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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第17話)】「魔界刑事ラビオ・無手勝流!! @コンビニエンスストア」
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「今日の夕飯は何にするのかね?」
「今日はひき肉が安かったのでミキさんの好きなハンバーグにしようかと……」
S区中央商店街で夕食の買い出し帰りに『おばばのおもちや』から出て来たラビオ刑事に会ったアラン。
「おお、それは素晴らしい!! 肉パワーで守屋殿も元気百倍ですな。そう言えばタバコを切らしておったな……アランどの、そこのコンビニでタバコを買ってくるのでお先にどうぞなのじや」
「じやあ僕もミキさんが好きなコンビニスイーッを買いますね!!」
帰り道を共にしていた同じマンションに住まう2人は道中のコンビニエンスストアに入る。
「いらっしゃいませ!!」
「ええと、タバコが欲しいんじゃが……サムライスピリッツは何番かのう?」
ラビオ刑事が若い女性店員の後ろにあるタバコ棚を見ていたその時だった。
「全員動くな!!」
「きゃああ!?」
黒いサングラス上に目出し帽で顔を完全に多い、黒いTシャツにズボン姿でナイフを持ったガタイのいい男はラビオ刑事を押しのけてレジに割り込み店員を脅す。
「カラーボールに手を出すな、この袋に金を詰めろ!!」
「そっ、そんな事を言われても……」
ワンオペ中だった店員はセルフレジの鍵が置かれた事務所に向かう事も出来ず、ホールドアップしてあわあわになる。
「君は本物の強盗なのかね? 警備会社やコンビニの訓練ではない……本物の強盗なのかな?」
そんな緊急事態の中、目出し帽男に突き飛ばされたラビオ刑事は目を輝かせて強盗を質問攻めにし始める。
「うるせえジジイ!! 黙って手ぇ上げてろ!!」
「おお、間違いなく本物じや!! だが……味が無いと言おうか、端的に言うとつまらん」
「あぁ?」
自身に刃物を突き付けてくる興奮した強盗を意味もなく挑発するご来店中のおじいちゃん……店員は恐怖と混乱のあまりどうすればいいかわからなくなる。
「まずは衣装がなっておらんよ。強盗はこうじゃなきゃいかん!!」
そう言いつつラビオ刑事がブテイック・ツキミの紙袋から取り出したのはテンガロンハットとビラビラ付き上着にシャツとズボン、真紅のネックスカーフにブーツが揃った新品の西部劇衣装セットー式だ。
「早くしろ!!」「そんな事言われても、まずは事務所の鍵を……って?」
「んっ……おおい、何だこれぇ!?」
変なウザ絡みおじいちゃんを無視して強盗を再開した男は文字通りいつの間にか西部劇衣装になっていた自分自身に驚くばかりだ。
「うむ、いい感じになったぞ!! だが武器がそれではタマに大傷じゃ!!」
「何しやがったジジイ!!」
どんな手品を使ったかはわからないが、この爺さんが服を瞬時に取り換えたのは明らか。
隣のレジ上に丁寧に畳まれて積まれたズボンに黒Tシャツ、サングラスと目出し帽の横で手を叩いて喜ぶ老人を始末すべく男は襲い掛かる。
「きゃあっ!!」
自分より先におじいちゃんが刺されてしまう、そう分かりつつも何もできない店員は目を覆う。
「ぐつ……ぎぎぎ、ぐぬぬぬぅぅぅん!!」
「やれやれ……こんなクズ鉄、素手で十分じゃ。ますますつまらん、もうわし悲しくなってきたわい……」
強盗のナイフを指2本ではさんで止め、動きを封じた最強おじいちゃんと言う信じがたい光景に店員は目をこする。
「店員さん、このテープをお借りしていいかな?」
