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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第二話)】「キアラ、原点回帰! マイクロビキニと露天風呂!」
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都内T区、午後のタイガーメンマンション805号室。
『今日の日本ローカル線の旅は紅葉特集! 紅葉の秘境と露天風呂をご紹介いたします』
「あら、もうそんな季節なのねぇ……人間界の二ヶ月ってあっという間ねぇ」
午前中の家事を終え、茄でた蕎麦とそばつゆの昼食をリビングのテーブルに運んできたキアラはテレビを付け、旅行番組を選ぶ。
保護観察者であるミキお姉さまと同居を再開したアラン様。
ミキお姉さまがサキュバスクイーンに人魔転生してしまったインシデントの際、魔力と体力を吸い尽くされてミイラ死する危険を顧みずクイーンを魔力制御で押さえ込み、最悪の事態回避に貢献した実績を買われたキアラは魔界警察の協力依頼でラビオ刑事と共に有事対応人員として人間界に派遣。
人間界を去る際、『とんかつは醤油派のキアラとソース派の茶摘で意見が合わず口論になり喧嘩別れした』と記憶修正しておいた茶摘との同居を再開していた。
「ローカル線の旅かぁ……でも茶摘さんは出不精だし、多分コレではぐらかしかねないわ」
ようやく再開した平和な日々……だが満たされない何か、大事な物を忘れているような感覚を紛らわそうと蕎麦をすすりつつ魔界スマホで『ローカル線』と検索したキアラは通販サイトでヒットした電車運転シミュレーターゲームの詳細を見つつため息をつく。
『わぁ気持ちいいですねぇ! ご覧ください! これが紅葉の舞う絶景露天風呂です』
「うわぁ、きれい……んんっ?」
紅葉の降り散る大木の下、月夜の露天風呂を堪能する元アイドルのタレント。
(キアラと比べて)さほど美人でもなく、ガリガリでお胸も貧相な女の子のタオル巻き姿にキアラは何故か目が釘付けになる。
「……そうだわ! 私は茶摘さんを色気で堕とそうと決めていたんだわ!」
サキュバスの本懐と言っても過言ではない茶摘篭絡計画が頭から抜け落ちるほど忙しかったこの二ヶ月。無くしたジグソーパズルのピースを見つけたような感覚にキアラは手を打つ。
「そうと決めれば善は急げだわ……何だけど、どうしたものかしら?」
やるべき事を思い出したとは言え、すぐに妙案が出るわけもないキアラはとりあえず旅番組をテレビで流しつつ蕎麦をすする。
「まてよ……温泉、お風呂、裸、入浴、野外……そうだわ!」
バナナゲーム論法で茶摘篭絡作戦を思いついたキアラは番組の残りを録画セットし蕎麦と食器を片付ける。
それから数時間後……
「ただいまぁ……」
湿気と猛暑の夏が過ぎたとは言え、会社の激務でクタクタ帰宅した茶摘。
「お帰りなさい、茶摘さん!」
それを出迎えるのは可愛らしい笑顔のキアラだ。
「ああ、ただいま。今日は何かあった?」
「今日も平和でしたよ、茶摘さん!」
「それは何よりだよ……汗かいたからシャワー浴びて来るね」
「久ぶりにお風呂を沸かしておいたのでどうぞ!」
「おお、ありがとうキアラ! すぐに入ってくる」
思いがけぬサプライズに茶摘はスーツ上下をハンガーにかけて風呂場に向かう。
「ああ気持ちいいなぁ……」
体を洗い、湯舟に入った茶摘は安堵のロングブレスを吐く。
(キアラが帰って来てくれて本当に良かった。話し相手がいて夕食を用意してくれるなんて最高だよ……もうトンカツ如きで喧嘩は絶対にしないぞ!)
茶摘がそんな事を思いながら湯舟で体を温めていると脱衣所にキアラが駆け込んで来る。
「茶摘さん、ごめんなさい! 蓋が緩くなっていたケチャップとソースをワンピースにこぼしちゃって。すぐに脱いだんですけど最悪のタイミングで上に着るものが洗濯中で……寒いので一緒に入っていいですか?」
「えっ、えっ?」
突然の事態に茶摘は返答に詰まる。
「ごめんなさい、失礼します!」
そう言って風呂場に押し入ってきたキアラ。黒マイクロビキニ1枚と言う女淫魔の正装姿のキアラを久しぶりに見た茶摘は生物本能的に目が釘付けになる。
「……うん、どうぞ」
「すみません、じゃあお言葉に甘えて……」
(いや、キアラが風邪をひくのも困るけど……これってまずくない? もしかして……ハニートラップ仕掛けられてる?)
