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17巻
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しおりを挟む第一章 迷宮へ行こう。続々・貴石編
僕は茅野巧。エーテルディアという世界の神様の一人、風神シルフィリールが起こしたうっかり事故で死んでしまった元日本人だ。
僕を死なせてしまったことに責任を感じたシルフィリール――シルがエーテルディアに転生させてくれたのだが……僕が最初にいたのは危険な森の中だった。
しかも、そこで双子の子供を保護した。後にその子達は水神様の子供だということが判明したが、今は僕の弟妹として一緒に暮らしている。
三人で冒険者としていろいろな国、街を訪れ、冒険者生活を楽しんでいる僕達は、今はレギルス帝国にある上級迷宮の攻略に勤しんでいた。
「「こんどはみどりだ!」」
一日だけ休養を取った翌日、僕達は再び『貴石の迷宮』に来ていた。
すると、一階層の森がエメラルドの森に変化しているではないか!
この迷宮の一階層は、木から地面まで宝石でできた森になっていて、定期的にダイヤモンド、サファイア、ルビー、エメラルドに変わる仕組みだ。いつ変わるか、何の宝石になるのかはランダム。完全に運任せなんだけどね。
ちなみに、魔物が出ないこともあって観光地になっている。
「運が良すぎないか?」
「タクミ、細かいことは気にするでない」
「「きにしな~い」」
アレン、エレナ、仮で従魔契約しているリヴァイアサンのカイザーは当たり前のように人のいない方向へと進んでいき、周囲に人がいないのを確認するとポキポキ枝を折っていく。通常の力ではびくともしないはずなのだが……簡単そうだ。
これで三種類目の枝を手に入れた。
あと採っていないのは、最初に見たダイヤモンドの枝だ。あの時は枝を採るっていうことを考えていなかったからな~。あの時採っていれば、この時点で全種類揃ったんだな。
「ディルも一緒に連れて来れば良かったか?」
カイザーが名前を挙げたのは、前回の迷宮攻略で同行してくれていた冒険者だ。
「あ~……僕達と行動するっていうディルさんの依頼は終了してるし、今度はまた違う依頼の予定も入っているからな~。一緒に来てもらうのは難しかったんじゃないか?」
僕達が多くの冒険者と遭遇し、絡まれそうな階層を突破したので、晴れてディルさんの役目は終了した。
だが彼は、今度は一階層で枝の欠片を手に入れるという依頼が舞い込んでいた。たぶん、これから忙しくなることだろう。
「さて、枝は確保したし、転移装置で移動しようか」
「「はーい!」」
「うむ」
というわけで、僕達は一階層をさくさく進み、一階層と二階層の間にある転移装置から、十一階層と十二階層の間の転移装置へと移動した。
そして、転移装置の間には誰もいなかったので、そこでフェンリルのジュール、飛天虎のフィート、サンダーホークのボルト、スカーレットキングレオのベクトル、フォレストラットのマイル、グリフォンのラジアンを呼び出した。
《あっ、転移装置! 約束通り迷宮だね!》
《わ~い。迷宮だ~》
《わ~い》
ジュールがすぐに転移装置に気がついて場所を特定すると、ベクトルとラジアンが転移装置の周りをくるくると回り出す。
ベクトルは契約獣の中では一番年上のはずなのだが……ラジアンと同い年のようだ。
《兄様、ここは『貴石の迷宮』でいいのかしら?》
「うん、そうだよ。そこの十二階層に行くところだ」
《どんな迷宮なのか楽しみなの!》
《兄上、早く行きましょう》
みんなわくわくしている様子だったので、僕達はすぐに十二階層へと移動した。
「「あかだ!」」
「なるほど、こうくるのか」
十二階層は、十一階層と色違い。全体が赤い岩の坑道だった。
《あれ? ここは『色彩の迷宮』?》
「いや、間違いなく『貴石の迷宮』だよ」
やっぱり『色彩の迷宮』に似ていると思うんだな~。
「「あっ! きた!」」
《え、何あれ!》
「ソルジャーアントだな」
《あらまあ~》
《黒くないよ!?》
真っ赤なソルジャーアントが現れると、アレンとエレナが倒すために嬉々として駆けていく。
ジュール達は本来の色ではないソルジャーアントを見て驚いていた。色違いは初めて見たようだな。
