよ、下賎の者!!」
そう言いつつ光の粒子で大ぶりな抜き身の日本刀を生成していくシオン。
(シオンちゃん、声が大きい!! ひとまず話したい事があるなら家の中で、ねっ?)
週末の集合住宅で近所迷惑そのものな大仰な口上を述べ立てるシオンをしーっと黙らせた茶摘は室内に入るように促す。
「さて、天使の慈悲で最期に申し立てのチャンスをあげるわ……お前、先日はお姉さまとお楽しみのようだったようね?」
茶摘が滝れたティーバッグ紅茶を畷りつつシオンがリュックから取り出した冊子。
茶摘は読めない異世界文字で書かれたそれに掲載されているのはこの前のゴールデンウィークにアランのお姉さんと行った土井中温泉の露天風呂でタオル巻のキアラが自撮りしたと思しき写真である。
「申し立てと言われても……何をどうしろと?」
二番煎じティーバッグ紅茶を畷る茶摘。
「まあこの場に及んでしらばっくれるとは!!
どうせ変態ニンゲンなお前の事だから混浴露天風呂をお一人で楽しむお姉さまの所に押し入ってその美しきお体を隠す布を乱暴にむしり取るのみならず、ー糸まとわぬお姉さまを押し倒して屋外でケダモノのようにあんな事やこんな事……ああ、なんて汚らわしい!! 口に出すのも鳥肌が立つわ!!
お姉さまが淫魔族の血を継ぐ方とは言え天使族として赦したがたい暴挙とはこの事ですわ!!」
茶摘に対し動かぬ証拠を突きつけ、血も涙もない異端審問官を一生懸命演じようとするシオン。
[……キミ、天使だよね? 淫魔族が全てそうだかは知らないけど自分が知る淫魔族よりも思考がアレすぎじゃない?」
しかしながらその冷酷な瞳の奥に隠しきれない願望的期待感とピンク色の妄想を見出した茶摘は冷静なツッコミで否定。そのままぐうの音もでないツッコミで追い打ち論破する。
「ギルティ(有罪)」
「!?」
茶摘の反論に対し、眉間にしわをよせ両眼球をくわっと見開くシオン。
そのまま一瞬で生成した光刀を鞘から抜き放ち、抜刀一閃で茶摘を処刑しようとしたものの、その刀身はパラパラと崩れて床に散らばり、薄氷片の如く一瞬で蒸発してしまう。
「あっ……」
そのままフッと床に倒れたシオンの蒼白な表情に茶摘は慌ててスマホを手に取る。
「待って!! お姉さまやアラン様に電話しないで!! ただの魔力切れだから……何かお姉さまの魔力が染み付いた私物をくださいませ!! そうすれば治りますの!!」
「そんな急に言われても……そうだ!!」
ひとまずキアラ愛用のグラサン猫ぬいぐるみをシオンに持たせた茶摘はキッチンに向かい冷蔵庫を開ける。
「美味しいですわ!! お姉さまの温かい魔力が……体の中に充満していきますわ」
キアラがお弁当用で作りすぎたありったけのおかずタッパーの数々と共にあったかごはん3杯目をもりもり食べるシオン。
12:45と言うお昼な時間帯的に魔力切れではなくただ単にお腹がすいていただけなのでは……?
などと考えてしまう茶摘は余計な事を言わず黙ってその様を見守る。
「ふう……人間界にご滞在中のお姉さまがお作りになったノコリモノとやら、中々美味でしたことのよ」
「それは何よりでした」
茶摘はシオンに棒読み返答しつつ温かいほうじ茶を差し出す。
「まあ何という芳ばしいお茶……魔力はなくとも癒されますわあ……」
スプーンとフォークを置いて湯飲みを両手持ちするシオンはほっとした表情を浮かべる。
「下賎のモノ……いまさらですけど、もしかしてわたくし天使の身で人間にゴチになっちゃったんですの?」
いまさらのように空になったタッパーと食器の数々を見回しつつ問いかけるシオンに茶摘は黙ってうなずく。
「……おほほ、いいでしょう下賎のモノ!! 今日は下界に降りて来たわたくしの空腹……ではなく魔力を満たしてくれた功徳で不問といたしますわ!! もうお時間ですのでこれにて失礼!!」
顔を真っ赤にしつつも無理やり体裁を取り繕ったシオンは残留魔力を吸い尽くしたグラサン猫のぬいぐるみを茶摘に押し返し、慌ててリュックを掴んでベランダから飛び去っていくのであった。
【FIN】
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