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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第30話)】「まんじゅう〇〇〇!? 激昂天使シオン・アンジェラ強襲!」
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都内T区にあるタイガーメンマンション805号室。
「今日も平和だなぁ……」
同居人の女淫魔キアラが先日の浅草土産をご実家におすそ分けすべく天界に一時帰省中の週末。
良くも悪くも久しぶりの男一人の休日となった茶摘は春が名のみで無くなったポカポカな陽気の中、窓のカーテンを開けて日光浴を楽しむ。
「……んっ? なんだあの雲は?」
空に一列、不自然に並ぶドーナツリング型の雲に気がつき、立ち上がった茶摘。
「あれは……シオンちゃん!?」
空想科学界隈で有名な高速飛翔体の後ろに出来る空気塊リングを生成しつつ805号室に突っ込んでくる金髪ツインテールで光輪&光翼を持つ少女に気が付いた茶摘は慌ててトイレの個室に逃げ込む。
「しっ、シオンちゃんだよね? 何かあったの?」
しばらくしてトイレ個室から出て来た茶摘。
タイガーメンマンション805号室のベランダ窓をぶち破って豪快にエクストリーム入室した天使少女にしてキアラの親戚でもある天使族の少女シオン・アンジェラは茶摘を睨む。
「久しぶりですわね、下賤の者……死んでもらいますわよ」
ギャグマンガの如く顔中血塗れになったシオンは光の粒子をトゲトグ金棒に生成し、鬼の如き形相でトイレから出て来た茶摘に迫る。
「えっ、ええっ? いきなり何故に? 何で?」
これは本気だ……茶摘はどうにか隙を見て逃げ出そうと後ずさりする。
「何でもクソもありませんわ!! 見目麗しくダイナマイトボデイなお姉さまのスペシャルなアジアンビューティー姿を独占した上にスイーツ天国な2人っきりのお散歩デート…… リア充自慢もいい加減にしろとはこの事ですわのよ……」
「あっ、はい……」
「それに私、人間界のセクシーレデイに欠かせないお胸を大きくする夢のお薬の入手に失敗してイライラしておりますのよ……だからお前にはストレス発散のために死んでもらいますわ!」
『事情はわからんけど後半関係ないやん!! それは偽物だよ!!』と言いかけた茶摘であったが、金棒を振り上げたまま動きを止めたシオンがある物を凝視している事に気づく。
「……こうはくまんじゅう? 甘ぁい匂いですわあ……」
テーブルの上に置かれていた茶摘のじいちゃんの店で買ってきた紅白まんじゅうの箱をよだれをたらしつつガン見するシオン。
「シオンちゃん、それ食べる? でも座る場所が……」
「うむ、下賤の者にしてはいい心がけですわ!!
良いでしょう、天使族への祝福された貢物として食べてあげるから感謝しなさい! !」
シオンが指を鳴らした瞬間、光に包まれた瓦礫の数々はあるべき場所に自ら戻り始め、時を巻き戻すかのように結合して自己修復し始める。
「おいしいですわ!! 本当においしいですのよ!!」
歓喜の声をあげながら茶摘が滝れてくれた濃い渋茶と共に甘味亭すえひろ名物・紅白まんじゅうを楽しむシオン。
先ほどの様々な物理化学法則を無視した現象はさておき、きちんと復元された部屋で命の危機が去った事に安心した茶摘は金髪ツインテール美少女が渋茶とまんじゅうを楽しむ可愛らしい貴重な光景を堪能する。
「シオンちゃんは甘い物が好きなの?」
「あむあむ……もちろんですわ!! 女の子はスイーツ別腹がありますのよ!!」
大ぶりなまんじゅうにかぶりつくシオンはご機嫌で答える。
「それどころか私には麺類、肉類、パン類……全ての美味しい物は専用の別腹があるのですわ!!」
「へっ、へえ……それはすごいね」
若さってすごいなぁ……人間でいえば中学生ぐらいの少女天使の食いっぷりに若干引きつつも茶摘は気取られないように答える。