狭い風呂場で頭と体を洗いシャワーで全身を流す褐色金髪美女を煩悩とオスの本能的にチラ見してしまう茶摘は必死でそれらを押さえ込む。
(うふふ、今の茶摘さんはまさに下は大火事、上は大水。不意打ち大成功ですわ!)
茶摘が本能と理性の境界で葛藤する様に篭絡作戦成功を確信したキアラは密かにほくそ笑む。
(日本人のお風呂と言えば江戸時代から混浴が相場ですわ! 篭絡寸前の茶摘さんにそろそろトドメを差してあげましょう!)
「お隣失礼しますわ、茶摘さん」
クールに美しく濡れ輝く金髪をかきあげつつ湯舟に入ろうとするキアラ。無言でうつむいたまま端に寄る茶摘に勝利を確信したキアラは湯舟に魅惑的な美脚をすっと挿入する。
「あの……入れませんね」
「うん、そうだね」
『お風呂で不意打ち、茶摘ハニートラップ篭絡作戦』立案の時点で、天界の実家にいくつかある平均的な個人用バスタブ(縦横共に数メートル級)を想定していたキアラは島国日本のウサギ小屋ワンルームマンションの小さな湯舟に戸惑う。
「僕は十分あったまったし、先に夕飯の支度をしておくね!」
風呂場内のバーにかけられたバスタオルを手に取った茶摘はすぐに腰に巻き、キアラを残して脱衣所へ出て行く。
(……あと一歩だったのに、惜しい所でしたわ)
茶摘が去った後、マイクロビキニを外したキアラは基礎的な確認を怠った事を反省しつつ湯舟に身を沈める。
(でも諦めませんことよ! いつか必ず茶摘さんを私の色気で篭絡してサキュバスの本懐を果たしますわ! お母さま、アラン様。そしてミキさんも……見ていてくださいね!)
自らに課した最終目標を思い出したネバーギブアップの女淫魔、キアラ・アンジェラは原点回帰と共に母と先輩淫魔、 ミキお姉さまに宣誓するのであった。
【完】
『今日の日本ローカル線の旅は紅葉特集! 紅葉の秘境と露天風呂をご紹介いたします』
「あら、もうそんな季節なのねぇ……人間界の二ヶ月ってあっという間ねぇ」
午前中の家事を終え、茄でた蕎麦とそばつゆの昼食をリビングのテーブルに運んできたキアラはテレビを付け、旅行番組を選ぶ。
保護観察者であるミキお姉さまと同居を再開したアラン様。
ミキお姉さまがサキュバスクイーンに人魔転生してしまったインシデントの際、魔力と体力を吸い尽くされてミイラ死する危険を顧みずクイーンを魔力制御で押さえ込み、最悪の事態回避に貢献した実績を買われたキアラは魔界警察の協力依頼でラビオ刑事と共に有事対応人員として人間界に派遣。
人間界を去る際、『とんかつは醤油派のキアラとソース派の茶摘で意見が合わず口論になり喧嘩別れした』と記憶修正しておいた茶摘との同居を再開していた。
「ローカル線の旅かぁ……でも茶摘さんは出不精だし、多分コレではぐらかしかねないわ」
ようやく再開した平和な日々……だが満たされない何か、大事な物を忘れているような感覚を紛らわそうと蕎麦をすすりつつ魔界スマホで『ローカル線』と検索したキアラは通販サイトでヒットした電車運転シミュレーターゲームの詳細を見つつため息をつく。
『わぁ気持ちいいですねぇ! ご覧ください! これが紅葉の舞う絶景露天風呂です』
「うわぁ、きれい……んんっ?」
紅葉の降り散る大木の下、月夜の露天風呂を堪能する元アイドルのタレント。
(キアラと比べて)さほど美人でもなく、ガリガリでお胸も貧相な女の子のタオル巻き姿にキアラは何故か目が釘付けになる。
「……そうだわ! 私は茶摘さんを色気で堕とそうと決めていたんだわ!」
サキュバスの本懐と言っても過言ではない茶摘篭絡計画が頭から抜け落ちるほど忙しかったこの二ヶ月。無くしたジグソーパズルのピースを見つけたような感覚にキアラは手を打つ。
「そうと決めれば善は急げだわ……何だけど、どうしたものかしら?」
