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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第50話)】「淫魔アラン、錬金する!? チンピラ魔界刑事@強欲の黄金郷!!」
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都内S区某所にあるマンション
「おっはよ、守屋さん!!」
「おはようございます、烏魔さん!!」
「この前の海、良かったねぇ!!」
ここの508号室に住まう会社員女性、守屋美紀・通称ミキちゃんを送り出したあと、朝のゴミ出し中だったアランはいつになくハイテンションな烏魔刑事に答える。
「そういやアラン君はこの後ヒマ?」
「そうですね、午後の買い物までは空いてますよ」
「ちょうどいいや!! 実は俺ちゃんこの前ついに魔界刑事としてのお仕事で給料が入ったのよ!! それで元々結構な額のコレを『錬金術』でバイバインにしようと思っててさぁ……どう、アラン君も一緒に来ない?」
「錬金術ですか!? 魔力と言う概念の存在しないこの人間界でその手の技術は物理化学法則的に不可能なはずですけど……」
烏魔刑事の言葉に戸惑うばかりのアラン。
「か一っ、これだからヴォンヴォンってえのは!! 今から海千山千のお兄さんが人間界文化調査としてイイ場所に連れてってあげるから何も言わずについて来なさい!!」
「????」
よくわからないがその錬金術と言うのは人間界文化調査にも関わるらしい。
魔界暗器ステルスマントを羽織って黒鳥翼を出す烏魔に倣ってアランも同じく飛翔体勢に入る。
……それからしばらくして、都内T区某所。
(あの、ここって……本当にカジノなんですか?)
飛翔移動中に目的地の大まかな情報を聞き、かつて父と視察した上級魔族向けの魔界王立カジノをイメージしていたアラン。
しかしそこにあるのはトランプやサイコロ、ルーレット等のグーム台ではない狭い通路に置かれた大量のうるさいばかりのビカビカな機械。
その前に座っているのは洗練されて品位あるディーラーや美しく着飾ったセレブ上級魔族、甘美なドリンクを運ぶセクシーバニー女淫魔とは対極的なしかめっ面で薄汚れた衣服のおっさんやおばさん達だ。
(おいおい、アランさん……俺、そういう趣味はないから。そっち系のが寄ってきても困るし離れてくれねぇかな?)
(あっ、ごめんなさい!! つい……)
袖を掴んでキュッと身を寄せて来るアランの耳元でささやく烏魔刑事。
離れたその時、アランの目に入ったのは茶摘に借りて読んだ漫画『凜!! 漢魂』のネオンロゴと同作内のキャラクターが動き回る映像モニター入りの機械だ。
「あの、烏魔さん。これって漢魂ですよね?」
「おお、アラン君はこれがいいと申すか!! じゃ、さっそく座って!!」
アランを機械前の椅子に無理やり座らせる烏魔。
「おお、男魂のキャラが生き生きと動いていいアニメーションですねぇ……で、錬金術っていうのはこれを見る事なんですか?」
「だーかーらぁ……そんなんで金がバイバインできるなら俺がやるわっ!!
まずは俺がお手本を見せてあげるからそこで見てなさいっ!!」
そう言いつつ烏魔はアランをどかして台の前に座る。
(※ここから先数行は賭博・バイオレンス等のコンプライアンスに関わる描写がありましたが、作者判断により自主規制削除いたしましたのでご了承ください)
「へぇ、こうやってこうやって……ピッピッピッっと!!」
SD化漢魂キャラクターロゴと共に回転するスロット数字。
テレビゲームとして楽しいか楽しくないのかはよくわからないが大好きな漫画のキャラとアニメーション映像が見れるだけで大満足なアランはそれなりに楽しむ。
「おっ、いいじゃんいいじゃん!! 流石はヴォンヴォン様だねぇ、いい出玉っぷりだ!!」
そんな彼の下でプラスチック箱を持ち、排出口から出てくる銀色の玉を受け止め続ける烏魔は大満足の笑みを浮かべている。
「烏魔……いつまでも帰ってこないと思っていたらこんな所にいたのか?」
「おっ、オヤジ!?」
額に青筋を浮かべ、口をひきつらせた魔界刑事ラビオは烏魔を睨む。
「ラビオさん、どうしてここに?」
「アラン殿、お話がありますのでご一緒にカフェーでもいかがですかな……烏魔、出たものはしょうがない。さっさと景品に交換して来い、わかったな?」
「いっ、イエス!! オヤジ」
烏魔は銀色の弾で満たされたプラボックスを持ち上げ、店の奥に向かって行く。
「……と、いうわけでな。あのような場所は本来貴方様のような上位魔族が出入りするような場所ではございませぬ」
あの後、ラビオ刑事と共に近くのロイヤルガストに入った烏魔刑事&アラン。
「そっ、そうだったんですね……ごめんなさい、ラビオさん」
烏魔に誘われたとはいえ、セレブ向け魔界王立カジノとは全く違う魔界のゴロツキ向けの賭場のような場所にいた事を知ったアランは素直に謝る。
「それは構いませぬぞ、アラン殿。わかっていただければよいのじゃ。
……さて、烏魔。今回の件は上にきちんと報告しておくからな。クビにはせぬよう口利きしてやるが……ただではすまんと思え」
「わかりました、オヤジ殿……」
獲得した大量の景品を没収され、おしおき確定となった烏魔刑事。
アランは水のコップ片手にしょんぼりとする彼を少し可哀そうだとは思ったが、余計な事は言わない方がよさそうだと判断するのであった。
【FIN】
「おっはよ、守屋さん!!」
「おはようございます、烏魔さん!!」
「この前の海、良かったねぇ!!」
ここの508号室に住まう会社員女性、守屋美紀・通称ミキちゃんを送り出したあと、朝のゴミ出し中だったアランはいつになくハイテンションな烏魔刑事に答える。
「そういやアラン君はこの後ヒマ?」
「そうですね、午後の買い物までは空いてますよ」
「ちょうどいいや!! 実は俺ちゃんこの前ついに魔界刑事としてのお仕事で給料が入ったのよ!! それで元々結構な額のコレを『錬金術』でバイバインにしようと思っててさぁ……どう、アラン君も一緒に来ない?」
「錬金術ですか!? 魔力と言う概念の存在しないこの人間界でその手の技術は物理化学法則的に不可能なはずですけど……」
烏魔刑事の言葉に戸惑うばかりのアラン。
「か一っ、これだからヴォンヴォンってえのは!! 今から海千山千のお兄さんが人間界文化調査としてイイ場所に連れてってあげるから何も言わずについて来なさい!!」
「????」
よくわからないがその錬金術と言うのは人間界文化調査にも関わるらしい。
魔界暗器ステルスマントを羽織って黒鳥翼を出す烏魔に倣ってアランも同じく飛翔体勢に入る。
……それからしばらくして、都内T区某所。
(あの、ここって……本当にカジノなんですか?)