「……でもお父様やお母さま、爺やに婆やと学校の先生はそう言う平民食の類を絶対に許してくれませんのよ。神にお仕えする事を許された光を司る上位神族たる天使族に許された食物は清貧な高潔さの証たる薄焼きパンとバター、乾いたお肉とお茶のみなのですわ」
「ジャムとかは?」
「そんなのもちろんダメですわ!! 多分、私が人間界のおまんじゅうを食べた事があるなんて知られたら天界学院の英雄扱いされますのよ……まさに背徳の味ですわあ」
そう言いつつ最後の1個となった白まんじゅうを愛おしむように眺めているシオン。
本人はありのままを話したのであってそう言う意図はないのだろうが、籠の鳥よりうんたらな哀しい話をされた茶摘はその光景に胸が締め付けられる。
「シオンちゃん、それ食べていいよ」
「でも、お姉さまの分が……」
「シオンちゃん、今度キアラが一緒の時に3人で美味しい物を食べに行こう! ラーメン、カレー、ケーキ、焼きそば、おでん……人間界には美味しい物が一杯あるから、ねっ!!」
「ラーメンにカレー、焼きそばおでんですって!?」
天界学院の人間文化史クラスで食べ物として特徴と名前だけは聞いたことはあるが、実際に食べた事は無い伝説級の代物を列挙されたシオン……その甘美で魅惑的な味覚の数々に思わず惚けてしまう。
「……はっ、上位天使族の子女たる高貴な私がはしたない顔をしてしまいましたわ。
いいですこと、下賤の人間。今日はこのおまんじゅうに免じてキアラお姉さまとハレンチないちゃらぶに及んだ罪は赦して差し上げますわ。
次来たときはお前のお財布が空っぼになるまで美味しい物を食べさせてもらいますから覚悟しておきなさい!!」
茶摘の言葉に懐柔されたシオンは捨て台詞と共にまんじゅうを渋茶で流し込み、ベランダに直行。
顔を真っ赤にしながらも光輪と翼を顕現させベランダから駆けだすように飛び去っていくのであった。
【完】
「今日も平和だなぁ……」
同居人の女淫魔キアラが先日の浅草土産をご実家におすそ分けすべく天界に一時帰省中の週末。
良くも悪くも久しぶりの男一人の休日となった茶摘は春が名のみで無くなったポカポカな陽気の中、窓のカーテンを開けて日光浴を楽しむ。
「……んっ? なんだあの雲は?」
空に一列、不自然に並ぶドーナツリング型の雲に気がつき、立ち上がった茶摘。
「あれは……シオンちゃん!?」
空想科学界隈で有名な高速飛翔体の後ろに出来る空気塊リングを生成しつつ805号室に突っ込んでくる金髪ツインテールで光輪&光翼を持つ少女に気が付いた茶摘は慌ててトイレの個室に逃げ込む。
「しっ、シオンちゃんだよね? 何かあったの?」
しばらくしてトイレ個室から出て来た茶摘。
タイガーメンマンション805号室のベランダ窓をぶち破って豪快にエクストリーム入室した天使少女にしてキアラの親戚でもある天使族の少女シオン・アンジェラは茶摘を睨む。
「久しぶりですわね、下賤の者……死んでもらいますわよ」
ギャグマンガの如く顔中血塗れになったシオンは光の粒子をトゲトグ金棒に生成し、鬼の如き形相でトイレから出て来た茶摘に迫る。
「えっ、ええっ? いきなり何故に? 何で?」
これは本気だ……茶摘はどうにか隙を見て逃げ出そうと後ずさりする。
「何でもクソもありませんわ!! 見目麗しくダイナマイトボデイなお姉さまのスペシャルなアジアンビューティー姿を独占した上にスイーツ天国な2人っきりのお散歩デート…… リア充自慢もいい加減にしろとはこの事ですわのよ……」
「あっ、はい……」
「それに私、人間界のセクシーレデイに欠かせないお胸を大きくする夢のお薬の入手に失敗してイライラしておりますのよ……だからお前にはストレス発散のために死んでもらいますわ!」
『事情はわからんけど後半関係ないやん!! それは偽物だよ!!』と言いかけた茶摘であったが、金棒を振り上げたまま動きを止めたシオンがある物を凝視している事に気づく。
「……こうはくまんじゅう? 甘ぁい匂いですわあ……」
テーブルの上に置かれていた茶摘のじいちゃんの店で買ってきた紅白まんじゅうの箱をよだれをたらしつつガン見するシオン。
「シオンちゃん、それ食べる? でも座る場所が……」
「うむ、下賤の者にしてはいい心がけですわ!!
