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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第59話)】「屋根裏に潜みしモノ・・・黒猫アラン、野生開放!!(後編)」
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K県Y市内、滞洒な住宅街。
「あらぁん、あらぁん……」
「うんまうんま!!」
「いにゃいにゃ……」
「ぶにゃぉぉぉぉん、ぶにゃ」
守屋司法書士事務所に併設された居住スペース内の畳の間で超高級猫缶&めちゃうまカリカリの半々ミックスに舌鼓を打つ4匹の猫。
「おお、イザベラちゃんはうんまっ子だったのか!! 可愛いなぁ」
「うふふ、みんな美味しそうに食べててくれるのね!! おばあちゃん嬉しいわ!!」
「うふふ、アラン君ったらがっついちゃって……」
スマホで動画撮影しつつニコニコ笑顔でその光景を見守るのはここに住まう司法書士の守屋夫妻とその第二子にして一人娘の守屋美希、通称ミキちゃんである。
「ぶにゃぉ、ぶにゃぁ(わざわざ遠方から来てもらって済まないね、お前達)」
そんな能天気人間に構うことなく淫魔猫三人衆をねぎらう守屋家最強の哺乳類にして頂点に君臨する女帝・ナベシマ。
「あらん!!(いえいえ、僕達もご馳走になってます!!)」
「うにゃきぁん!!(猫の姿と味覚だからすごく美味しいですわ!!)」
「いにゃぁん!!(ミキさんとの車窓の旅、最高でしたのよ!!)」
「にゃぼん……(そうかそうか……お主らここに来た目的を忘れてはおらぬであろうな?)」
「きぁん(ええ、もちろんですわ!!)」
先日イザベラさんの使用人として登用された事で魔界警察による逮捕と強制送還を免れた死神族・割木夫妻に精製してもらった『人間に無害でネズミを寄せ付けない程度』の魔力を封じ込めた魔石。
それを持参していたキアラは舌なめずりしつつ元気に答える。
(そうかそうか、それなら結構……上手くやるんだよ、お前達)
「あらぁん!!」
「きぁん!!」
「いにゃぁん!!」
3匹の淫魔猫はナベシマ姐さんに応える。
それからしばらくして、暗い屋根裏部屋をトトトと走る一匹のネズミ。
(帰ったよ、愛しの妻)
(おかえりなさい、あなた!!)
数匹の子ネズミと共にぼろきれの塊内でじっとしていた雌ネズミは雄ネズミの生還に喜びの声を上げる。
(今、下の様子を見て来たが……あの3匹の猫は仮にここに来たとしても大丈夫だろう)
ここに突如やって来た老猫とは別の若猫達の匂いを察知し、階下の老婆猫もろとも様子を見に行っていた雄ネズミはパパの帰りを喜ぶ子ネズミ達をいい子いい子しつつ愛しの妻に答える。
(あら、そうなの?)
(ああ、あの3匹の猫はおそらく僕らのような鼠を狩るどころか見た事すらないような育ちがイイやつだ。気迫はヤバいが僕達に興味が無いババア猫はとにかく……あいつらだったら子供達でも問題なく逃げられるはずだよ)
(はぁ、よかったわ……それが聞けて私も安心だわ)
子供がお腹にいる状況で住処を追われ、野性生物のみならず様々な危険がいっぱいの流浪の旅を経て安住の地を見つけた雌ネズミは安堵の息を吐く。
(ああ、あの時は狂暴なノラ猫に追われていて逃げ込める場所がここしか無かったとは言え……あの気迫がヤバイバァさん猫のおかげで僕達の天敵もここに寄り付かない。
本当に運が良かったよ……)
(ふぅん、そうなのね)
そんなおしどり(ネズミ)夫婦の会話の最中、金縛りと共に脳内に響くサディスティックな声。
(その運の良さもここで終わりよ……)
守屋夫妻&ミキちゃんにネズミ除けマーキングと(出来れば)駆除のために屋根裏部屋に上げられた直後に魔界暗器『ステルスマント』を羽織って身を隠し、生体魔力探知で追跡していた淫魔猫のイザベラさん。
本来ならば害獣除け魔石を設置するだけだったはずの彼女は至近距離で震えるばかりの獲物を真っ赤な眼で見下ろしながら舌なめずりしてしまう。
(そうですね、イザベラさん。私も猫の姿だからか……嗜虐心と動物的残忍性がうずうずしちゃってもう我慢できませんわ)
