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本編
506.お土産話と追加
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無事に転移の魔道具とマジックバッグの貸し出し――結局マジックバッグの押しつけは、セドリックさんの強固な反対により貸し出しということに落ち着いたが、まあ……貸し出せただけ良しとして談話室へと移動した。約束通りテオドールくんとラティスくんに今回の冒険の話をするためだ。
メンバーは、僕達とセドリックさん、パトリックさん、テオドールくん、ラティスくん。領主家族との会食はゆっくりできないからと別室で食事をし終わって合流したマシューさん、ランサーさん、ユージンだ。ロレッタちゃんは眠くなってきたようで、オリヴィエさんと自室に戻った。
「これが新酒ですか~。美味しいですね」
「うわぁ~、これは僕にはキツイです」
大人達はお酒を飲み始めたのだが、ウォッカを飲んだユージンが顔をしかめていた。
「ユージン、ちょっと待ってよ」
僕はウォッカをオレンの実ジュースで割ってあげる。えっと……スクリュードライバーだったよな?
「これならどう?」
「飲みやすくなりました! これならいけます。っていうか、美味しいです!」
僕もウォッカはストレートでは無理だ。というか、ウォッカはほとんど飲んだことがない。
「あとは……これかな」
次は自家製ジンジャーエールとライネの実ジュースで割る。これは、モスコミュールだったか?
「うわっ! これは何ですか!? これ、シュワシュワしていますよ!?」
「タクミさん、私もそれを飲んでみたいです」
「あ、アレンも飲みたい!」
「エレナもシュワシュワする!」
炭酸は一般的ではないので、ユージン以外のみんなも興味津々にしている。
みんなの分のモスコミュールを用意する。もちろん、子供達はお酒じゃなくてジャムか果実水割りだ。あ、ジンジャーエールでもいいのか。
「これは凄いですね。これは何ですか?」
「炭酸水っていう水ですね。こういうシュワシュワした水が湧いている湖があるんですよ。あ、人体には無害ですからね」
「タクミさんが害になるようなものを出すとは思っていませんから、大丈夫ですよ」
……食べものに関しては信用されていると思って良いのかな?
「不思議な飲みものですね! でも、美味しいです」
「僕、好きです!」
テオドールくんとラティスくんは炭酸は大丈夫そうだ。炭酸って一定数の人が駄目だったりするんだよね~。
あ、マシューさんは駄目だったっぽい。もの凄くむせている。
「あ、アイスを載せるのもいいかもな」
「「のせる!」」
「僕も載せたいです!」
「僕も!」
バニラアイスを載せてフロートにしてもいいな~と呟くと、子供達は即座に反応したので、果実ソーダのフロートにしてあげる。
フロートと言えばコーラかメロンソーダのイメージだが、今のところどちらも作れないんだよな~。メロンソーダは、ロンの実でシロップを作ればできそうなので、今度挑戦してみよう。
「これも冒険していて見つけたんですよね!」
「「そうだよ~」」
炭酸水を見つけた湖を見つけた時の話をすると、テオドールくんとラティスくんは目をキラキラさせて話を聞いていた。
「凄いですね~」
「他には? 他にはどんなものを見つけたんですか?」
「「あっ!」」
「いいのがあるよ!」
「おみやげ!」
「「何ですか!?」」
アレンとエレナは、何かを思い出したようにはっとした様子を見せる。
「「お兄ちゃん、えだ、えだ!」」
「あ~、そういえば、お土産用に採っていたな~」
リスナー家用にと、貴石の迷宮の四種の宝石の枝をしっかり確保していたよな~。
「ちょっと待ってください! 枝って、まさか貴石の迷宮の枝ですか!?」
「「そうそう」」
「あれはお土産にしては駄目なものでしょう!?」
「「なんで?」」
「何で!? いえいえ、だって、あれは価値があるものですよ?」
「「べつにいいよねー?」」
実際に見たことのあるパトリックさんが、慌てて子供達を止める。しかし、子供達は不思議そうな顔をする。高価なものをお土産にしては駄目な理由がわからないようだ。
「ははは~、パトリックさん、子供達に勝てそうですか?」
「……」
パトリックさんは黙り込んでしまったので、僕は《無限収納》から枝を取り出して子供達に渡した。
「これだよ~」
「きれいでしょう~」
「「うわ~、凄い綺麗です」」
「「はい、どうぞ」」
「…………っ!! テオドール、ラティス! 受け取っては駄目です!」
子供達の枝の受け渡しをセドリックさんが慌てて止めるが、枝を見た瞬間、一時停止していた時間があったことで、枝はテオドールくんとラティスくんの手に渡った。
「父上、手に取って見るのも駄目だったんですか?」
「あ、もしかして素手なのが駄目なんですか?」
「……」
セドリックさんとしては、受け取ったら最後、僕達に押しつけられる……とか思っているんだよな~。まあ、その通りだけどね。
「ははっ」
「「それ、あげるね」」
僕が笑みを浮かべると、アレンとエレナがトドメの一言。
セドリックさんはがっくりと項垂れていた。
「……タクミさん、見せてくれているだけですよね?」
「遠慮なく受け取ってくださいね」
「遠慮しているわけではなく……本気で返却したいのですが……」
「見飽きたら売って構いませんよ?」
「……売れるわけないじゃないですか~。騒ぎになりますよ」
「大丈夫! 何とかなりますよ」
僕は何とかなったしね! とはいっても、それは現地だったこともあったし、クリスさんやイーサン殿が優秀だったから僕の存在が露見しなかったっていうのもあるんだよな~。
迷宮から離れたベイリーの街で宝石の枝が売りに出されたら……騒ぎになるのかな?
