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本編
493.クリスさん
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「さてと、少し予定は狂ったけど、そろそろ冒険者ギルドに行くか」
「「は~い」」
「うむ」
気を取り直して、僕達は冒険者ギルドに向かった。
そして、クリスさんに面会を申し込んでみると、すぐに会うことができた。
「何てことだ!? みんな、帰ってしまうのか!?」
「え、ええ」
本日は男性姿のクリスさんが、僕達の報告を聞くと大袈裟なくらい驚いていた。
「い、いつだい?」
「船が確保できしだいってところですね」
「じゃあ、もう迷宮には行かないってことかい?」
「そうですね」
「そ、そんなぁ……」
クリスさんはもの凄く残念そうな表情をしている。
僕達は一階層の枝を売ったが、貴石の迷宮で手に入る他のドロップアイテムはそこまで売ってはいないんだよな~。なので、そこまで残念がられるとは思わなかった。
「「クリスちゃん、だいじょうぶ?」」
「大丈夫ではないよ! みんながいなくなるなんて……私の癒しが~~~」
「「いやし?」」
「もちろん、あなた達二人のことよ。冒険者なんてむさ苦しいのが多いから、あなた達に会うといつも癒されていたんだよ~」
冒険者の大部分が男性で、まあ……その中にはガサツな者はそこそこいるだろう。なので、彼らでは和めないのは確かだ。
「「よしよし」」
子供達はテーブルに伏せるクリスさんの両脇に行くと、宥めるように頭を撫でる。
まあ、クリスさんは本当に泣いていないとは思うけどな。
「もう! 良い子達! 二人だけでも残らない?」
「「や~」」
「そうだよね、お兄ちゃんと離れることなんてしないよな」
「「うん! おにぃちゃんといっしょ!」」
今度はクリスさんが子供達の頭を撫でる。
「はぁ~、残念だ。そうそう、答えれないことなら答えなくてもいいんだけど、攻略を切り上げるのは、期限的な感じ? それとも満足するところまで攻略が進んだからかな?」
「おじいさまにあいたい!」
「おばあさまにあいたい!」
「「から?」」
帰る理由として〝これ!〟というものはない。しいて言えば、パトリックさん達を拘束するのに気が引けたからなんだよな~。まあ、これはクリスさんには伝えないけどな。
あとはまあ、子供達の言うように、あまり長い期間離れていると、家族が心配するからというものはあるよな~。
「そうか、家族か~。それは大事だよな。なら、引き留められないな~」
「「ひきとめないで?」」
「うっ! そんな、首を傾げながら言うなんて……可愛すぎるわよ!」
「……」
何だろう……クリスさんのテンションが少しおかしくないか? これは気にしたら負けなのか?
「ああ、そういえば、最後に行った迷宮では、何階層まで攻略したんだい?」
「「三十二かいそう~」」
「三十二っ!? 本当に君達は規格外だよね~」
「「そうなの~。すごいでしょう~」」
「凄いわよ! しかも、そうやって笑って自慢気にできるのが、清々しいくらいよ!?」
……クリスさん、今は男性の格好なのに、時々女性姿の時の話し方が出ちゃっているな~。でも、突っ込んではいけない。
「二十階層後半からは魔物の模型のようなものがドロップしたわよね?」
「そうなの!」
「いっぱいあつめたの!」
「い、いっぱい!? あれは確か、なかなか手に入れられないもののはずなんだけど……そうか、いっぱいか~」
クリスさんは頭が痛い、とばかりに眉間をぐりぐりと揉み解していた。
「あ~……もし、いらないようなら売ってちょうだい……って言おうと思ったんだけど、様子を見る限り精力的に集めたってことかしら?」
「「そうだよ?」」
「それなら、売ってもらえないわよね~。あれ、かなり蒐集する人が多くて、依頼品としてそこそこの高値がついているのよね~……」
クリスさん、時々じゃなくて完全に女性用の言葉遣いになったな。
「あの人形って、やっぱり人気なんですか?」
「そうよ。素材は宝石ではないけど透明感があってなかなか綺麗ですし、作りは精巧でしょう?」
「確かに、なかなかなものですよね。僕達も集めましたから、他の人の気持ちはわかります」
やはり僕達のような収集癖を発揮する人はいるようだ。
「アレン、エレナ、カイザー、同じものは売ってもいいかい?」
いくつか重複で手に入っている樹脂人形もあるので、僕としてはそれは手放してもいいと思った。
「おなじの」
「あったかな?」
「それほど多くはないけど、何個かはあったな」
「「それならいいよ!」」
「うむ、我も構わぬよ」
子供達の了承を得たので、重複している人形は売ってしまうことにした。