「えっ、あっ、はい?」
「では失礼して……ビビビビビビビビ!!」
男の手からナイフをもぎ取ったラビオ刑事は目にもとまらぬ速度で刃をセロハンテープで分厚くぐるぐる巻きにして無力化。畳まれた衣服上に置く。
「強盗殿、これを貸してやるからもう一度最初からやり直しじゃ……今度こそやり遂げるのじやぞ?」
そう言いつつラビオ刑事が手渡したのはおばばの店で買ったリボルバー拳銃のモデルガンだ。
「ごめんなさい!! もう自首するから許してください!! この通りですぅぅ!!」
西部劇大好き映画オタク魔界人・ラビオ刑事にめぐりあったが運のつき。
わけもわからぬまま弄ばれて精神崩壊した強盗は突如半泣きで土下座し、ラビオ刑事に命乞いする。
「……やれやれ、情けない奴じゃ。いいから早うやらんかぁ!!」
「もう許してください、この通りです、お願いです、お願いですぅ……」
ラビオ刑事を敵に回した強盗はただただ哀れに土下座するのみであった……。
……その日の夜、都内S区某所にあるマンション508号室
『次のニュースです。今日の午後S区のコンビニエンスストアに強盗が押し入りました』
「あら、これここの近くじゃない。本当に物騒ねぇ……」
日中の仕事を終えて帰宅し、夕食後のくつろぎタイムにアラン君とテレビを見ていた守屋美希。通称ミキちゃんは温かいほうじ茶を飲みながらつぶやく。
『警察突入時、店内でうつぶせに倒れていた犯人は無抵抗で確保されたもののうわ言で『カウボーイ怖い、西部劇怖い』と繰り返しており警察は薬物使用の可能性も合めて……』
「へぇ、何があったのかしらねぇ? アラン君も気を付けるのよ!」
「はい、ミキさん!!(… …ひとまずラビオさんや僕の事は気づかれて無いようだな)」
ラビオ刑事が強盗にウザ絡み中、犯人が魔界人で無い事を確かめた上で匿名通報したアラン。店員と強盗の記憶操作処理と防犯カメラ映像も色々と捏造改ざんして自分たちの存在を無かった事に出来たアランは胸をなでおろしつつ安堵のため息をつくのであった。
【完】
「今日はひき肉が安かったのでミキさんの好きなハンバーグにしようかと……」
S区中央商店街で夕食の買い出し帰りに『おばばのおもちや』から出て来たラビオ刑事に会ったアラン。
「おお、それは素晴らしい!! 肉パワーで守屋殿も元気百倍ですな。そう言えばタバコを切らしておったな……アランどの、そこのコンビニでタバコを買ってくるのでお先にどうぞなのじや」
「じやあ僕もミキさんが好きなコンビニスイーッを買いますね!!」
帰り道を共にしていた同じマンションに住まう2人は道中のコンビニエンスストアに入る。
「いらっしゃいませ!!」
「ええと、タバコが欲しいんじゃが……サムライスピリッツは何番かのう?」
ラビオ刑事が若い女性店員の後ろにあるタバコ棚を見ていたその時だった。
「全員動くな!!」
「きゃああ!?」
黒いサングラス上に目出し帽で顔を完全に多い、黒いTシャツにズボン姿でナイフを持ったガタイのいい男はラビオ刑事を押しのけてレジに割り込み店員を脅す。
「カラーボールに手を出すな、この袋に金を詰めろ!!」
「そっ、そんな事を言われても……」
ワンオペ中だった店員はセルフレジの鍵が置かれた事務所に向かう事も出来ず、ホールドアップしてあわあわになる。
「君は本物の強盗なのかね? 警備会社やコンビニの訓練ではない……本物の強盗なのかな?」
そんな緊急事態の中、目出し帽男に突き飛ばされたラビオ刑事は目を輝かせて強盗を質問攻めにし始める。
「うるせえジジイ!! 黙って手ぇ上げてろ!!」
「おお、間違いなく本物じや!! だが……味が無いと言おうか、端的に言うとつまらん」
「あぁ?」
