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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第23話)】「LOVEストーリーは突然に!! イザベラ・インマと白装束の男(後編)」
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都内S区某所にあるアパート1室。
「みんな、お茶が入りましたよ! 神狐族さんもどうぞ!」
ここに住まう地味な派遣社員・砂岡 蓮美の擬態を解き、本来の姿である赤髪ロングヘアにグラマラスボディの女淫魔の姿に戻ったイザベラ・インマは5つの湯飲みをちゃぶ台に置き、お目付け役の老魔界刑事と弟、その友人のハーフサキュバスに配っていく。
「女淫魔さん、ありがとうございます!」
ストーカー現行犯で魔界刑事2人&アランに取り押さえられ、スマキにされつつも器用に座っている銀髪ロングヘアに白銀の狐耳、ふさふさの尻尾を尻に生やした神狐族の青年は目の前に置かれたストロー付きのぬるめほうじ茶をありがたくちうちうといただく。
「さて、まずはお名前を聞いていいかしら?」
弟がミキさんから借りて来た護身用モデルガン(※魔力注入で実弾銃と同等にまで強化済み)を膝の上に置いたイザベラさんはにこやかに名無しの神狐族に問う。
「ええと、私はS区中央商店街の大巴神社の宮神を勤めている神狐族のギンコです。失礼ながら涯魔族のお姉さんのお名前は…… ?」
上位魔族級の膨大な魔力を内包し、魔界刑事2人と準上位魔族級の淫魔族の青年を従えたこの女淫魔さんはただ者ではない。そう察していた神狐族のギンコは恐る恐る聞き返す。
「……私はイザベラよ」
耳に仕込んでいた魔界暗器『舌ヲ抜ク嘘ツキ(ライアーチェッカー)』で発言の真偽確認をしていたイザベラさんは慎重に答える。
「イザベラさんって言うんですね、はじめまして!! いつもお稲荷ご馳走様です!!」
「それはどういう事じゃ、ギンコ殿?」
ちゃぶ台を囲みつつも膝上に十手を乗せ、いつでも攻撃できる警戒態勢で話を聞いていたラビオ刑事は思わず話に割り込む。
「いや、魔界刑事さんそのままですよ……イザベラさんは散歩も兼ねて土日に必ずお参りに来てお稲荷さんをお供えしてくれるのみならず、最近はバンちゃんと一緒に境内の掃除もやってくれるんです!!」
『暗殺者殺し(アサシンキラー)』の異名を持ち、泣く子も黙る冷酷無情でサデイスト・オブ・サディストな女淫魔であるイザベラさんの隠れ善行を知った3人の目線が思わずイザベラさんの方に向く。
「えっ、ええと……それは以前オババさんのお手伝いで一回だけやったら楽しかったの!! 何と言うか心が洗われるようなリフレッシュさがあって。お稲荷さんだってオババさんのお使いで一回きりだし……」
「そうだったんですか!? でもそば屋の源さんがこの前お参りに来た時、イザベラさんが毎週末お稲荷さんを買ってくれるって喜んでましたけど…… ?」
「ぐぬぬ……」
完全論破されて顔を真っ赤にしてうつむいてしまうイザベラさん。
「それはさておきじや……ギンコ殿は何故イザベラ殿をストーカーするような行為に及んだのかな?」
想像もしなかったイザベラさんの可愛さのあまりほのぼのニヤニヤするアランとキアラ。そんな空気に飲まれかけつつも職務に戻ったラビオ刑事は本題に切り込む。
「ええと、何度も言っていますけど私はストーカーしていたわけじゃないんです。ただ私は貧乏神社の宮神として出来る範囲のちょっとした幸運のお返しをしていただけなんです」
「……具体的には?」
「大きいのだとイザベラさんや若い派遣社員に意地悪な会社のお局をぎっくり腰にし、セクハラ上司のズラを皆の前でポロリさせました。小さい幸運で言えばスロット付き自販機を当たりやすくしたり道端の小銭を拾う頻度を上げる、スーパーのセール品で高確率で好きな物が残っているように調整……そんなところです」
神として恥ずかしくなるようなとても些細な事ではあるが、ベテラン魔界刑事を前に嘘をつくのは得策ではないと判断したギンコさんは素直に取り調べに応じる。
「あれ全部あなたのしわざだったの!? なんか不自然な程にいい事が続くと思ったら……そういう事だったのね!」
社内の迷惑なお局様やセクハラ上司を襲った悲劇の真相を知ったイザベラさんは驚きの声を上げる。
「では今さっき直接接触しようとした件は?」
「日中、人間のコソ泥がここに入ろうとしてピッキングをしていたんで私の神力で鍵も扉も開かなくしたんです。
でもあの手の輩はまた来るかもしれないし、その影響で建付けが悪くなっているかもしれないから開ける時に気を付けてくださいって直接口頭でお伝えしようと思って……」
「そうだったの!? この前別の部屋の人が被害にあったそうだけど私の所にまで来るなんて……ギンコさんありがとう!」
歓喜のあまリギンコさんを抱きしめるイザベラさんとスマキにされたまま美巨乳で窒息しかける神狐のギンコさん、その風景に凍り付くその他3人。
「誤解でこんな事になっちゃったけど……これからも大巴神社に会いに行ってもいいかしら?」
「もちろんです、サキュバスのイザベラさん!! もしよろしければお稲荷を2人で食べませんか?」
「はいっ!!」
