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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第24話)】「頭隠せど尻隠せず! キアラのサプライズ・ホワイトデー!!」
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都内T区にあるスーパー、エブリデイ。
「お肉は確保したし……あとは白菜とお豆腐ね」
夕食の買い出しに来たハーフサキュバスのキアラは買い物メモを確認しつつ野菜売り場に向かう。
「ホワイトデーセール開催中?」
その道中に設けられた特設コーナーラックに積まれた綺麗な包装をされたギフト用チョコレートに業務用チョコレートブロック。
(ホワイトデーって直訳すると白の日よね? それとチョコレートがどういう関係があるのかしら? とりあえず今日の私用おやつに……アラン様とラビオさんの分もあるかしら?)
キアラは綺麗に梱包されたチョコレート3箱を手に取り、そのまま野菜売り場に向かう。
それからしばらくして、T区某所のタイガーメンマンション805号室。
「そんなイベントがあったなんて……ジャパニーズ恐るべしですわ!!」
帰宅後、おやつのチョコレート菓子を食べつつ天界スマホでホワイトデーなるイベントとそれに事前不随するバレンタインデーと言うイベントについて今更のように知り、絶望するキアラ。
淫魔ギルドのサキュバスとして日本に配置転換してもらった1年前の同時期、茶摘と出会う前に誘惑しようとした日本人男性の数々に『義理でもいいから僕にチョコを下さい!!』と土下座された理由と少し前のアニメでチョコレートを題材とした回が重なった理由をいまさらのように理解したキアラ。
イザベラさんのストーカー事案や魔界警察協力者のあれやこれやで忙しかったとは言え、茶摘篭絡の大チャンスを逃してしまった事実はもう取り返しようがない。
「……いや、まだチャンスはありますわ。ホワイトデーが殿方がご婦人にお返しする日だとしてもそんなの関係ねぇですのよ!! 遅めのバレンタインデーで押し通しますわ!!」
自身を鼓舞すべくアランとラビオ刑事に上げる予定だったチョコレートも追加でバリバリと食らい尽くし、悔恨の涙をティッシュで拭いたキアラは茶摘家の電子書籍端末を手に取りつつ、録画済みのアニメを再生して少し前に見た資料シーンを探す。
~それからまた数時間後、夜~
「ただいま、ってあれ?」
一日の仕事を終え、帰宅した株式会社サウザンド人事部社員・茶摘。
「キアラ…… ?」
暖房もついておらず、冷え切って真っ暗なのみならず、物音ひとつしない部屋に嫌な予感がした茶摘は玄関の傘を掴み、抜き足差し足で壁沿いに移動。記憶を頼りに電灯のスイッチを探す。
(ナムアミダブツ…… !!)
「きゃあああ茶摘さんのえっちぃ!! 見ないでくださぃぃい!!」
鬼が出るか蛇が出るか、覚悟を決めて灯りを付けた茶摘の前に転がっていた物。
それは女淫魔の正装たる黒マイクロビキニもつけないすっ裸の褐色肌上を赤いリボンであられもないぐるぐる巻きにされ、上に伸ばした腕手首と足首をがっちりと縛られて床に転がるキアラだったのだ。
「キアラ?」
「うぅ恥ずかちいよぉ……もうお嫁もお婿も行けないよぉ…… しくしく」
リボンの絶妙な角度と縛り方で強調されて丸見えのお胸を隠すべく背中を見せて床に転がり、美尻丸見えなポーズですすり泣くキアラ。
「いつも黒マイクロビキニで誘惑してくるサキュバスがそれを言うのか? それはさておき、何があったんだい? これは切って大丈夫なのか?」
上着を脱いで荷物を置いた茶摘はキアラに駆け寄り、慌ててハサミを手に取ってその全身を締め上げるリボンを切り始める。
「ありがとうございます、茶摘さん……数日後のホワイトデーにチョコレート色な私を召し上がっていただこうと思ったんです。それで魔界暗器を応用してラッピングの練習をしたんですけど上手く行かなくてこんな惨劇に、ハクチュン!!」
桜の開花も近づいて気候も暖かくなりつつある3月末の室内とは言え暖房もついてない冷気の中で数時間も全裸で拘束されていたキアラは解放されるや否や大きなくしゃみと共にガタガタと震える。
「うわっ氷かってぐらいに体が冷え切っちゃってるよ、早く温めないと!! 今日の夕飯は僕が作るから温まっていて!!」
暖房をONにした茶摘はジャージ上下と毛布をキアラの脇に置くと、すぐに台所へ向かう。
「わあ、美味しそうですぅ……」
ジャージ背中にホッカイロを貼り、手袋とあったか帽子にマフラー、電気あんかと毛布を全身に巻き付けて暖を取りながら夕飯を待っていたキアラ。日中スーパーで買って来た食材で体が温まるようにと茶摘が手早く作って目の前に運んで来てくれた温かい鍋の湯気に見惚れてしまう。
「キアラ、とりあえず食べよう。はい、どうぞ」
白菜にお豆腐、薄切り豚肉に自滝に温かぁいスープをたっぶり注いだ器をキアラに差し出す茶摘。
「ありがとうですわ、茶摘さん。あたたかぁい……はぁ」
「それは良かった!!」
自分でも恥ずかしすぎる愚かな失敗を責める事無く、温かく気遣ってくれるジェントルマン茶摘。
優しさたっぷりの鍋スープをすするキアラは五臓六腑に染み渡るその温もりを味わうのであった。
【完】
「お肉は確保したし……あとは白菜とお豆腐ね」
夕食の買い出しに来たハーフサキュバスのキアラは買い物メモを確認しつつ野菜売り場に向かう。
「ホワイトデーセール開催中?」
その道中に設けられた特設コーナーラックに積まれた綺麗な包装をされたギフト用チョコレートに業務用チョコレートブロック。
(ホワイトデーって直訳すると白の日よね? それとチョコレートがどういう関係があるのかしら? とりあえず今日の私用おやつに……アラン様とラビオさんの分もあるかしら?)
