ミキちゃんちのインキュバス 2 !!

千両文士

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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第52話)】「リトル淫魔のハロウィン!! 白百合の乙女、ヴァルキューレ!?」

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 都内T区にあるタイガーメンマンション805号室、金曜日の夜。
「茶摘さん、今週末はご予定はありますの?」
 夕食後、茶摘と共にジョイステーション5で遊んでいた褐色肌に金髪、ボンキュッボンなハ―フサキュバスのキアラは間う。
「週末? 特にないかな……」
「ならちょうどいいですわ!! 私、茶摘さんに保護者として一緒に来て欲しいイベントがありますのよ!!」
 キアラはゲームを一時停止させ、近くに置いてあったチラシを取る。
「なになに……『S区中央商店街 ハロウィンキッズイベント!! 仮装してお父さんお母さんと来てくれたみんなにはお菓子をプレゼント!! 楽しいゲームも盛りだくさん! あの人気キャラクターも来るよ!!』」
 ネット上のフリー素材で作られたであろうチラシを茶摘は一読する。
「キアラ、それは構わないけど……これはキアラには無理なのでは?」
「無理ですかねぇ?」
「うん、キアラはどう見ても大人だし……そもそも商店街の人とも顔なじみなわけだからなぁ」
「あらまあ女淫魔の私に対して大人のレディーだなんて……お口がお上手ですわね、茶摘さん!! うふふ!!」
 あかん、色々な意味で食われる。
 ぺたん座りのまま下半身をくねらせ、メロンバスト寄せ上げアピールしつつ顔を近づけてくるキアラが自分をハニートラップで篭絡せんと狙っている事を完全に忘れていた茶摘の脳内で絶望と共に走馬燈が走る。
「でも大丈夫ですのよ!! 私にはこの手がありますのよ、変、身!!」
 そのまま立ち上がったキアラはポムンッ!!と言う軽い音と共に成人女性サイズからみるみると縮小して若返りはじめ、身長1メートルと少し辺りで縮小を止める。
「これなら大丈夫ですわ!!」
 ぶかぶかの服にくるまれて笑う小さな幼児キアラに茶摘は目を白黒させる。

 それから数日後……ハロウィンキッズイベントで賑わうS区中央商店街。
『さあ、グラサン体操いっくよー!!』
「わぁぁぁぁい!!」
 イベントステージに立つ人気キャラクター・グラサン猫と司会のお姉さん。
 もこもこな着ぐるみでよちよちと動くビッグWサングラスの猫キャラクターと司会のお姉さんと共にトリックオアトリートな子供達は元気いっぱいに踊り出す。

「へぇ、そうだったのね……キアラちゃんらしいわ」
 黒いとんがり帽子に黒ロングワンピースにブーツ。そして首と肩に紫色のふわふわショールマフラーと言う魔女コスプレで茶摘と共にベンチに座るグラマー美女。
 株式会社サウザンド人事部社員・茶摘の上司にして採用担当者でもある守屋美希・通称ミキちゃんは他の子供達と共にイベントを楽しむちっちゃな幼児キアラ&アランを見守りつつ相槌を打つ。
「いえ、こちらこそありがとうございます!!」
 ボンキュッボンな美グラマーボデイラインをみせつけるワンピースを主体としたこの魔女衣装はキアラが昨年のハロウィンで着用した物であるとわかりつつも、いつもの会社スーツとのギャップに茶摘はドキドキしてしまう

『さあ、ちびっ子のみんな!!グラサンくんと一緒のチェキタイムだよ!! パパやママも一緒に並んでね!!』
「わぁい!!」
 S区中央商店街関係者として司会を務める桜お姉さんの声に大歓声を上げて周りのベンチで見ている親御さん達と手をつないで並ぶ可愛い仮装の子供達。
「パパ、こっちよぉ!!」
 そんな列にニチアサプリンセス魔法少女の衣装で並んだ幼児キアラは茶摘に手を振る。
「パパァ!?」
「茶摘さん、荷物は大丈夫だから……アラン君はまだ後ろみたいだし行っていいわよ」
 不意に茶摘を襲った『明らかに血のつながりが無い金髪褐色肌の幼女に公衆の面前でパパと呼ばせる』ロリコン認定不可避展開。
 そんなな人生終了エクストリームチャレンジ展開に全く動じないオトナな淑女・ミキちゃんのおおらかさに感謝しつつ茶摘はニコニコ笑う幼児キアラの所へ向かう。
 (さて、アラン君はまだみたいね……茶摘さんが戻ったら交代しましょ!!)
 金髪オールバックヴァンパイアな恰好でグラサン猫との撮影を待つ幼児アランを確認し、茶摘とキアラが撮影を終えて戻るのを待っていたその時、隣に誰かが座る。
「あの、失礼ながらお聞きしますけど…… もしかしてわんこそば大会の守屋さんですか?」
 仮装にしては本格的すぎる白銀のフレアスカートメイル姿で長い銀髪の若い女性は青い瞳でミキちゃんをじっと見つめる。
「ええ、そうですけど…… ?」
「うわぁ、お会い出来て嬉しいです!! 私、桜さん達の知り合いでアマチュアコスプレイヤーのヴァルキリーって言うんです!! 魔女衣装、本当にお似合いですね!!」
「あっ、ありがとう。ヴァルキリーさん」
 初対面とは思えない程ぐいぐい来る若い女性に嫌な予感がしたミキちゃんは立ち上がって離れようとする。
『あら、もうお行きになりますの?』
 突如ミキちゃんを襲ったふわふわぼんやりする感覚。
 ロイヤルガストでイザベラさんに人魔転生契約させられかけた時のそれそのものにミキちゃんは思考能力を失い始め、声も出せず抵抗も出来ぬまま引き寄せるように若い銀髪女性に上半身を抱きしめられてしまう。
『いただきますよ……』
(あっ、やめて。私はそう言う趣味は……)
 そのままほんのりと染まった顔をゆっくりとミキちゃんの顔に近づけて来る銀髪女性。
 そしてその真赤な唇を……

「守屋さん、お疲れなのかね?」
 着物とズボン上に綿入りのはんてんを着てぶかぶか黒魔女帽子を被ったおもちゃ屋オババの声で我に返ったミキちゃん。
「おっ、オババさん!?」
 荷物の番をしつついつのまにかベンチでうとうとしていたミキちゃんは茶摘とキアラ&アランの荷物の無事を確かめる。
「ほら、このスマホあんたのだろ? こいつはアタシからの『とりっくおあとりぃと』さ、付けときな」
 そういいつつ魔女オババが地面から拾い上げたミキちゃんのスマホには大芭神社謹製のミニお守りストラップが付けられている。
「はぁ、ありがとうございます……」
「気にしなさんな、キアラちゃんと茶摘はもうちょいで戻るからねぇ。可愛いアラン君と映ってあげなされよ ふぇふぇふぇ……」
 ネギと豆腐、肉が入ったマイバッグを持ったまま去って行くオババ。
 ミキちゃんは隣に誰もいないベンチを触って確かめつつ、茶摘&キアラが撮影される様を見守るのであった。

【完】
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