良いでしょう、天使族への祝福された貢物として食べてあげるから感謝しなさい! !」
シオンが指を鳴らした瞬間、光に包まれた瓦礫の数々はあるべき場所に自ら戻り始め、時を巻き戻すかのように結合して自己修復し始める。
「おいしいですわ!! 本当においしいですのよ!!」
歓喜の声をあげながら茶摘が滝れてくれた濃い渋茶と共に甘味亭すえひろ名物・紅白まんじゅうを楽しむシオン。
先ほどの様々な物理化学法則を無視した現象はさておき、きちんと復元された部屋で命の危機が去った事に安心した茶摘は金髪ツインテール美少女が渋茶とまんじゅうを楽しむ可愛らしい貴重な光景を堪能する。
「シオンちゃんは甘い物が好きなの?」
「あむあむ……もちろんですわ!! 女の子はスイーツ別腹がありますのよ!!」
大ぶりなまんじゅうにかぶりつくシオンはご機嫌で答える。
「それどころか私には麺類、肉類、パン類……全ての美味しい物は専用の別腹があるのですわ!!」
「へっ、へえ……それはすごいね」
若さってすごいなぁ……人間でいえば中学生ぐらいの少女天使の食いっぷりに若干引きつつも茶摘は気取られないように答える。
「……でもお父様やお母さま、爺やに婆やと学校の先生はそう言う平民食の類を絶対に許してくれませんのよ。神にお仕えする事を許された光を司る上位神族たる天使族に許された食物は清貧な高潔さの証たる薄焼きパンとバター、乾いたお肉とお茶のみなのですわ」
「ジャムとかは?」
「そんなのもちろんダメですわ!! 多分、私が人間界のおまんじゅうを食べた事があるなんて知られたら天界学院の英雄扱いされますのよ……まさに背徳の味ですわあ」
そう言いつつ最後の1個となった白まんじゅうを愛おしむように眺めているシオン。
本人はありのままを話したのであってそう言う意図はないのだろうが、籠の鳥よりうんたらな哀しい話をされた茶摘はその光景に胸が締め付けられる。
「シオンちゃん、それ食べていいよ」
「でも、お姉さまの分が……」
「シオンちゃん、今度キアラが一緒の時に3人で美味しい物を食べに行こう! ラーメン、カレー、ケーキ、焼きそば、おでん……人間界には美味しい物が一杯あるから、ねっ!!」
「ラーメンにカレー、焼きそばおでんですって!?」
天界学院の人間文化史クラスで食べ物として特徴と名前だけは聞いたことはあるが、実際に食べた事は無い伝説級の代物を列挙されたシオン……その甘美で魅惑的な味覚の数々に思わず惚けてしまう。
「……はっ、上位天使族の子女たる高貴な私がはしたない顔をしてしまいましたわ。
いいですこと、下賤の人間。今日はこのおまんじゅうに免じてキアラお姉さまとハレンチないちゃらぶに及んだ罪は赦して差し上げますわ。
次来たときはお前のお財布が空っぼになるまで美味しい物を食べさせてもらいますから覚悟しておきなさい!!」
茶摘の言葉に懐柔されたシオンは捨て台詞と共にまんじゅうを渋茶で流し込み、ベランダに直行。
顔を真っ赤にしながらも光輪と翼を顕現させベランダから駆けだすように飛び去っていくのであった。
【完】
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