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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第16話)】「美少女天使は二重人格!? シオン・アンジェラVS茶摘!!」
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都内T区、タイガーメンマンション805号室。土曜日の明け方。
(……トイレ)
真夜中に目が覚めてお手洗いに行きたくなった茶摘は枕元のスマホ懐中電灯を探す。
「ううん……うっ、ううん……あん、ああぁん」
(どうしよ、最悪のタイミングで目覚めちゃったかも……)
そんな時耳に飛び込んで来たのは同居中のハーフサキュバス・キアラが寝床にしている二股寝袋内で上げるうめくような嬌声。救急車を呼ぶべき急病かとも思われたが、これまでの経験上ハニートラップの可能性も捨てきれない……狸寝入りを決め込む茶摘は葛藤する。
「おねえ様、お姉さまぁん……ハァハア……ハァハァ」
「うっ……ああん」
明らかにキアラのものとは違う少女の声に気が付いた茶摘はすぐにスマホライトをONにしてそちらを照らす。
「いきなり何をしますの!!」
スティック掃除機を掴んで立ち上がった茶摘と寝袋上半身を起こしたキアラの前で腰を抜かしてへたってる金髪ツインテールの幼い少女。
白い半袖セーラー服上に紺ミニスカートとブーツ、頭に光輪、背中に光の羽を持つ少女はスマホ懐中電灯フラッシュを喰らわせてきた茶摘を敵意MAXで睨んでいる。
「この魔力反応は……シオンちゃん?」
「お姉さま、お目覚めになったんですね!! おはようございますですわ!!」
金髪ツインテールの少女はニコニコ笑顔でキアラにしがみつく。
「……ええと、この子はキアラの知り合いなのかな?」
「はい、そうなんですけど……シオンちゃん、私も茶摘さんもまだ眠いから日が昇るまでは寝かせてくれる?」
「わかりましたわ、お姉さま!!」
光の翼と光輪を消し、キアラの寝袋に押し入ったシオンはキアラにぴったりとくっつくや否や寝息を立てだす。
ほどなくして……朝。
「改めまして茶摘さん、この子はシオン・アンジェラ。私の父方の親戚で天使族の父母を持つ純血天使族。天界神立学院附属中学校の2年生です」
「はじめましてですわ、茶摘様! いつもキアラお姉さまがお世話になっております!!」
コーンスープと厚切リトースト、紅茶の朝ごはんをご馳走になっているシオンは弾けるような笑顔で茶摘に挨拶する。
「こちらこそはじめまして、シオンさん」
昨夜見てしまった事はさておき、茶摘は社会人として培った『和』の心で紳士的に挨拶する。
「ところでシオンちゃんは人間界に何をしに来たの?」
「もちろんお姉さまに会うためですわ!」
シオンはキアラのくびれ腰に手を回し、その美巨乳を横からすりすりする。
「あら、それは嬉しいわ!! でもね……今日の午前中はお姉ちゃん、魔界警察の打ち合わせでいなくなっちゃうんだけど、茶摘さんと仲良く出来る?」
「はい、もちろんですわ!!」
キアラになでなでされるシオンはとろっとろの目で答える。
「茶摘さん、急ですみません……姪のお相手をお願い出来ますか?」
「ああ、問題ない。漫画とかゲームで良ければ……DVDはうぅん……」
茶摘はお皿を片付け、女の子が喜びそうなゲームソフトや漫画をチョイスし始める。
「いってらっしやい、キアラお姉ちゃん!!」
「ごめんね、お昼には帰るからね!」
ラビオ刑事との打ち合わせのためS区のマンション408号室に向かってベランダから飛び立ったキアラ。それを窓から見送った茶摘とシオンはリビングに戻る。
「シオンちゃん、何がしたい?」
「下賤のモノが、図に乗るなですのよ?」
「えっ?」
いきなりの暴言に茶摘は思考が止まる。
「天界全体でも間違いなく十指に入る上級氏族の子女たるこの私がただ下賤のモノの住処を視察しに来たとでも思っていらっしゃるの?……キアラお姉さまをこんな狭くて汚い部屋に済ませて粗末なモノしか食べさせていない甲斐性なしのお前にもう我慢の限界で連れ戻すべく直談判しにきましてのよ!」
シオンの最初からフルスロットルな言葉の暴力に茶摘は黙り込んでしまう。
「そもそも聡明でお優しく、高貴な生まれのお美しき淑女のキアラお姉さまがただの人間でしかないお前のような下賤のモノと釣り合うわけがありませんわ!! 我々神族種のサンクス収入源となる次世代の人類を育むわけでもなくいい年して幼稚なアニメに下らねぇゲームに傾倒しているようなオスどころか生物種としての負け組がキアラお姉さまを独占しているなんて許しがたいですのよ!!」
「……」
「だいたいお前、お姉さまがどれほど偉大な方がわかっていますの?