飛翔移動中に目的地の大まかな情報を聞き、かつて父と視察した上級魔族向けの魔界王立カジノをイメージしていたアラン。
しかしそこにあるのはトランプやサイコロ、ルーレット等のグーム台ではない狭い通路に置かれた大量のうるさいばかりのビカビカな機械。
その前に座っているのは洗練されて品位あるディーラーや美しく着飾ったセレブ上級魔族、甘美なドリンクを運ぶセクシーバニー女淫魔とは対極的なしかめっ面で薄汚れた衣服のおっさんやおばさん達だ。
(おいおい、アランさん……俺、そういう趣味はないから。そっち系のが寄ってきても困るし離れてくれねぇかな?)
(あっ、ごめんなさい!! つい……)
袖を掴んでキュッと身を寄せて来るアランの耳元でささやく烏魔刑事。
離れたその時、アランの目に入ったのは茶摘に借りて読んだ漫画『凜!! 漢魂』のネオンロゴと同作内のキャラクターが動き回る映像モニター入りの機械だ。
「あの、烏魔さん。これって漢魂ですよね?」
「おお、アラン君はこれがいいと申すか!! じゃ、さっそく座って!!」
アランを機械前の椅子に無理やり座らせる烏魔。
「おお、男魂のキャラが生き生きと動いていいアニメーションですねぇ……で、錬金術っていうのはこれを見る事なんですか?」
「だーかーらぁ……そんなんで金がバイバインできるなら俺がやるわっ!!
まずは俺がお手本を見せてあげるからそこで見てなさいっ!!」
そう言いつつ烏魔はアランをどかして台の前に座る。
(※ここから先数行は賭博・バイオレンス等のコンプライアンスに関わる描写がありましたが、作者判断により自主規制削除いたしましたのでご了承ください)
「へぇ、こうやってこうやって……ピッピッピッっと!!」
SD化漢魂キャラクターロゴと共に回転するスロット数字。
テレビゲームとして楽しいか楽しくないのかはよくわからないが大好きな漫画のキャラとアニメーション映像が見れるだけで大満足なアランはそれなりに楽しむ。
「おっ、いいじゃんいいじゃん!! 流石はヴォンヴォン様だねぇ、いい出玉っぷりだ!!」
そんな彼の下でプラスチック箱を持ち、排出口から出てくる銀色の玉を受け止め続ける烏魔は大満足の笑みを浮かべている。
「烏魔……いつまでも帰ってこないと思っていたらこんな所にいたのか?」
「おっ、オヤジ!?」
額に青筋を浮かべ、口をひきつらせた魔界刑事ラビオは烏魔を睨む。
「ラビオさん、どうしてここに?」
「アラン殿、お話がありますのでご一緒にカフェーでもいかがですかな……烏魔、出たものはしょうがない。さっさと景品に交換して来い、わかったな?」
「いっ、イエス!! オヤジ」
烏魔は銀色の弾で満たされたプラボックスを持ち上げ、店の奥に向かって行く。
「……と、いうわけでな。あのような場所は本来貴方様のような上位魔族が出入りするような場所ではございませぬ」
あの後、ラビオ刑事と共に近くのロイヤルガストに入った烏魔刑事&アラン。
「そっ、そうだったんですね……ごめんなさい、ラビオさん」
烏魔に誘われたとはいえ、セレブ向け魔界王立カジノとは全く違う魔界のゴロツキ向けの賭場のような場所にいた事を知ったアランは素直に謝る。
「それは構いませぬぞ、アラン殿。わかっていただければよいのじゃ。
……さて、烏魔。今回の件は上にきちんと報告しておくからな。クビにはせぬよう口利きしてやるが……ただではすまんと思え」
「わかりました、オヤジ殿……」
獲得した大量の景品を没収され、おしおき確定となった烏魔刑事。
アランは水のコップ片手にしょんぼりとする彼を少し可哀そうだとは思ったが、余計な事は言わない方がよさそうだと判断するのであった。
【FIN】
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