やるべき事を思い出したとは言え、すぐに妙案が出るわけもないキアラはとりあえず旅番組をテレビで流しつつ蕎麦をすする。
「まてよ……温泉、お風呂、裸、入浴、野外……そうだわ!」
バナナゲーム論法で茶摘篭絡作戦を思いついたキアラは番組の残りを録画セットし蕎麦と食器を片付ける。
それから数時間後……
「ただいまぁ……」
湿気と猛暑の夏が過ぎたとは言え、会社の激務でクタクタ帰宅した茶摘。
「お帰りなさい、茶摘さん!」
それを出迎えるのは可愛らしい笑顔のキアラだ。
「ああ、ただいま。今日は何かあった?」
「今日も平和でしたよ、茶摘さん!」
「それは何よりだよ……汗かいたからシャワー浴びて来るね」
「久ぶりにお風呂を沸かしておいたのでどうぞ!」
「おお、ありがとうキアラ! すぐに入ってくる」
思いがけぬサプライズに茶摘はスーツ上下をハンガーにかけて風呂場に向かう。
「ああ気持ちいいなぁ……」
体を洗い、湯舟に入った茶摘は安堵のロングブレスを吐く。
(キアラが帰って来てくれて本当に良かった。話し相手がいて夕食を用意してくれるなんて最高だよ……もうトンカツ如きで喧嘩は絶対にしないぞ!)
茶摘がそんな事を思いながら湯舟で体を温めていると脱衣所にキアラが駆け込んで来る。
「茶摘さん、ごめんなさい! 蓋が緩くなっていたケチャップとソースをワンピースにこぼしちゃって。すぐに脱いだんですけど最悪のタイミングで上に着るものが洗濯中で……寒いので一緒に入っていいですか?」
「えっ、えっ?」
突然の事態に茶摘は返答に詰まる。
「ごめんなさい、失礼します!」
そう言って風呂場に押し入ってきたキアラ。黒マイクロビキニ1枚と言う女淫魔の正装姿のキアラを久しぶりに見た茶摘は生物本能的に目が釘付けになる。
「……うん、どうぞ」
「すみません、じゃあお言葉に甘えて……」
(いや、キアラが風邪をひくのも困るけど……これってまずくない? もしかして……ハニートラップ仕掛けられてる?)
狭い風呂場で頭と体を洗いシャワーで全身を流す褐色金髪美女を煩悩とオスの本能的にチラ見してしまう茶摘は必死でそれらを押さえ込む。
(うふふ、今の茶摘さんはまさに下は大火事、上は大水。不意打ち大成功ですわ!)
茶摘が本能と理性の境界で葛藤する様に篭絡作戦成功を確信したキアラは密かにほくそ笑む。
(日本人のお風呂と言えば江戸時代から混浴が相場ですわ! 篭絡寸前の茶摘さんにそろそろトドメを差してあげましょう!)
「お隣失礼しますわ、茶摘さん」
クールに美しく濡れ輝く金髪をかきあげつつ湯舟に入ろうとするキアラ。無言でうつむいたまま端に寄る茶摘に勝利を確信したキアラは湯舟に魅惑的な美脚をすっと挿入する。
「あの……入れませんね」
「うん、そうだね」
『お風呂で不意打ち、茶摘ハニートラップ篭絡作戦』立案の時点で、天界の実家にいくつかある平均的な個人用バスタブ(縦横共に数メートル級)を想定していたキアラは島国日本のウサギ小屋ワンルームマンションの小さな湯舟に戸惑う。
「僕は十分あったまったし、先に夕飯の支度をしておくね!」
風呂場内のバーにかけられたバスタオルを手に取った茶摘はすぐに腰に巻き、キアラを残して脱衣所へ出て行く。
(……あと一歩だったのに、惜しい所でしたわ)
茶摘が去った後、マイクロビキニを外したキアラは基礎的な確認を怠った事を反省しつつ湯舟に身を沈める。
(でも諦めませんことよ! いつか必ず茶摘さんを私の色気で篭絡してサキュバスの本懐を果たしますわ! お母さま、アラン様。そしてミキさんも……見ていてくださいね!)
自らに課した最終目標を思い出したネバーギブアップの女淫魔、キアラ・アンジェラは原点回帰と共に母と先輩淫魔、 ミキお姉さまに宣誓するのであった。
【完】
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