同じく真っ赤な眼を爛々とさせながら興奮のあまり尻尾をふりふりする白い細美猫。
(あの、姉さんにキアラ……アレを早く設置して……)
猫イザベラと猫キアラは後ろで平和的解決を提案する白ソックスな短足黒猫・アランに全く耳を貸さず魔力金縛りにかかったネズミ親子にじりじりと迫る。
「にゃああああああ!!」
「しゃぁぁぁぁぁ!!」
「ちゅぅぅうううう!!」
「あらぁぁん! !」
畳の間の物置、天丼裏につながる穴から3匹の猫を侵入させてから数分後……守屋家中に響き渡る猫のすざまじい絶叫とネズミの断末魔。
そして天丼裏の穴から死に物狂いで逃げ出してきて美佐子ママの胸に飛び込む黒猫アラン。
「アランちゃん!? なにがあったの!?」
「あらん!! あらぁん!!」
胸に顔をうずめて鳴き震えるアランを落ち着かせる美佐子ママ。
「ひぃぃぃぃぃ!!」
その混乱に拍車をかけるミキちゃんパパの悲鳴。
天丼裏の穴からぼとぼとと落ちて来る血まみれで息絶えた大小様々なネズミとそれを唖えて物置に降りて来た血塗れのイザベラ猫ちゃん&キアラ猫ちゃんに3人と1匹は畳の間から逃げ出す。
再びそれからしばらくして、守屋家のリビング。
「みんな、ご苦労様!! はい、ご褒美ですよぉ!!」
「いにやあ!!」
「きぁん! !」
「ぶにやお!!」
「あらぁん! !」
守屋家に住み着いた天丼裏のネズミを退治した3匹の淫魔猫。
自分達が(事後処理として)ビニール袋に入れてあげたネズミの死骸をミキちゃんパパが処分しに行っている間、汚れた体をお風呂で綺麗にしてもらえた3匹。
さっばりした淫魔猫達はナベシマ姐さんと共に砂糖入りのミルクとペロペロおやつのごほうびで勝利の宴を堪能する。
(お前達、よくやったね……流石はアタシが見込んだだけはあるインマ達だ)
(いえいえ、私も楽しかったですわ!!)
(アランもグッジョブよ。おそらくこれで……この家にネズミが来ることは無いでしょう)
イザベラさんは自身がネズミを処している間、割木夫妻から預かっていた害獣除けの魔石を天丼裏に残してきたアランを褒める。
(いえいえ、姉さんとキアラこそお疲れ様です!!)
真っ先に逃げ出したにも関わらず、任侠姐御なナベシマさんと実の姉に褒められて上機嫌なアランは甘いミルクをぴちゃぴちゃと味わうのであった。
【FIN】
「あらぁん、あらぁん……」
「うんまうんま!!」
「いにゃいにゃ……」
「ぶにゃぉぉぉぉん、ぶにゃ」
守屋司法書士事務所に併設された居住スペース内の畳の間で超高級猫缶&めちゃうまカリカリの半々ミックスに舌鼓を打つ4匹の猫。
「おお、イザベラちゃんはうんまっ子だったのか!! 可愛いなぁ」
「うふふ、みんな美味しそうに食べててくれるのね!! おばあちゃん嬉しいわ!!」
「うふふ、アラン君ったらがっついちゃって……」
スマホで動画撮影しつつニコニコ笑顔でその光景を見守るのはここに住まう司法書士の守屋夫妻とその第二子にして一人娘の守屋美希、通称ミキちゃんである。
「ぶにゃぉ、ぶにゃぁ(わざわざ遠方から来てもらって済まないね、お前達)」
そんな能天気人間に構うことなく淫魔猫三人衆をねぎらう守屋家最強の哺乳類にして頂点に君臨する女帝・ナベシマ。
「あらん!!(いえいえ、僕達もご馳走になってます!!)」
「うにゃきぁん!!(猫の姿と味覚だからすごく美味しいですわ!!)」
「いにゃぁん!!(ミキさんとの車窓の旅、最高でしたのよ!!)」
「にゃぼん……(そうかそうか……お主らここに来た目的を忘れてはおらぬであろうな?)」
「きぁん(ええ、もちろんですわ!!)」
先日イザベラさんの使用人として登用された事で魔界警察による逮捕と強制送還を免れた死神族・割木夫妻に精製してもらった『人間に無害でネズミを寄せ付けない程度』の魔力を封じ込めた魔石。
それを持参していたキアラは舌なめずりしつつ元気に答える。
(そうかそうか、それなら結構……上手くやるんだよ、お前達)
「あらぁん!!」
「きぁん!!」
「いにゃぁん!!」
3匹の淫魔猫はナベシマ姐さんに応える。
それからしばらくして、暗い屋根裏部屋をトトトと走る一匹のネズミ。
(帰ったよ、愛しの妻)
(おかえりなさい、あなた!!)