「十一階層は緑の坑道で、そこでは緑のソルジャーアントが出たよ」
《えぇ!? やっぱりここって『色彩の迷宮』じゃないの?》
「ははは~、違う違う」
ジュールはどうしてもここを『色彩の迷宮』にしたいようだ。でも、気持ちはわかる。
「ありみつ~」
「いっぱいあったよ~」
ドロップアイテムはやはり蟻蜜で、今度は赤色だった。
「やっぱり赤かったか~」
「「うん、あかだった!」」
《え、蜂蜜?》
「いや、蟻の蜜。まあ、蜂蜜みたいな甘いものだな」
《わ~、それも初めて聞いた~》
《私も初めて見たわ~》
ジュールとフィートは子供達が持ち帰った蟻蜜の瓶をまじまじと見つめていた。
迷宮の外でアント系の魔物に出会ったことはないが、そっちでは蟻蜜は手に入らないのかな? あ、でも、蜂の巣みたいに発見すれば手に入るわけじゃないから、やはり珍しいものなのか。
《兄上、この蟻蜜は兄上が作る甘味に使えるんですか?》
「うん、もちろん使えるよ」
《よし、いっぱい集めるぞ!》
《なになにー?》
《兄ちゃんに美味しいものを作ってもらうために、蟻蜜っていうものをいっぱい集めるんだよ》
《おぉ~、ラジアンもあつめる~》
ボルトがお菓子作りに使えるか確認すると、ベクトルとラジアンがわかりやすく張り切り出した。
「ラジアンはちょっと心配だから、誰か一緒に行動して!」
ソルジャーアントはロックアントの上位種なので、アレンとエレナにも物理でなく魔法で倒すように指示している。なので、ラジアンが突撃していくのだけは止めておく。
《兄様、大丈夫よ。私が見ているわ》
「フィート、お願いな」
フィートが見ていてくれるなら安心だ。
《あ、あかいのきたよ~》
《あらあら》
早速、ソルジャーアントを見つけたラジアンが走っていき、その後をフィートが追いかけていった。
……ラジアンって、戦闘狂になりつつあるのかな? それとも魔物本来の性分か?
悩むところである。
「……我の出番がないな」
ラジアンの成長具合を悩んでいると、カイザーが出遅れた……とばかりに僕の横に来る。
少しだけしょんぼりしている様子だ。
「これだけ戦力がいたら仕方がないね。僕なんて最近、めっきり魔物と対峙しなくなったよ」
特に進んで戦いたいというわけではないが、やはり何となく気になってしまう。
「カイザーは熟練者なんだから、みんなの戦いを見て助言してあげてよ。より良くなるようにさ」
「うむ、心得た」
「ああ、でも、カイザーは人型での戦闘は不慣れだから、それを考慮してよ」
「……うむ、まだいまいち手加減の具合がわからぬからな~。タクミ達といるためだ、努力しよう」
今はまだ他人と接する機会が少ないので問題は起きていないが、街中で家を破壊したとか、人とぶつかって骨を折った……なんてことは絶対に避けたいからな。
というか、カイザーっていつまで一緒にいるんだろう? ちょっと遊びに来た……という感じだと僕は思っていたが、わりとずるずると一緒にいるよな~。まあ、一緒にいるのが嫌っていうわけではないし、「いつまでいるの?」なんてことは僕が迷惑がっているみたいなので聞かないけどな。
「おにぃちゃん! ありみつ、いっぱいだよ!」
「あとね、あとね! あかくないのもあったの!」
アレンとエレナが蟻蜜を大量に抱えて戻ってきたのだが、蟻蜜の中には赤くない通常の黄金色の蟻蜜もあったようだ。
「いっぱい集めたな~。これ、使い切れるかな?」
「「だいじょうぶ! あまいのだいすき!」」
「食べるだけじゃなくて、おやつを作るのも手伝ってよ」
「「うん、てつだうよ!」」
そういえば、そろそろおやつの作り溜めをしようと思っていたけど、しないまま迷宮に来ちゃったな~。まあ、まだ《無限収納》には作り置きはあるし、大丈夫か。
「さてと、ここら辺の魔物は一掃したし、先に進もうか」
「「うん!」」
◇ ◇ ◇
十二階層をたっぷりと堪能した僕達は、十三階層へとやって来た。
「「あお~」」
今度は青い岩の坑道だった。
「なるほど。そうなると、次の階層は白……というか透明の坑道かな?」
「「なんで?」」
「一階層の森と同じ色かな~と思ってね。一階層の森は、緑、赤、青、透明だっただろう?」
「「おぉ~」」
何となくだが、この迷宮は一階層で見られる四色で成り立っているのではないかと思っている。