今朝お姉さまに作っていただいた粗末な食べ物だって天界の神々からすれば何億サンクス払ってでも食べたいご馳走でしょうし、あの蠱惑的な美しさを永久にその作品にとどめたい芸術家に長子の正妻として一族に迎え入れたい神族に魔族は星の数よりもおりますのよ? 虫けら以下の人間の分際でそんなキアラお姉さまを独占しているお前の事を天界の神々にこっそりお知らせしようものなら……お前の如き矮小な存在、一瞬で存在事実レベルで蒸発させられますのよ?」
テーブルの上に立って腕を組んで見下ろすシオンは黙り込んでうつむいてしまった茶摘を同喝しつつ口を歪める。
「これだ……この感覚だ!!」
そんな一方的精神口撃の中、いきなりノートを取り出してペンを手に取った茶摘はシオンの足元で爆速でメモを取り始める。
「おい、聞いてますの! 人間! だから私が言いたいのは……」
「足邪魔!!」「ふえっ!?」
ノートを踏んでやめさせようとしたシオンの足を振り払った茶摘は猛速でメモを取る。
「シオンちゃん!! 今のもう一度頼めるかな? 出来ればボイスレコーダー録音もしたいんだけど!」
スマホを取り出し、ボイスレコーダーアプリを起動させた茶摘はノート片手に問う。
「なっ、なんですの……あなた?」
「実は俺、WEB小説家なんだけど……こう、大人を馬鹿にしてからかう生意気な女の子キャラの言動が上手く決まらなくて困ってたんだ!! 見た目と言い、言動といいまさにイメージそのものだよ!」
心をへし折るか逆ギレさせて醜態をさらさせ、その証拠をお姉さまに見せつけてやろうと考えていたシオンは予想外の展開に対応できなくなる。
それから数時間後……
『イヤッフゥゥゥゥ!!』
「よっしゃ、最終ラップで無限加速アイテムGETだぜ!!」
「まずいですわ、負けません事よ!!」
昼食後、ジョイステーション5でレースゲーム3人対戦を楽しむヲタクとハーフ淫魔と天使。
(この男……思ったより手ごわかったですわ)
午前中、変態男に作品ネタにされると言う絶対に他人には言えない辱めを受けたシオン・アンジェラはゲームを楽しみつつお姉さまの甘い香りをたっぷりと吸い、魅惑的な体に甘えてメンタルを癒していく。
(でも諦めません事よ……今日はひとまずお姉さま成分をたっぷりと補充して……またリベンジしてやりますわ!!)
ネバーギブアップの天使少女、シオン・アンジェラはキアラお姉さまを変態男の精神的拘束から解放する決意を固めつつ英気を養うのであった。
【完】
(……トイレ)
真夜中に目が覚めてお手洗いに行きたくなった茶摘は枕元のスマホ懐中電灯を探す。
「ううん……うっ、ううん……あん、ああぁん」
(どうしよ、最悪のタイミングで目覚めちゃったかも……)
そんな時耳に飛び込んで来たのは同居中のハーフサキュバス・キアラが寝床にしている二股寝袋内で上げるうめくような嬌声。救急車を呼ぶべき急病かとも思われたが、これまでの経験上ハニートラップの可能性も捨てきれない……狸寝入りを決め込む茶摘は葛藤する。
「おねえ様、お姉さまぁん……ハァハア……ハァハァ」
「うっ……ああん」
明らかにキアラのものとは違う少女の声に気が付いた茶摘はすぐにスマホライトをONにしてそちらを照らす。
「いきなり何をしますの!!」
スティック掃除機を掴んで立ち上がった茶摘と寝袋上半身を起こしたキアラの前で腰を抜かしてへたってる金髪ツインテールの幼い少女。
白い半袖セーラー服上に紺ミニスカートとブーツ、頭に光輪、背中に光の羽を持つ少女はスマホ懐中電灯フラッシュを喰らわせてきた茶摘を敵意MAXで睨んでいる。
「この魔力反応は……シオンちゃん?」
「お姉さま、お目覚めになったんですね!! おはようございますですわ!!」
金髪ツインテールの少女はニコニコ笑顔でキアラにしがみつく。
「……ええと、この子はキアラの知り合いなのかな?」
「はい、そうなんですけど……シオンちゃん、私も茶摘さんもまだ眠いから日が昇るまでは寝かせてくれる?」
「わかりましたわ、お姉さま!!」
光の翼と光輪を消し、キアラの寝袋に押し入ったシオンはキアラにぴったりとくっつくや否や寝息を立てだす。
ほどなくして……朝。
「改めまして茶摘さん、この子はシオン・アンジェラ。私の父方の親戚で天使族の父母を持つ純血天使族。天界神立学院附属中学校の2年生です」
「はじめましてですわ、茶摘様! いつもキアラお姉さまがお世話になっております!!」
コーンスープと厚切リトースト、紅茶の朝ごはんをご馳走になっているシオンは弾けるような笑顔で茶摘に挨拶する。
「こちらこそはじめまして、シオンさん」
昨夜見てしまった事はさておき、茶摘は社会人として培った『和』の心で紳士的に挨拶する。
