ミキちゃんちのインキュバス 2 !!

千両文士

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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第61話)】「神狐とクイーン・サキュバス 大晦日2023@高天原」

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 古今東西の神々の集う天界、日本に古来より根付くアミニズムによって生まれた膨大な八百万の神々が住まう高天ケ原区画。
 そんな八百万の神々内でもトップクラスの影響力を持つのは独自のおやしろネットワークと言う情報網、人々の稲荷信仰から得られる莫大なサンクス資産力、農耕神・ウカノミタマ様を長とした高い結束力と言うを持つ上位神族・神狐族。
 そして2023年末……そんな神狐族の総本部たる白木の寝殿造りな大社殿。

「よう、シロ久しぶり!!」
「アラシこそ元気そうだな!!」
 ウカノミタマ様主催の忘年会で立食パーティーに参加していた若き神狐族のイケメン。
 ドレス姿でボンキュッボンな美グラマーガールフレンド同伴な2人は久方ぶりに会う友に挨拶する。
「お前、今年も新しい彼女か? 流石は色男だ!!(俺より先に指名ナンバー1レンタル淫魔を予約したってのはテメェだったのかよ!!)」
「ハハハ、ありがとうシロ。彼女がどうしてもっていうからさぁ…… (ナンバー1嬢を確保できた時点で俺の勝利は確定だが……コイツもそれなりにイイ嬢をレンタルしてやがるな、油断ならないぞ)」
 イケメン神狐族の2人は、にこやかに再会を楽しみつつも腹の内ではマウントを狙い合う。

 ……種族としての子孫繋栄とウカノミタマ様の目の保養のため、全体忘年会に参加する神狐族に課された『美男・美女の同伴者参加』と言う暗黙の義務。
 かつては金持ち美男美女しかいないセレブ上位神族としていかなる種族の美男美女もよりどりみどりだった神狐族も時代の変化に伴いカーストピラミッドの固定化が進行。
 神狐族が稲荷神社の神として莫大なサンクスを稼ごうともその大多数を持って行ってしまうのはウカノミタマ様やその他八百万の神々とのぶっといコネを持ち高位ポストを独占する神狐三大氏族やその他の付随勢力。
 それにより未来を担う若き神狐族は数少ない低収入ポストを争奪戦を強いられ、その椅子取リゲームに勝ったとしても彼・彼女らはこの場に参加するための同伴者としてレンタル彼女ならぬ魔界のレンタルサキュバス嬢に頼らぎるを得ないと言う現状に直面させられるのである。

「そう言えば聞いたか? 俺らの同期のドベギンコの噂」
「ああ、聞いたぜ。確かあいつが管轄する事になった神社管理者の梅干しバァさんとフォーリンラブしたとか……」
「きゃはははは!!」
 そんな2人のガールフレンドを演じる女淫魔は本当にあった笑える話に合いの手を入れる。
「いや、俺が聞いた話だとお相手は人間界でOLをやってる女淫魔さんらしいぜ」
 (女淫魔が人間界で会社員? 何それ?)
 (どんな奴かは知らないけど……私達以下は確定ね)
 2人の友人だと言うギンコなる神狐族との面識は無いが……同伴者が梅干しばあさんでもレンタルサキュバスにすらなれなかったFラン淫魔族でもマウントを取って大笑いし、お客様の虚栄心を満足させてやればいい。
 この場でレンタルサキュバス嬢として自分達がやるべき事を理解した2人は目を合わせて頷く。

「シロとアラシ!!」
「その声はギン……コ?」
 貧乏すぎてレンタルサキュバス嬢すら利用できないドベギンコが長く美しい赤髪を頭上で優雅にまとめ、美しすぎる美爆乳セクシーナイスバディを最大限にアピールさせつつもエレガントさを損なわない一流デザイナーによるオーダーメイドな真紅の肩出しドレスの女淫魔さんと共にこちらに来ると言う風景に動きが固まる4人。
「久しぶり!! ええとあなた達はシロとアラシの……?」
「シロさんのガールフレンドなベローナです……」
「同じくリカです……」
「初めまして!! 私はギンコさんとお付き合いしておりますロータスですわ!!」
 お名前はロータスさん……赤髪と言う膨大な魔力を持つ上位淫魔族にしか顕現しない身体特性に加え、一挙一動からあふれ出す優雅さと品位。
 仮にレンタルサキュバス嬢だとしても自分達など足元にも及ばない存在だ。
 同族を前に思考収束させたレンタルサキュバス嬢の2人はただただ圧倒される。
「あの、ロータスさんのお仕事は……」
「ええ、人間界で会社員をやっております」
「へぇ、そうなんですね!! 失礼ながらギンコとはどこで……」

「イザベラ様!! 参っていらしたのですか!!」
「あるじ様!!」
 そんな若き神狐6人の和気あいあい(?)とした会話の中、老神狐族に挟まれてこちらに慌てて向かってくる神装束の若い人間女性。
 普段は遠目にしかお目見えを許されない神狐族の長たる農耕神ウカノミタマ様とその左右で使えるサクラ婆とタチバナ翁を前にシロとアラシ、ギンコやその他大勢の神狐達はすぐに膝をつく。
「いらっしゃっていたのにも気づかず申し訳ございません、すぐに上座へご案内いたしますので、どうぞ……」
(イザベラって……たしか魔界の大財閥の時期総帥にしてサキュバスクイーンだよな?)
(まさか、会社員ってのは人間界の財閥関連企業での社長と言う事なのか?)
 ウカノミタマ様の反応からドベギンコの彼女の正体を推測しはじめる友人達はロータスと名乗る女淫魔さんをチラ見しつつ事態を静観する。
「ええと、ワタクシはロータスと言うレンタルサキュバス嬢でして……この姿は淫魔財閥のイザベラ様を模した物なんです。まぎらわしくて申し訳ありません」
 神狐族の長を前に何が起こっているのかわからないと言う風にきょとんとするロータス嬢。
「……しかしその赤髪はどうみても地毛ですぞ?」
「人間界のヘアカラーで染めたんです」
「そのドレスはどちらで?」
「人間界のレンタル衣装屋で借りました」
「私との面識は?」
「初めてお目にかかります、ウカノミタマ様」
 全ての問いかけに対し、嘘か本当かわからない返答で飄々と切り抜ける謎の女淫魔。
 以前淫魔財閥総帥殿と共にお会いした際の御本人の魔力反応的には類似点も多いのだが、断定できるほどではない……神狐族の長としてこの怪人物をどう扱うか決めあぐねたウカノミタマ様は必死で考える
「ギンコさん、ごめんなさいね……これ以上ここにいると騒ぎが大きくなりそうだからもう出ましょうか?」
「えっ、ええ……そうですね、ロータスさん。」
 かしずいたギンコさんを立ち上がらせた謎のレンタル嬢を自称する女淫魔さんはパーティー会場を出て行く。

【次回に続く】
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