「はやくいって、たしかめよう!」
「きっと、とうめいだね!」
アレンとエレナが次の階層が気になるようで、さくさく十三階層を進もうとする。
「青の蟻蜜は集めないのか?」
「「……あつめる」」
たぶんこの階層でも現れるだろう青いソルジャーアントのドロップアイテムのことを言うと、二人はすぐに意見を翻した。
《アレン、エレナ、早速来たよ~》
「「たおす! ――《ウォーターブレード》」」
ジュールの呼びかけに、子供達は即座に魔法を放つ。
「「あおのありみつあったよ~」」
そして、お目当ての青の蟻蜜を手に入れていた。
「えっと……じゃあ、もう十四階層に行くかい?」
「まだダメ~」
「もっとあつめてからね~」
やはり瓶にして数個程度の蟻蜜では満足しなかったので、この階層でも蟻狩りを堪能してから十四階層を目指した。
◇ ◇ ◇
「「おぉ~」」
「やっぱり透明だったな~」
十四階層は思っていた通り、透明の坑道だった。まあ、透明と言っても透き通ったものでなく、少し濁った感じだけどな。
「透明の石か」
「「つかえる?」」
「ん~、使えるかどうかはわからないけど、珍しいものではあるな」
「「じゃあ、おみやげにする~」」
とりあえず、珍しいものなので、少しだけ採掘して回収しておくことにする。
もしかしたら、何かの使い道があるかもしれないしな。
《うわっ!》
「何だ? どうした?」
そこそこの石を手に入れ、本格的に十四階層を攻略しようと歩き始めると、突然、ベクトルが叫び声を上げた。驚いてそちらを見ると、ベクトルが地面に蹲っているではないか。
《穴に落ちた~》
「穴?」
《そう、穴。地面がへこんでいたんだけど、全然気づかなかった~》
ベクトルの言葉を聞いてから改めてよく周囲を見てみると、確かに少しへこんでいたり、逆に盛り上がっていたりする場所があった。
「他の階層みたいにボコボコしている場所が普通にあるけど、透明だから気づきづらいってことか。……危ないな」
普通に歩くだけでも油断したら転びかねない階層のようだ。
「みんな、走るのは禁止な」
「「《《《《《 《はーい》 》》》》》」」
「うむ」
とりあえず、危険なのでゆっくり歩くことにする。
「あ、嫌な予感がするんだけど……この階層、透明の魔物が出たりするのかな?」
「「「あ!」」」
見えない敵とか、危険すぎる。
「「なんかきそう~」」
「え、本当? もう見える範囲?」
「まだ~」
「これから~」
そんなことを考えていると、早速アレンとエレナの【気配感知】に何かが引っ掛かったらしい。
「「きた!」」
《白いソルジャーアントだね!》
「良かった。あれなら見えるね」
ほどなくして現れたのは、透明ではなく真っ白のソルジャーアントだった。見えない魔物に奇襲されなくて良かったよ。
「「《ウォーターブレード》」」
アレンとエレナはすかさず魔法を繰り出して、ソルジャーアントを倒すと、ドロップアイテムを走って拾いに行こうとする。
「走ったら駄目だって」
「「そうだった~」」
ドロップアイテムに向かって走るのはもう癖になっているようで、無意識だった模様。
「ありみつ、しろ~い」
「こっちのは、とうめい」
「え、両方あるのか?」
歩いてドロップアイテムを拾いに行くと、そこには二種類の蟻蜜があった。
「「りょうほうあるね~」」
「へぇ~。あ、うん、両方とも蟻蜜だね」
「「やったー」」
【鑑定】で確かめてみたが、両方ともしっかりと蟻蜜で、見た目は練乳とガムシロップだ。
「この二つは普通に使いやすそうだね」
「「そうなの?」」
「冷たい飲みものを甘くしたい時とか、いろいろとね」
「「いっぱいあつめる!」」
アイスコーヒーを甘くしたい時とかにとても良さそうだ。
今までもガムシロップっぽい蜜液というものがあったが、あれは甘味が薄くて少し水っぽいので、飲みものに入れるには使いづらかったのだ。
白いほうもミルク系の飲みもので使えるだろう。
あ、緑、赤、青の蟻蜜もかき氷のシロップとしては使えそうな気がする。今度、試してみよう。
《うわっ!》
「ラジアン!?」
再び蟻蜜集めを始めようとした時、今度はラジアンの叫び声が聞こえた。
慌ててラジアンのほうを見ると、壁にペット用の扉みたいなものがあり、パタパタと揺れていた。しかも、ラジアンの姿がないではないか!