自身に刃物を突き付けてくる興奮した強盗を意味もなく挑発するご来店中のおじいちゃん……店員は恐怖と混乱のあまりどうすればいいかわからなくなる。
「まずは衣装がなっておらんよ。強盗はこうじゃなきゃいかん!!」
そう言いつつラビオ刑事がブテイック・ツキミの紙袋から取り出したのはテンガロンハットとビラビラ付き上着にシャツとズボン、真紅のネックスカーフにブーツが揃った新品の西部劇衣装セットー式だ。
「早くしろ!!」「そんな事言われても、まずは事務所の鍵を……って?」
「んっ……おおい、何だこれぇ!?」
変なウザ絡みおじいちゃんを無視して強盗を再開した男は文字通りいつの間にか西部劇衣装になっていた自分自身に驚くばかりだ。
「うむ、いい感じになったぞ!! だが武器がそれではタマに大傷じゃ!!」
「何しやがったジジイ!!」
どんな手品を使ったかはわからないが、この爺さんが服を瞬時に取り換えたのは明らか。
隣のレジ上に丁寧に畳まれて積まれたズボンに黒Tシャツ、サングラスと目出し帽の横で手を叩いて喜ぶ老人を始末すべく男は襲い掛かる。
「きゃあっ!!」
自分より先におじいちゃんが刺されてしまう、そう分かりつつも何もできない店員は目を覆う。
「ぐつ……ぎぎぎ、ぐぬぬぬぅぅぅん!!」
「やれやれ……こんなクズ鉄、素手で十分じゃ。ますますつまらん、もうわし悲しくなってきたわい……」
強盗のナイフを指2本ではさんで止め、動きを封じた最強おじいちゃんと言う信じがたい光景に店員は目をこする。
「店員さん、このテープをお借りしていいかな?」
「えっ、あっ、はい?」
「では失礼して……ビビビビビビビビ!!」
男の手からナイフをもぎ取ったラビオ刑事は目にもとまらぬ速度で刃をセロハンテープで分厚くぐるぐる巻きにして無力化。畳まれた衣服上に置く。
「強盗殿、これを貸してやるからもう一度最初からやり直しじゃ……今度こそやり遂げるのじやぞ?」
そう言いつつラビオ刑事が手渡したのはおばばの店で買ったリボルバー拳銃のモデルガンだ。
「ごめんなさい!! もう自首するから許してください!! この通りですぅぅ!!」
西部劇大好き映画オタク魔界人・ラビオ刑事にめぐりあったが運のつき。
わけもわからぬまま弄ばれて精神崩壊した強盗は突如半泣きで土下座し、ラビオ刑事に命乞いする。
「……やれやれ、情けない奴じゃ。いいから早うやらんかぁ!!」
「もう許してください、この通りです、お願いです、お願いですぅ……」
ラビオ刑事を敵に回した強盗はただただ哀れに土下座するのみであった……。
……その日の夜、都内S区某所にあるマンション508号室
『次のニュースです。今日の午後S区のコンビニエンスストアに強盗が押し入りました』
「あら、これここの近くじゃない。本当に物騒ねぇ……」
日中の仕事を終えて帰宅し、夕食後のくつろぎタイムにアラン君とテレビを見ていた守屋美希。通称ミキちゃんは温かいほうじ茶を飲みながらつぶやく。
『警察突入時、店内でうつぶせに倒れていた犯人は無抵抗で確保されたもののうわ言で『カウボーイ怖い、西部劇怖い』と繰り返しており警察は薬物使用の可能性も合めて……』
「へぇ、何があったのかしらねぇ? アラン君も気を付けるのよ!」
「はい、ミキさん!!(… …ひとまずラビオさんや僕の事は気づかれて無いようだな)」
ラビオ刑事が強盗にウザ絡み中、犯人が魔界人で無い事を確かめた上で匿名通報したアラン。店員と強盗の記憶操作処理と防犯カメラ映像も色々と捏造改ざんして自分たちの存在を無かった事に出来たアランは胸をなでおろしつつ安堵のため息をつくのであった。
【完】
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