ミキちゃんちのインキュバス 2 !!

千両文士

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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第76話)】「花見だよ、全員集合!! 春のうららの隅田川」

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 週末、快晴な都内S区とT区の間を流れる隅田川。
「美佐子さん、ようやく満開になりましたなあ……」
「ええ、おじいさん!! 花見弁当を作るなんて私も久しぶりだったけど……キアラちゃんや卓雄のお友達さん達はお気に召してくださるかしら?」
 桜が満開を迎えたその河川敷に設けられた予約制花見スペースで待ち人中なのはたまたま満開の時期がずれたおかげで偶然にも予約していた時期外れの河川敷花見スペースが活用できた茶摘の祖父・正太郎と母の加奈子である。
「飲み物も食い物も十分あるしそれは大丈夫じゃろう。ところで美佐子さん、スマホのカメラってどれだったかな?」
「はいはい、ここをこうしてああして……」
 加奈子が義父のスマホを受けとり、撮影モードに操作しようとしたその時だった。
「おじいさま、お久しぶりですわ!!」
 長い金髪を春風にたなびかせてこちらに向かってくる褐色肌でグラマーナイスバディなギャル。
 ジーンズとTシャツ上に、薄手のミニキャミソールと言う春のお出かけスタイルで女子力超UPな蓋つきお弁当バスケットを持ったきゃぴきゃぴな姿に周囲の目は釘付けになる。
「よお、じいちゃん。今日は呼んでくれてありがとな」
 その後に続く取り立てた特徴もないモブ男の中のモブ男、茶摘卓雄。
「初めまして、茶摘さんのお母様とおじい様!!」
 ロングスカートにブラウス、ハンドバッグを肩にかけた黒髪ロングヘアでボンキュッボンな美お姉さま。
「こんにちは!!」
 その後に続くズボンとTシャツ姿の金髪ショートヘアなハーフイケメン男子。
「ほお、これが人間界の花見か……実に美しいのう」
「オヤジ!!」
 ジーンズ&黒シャツ上に紺色の上着を羽織った白髪のエイジドダンディとジーンズ&黒シャツ上にアロハシャツを羽織って黒髪をワックスでツンツンに整えたグラサンワイルドイケメン2人組。
「タク、お前とキアラちゃんの交友関係は中々だな……」
 個人的な交友関係のある会社の女性上司とネットゲーム仲間だと言うハーフの弟さん、羽振りのいいヤ〇ザなご友人と言うバラエティー豊かな孫の友人層に驚くばかりの正太郎。
「なかなか?」
「あらあら、皆さんまで持ち寄っていただいてありがとうございます!! さあさあどうぞ、お座りください!!」
 加奈子は息子と彼女さんの友人4人をシート上に座るようにエスコートする。
「美味しいですね、ミキさん!!」
「ええ、とっても美味しいわ!!」
 加奈子さんが用意したお重1段目のちらし寿司を味わう守屋姉弟。
「だし巻き卵最高ですわ!!」
 2段目のだし巻き卵を味わうキアラ。
「唐揚げうまいな、茶摘さんのお母様ありがとっす!!」
「あら、ありがとうねイケメンお兄さん!!」
 唐揚げを味わう鳥魔刑事に愛想よく微笑む加奈子さん。
「おたくの紅白鰻頭は最高ですな、茶摘殿!!」
「お褒めに預かり光栄ですぞ、黒野殿!!」
 缶ビールのつまみにすえひろ名物紅白まんじゅうを堪能するラビオ刑事と意気投合する正太郎。
(こういうお花見とか懐かしいなあ……じいちゃんもかなり頑張ったんだろうなあ……)
 たまたま知り合いから譲ってもらえた時期外れの重複予約枠が満開の時期と重なったと言う祖父の言い分が程度の差はあれど事実ではない、と察しつつも賑やかな宴を見守りつつカルピスをしみじみと味わう茶摘。

 母と祖父と不仲と言うわけではないが、もしキアラと出会わなければ祖父と母との疎遠状態は変わらなかっただろうし、2人もこんな宴席を設けようとは思いもしなかっただろう。

 そしてアランとの出会いが無ければ守屋さんともこういう場を共にするはずもなく会社の上司と部下以上の個人的関係に発展する事はあり得なかった。

 桜吹雪の下で、WE B小説家茶摘は人の縁についてしみじみとそんな事を考えてしまう。

「茶摘さん、はいっ。あーん❤」
 そんな思索の最中、いつの間にか隣に来ていたキアラが笑顔で差し出していた楊枝の先のだし巻き卵に気づいた茶摘。
「んっ、あっ……あーん」
 言われるがままに口を開けた茶摘の口にキアラはニコニコ笑顔でだし巻き卵を押し込む。
「よっ、ラブラブカップル!!」
「お嬢ちゃん、いいよいいよ!!」
「春だねえ!!ヒュー!!」
「爆散しやがれ、ガッデム!!」
 金髪褐色オリエンタル美少女とモブ男のラブラブっぷりに茶摘家のスペース上のみならず周囲の花見スペース上で酒宴に興じるおっさん達から上がる歓声と拍手。
「皆様ありがとうですわ!! お礼に一曲……歌いますわ!!」
「いよっ!!」
「イエエエエイ!!」
「お聞きください瀧廉太郎作曲……花』
「はある~のうららあの♪ すみだがわ~♬」
 隅田川河川敷に美しく響き渡る茶摘家のシート上に立ち上がったキアラの美声に聞きほれる花見客達。
「のおぼり~くだありいの♬ ふなびとがあ~♩」
(ああ、今日は来て良かったな……キアラ、ありがとう)
 ダークエルフと淫魔族の血が入ったハーフとは言え天使なので当たり前だが、その美しい天使の美声に茶摘は幸せな気持ちでカルピスを味わうのであった。

【FIN】
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