「「ラジアン!」」
「ちょっと! アレンとエレナまで! 何で無警戒で飛び込むのさ!」
しかも、ラジアンの後を追うようにアレンとエレナもその扉に飛び込んでしまった。
僕は慌てて扉を開いて覗いてみると、扉の向こう側は滑り台のようになっていて、半地下らしき小部屋になっていた。
「アレン、エレナ、ラジアン、大丈夫か!?」
「「だいじょうぶ!」」
《だいじょうぶだよ~》
とりあえず元気そうな返事があったので、怪我などはしていないようだ。
だが、扉は僕が通るには少し小さめなので、後を追いかけることができない。
《お兄ちゃん、ボクも追いかけるよ》
《兄様、私も》
「そうだな、お願い」
《わかった》
《わかったわ》
小さくなったジュールとフィートなら扉を潜れるので、子供達を追って下へ滑り降りてもらう。
《むむ? ……オレは通れなそう》
「……無理して行かなくていいから」
ベクトルも扉を潜ろうとしていたが、小さくなっても通らなそうなので、嵌まって抜けなくなる前に止めておく。
……嵌まってしまうと、僕も下の様子を確認できなくなってしまうからな。
「おーい。戻ってこられそうか?」
《お兄ちゃん、ちょっと待ってね。アレンとエレナが興味津々に部屋を調べ始めちゃったから》
戻ってくるように声を掛けると、ジュールから待ったがかかった。
《何かあったんでしょうか?》
《きっとお宝があるの!》
ボルトとマイルならこの扉を潜れるが、二匹はあえてここに残ってくれているようだ。
「ふむ……まあ、魔物の気配はないようなので、問題はないのではないか?」
「魔物はいなくても、罠はあるかもしれないからな~」
「なるほど、その心配があるのか。どれ、我も下に行ってこよう」
カイザーはヘビ化すると、するすると降りていった。
「……自分で行けないのがもどかしい」
子供達が心配だが、何もできないのが微妙に嫌だった。
「「《ただいま~》」」
しばらくしてから、ようやく子供達が小部屋から戻ってきた。
「お帰り。ラジアン、怪我はないね」
《ないよ~。でも、びっくりした~》
「そうだな、急に落ちたらびっくりするよな。今度からは周りにも気を遣おうな」
《は~い》
ラジアンが落ちたのは事故だが、これを機に周囲への警戒も覚えてもらいたい。
「で、アレン、エレナ。罠があったら困るんだから、調べずに飛び込んだら駄目だぞ」
そして、アレンとエレナには少しばかり説教だ!
「「ラジアン、ひとりになっちゃう」」
「それは確かに可哀想だけど、確認をしないでアレンとエレナに何かあったほうがラジアンは悲しむと思うぞ」
「「むむむっ」」
アレンとエレナは僕が言った言葉について、眉間に皺を寄せながら真剣に考えている。
「もちろん、僕も悲しくなる」
「「……うにゅ~」」
トドメ、とばかりに僕の気持ちも伝えると、二人はへにゃりと泣きそうな顔をする。
「「……きをつける」」
説教というか泣き落としに近かったが、子供達の反省を促せたようだ。
「それじゃあ、反省はここまで! ――ところで、下の部屋からすぐに戻ってこなかったのは、何でなんだ?」
「「うにゅ……たからばこ……」」
「え、宝箱があったのか? ちょっと待って、もしかして開けた!?」
「「みゅ!」」
罠があったらどうするんだ! と、もう一度怒る必要があるのか即座に確認する。
《あ、お兄ちゃん、罠がないかどうかはカイザーに確かめてもらったよ》
「うむ、問題なかったぞ」
「あ、そうか。カイザーは【鑑定】が使えたね」
しっかり者のジュールとフィートが、ちゃんと確認してくれたようだ。
説教まがいなことは続けてやりたくないので、助かったよ。
《アレンちゃん、エレナちゃん、兄様は心配しているだけで怒っているわけじゃないから、宝箱に何が入っていたか教えましょう》
僕が驚いて大きい声を出したので、アレンとエレナは萎縮していたようだ。それをフィートが宥めてくれている。
……微妙にへこむ。やはり、僕は怒ることは苦手だな。
「大きい声を出してごめんな。それで、宝箱には何があったんだ? 教えてくれるか?」
「「あのね、あのね!」」
アレンとエレナを撫でながら宥めると、何とか子供達の気持ちを浮上させることができたようだ。
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