その時、クリスさんが僕達がどんな人形を手に入れたかを知りたがっていたので、全部の人形を《無限収納》から取り出してみた。一度に全部の人形を取り出したのはこの時が初めてで、自分が思っていたよりも大量にあって驚いたよ。クリスさんに至っては、絶句していた。
「あなた達……本当に規格外ね」
「ははは~」
僕は笑って返すしかなかったが、子供達とカイザーは一切気にせずに重複している人形を探してくれていたので、滞りなく人形の売却を行った。
「……本当に帰っちゃうのね」
「だいじょうぶだよ!」
「またくるからね!」
「絶対にまた来てよ」
「「うん、ぜったいね」」
クリスさんとの最後の挨拶を済ませ、会うことができなかったディルさんに伝言を残すと、次は迷宮管理本部へと向かうことにした。
「そういえば、カイザーはこれからどうする? まだまだ一緒にいれそう?」
道中、カイザーの今後について聞いていないことに気がついて尋ねてみた。
「我はそうさな、船旅は楽しそうなので、一緒にガディア国へは向かう。だが、その後は一旦、海に戻るつもりでおる」
「そっか」
「「……うぅ~」」
カイザーがガディア国に戻ると別れると聞いて、アレンとエレナはわかりやすく泣きそうな顔になった。
「子らよ、そんな悲しそうな顔をしなくとも、またすぐに合流するぞ」
「「……ほんとう?」」
「無論だとも。我はタクミと子らと一緒に旅をするのを気に入っておるからな。次はどこへ行くのか今から楽しみにしておる」
「アレンもたのしみ」
「エレナもいっしょ」
「うむ、子らが里帰りしている間、我も巣の確認やら縄張りの見回りを済ませてしまう。放っておくと、馬鹿な者が調子に乗るからの。それが終わり次第また合流するさ」
カイザーの巣がどんな場所かはしらないが、数百年単位で集めたお宝はゴロゴロしていそうだ。それが離れているうちになくなっていたら……僕なら絶望するかも。
「じゃあ、用事が済んだら念話で連絡して。たぶん、王都で少し休んだらまたどこかに出かけていると思うからさ」
「うむ、了解した」
まだ今は夏真っ只中という時期だ。ガディア国の王都でゆっくり過ごすのは、冬の年越しという感じになっているので、もうひと旅に出かけることだろう。
まあ、まだどこに行くとは決めていないけどね。
「アレン、エレナ、二人も次はどこに行くか考えておいてね」
「「わかった~」」
僕も次に行く場所候補を考えておこう。
==========
徐々にアイテムが出始めましたよ~。
よろしくお願いします!
「「は~い」」
「うむ」
気を取り直して、僕達は冒険者ギルドに向かった。
そして、クリスさんに面会を申し込んでみると、すぐに会うことができた。
「何てことだ!? みんな、帰ってしまうのか!?」
「え、ええ」
本日は男性姿のクリスさんが、僕達の報告を聞くと大袈裟なくらい驚いていた。
「い、いつだい?」
「船が確保できしだいってところですね」
「じゃあ、もう迷宮には行かないってことかい?」
「そうですね」
「そ、そんなぁ……」
クリスさんはもの凄く残念そうな表情をしている。
僕達は一階層の枝を売ったが、貴石の迷宮で手に入る他のドロップアイテムはそこまで売ってはいないんだよな~。なので、そこまで残念がられるとは思わなかった。
「「クリスちゃん、だいじょうぶ?」」
「大丈夫ではないよ! みんながいなくなるなんて……私の癒しが~~~」
「「いやし?」」
「もちろん、あなた達二人のことよ。冒険者なんてむさ苦しいのが多いから、あなた達に会うといつも癒されていたんだよ~」
冒険者の大部分が男性で、まあ……その中にはガサツな者はそこそこいるだろう。なので、彼らでは和めないのは確かだ。
「「よしよし」」
子供達はテーブルに伏せるクリスさんの両脇に行くと、宥めるように頭を撫でる。
まあ、クリスさんは本当に泣いていないとは思うけどな。
「もう! 良い子達! 二人だけでも残らない?」
「「や~」」
「そうだよね、お兄ちゃんと離れることなんてしないよな」
「「うん! おにぃちゃんといっしょ!」」
今度はクリスさんが子供達の頭を撫でる。
「はぁ~、残念だ。そうそう、答えれないことなら答えなくてもいいんだけど、攻略を切り上げるのは、期限的な感じ? それとも満足するところまで攻略が進んだからかな?」
「おじいさまにあいたい!」
「おばあさまにあいたい!」
「「から?」」
帰る理由として〝これ!〟というものはない。しいて言えば、パトリックさん達を拘束するのに気が引けたからなんだよな~。まあ、これはクリスさんには伝えないけどな。
あとはまあ、子供達の言うように、あまり長い期間離れていると、家族が心配するからというものはあるよな~。
「そうか、家族か~。それは大事だよな。なら、引き留められないな~」
「「ひきとめないで?」」
「うっ! そんな、首を傾げながら言うなんて……可愛すぎるわよ!」
「……」
何だろう……クリスさんのテンションが少しおかしくないか? これは気にしたら負けなのか?