まあ、でもそれは予想であって、確証っていうわけではないから、騒ぎにならないかもしれない。でもまあ……セドリックさんは売らないだろうな。
「迷宮が観光名所になっているんですね~」
「僕も行ってみたいな~」
「「いっしょにいく?」」
セドリックさんが頭を悩ませている間、アレンとエレナはテオドールくんとラティスくんに貴石の迷宮の話をしてあげていたようだ。しかも、観光に誘っていた。
「……テオドール、ラティス。あれは事の大きさをわかっていませんね」
自分の息子達がのんびり? 暢気? に現地の話を聞いていたことに、セドリックさんは再び項垂れていた。子供達にとって宝石の枝はただ綺麗なものっていう感じなのかな? いや、テオドールくんくらいの年齢になれば宝石の価値はわかっているんだろうけど、目利きができるわけではないので、どのくらいの価値のものかわからないのかな? 宝石だって誰も口にしていないしな。
「セドリックさん、頑張れ!」
まあ、僕も他人事ではなくアレンとエレナに価値についての教育をしないといけないのかな~。
メンバーは、僕達とセドリックさん、パトリックさん、テオドールくん、ラティスくん。領主家族との会食はゆっくりできないからと別室で食事をし終わって合流したマシューさん、ランサーさん、ユージンだ。ロレッタちゃんは眠くなってきたようで、オリヴィエさんと自室に戻った。
「これが新酒ですか~。美味しいですね」
「うわぁ~、これは僕にはキツイです」
大人達はお酒を飲み始めたのだが、ウォッカを飲んだユージンが顔をしかめていた。
「ユージン、ちょっと待ってよ」
僕はウォッカをオレンの実ジュースで割ってあげる。えっと……スクリュードライバーだったよな?
「これならどう?」
「飲みやすくなりました! これならいけます。っていうか、美味しいです!」
僕もウォッカはストレートでは無理だ。というか、ウォッカはほとんど飲んだことがない。
「あとは……これかな」
次は自家製ジンジャーエールとライネの実ジュースで割る。これは、モスコミュールだったか?
「うわっ! これは何ですか!? これ、シュワシュワしていますよ!?」
「タクミさん、私もそれを飲んでみたいです」
「あ、アレンも飲みたい!」
「エレナもシュワシュワする!」
炭酸は一般的ではないので、ユージン以外のみんなも興味津々にしている。
みんなの分のモスコミュールを用意する。もちろん、子供達はお酒じゃなくてジャムか果実水割りだ。あ、ジンジャーエールでもいいのか。
「これは凄いですね。これは何ですか?」
「炭酸水っていう水ですね。こういうシュワシュワした水が湧いている湖があるんですよ。あ、人体には無害ですからね」
「タクミさんが害になるようなものを出すとは思っていませんから、大丈夫ですよ」
……食べものに関しては信用されていると思って良いのかな?
