ミキちゃんちのインキュバス 2 !!

千両文士

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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第13話)】「2022年最終回!! 守屋さんちのクリスマス忘年会!」

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 12月24日、クリスマスイブの夜。都内S区某所にあるマンション508号室。
 星やキラキラボール、電飾がきらめくクリスマスツリーにその根元に置かれた番号札が付いた6箱のプレゼント。
 ポテトサラダにマカロニサラダ、分厚いローストビーフ塊と唐揚げ、薄切リフランスパンと言う豪華な洋風クリスマスディナーを和気あいあいと楽しんでいるのはちゃぶ台を囲むのは守屋美希・通称ミキちゃんと淫魔のアラン、老魔界刑事ラビオに女淫魔のイザベラさん。そしてハーフエンジェルサキュバスのキアラにヲタク会社員の茶摘のいつものメンバーである。

「そう言えばですけど、僕がここに来てミキさんと同居開始したのって今年の2月、たった10ケ月前なんですよね」
 魔界人とミキちゃん&茶摘の忘年会も兼ねたクリスマスパーテイー。
 ポテトサラダと唐揚げを楽しむアランはしみじみと回想する。
「そういえばそうですわ! 私もアラン様の気配を追って茶摘さんと出会ったのがほぼ同時期なので……本当に人間界は時間の流れが早いですわ!!」
 フランスパンにローストビーフをはさんで味わっていたキアラも指を折り数える。
「そういえばそうだったわね。でもアラン君が来てくれて……色々あったわ。
 わんこそば大会では最新テレビゲーム機をもらって中央商店街の人たちとも仲良くなれたし、お兄ちゃんやジェニファーさんのみならずお父さんやお母さんも黒猫に化けたアラン君にかこつけて何かと連絡してくるようになったし……いい意味で会社と自宅以外の繋がりが増えたわ。アラン君、本当にありがとう!!」
 サクサクジューシー唐揚げを堪能していたミキちゃんはアランに感謝する。
「私もミキさんや茶摘さんと思い出いっぱい作りましたわ!!
 ミキさん達とブティック・ツキミに行ったのはもちろんですけど、茶摘さんやアラン様と行った男の娘アイドルのサイン会では事務所連行、茶摘さんと行ったクミンプールでは怖いお姉さんに無理や脱がされて……エキサイティングな思い出ばかりですわね!!」
「あっ、うん。そうだね……」
 会社の女性上司を前に同棲中のハーフサキュバスにぶちまけられたプライベートヲタ活のあんな事やこんな事の数々。可愛らしくウィンクしてくるミニスカサンタキアラに茶摘は乾いた顔で笑う。
「あら、茶摘さんとキアラちゃんも色々あったのね!! アイドルのオトコノムスメさんってどんな方なの?」
「オトコノムスメさんではなくエリザベス女史さんは……こんな方です」
 マカロニサラダをほおばっていたアランは魔界スマホで写真特化SNSのフォトウコウを開き、お気に入り登録済みのエリザベス女史の公式アカウントをミキちゃんに見せる。
「あら、すごく美しい方ね! エリザベス女史ってお名前もエレガントだわ!」
「本当に素敵な方だわ!! 女淫魔として是非とも一度ご賞味してみたいわねぇ……」
 アランの魔界スマホでエリザベス女史のドレス写真を見たイザベラさんは冗談とは思えぬ割と本気の口調で舌なめずりする。
「イザベラ殿、美しき者を愛するお気持ちは理解できますが……ご自重なさるのですぞ?」
 淫魔としての本能丸出しのイザベラにラビオ刑事はお目付け役として釘を刺す。
「もちろんですわ、ラビオさん……愛とは対等な関係でなくてはなりませんもの!! どのような形であっても無理強いはいけませんわ!!」
 魔界追放中で謹慎の身である事を思い出したイザベラさんは慌てて取りつくろう。
「ふおふおふお、その通りじやて……さて、キアラ殿。そろそろ『ぷれぜんと』とやらを配る時間じゃな」
 ラビオ刑事は守屋家の時計を指さしつつ皆に問う。
「いいですね、皆さんそろそろお腹も良くなってきて締めのケーキ態勢に入りつつあるようですじ……プレゼント交換会に移りましょうか!!」
 そう言いつつ立ち上がったキアラが持ってきたのはくじ引きでよく見る丸い穴が開けられた段ボール箱だ。

「これは……何か変なモノが入っているのかしら?」
 人間界のバラエティー番組で体育会系お笑い芸人やアイドルが同様の箱で酷い目にあわされているのを見たイザベラさんは思わず身を引いてしまう。
「イザベラ様、ご安心ください! この中に入っているのは番号が書かれた100円ショップのカラーボールですわ。1個ずつ取って、ツリーの下にある同じ番号札のプレゼントをお取りください!」
 クリスマスパーテイーらしいわくわく企画にニコニコな大人たちは番号付きカラーボールを取りつつ箱をじゅんぐりに回し、ツリー下のプレゼントを持ってくる。

「じゃあまずは……私からね!! まあ、素晴らしいわ『もう迷わない!! お手軽簡単、今日のおかず365』だなんて、アランありがとう!!」
 長方形の薄くて硬い物を引いたイザベラさんはアランが選んだ実用的な料理本に喜びの声を上げる。
「いえ、姉さんが喜んでくれて何よりです。僕のも本みたいですけど……わぁお!!」
 小麦肌に金髪でグラマーな女の子が人差し指を口に当ててウィンクする表紙のグラビア写真集『HALF ANGEL』にアランは驚きの声を上げる。
「キアラ、いつのまにこんなハードカバーの本を出したの?」
「それは秘密ですわ、アラン様!! 特典の『肩たたき券』もお使いくださいね」
 写真撮影、編集、ハードカバー装丁、特典の準備まで全て一人でこなしたキアラはアランに微笑む。

「わしの引いたのは封筒じゃが……おお、お米券だと!?」
「それは私のですよ、ラビオさん!! ご飯は大事ですからそれにしましたの。もりもり食べて長生きしてくださいね!」
 イザベラは自身の用意したプレゼントを引いたラビオに微笑む。
「私はお菓子の詰め合わせだわ!!」「可愛いくまさん!!」
 続いてプレゼントの中身を見たミキちゃんとキアラも喜びの声を上げる。
(守屋殿に喜んでもらえて何よりじゃ!! 本当は日本刀を一振りと考えたのじゃが……人間界では銃刀法とかそういうのでダメらしいからのう。お菓子の詰め合わせにして良かったわい!!)
 ミキちゃんの引いたお菓子の詰め合わせを用意したラビオ刑事は心の中でほくそ笑む。
「茶摘さんはゲームソフトみたいですね!!」
「ああ、やりたかったから嬉しいぜ!! ありがとう」
 自身がやりたいからと言う基準でチョイスしたジョイステーション5用ソフト『SAMURAI GIRLS』を1/6の確率で引き当てた茶摘はキアラに見せる。

「さあ皆さん、締めのケーキですよ!」
 プレゼントの見せあいの中、ケーキを運んできたアランとイザベラさん。
「メリークリスマス! アンドハッピーニューイヤー!!」
「ハッピーニューイヤー!!」
 社会人になってから十年以上クリスマスもプレゼントも縁遠い生活を送って来たミキちゃん。アランとの出会いがもたらした新しい友人と共に美味しいクリスマスケーキを楽しみつつカンパイをするのであった。

【完】
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