顔を赤らめつつ見つめあうイザベラさんと縛られたままのギンコさん。
ストーカー捕物帳からのまさかのラブストーリーENDに驚きつつも3人は幸せそうな2人を見守るのであった。
【完】
「みんな、お茶が入りましたよ! 神狐族さんもどうぞ!」
ここに住まう地味な派遣社員・砂岡 蓮美の擬態を解き、本来の姿である赤髪ロングヘアにグラマラスボディの女淫魔の姿に戻ったイザベラ・インマは5つの湯飲みをちゃぶ台に置き、お目付け役の老魔界刑事と弟、その友人のハーフサキュバスに配っていく。
「女淫魔さん、ありがとうございます!」
ストーカー現行犯で魔界刑事2人&アランに取り押さえられ、スマキにされつつも器用に座っている銀髪ロングヘアに白銀の狐耳、ふさふさの尻尾を尻に生やした神狐族の青年は目の前に置かれたストロー付きのぬるめほうじ茶をありがたくちうちうといただく。
「さて、まずはお名前を聞いていいかしら?」
弟がミキさんから借りて来た護身用モデルガン(※魔力注入で実弾銃と同等にまで強化済み)を膝の上に置いたイザベラさんはにこやかに名無しの神狐族に問う。
「ええと、私はS区中央商店街の大巴神社の宮神を勤めている神狐族のギンコです。失礼ながら涯魔族のお姉さんのお名前は…… ?」
上位魔族級の膨大な魔力を内包し、魔界刑事2人と準上位魔族級の淫魔族の青年を従えたこの女淫魔さんはただ者ではない。そう察していた神狐族のギンコは恐る恐る聞き返す。
「……私はイザベラよ」
耳に仕込んでいた魔界暗器『舌ヲ抜ク嘘ツキ(ライアーチェッカー)』で発言の真偽確認をしていたイザベラさんは慎重に答える。
「イザベラさんって言うんですね、はじめまして!! いつもお稲荷ご馳走様です!!」
「それはどういう事じゃ、ギンコ殿?」
ちゃぶ台を囲みつつも膝上に十手を乗せ、いつでも攻撃できる警戒態勢で話を聞いていたラビオ刑事は思わず話に割り込む。
「いや、魔界刑事さんそのままですよ……イザベラさんは散歩も兼ねて土日に必ずお参りに来てお稲荷さんをお供えしてくれるのみならず、最近はバンちゃんと一緒に境内の掃除もやってくれるんです!!」
『暗殺者殺し(アサシンキラー)』の異名を持ち、泣く子も黙る冷酷無情でサデイスト・オブ・サディストな女淫魔であるイザベラさんの隠れ善行を知った3人の目線が思わずイザベラさんの方に向く。
「えっ、ええと……それは以前オババさんのお手伝いで一回だけやったら楽しかったの!! 何と言うか心が洗われるようなリフレッシュさがあって。お稲荷さんだってオババさんのお使いで一回きりだし……」
「そうだったんですか!? でもそば屋の源さんがこの前お参りに来た時、イザベラさんが毎週末お稲荷さんを買ってくれるって喜んでましたけど…… ?」
「ぐぬぬ……」
完全論破されて顔を真っ赤にしてうつむいてしまうイザベラさん。
「それはさておきじや……ギンコ殿は何故イザベラ殿をストーカーするような行為に及んだのかな?」
想像もしなかったイザベラさんの可愛さのあまりほのぼのニヤニヤするアランとキアラ。そんな空気に飲まれかけつつも職務に戻ったラビオ刑事は本題に切り込む。
「ええと、何度も言っていますけど私はストーカーしていたわけじゃないんです。ただ私は貧乏神社の宮神として出来る範囲のちょっとした幸運のお返しをしていただけなんです」
「……具体的には?」
「大きいのだとイザベラさんや若い派遣社員に意地悪な会社のお局をぎっくり腰にし、セクハラ上司のズラを皆の前でポロリさせました。小さい幸運で言えばスロット付き自販機を当たりやすくしたり道端の小銭を拾う頻度を上げる、スーパーのセール品で高確率で好きな物が残っているように調整……そんなところです」
神として恥ずかしくなるようなとても些細な事ではあるが、ベテラン魔界刑事を前に嘘をつくのは得策ではないと判断したギンコさんは素直に取り調べに応じる。
「あれ全部あなたのしわざだったの!? なんか不自然な程にいい事が続くと思ったら……そういう事だったのね!」
社内の迷惑なお局様やセクハラ上司を襲った悲劇の真相を知ったイザベラさんは驚きの声を上げる。
「では今さっき直接接触しようとした件は?」
「日中、人間のコソ泥がここに入ろうとしてピッキングをしていたんで私の神力で鍵も扉も開かなくしたんです。
でもあの手の輩はまた来るかもしれないし、その影響で建付けが悪くなっているかもしれないから開ける時に気を付けてくださいって直接口頭でお伝えしようと思って……」
「そうだったの!? この前別の部屋の人が被害にあったそうだけど私の所にまで来るなんて……ギンコさんありがとう!」
歓喜のあまリギンコさんを抱きしめるイザベラさんとスマキにされたまま美巨乳で窒息しかける神狐のギンコさん、その風景に凍り付くその他3人。
「誤解でこんな事になっちゃったけど……これからも大巴神社に会いに行ってもいいかしら?」
「もちろんです、サキュバスのイザベラさん!! もしよろしければお稲荷を2人で食べませんか?」
「はいっ!!」
顔を赤らめつつ見つめあうイザベラさんと縛られたままのギンコさん。
ストーカー捕物帳からのまさかのラブストーリーENDに驚きつつも3人は幸せそうな2人を見守るのであった。
【完】
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