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9.クラスメイト
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和登くんはがっくりと机に伏したわたしに、再度『歩くなよ』と念を押してから自分の教室へと向かった。
学校に連れてきてくれたことには感謝しますが、こんなに苦い選択を強要するなんて……。
和登くん…酷いです。
あら、そういえば和登くんは、わたしが学校を休んでいる間に星篠さんともう顔を合わせたのでしょうか?
わたしが教室に来た時は既に登校していましたけど、なんの反応もしていませんでしたよね? 会話とかもしないで、普通に戻っていきましたし……。
入学式当日でのイベントは阻止しましたが、次のイベントの足がかりとして、どこかで顔合わせしているはずですが……。
えっと……、確か次のイベントは来週に行われる学力テストの結果によって、左右されるっていうもののはずです。
おかしいですわね?
それまでには何かしらの行動があると思ったのですが、もしかしてこれからですかね?
とはいっても、わたしではどうにか出来る問題ではないので、今回は少し様子を見ましょう。そもそも今の足では立ち回ることは出来ませんしね。
「潮里、おはよう。いや~それにしても、朝から凄かったな~」
「……美弥ちゃん、おはようございます」
そんな事を考えていると、後ろの席から声を掛けられました。
彼女は二宮 美弥子。
二宮財閥の現会長・二宮 慎太郎の孫で、現社長・二宮 慎弥の第3子です。
有名企業のご令嬢です。
スラリとした長身の美人さんで、裏表のないすっきりした性格。
男女共に交友関係は広く、特に下級生の女の子には『お姉さま』と呼ばれて、絶大な人気を誇る方です。
そんな彼女とは中等部で3年間同じクラスで、尚かつ「なんば」と「にのみや」と出席番号が前後でも縁もあって、とても良好な関係なのです。
「相変わらず、東峰先輩は潮里に対して過保護だよなぁ~」
「そう…、ですか?」
和登くんが過保護ですか?
過保護といえば、どう考えても兄様ですよね?
「潮里~。潮里のお兄さんが重度過ぎるだけで、東峰先輩も充分過保護だからね」
えっ!? そうなんですか?
基本的には優しいとは思いますが……、時々、意地悪されますよ?
先程のあれだって、少し強引だったと思いません?
あれは過保護ではありませんよ!
「確かに。南波さんが大事にされているってことは凄く分かったよ」
「ああ、凄かった。それにあの人は、絶対に逆らっちゃいけない人種だ!」
須田くん? 瀬戸くんまで何を言っているんですか……。
まぁ、さっきはもの凄く無言の圧力を掛けていましたけどね…。
「そうそう。わかってるじゃないか! 須田と瀬戸はしっかりと任務を遂行しなよ」
「えっ!? それは是非とも運んでもらったという、口裏合わせでお願いします!」
「甘い! 甘いよ、潮里。あの東峰先輩にそんな事、通じるはずがないだろう? 絶対にバレるから。潮里が自力で歩いただなんて知れたら、…………後が怖ろしいよ?」
「うっ…」
「南波さん! お願いだから! お願いだから、俺達の為にも絶対に歩かないでね」
「俺、まだ死にたくないからな!」
そんな~。
でも確かに和登くんなら、どこから、どんな情報を手に入れているかわかりません。
わからないんですけどぉ~……。
「潮里、諦めなさい」
「………」
美弥ちゃん……他人事だと思って……。
「大丈夫。お手洗いに連れて行って貰う時は、わたしも付いていってあげるから!」
…うん、そうだね。
さすがに女子トイレに須田くんと瀬戸くんだけに連れて行かれたら、後で問題になりそうだものね…。
でも、美弥ちゃん? お手洗いしか付いてきてくれないの?
今日は科学で教室を移動するよね? あとお昼に行く食堂は?
「美弥ちゃん、あのね……」
「科学の移動とお昼は別行動ね」
一緒に来てもらうようにお願いしようとしたら、先に断られました。
「どうしてっ!?」
「えっ? それは勿論、潮里がお姫様だっこされて移動する姿を遠目で堪能するためだよ」
「!!!!?」
美弥ちゃんっ!?
遠目で堪能するって、酷くないですか!?
わたしにとっては羞恥プレイですよぉ!?
「可愛い潮里に霞まないくらいには須田も瀬戸もそれなりの見目をしているから、きっと絵になると思うんだよね~。あっ、写真撮ってもいいよね? 潮里のお兄さんや東峰先輩以外とのツーショットだなんて貴重だし! いや~恥じらう潮里とか、楽しみだなぁ~」
「………」
そうでした……。
美弥ちゃんは野次馬趣味なところがあって、他人の告白現場やベタなシチュレーションとかが大好き! で、ドラマや小説のワンシーンの様な場面があれば、喜々として観戦するような人でした!
整った容姿の両親や兄様と同じ血筋ですし、悪役令嬢として設定されるくらいですから、わたしもかなりの美人です。自分で言うのもなんですが…。
だからこそ、『わたしと兄様』や『わたしと和登くん』というのは美弥ちゃんにとっては美味しいキャストらしいんです……。
兄様なんかは喜んで美弥ちゃんに協力し、写真の焼き回しを頼んでいたりします。
「なんだろう……。この学校、極端に突き抜けている人達が多くないか?」
「だな。俺、この学校でやってけるか不安になってきた……」
「……学校の設備とか待遇とかに惹かれて受験したのが間違いだったか……」
須田くんと瀬戸くんは外部入学組でしたよね。
違いますからね? これが通常な訳ではないですからね? そんなに極端な人達ばかりではありせんからね。
……ですが、巻き込んでしまって、本当にすみません。
学校に連れてきてくれたことには感謝しますが、こんなに苦い選択を強要するなんて……。
和登くん…酷いです。
あら、そういえば和登くんは、わたしが学校を休んでいる間に星篠さんともう顔を合わせたのでしょうか?