数匹の子ネズミと共にぼろきれの塊内でじっとしていた雌ネズミは雄ネズミの生還に喜びの声を上げる。
(今、下の様子を見て来たが……あの3匹の猫は仮にここに来たとしても大丈夫だろう)
ここに突如やって来た老猫とは別の若猫達の匂いを察知し、階下の老婆猫もろとも様子を見に行っていた雄ネズミはパパの帰りを喜ぶ子ネズミ達をいい子いい子しつつ愛しの妻に答える。
(あら、そうなの?)
(ああ、あの3匹の猫はおそらく僕らのような鼠を狩るどころか見た事すらないような育ちがイイやつだ。気迫はヤバいが僕達に興味が無いババア猫はとにかく……あいつらだったら子供達でも問題なく逃げられるはずだよ)
(はぁ、よかったわ……それが聞けて私も安心だわ)
子供がお腹にいる状況で住処を追われ、野性生物のみならず様々な危険がいっぱいの流浪の旅を経て安住の地を見つけた雌ネズミは安堵の息を吐く。
(ああ、あの時は狂暴なノラ猫に追われていて逃げ込める場所がここしか無かったとは言え……あの気迫がヤバイバァさん猫のおかげで僕達の天敵もここに寄り付かない。
本当に運が良かったよ……)
(ふぅん、そうなのね)
そんなおしどり(ネズミ)夫婦の会話の最中、金縛りと共に脳内に響くサディスティックな声。
(その運の良さもここで終わりよ……)
守屋夫妻&ミキちゃんにネズミ除けマーキングと(出来れば)駆除のために屋根裏部屋に上げられた直後に魔界暗器『ステルスマント』を羽織って身を隠し、生体魔力探知で追跡していた淫魔猫のイザベラさん。
本来ならば害獣除け魔石を設置するだけだったはずの彼女は至近距離で震えるばかりの獲物を真っ赤な眼で見下ろしながら舌なめずりしてしまう。
(そうですね、イザベラさん。私も猫の姿だからか……嗜虐心と動物的残忍性がうずうずしちゃってもう我慢できませんわ)
同じく真っ赤な眼を爛々とさせながら興奮のあまり尻尾をふりふりする白い細美猫。
(あの、姉さんにキアラ……アレを早く設置して……)
猫イザベラと猫キアラは後ろで平和的解決を提案する白ソックスな短足黒猫・アランに全く耳を貸さず魔力金縛りにかかったネズミ親子にじりじりと迫る。
「にゃああああああ!!」
「しゃぁぁぁぁぁ!!」
「ちゅぅぅうううう!!」
「あらぁぁん! !」
畳の間の物置、天丼裏につながる穴から3匹の猫を侵入させてから数分後……守屋家中に響き渡る猫のすざまじい絶叫とネズミの断末魔。
そして天丼裏の穴から死に物狂いで逃げ出してきて美佐子ママの胸に飛び込む黒猫アラン。
「アランちゃん!? なにがあったの!?」
「あらん!! あらぁん!!」
胸に顔をうずめて鳴き震えるアランを落ち着かせる美佐子ママ。
「ひぃぃぃぃぃ!!」
その混乱に拍車をかけるミキちゃんパパの悲鳴。
天丼裏の穴からぼとぼとと落ちて来る血まみれで息絶えた大小様々なネズミとそれを唖えて物置に降りて来た血塗れのイザベラ猫ちゃん&キアラ猫ちゃんに3人と1匹は畳の間から逃げ出す。
再びそれからしばらくして、守屋家のリビング。
「みんな、ご苦労様!! はい、ご褒美ですよぉ!!」
「いにやあ!!」
「きぁん! !」
「ぶにやお!!」
「あらぁん! !」
守屋家に住み着いた天丼裏のネズミを退治した3匹の淫魔猫。
自分達が(事後処理として)ビニール袋に入れてあげたネズミの死骸をミキちゃんパパが処分しに行っている間、汚れた体をお風呂で綺麗にしてもらえた3匹。
さっばりした淫魔猫達はナベシマ姐さんと共に砂糖入りのミルクとペロペロおやつのごほうびで勝利の宴を堪能する。
(お前達、よくやったね……流石はアタシが見込んだだけはあるインマ達だ)
(いえいえ、私も楽しかったですわ!!)
(アランもグッジョブよ。おそらくこれで……この家にネズミが来ることは無いでしょう)
イザベラさんは自身がネズミを処している間、割木夫妻から預かっていた害獣除けの魔石を天丼裏に残してきたアランを褒める。
(いえいえ、姉さんとキアラこそお疲れ様です!!)
真っ先に逃げ出したにも関わらず、任侠姐御なナベシマさんと実の姉に褒められて上機嫌なアランは甘いミルクをぴちゃぴちゃと味わうのであった。
【FIN】
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