「不思議な飲みものですね! でも、美味しいです」
「僕、好きです!」
テオドールくんとラティスくんは炭酸は大丈夫そうだ。炭酸って一定数の人が駄目だったりするんだよね~。
あ、マシューさんは駄目だったっぽい。もの凄くむせている。
「あ、アイスを載せるのもいいかもな」
「「のせる!」」
「僕も載せたいです!」
「僕も!」
バニラアイスを載せてフロートにしてもいいな~と呟くと、子供達は即座に反応したので、果実ソーダのフロートにしてあげる。
フロートと言えばコーラかメロンソーダのイメージだが、今のところどちらも作れないんだよな~。メロンソーダは、ロンの実でシロップを作ればできそうなので、今度挑戦してみよう。
「これも冒険していて見つけたんですよね!」
「「そうだよ~」」
炭酸水を見つけた湖を見つけた時の話をすると、テオドールくんとラティスくんは目をキラキラさせて話を聞いていた。
「凄いですね~」
「他には? 他にはどんなものを見つけたんですか?」
「「あっ!」」
「いいのがあるよ!」
「おみやげ!」
「「何ですか!?」」
アレンとエレナは、何かを思い出したようにはっとした様子を見せる。
「「お兄ちゃん、えだ、えだ!」」
「あ~、そういえば、お土産用に採っていたな~」
リスナー家用にと、貴石の迷宮の四種の宝石の枝をしっかり確保していたよな~。
「ちょっと待ってください! 枝って、まさか貴石の迷宮の枝ですか!?」
「「そうそう」」
「あれはお土産にしては駄目なものでしょう!?」
「「なんで?」」
「何で!? いえいえ、だって、あれは価値があるものですよ?」
「「べつにいいよねー?」」
実際に見たことのあるパトリックさんが、慌てて子供達を止める。しかし、子供達は不思議そうな顔をする。高価なものをお土産にしては駄目な理由がわからないようだ。
「ははは~、パトリックさん、子供達に勝てそうですか?」
「……」
パトリックさんは黙り込んでしまったので、僕は《無限収納》から枝を取り出して子供達に渡した。
「これだよ~」
「きれいでしょう~」
「「うわ~、凄い綺麗です」」
「「はい、どうぞ」」
「…………っ!! テオドール、ラティス! 受け取っては駄目です!」
子供達の枝の受け渡しをセドリックさんが慌てて止めるが、枝を見た瞬間、一時停止していた時間があったことで、枝はテオドールくんとラティスくんの手に渡った。
「父上、手に取って見るのも駄目だったんですか?」
「あ、もしかして素手なのが駄目なんですか?」
「……」
セドリックさんとしては、受け取ったら最後、僕達に押しつけられる……とか思っているんだよな~。まあ、その通りだけどね。
「ははっ」
「「それ、あげるね」」
僕が笑みを浮かべると、アレンとエレナがトドメの一言。
セドリックさんはがっくりと項垂れていた。
「……タクミさん、見せてくれているだけですよね?」
「遠慮なく受け取ってくださいね」
「遠慮しているわけではなく……本気で返却したいのですが……」
「見飽きたら売って構いませんよ?」
「……売れるわけないじゃないですか~。騒ぎになりますよ」
「大丈夫! 何とかなりますよ」
僕は何とかなったしね! とはいっても、それは現地だったこともあったし、クリスさんやイーサン殿が優秀だったから僕の存在が露見しなかったっていうのもあるんだよな~。
迷宮から離れたベイリーの街で宝石の枝が売りに出されたら……騒ぎになるのかな?
まあ、でもそれは予想であって、確証っていうわけではないから、騒ぎにならないかもしれない。でもまあ……セドリックさんは売らないだろうな。
「迷宮が観光名所になっているんですね~」
「僕も行ってみたいな~」
「「いっしょにいく?」」
セドリックさんが頭を悩ませている間、アレンとエレナはテオドールくんとラティスくんに貴石の迷宮の話をしてあげていたようだ。しかも、観光に誘っていた。
「……テオドール、ラティス。あれは事の大きさをわかっていませんね」
自分の息子達がのんびり? 暢気? に現地の話を聞いていたことに、セドリックさんは再び項垂れていた。子供達にとって宝石の枝はただ綺麗なものっていう感じなのかな? いや、テオドールくんくらいの年齢になれば宝石の価値はわかっているんだろうけど、目利きができるわけではないので、どのくらいの価値のものかわからないのかな? 宝石だって誰も口にしていないしな。
「セドリックさん、頑張れ!」
まあ、僕も他人事ではなくアレンとエレナに価値についての教育をしないといけないのかな~。
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