「ところでシオンちゃんは人間界に何をしに来たの?」
「もちろんお姉さまに会うためですわ!」
シオンはキアラのくびれ腰に手を回し、その美巨乳を横からすりすりする。
「あら、それは嬉しいわ!! でもね……今日の午前中はお姉ちゃん、魔界警察の打ち合わせでいなくなっちゃうんだけど、茶摘さんと仲良く出来る?」
「はい、もちろんですわ!!」
キアラになでなでされるシオンはとろっとろの目で答える。
「茶摘さん、急ですみません……姪のお相手をお願い出来ますか?」
「ああ、問題ない。漫画とかゲームで良ければ……DVDはうぅん……」
茶摘はお皿を片付け、女の子が喜びそうなゲームソフトや漫画をチョイスし始める。
「いってらっしやい、キアラお姉ちゃん!!」
「ごめんね、お昼には帰るからね!」
ラビオ刑事との打ち合わせのためS区のマンション408号室に向かってベランダから飛び立ったキアラ。それを窓から見送った茶摘とシオンはリビングに戻る。
「シオンちゃん、何がしたい?」
「下賤のモノが、図に乗るなですのよ?」
「えっ?」
いきなりの暴言に茶摘は思考が止まる。
「天界全体でも間違いなく十指に入る上級氏族の子女たるこの私がただ下賤のモノの住処を視察しに来たとでも思っていらっしゃるの?……キアラお姉さまをこんな狭くて汚い部屋に済ませて粗末なモノしか食べさせていない甲斐性なしのお前にもう我慢の限界で連れ戻すべく直談判しにきましてのよ!」
シオンの最初からフルスロットルな言葉の暴力に茶摘は黙り込んでしまう。
「そもそも聡明でお優しく、高貴な生まれのお美しき淑女のキアラお姉さまがただの人間でしかないお前のような下賤のモノと釣り合うわけがありませんわ!! 我々神族種のサンクス収入源となる次世代の人類を育むわけでもなくいい年して幼稚なアニメに下らねぇゲームに傾倒しているようなオスどころか生物種としての負け組がキアラお姉さまを独占しているなんて許しがたいですのよ!!」
「……」
「だいたいお前、お姉さまがどれほど偉大な方がわかっていますの?
今朝お姉さまに作っていただいた粗末な食べ物だって天界の神々からすれば何億サンクス払ってでも食べたいご馳走でしょうし、あの蠱惑的な美しさを永久にその作品にとどめたい芸術家に長子の正妻として一族に迎え入れたい神族に魔族は星の数よりもおりますのよ? 虫けら以下の人間の分際でそんなキアラお姉さまを独占しているお前の事を天界の神々にこっそりお知らせしようものなら……お前の如き矮小な存在、一瞬で存在事実レベルで蒸発させられますのよ?」
テーブルの上に立って腕を組んで見下ろすシオンは黙り込んでうつむいてしまった茶摘を同喝しつつ口を歪める。
「これだ……この感覚だ!!」
そんな一方的精神口撃の中、いきなりノートを取り出してペンを手に取った茶摘はシオンの足元で爆速でメモを取り始める。
「おい、聞いてますの! 人間! だから私が言いたいのは……」
「足邪魔!!」「ふえっ!?」
ノートを踏んでやめさせようとしたシオンの足を振り払った茶摘は猛速でメモを取る。
「シオンちゃん!! 今のもう一度頼めるかな? 出来ればボイスレコーダー録音もしたいんだけど!」
スマホを取り出し、ボイスレコーダーアプリを起動させた茶摘はノート片手に問う。
「なっ、なんですの……あなた?」
「実は俺、WEB小説家なんだけど……こう、大人を馬鹿にしてからかう生意気な女の子キャラの言動が上手く決まらなくて困ってたんだ!! 見た目と言い、言動といいまさにイメージそのものだよ!」
心をへし折るか逆ギレさせて醜態をさらさせ、その証拠をお姉さまに見せつけてやろうと考えていたシオンは予想外の展開に対応できなくなる。
それから数時間後……
『イヤッフゥゥゥゥ!!』
「よっしゃ、最終ラップで無限加速アイテムGETだぜ!!」
「まずいですわ、負けません事よ!!」
昼食後、ジョイステーション5でレースゲーム3人対戦を楽しむヲタクとハーフ淫魔と天使。
(この男……思ったより手ごわかったですわ)
午前中、変態男に作品ネタにされると言う絶対に他人には言えない辱めを受けたシオン・アンジェラはゲームを楽しみつつお姉さまの甘い香りをたっぷりと吸い、魅惑的な体に甘えてメンタルを癒していく。
(でも諦めません事よ……今日はひとまずお姉さま成分をたっぷりと補充して……またリベンジしてやりますわ!!)
ネバーギブアップの天使少女、シオン・アンジェラはキアラお姉さまを変態男の精神的拘束から解放する決意を固めつつ英気を養うのであった。
【完】
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