わたしが教室に来た時は既に登校していましたけど、なんの反応もしていませんでしたよね? 会話とかもしないで、普通に戻っていきましたし……。
入学式当日でのイベントは阻止しましたが、次のイベントの足がかりとして、どこかで顔合わせしているはずですが……。
えっと……、確か次のイベントは来週に行われる学力テストの結果によって、左右されるっていうもののはずです。
おかしいですわね?
それまでには何かしらの行動があると思ったのですが、もしかしてこれからですかね?
とはいっても、わたしではどうにか出来る問題ではないので、今回は少し様子を見ましょう。そもそも今の足では立ち回ることは出来ませんしね。
「潮里、おはよう。いや~それにしても、朝から凄かったな~」
「……美弥ちゃん、おはようございます」
そんな事を考えていると、後ろの席から声を掛けられました。
彼女は二宮 美弥子。
二宮財閥の現会長・二宮 慎太郎の孫で、現社長・二宮 慎弥の第3子です。
有名企業のご令嬢です。
スラリとした長身の美人さんで、裏表のないすっきりした性格。
男女共に交友関係は広く、特に下級生の女の子には『お姉さま』と呼ばれて、絶大な人気を誇る方です。
そんな彼女とは中等部で3年間同じクラスで、尚かつ「なんば」と「にのみや」と出席番号が前後でも縁もあって、とても良好な関係なのです。
「相変わらず、東峰先輩は潮里に対して過保護だよなぁ~」
「そう…、ですか?」
和登くんが過保護ですか?
過保護といえば、どう考えても兄様ですよね?
「潮里~。潮里のお兄さんが重度過ぎるだけで、東峰先輩も充分過保護だからね」
えっ!? そうなんですか?
基本的には優しいとは思いますが……、時々、意地悪されますよ?
先程のあれだって、少し強引だったと思いません?
あれは過保護ではありませんよ!
「確かに。南波さんが大事にされているってことは凄く分かったよ」
「ああ、凄かった。それにあの人は、絶対に逆らっちゃいけない人種だ!」
須田くん? 瀬戸くんまで何を言っているんですか……。
まぁ、さっきはもの凄く無言の圧力を掛けていましたけどね…。
「そうそう。わかってるじゃないか! 須田と瀬戸はしっかりと任務を遂行しなよ」
「えっ!? それは是非とも運んでもらったという、口裏合わせでお願いします!」
「甘い! 甘いよ、潮里。あの東峰先輩にそんな事、通じるはずがないだろう? 絶対にバレるから。潮里が自力で歩いただなんて知れたら、…………後が怖ろしいよ?」
「うっ…」
「南波さん! お願いだから! お願いだから、俺達の為にも絶対に歩かないでね」
「俺、まだ死にたくないからな!」
そんな~。
でも確かに和登くんなら、どこから、どんな情報を手に入れているかわかりません。
わからないんですけどぉ~……。
「潮里、諦めなさい」
「………」
美弥ちゃん……他人事だと思って……。
「大丈夫。お手洗いに連れて行って貰う時は、わたしも付いていってあげるから!」
…うん、そうだね。
さすがに女子トイレに須田くんと瀬戸くんだけに連れて行かれたら、後で問題になりそうだものね…。
でも、美弥ちゃん? お手洗いしか付いてきてくれないの?
今日は科学で教室を移動するよね? あとお昼に行く食堂は?
「美弥ちゃん、あのね……」
「科学の移動とお昼は別行動ね」
一緒に来てもらうようにお願いしようとしたら、先に断られました。
「どうしてっ!?」
「えっ? それは勿論、潮里がお姫様だっこされて移動する姿を遠目で堪能するためだよ」
「!!!!?」
美弥ちゃんっ!?
遠目で堪能するって、酷くないですか!?
わたしにとっては羞恥プレイですよぉ!?
「可愛い潮里に霞まないくらいには須田も瀬戸もそれなりの見目をしているから、きっと絵になると思うんだよね~。あっ、写真撮ってもいいよね? 潮里のお兄さんや東峰先輩以外とのツーショットだなんて貴重だし! いや~恥じらう潮里とか、楽しみだなぁ~」
「………」
そうでした……。
美弥ちゃんは野次馬趣味なところがあって、他人の告白現場やベタなシチュレーションとかが大好き! で、ドラマや小説のワンシーンの様な場面があれば、喜々として観戦するような人でした!
整った容姿の両親や兄様と同じ血筋ですし、悪役令嬢として設定されるくらいですから、わたしもかなりの美人です。自分で言うのもなんですが…。
だからこそ、『わたしと兄様』や『わたしと和登くん』というのは美弥ちゃんにとっては美味しいキャストらしいんです……。
兄様なんかは喜んで美弥ちゃんに協力し、写真の焼き回しを頼んでいたりします。
「なんだろう……。この学校、極端に突き抜けている人達が多くないか?」
「だな。俺、この学校でやってけるか不安になってきた……」
「……学校の設備とか待遇とかに惹かれて受験したのが間違いだったか……」
須田くんと瀬戸くんは外部入学組でしたよね。
違いますからね? これが通常な訳ではないですからね? そんなに極端な人達ばかりではありせんからね。
……ですが、巻き込んでしまって、本当にすみません。
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