「ああ、そういえば、最後に行った迷宮では、何階層まで攻略したんだい?」
「「三十二かいそう~」」
「三十二っ!? 本当に君達は規格外だよね~」
「「そうなの~。すごいでしょう~」」
「凄いわよ! しかも、そうやって笑って自慢気にできるのが、清々しいくらいよ!?」
……クリスさん、今は男性の格好なのに、時々女性姿の時の話し方が出ちゃっているな~。でも、突っ込んではいけない。
「二十階層後半からは魔物の模型のようなものがドロップしたわよね?」
「そうなの!」
「いっぱいあつめたの!」
「い、いっぱい!? あれは確か、なかなか手に入れられないもののはずなんだけど……そうか、いっぱいか~」
クリスさんは頭が痛い、とばかりに眉間をぐりぐりと揉み解していた。
「あ~……もし、いらないようなら売ってちょうだい……って言おうと思ったんだけど、様子を見る限り精力的に集めたってことかしら?」
「「そうだよ?」」
「それなら、売ってもらえないわよね~。あれ、かなり蒐集する人が多くて、依頼品としてそこそこの高値がついているのよね~……」
クリスさん、時々じゃなくて完全に女性用の言葉遣いになったな。
「あの人形って、やっぱり人気なんですか?」
「そうよ。素材は宝石ではないけど透明感があってなかなか綺麗ですし、作りは精巧でしょう?」
「確かに、なかなかなものですよね。僕達も集めましたから、他の人の気持ちはわかります」
やはり僕達のような収集癖を発揮する人はいるようだ。
「アレン、エレナ、カイザー、同じものは売ってもいいかい?」
いくつか重複で手に入っている樹脂人形もあるので、僕としてはそれは手放してもいいと思った。
「おなじの」
「あったかな?」
「それほど多くはないけど、何個かはあったな」
「「それならいいよ!」」
「うむ、我も構わぬよ」
子供達の了承を得たので、重複している人形は売ってしまうことにした。
その時、クリスさんが僕達がどんな人形を手に入れたかを知りたがっていたので、全部の人形を《無限収納》から取り出してみた。一度に全部の人形を取り出したのはこの時が初めてで、自分が思っていたよりも大量にあって驚いたよ。クリスさんに至っては、絶句していた。
「あなた達……本当に規格外ね」
「ははは~」
僕は笑って返すしかなかったが、子供達とカイザーは一切気にせずに重複している人形を探してくれていたので、滞りなく人形の売却を行った。
「……本当に帰っちゃうのね」
「だいじょうぶだよ!」
「またくるからね!」
「絶対にまた来てよ」
「「うん、ぜったいね」」
クリスさんとの最後の挨拶を済ませ、会うことができなかったディルさんに伝言を残すと、次は迷宮管理本部へと向かうことにした。
「そういえば、カイザーはこれからどうする? まだまだ一緒にいれそう?」
道中、カイザーの今後について聞いていないことに気がついて尋ねてみた。
「我はそうさな、船旅は楽しそうなので、一緒にガディア国へは向かう。だが、その後は一旦、海に戻るつもりでおる」
「そっか」
「「……うぅ~」」
カイザーがガディア国に戻ると別れると聞いて、アレンとエレナはわかりやすく泣きそうな顔になった。
「子らよ、そんな悲しそうな顔をしなくとも、またすぐに合流するぞ」
「「……ほんとう?」」
「無論だとも。我はタクミと子らと一緒に旅をするのを気に入っておるからな。次はどこへ行くのか今から楽しみにしておる」
「アレンもたのしみ」
「エレナもいっしょ」
「うむ、子らが里帰りしている間、我も巣の確認やら縄張りの見回りを済ませてしまう。放っておくと、馬鹿な者が調子に乗るからの。それが終わり次第また合流するさ」
カイザーの巣がどんな場所かはしらないが、数百年単位で集めたお宝はゴロゴロしていそうだ。それが離れているうちになくなっていたら……僕なら絶望するかも。
「じゃあ、用事が済んだら念話で連絡して。たぶん、王都で少し休んだらまたどこかに出かけていると思うからさ」
「うむ、了解した」
まだ今は夏真っ只中という時期だ。ガディア国の王都でゆっくり過ごすのは、冬の年越しという感じになっているので、もうひと旅に出かけることだろう。
まあ、まだどこに行くとは決めていないけどね。
「アレン、エレナ、二人も次はどこに行くか考えておいてね」
「「わかった~」」
僕も次に行く場所候補を考えておこう。
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徐々にアイテムが出始めましたよ~。
よろしくお願いします!
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