キアラは綺麗に梱包されたチョコレート3箱を手に取り、そのまま野菜売り場に向かう。
それからしばらくして、T区某所のタイガーメンマンション805号室。
「そんなイベントがあったなんて……ジャパニーズ恐るべしですわ!!」
帰宅後、おやつのチョコレート菓子を食べつつ天界スマホでホワイトデーなるイベントとそれに事前不随するバレンタインデーと言うイベントについて今更のように知り、絶望するキアラ。
淫魔ギルドのサキュバスとして日本に配置転換してもらった1年前の同時期、茶摘と出会う前に誘惑しようとした日本人男性の数々に『義理でもいいから僕にチョコを下さい!!』と土下座された理由と少し前のアニメでチョコレートを題材とした回が重なった理由をいまさらのように理解したキアラ。
イザベラさんのストーカー事案や魔界警察協力者のあれやこれやで忙しかったとは言え、茶摘篭絡の大チャンスを逃してしまった事実はもう取り返しようがない。
「……いや、まだチャンスはありますわ。ホワイトデーが殿方がご婦人にお返しする日だとしてもそんなの関係ねぇですのよ!! 遅めのバレンタインデーで押し通しますわ!!」
自身を鼓舞すべくアランとラビオ刑事に上げる予定だったチョコレートも追加でバリバリと食らい尽くし、悔恨の涙をティッシュで拭いたキアラは茶摘家の電子書籍端末を手に取りつつ、録画済みのアニメを再生して少し前に見た資料シーンを探す。
~それからまた数時間後、夜~
「ただいま、ってあれ?」
一日の仕事を終え、帰宅した株式会社サウザンド人事部社員・茶摘。
「キアラ…… ?」
暖房もついておらず、冷え切って真っ暗なのみならず、物音ひとつしない部屋に嫌な予感がした茶摘は玄関の傘を掴み、抜き足差し足で壁沿いに移動。記憶を頼りに電灯のスイッチを探す。
(ナムアミダブツ…… !!)
「きゃあああ茶摘さんのえっちぃ!! 見ないでくださぃぃい!!」
鬼が出るか蛇が出るか、覚悟を決めて灯りを付けた茶摘の前に転がっていた物。
それは女淫魔の正装たる黒マイクロビキニもつけないすっ裸の褐色肌上を赤いリボンであられもないぐるぐる巻きにされ、上に伸ばした腕手首と足首をがっちりと縛られて床に転がるキアラだったのだ。
「キアラ?」
「うぅ恥ずかちいよぉ……もうお嫁もお婿も行けないよぉ…… しくしく」
リボンの絶妙な角度と縛り方で強調されて丸見えのお胸を隠すべく背中を見せて床に転がり、美尻丸見えなポーズですすり泣くキアラ。
「いつも黒マイクロビキニで誘惑してくるサキュバスがそれを言うのか? それはさておき、何があったんだい? これは切って大丈夫なのか?」
上着を脱いで荷物を置いた茶摘はキアラに駆け寄り、慌ててハサミを手に取ってその全身を締め上げるリボンを切り始める。
「ありがとうございます、茶摘さん……数日後のホワイトデーにチョコレート色な私を召し上がっていただこうと思ったんです。それで魔界暗器を応用してラッピングの練習をしたんですけど上手く行かなくてこんな惨劇に、ハクチュン!!」
桜の開花も近づいて気候も暖かくなりつつある3月末の室内とは言え暖房もついてない冷気の中で数時間も全裸で拘束されていたキアラは解放されるや否や大きなくしゃみと共にガタガタと震える。
「うわっ氷かってぐらいに体が冷え切っちゃってるよ、早く温めないと!! 今日の夕飯は僕が作るから温まっていて!!」
暖房をONにした茶摘はジャージ上下と毛布をキアラの脇に置くと、すぐに台所へ向かう。
「わあ、美味しそうですぅ……」
ジャージ背中にホッカイロを貼り、手袋とあったか帽子にマフラー、電気あんかと毛布を全身に巻き付けて暖を取りながら夕飯を待っていたキアラ。日中スーパーで買って来た食材で体が温まるようにと茶摘が手早く作って目の前に運んで来てくれた温かい鍋の湯気に見惚れてしまう。
「キアラ、とりあえず食べよう。はい、どうぞ」
白菜にお豆腐、薄切り豚肉に自滝に温かぁいスープをたっぶり注いだ器をキアラに差し出す茶摘。
「ありがとうですわ、茶摘さん。あたたかぁい……はぁ」
「それは良かった!!」
自分でも恥ずかしすぎる愚かな失敗を責める事無く、温かく気遣ってくれるジェントルマン茶摘。
優しさたっぷりの鍋スープをすするキアラは五臓六腑に染み渡るその温もりを味わうのであった。
【完】
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