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本編
483.ラストチャレンジ3
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二十八階層は予想通り赤の樹脂でできた坑道だった。
足を踏み入れてすぐに子供達は手頃な岩を拾うと、僕のところへ持ってくる。
僕はすっかり忘れていたが、緑のものは確かに素材として回収しておいたんだよな~。
「それじゃあ、ここではスカーレットキングレオが目標だね」
「「がんばってみつける~」」
早速、とばかりにアレンとエレナは急ぎ足で坑道を進んでいく。
《おっ、来たね来たね~》
《おぉ! いっぱい来たぞぉ~》
ちょうど十字路に差し掛かったところで、前方と左右の道から魔物が近づいてくるのが見えた。
「アレンはひだりー」
「じゃあ、エレナはみぎ~」
《えっ、アレンとエレナ、分かれて行くの!?》
アレンとエレナが左右に分かれて走っていくと、ジュールが慌てだす。
「大丈夫だと思うけど、ジュールはアレンのほうに行って。フィートはエレナをお願い」
《わかった!》
《わかったわ~》
アレンとエレナには、フォロー役としてジュールとフィートに行ってもらう。
「正面はベクトルとボルト、カイザーがお願い」
《うん、行ってくる!》
《任せてください!》
《えぇ~、ラジアンは~?》
「では、ラジアンは我と行こうか」
《わ~い。カイザーおにーちゃん、ありがとう!》
そして、残りの戦力を正面の通路に振ると、ラジアンが拗ねていた。
ここら辺の階層になると、ラジアンはまだ力不足だ。ラジアンがとても羨ましがっていると、カイザーが一緒に連れて行ってくれる。自由奔放そうに見えるが、カイザーは意外と面倒見がいいんだよな~。
「マイルは僕と待ってような」
《はいなの!》
どこで何が起こってもすぐに対応しやすいように、僕は分かれ道で待機する。
マイルはあまり戦闘に重きを置いていないので、一緒に待機してもらう。一人で待つのは寂しいからな。
「みんなあっさり倒しているな~」
《余裕なの!》
上級迷宮であることを忘れそうなくらいの余裕な戦いぶりである。
《残念。オレはいなかった~》
「こっちもなかった~」
「こっちも~」
残念ながら目的の人形のドロップはなかったようだ。
「人形のドロップはなかったか~。残念だったな」
《お兄ちゃん、人形はあったよ~。ボクのほうはパステルラビットだね》
《私達のほうにはレッドウルフとブラッディウルフの二つがあったわよ~》
《トカゲがあった~》
「ん? そうなのか」
それぞれ人形のドロップアイテムはあったようだ。ただ、スカーレットキングレオがなかった……ということだけでな。
「結構な種類が集まってきたな~」
「「もっとあつめる~」」
着実に人形の数が増えている。そして、子供達はまだまだ集めるつもりのようだ。
それを《無限収納》に入れておくだけでは勿体ないよな~。なら、飾るべきだよな。飾っておくとしたら、どうするべきかな? 壁に棚を作って並べるか、雛壇のようなもので整列しているように並べるか……かな? 並べ方もだけど、並べるところも考えないとな~。
「「あっ! ――《ウォーターバレット》」」
アレンとエレナはゴーレムを見つけ、すぐさま魔法を放つ。
「お、良くなっておるな。その調子だ。もう一、二発当てれば貫通できそうだ」
「「やった! がんばる!」」
初めはゴーレムの固さに負けて弾け消えていた二人の魔法が、今回はゴーレムの身体を陥没させていた。
「「《ウォーターバレット》」」
子供達は、先ほど陥没させたところに正確に水の弾丸を当てる。
すると、見事にゴーレムを倒した。
「「あっ!!」」
「何だ? どうした?」
「「……たおしちゃった~」」
「え? 倒していいだろう?」
「「……かんつうさせてない」」
「ああ、そういうことか」
ゴーレムを倒して悲壮そうな声を出すので何事かと思ったよ。
「貫通させる前に倒しちゃったから、がっかりしていたのか。まあ、魔石は身体の中央にあるだろうからな。貫通させなくても倒せるよな~。カイザーみたいに貫通させて倒したいのであれば、まずは魔石のない部分で練習して、近くまで来ちゃったら倒す……みたいな感じで練習するのがいいんじゃないかな?」
「「そうする!」」
絶対に貫通させるぞ! という意気込みが感じられた。
まあ、アレンとエレナなら、あと数回くらい練習すれば貫通させることだろう。
《見てみて~。今のゴーレムから良い人形が出たよ~》
「ん? スカーレットキングレオの人形だったか?」
《それは出てない! けど、見てこれ!》
「「あっ、ライラだ!」」
「ん? お、エデンバードか。可愛いな」
ベクトルが嬉しそうに拾ってきたドロップアイテムは、エデンバードの人形だった。
「む? ライラとは、エデンバードなのか? タクミの契約獣か?」
「あ、カイザーは会ったことがなかったよな。ライラはオズワルドさんという知り合いの従魔だよ」
「お、そうなのか」
ライラの話題になると、会ったことがないカイザーが首を傾げていたので説明しておく。
「この人形、オズワルドさんにあげたら喜びそうだよな~」
「「おぉ~、そうだねぇ~」」
「じゃあ、もう一こずつ!」
「あつめないとだね!」
「ん? もう一個ずつ?」
「「だって、これはうちの~」」
「あ、うん、そういうことか~……」
自分達の分を確保するため、オズワルドさんにあげるならもう一個ずつ手に入れる必要があるそうだ。
「……じゃあ、手には入ったらあげるっていうことでいいな」
「「ぜったいてにいれる~」」
さらにやる気を漲らせた子供達は、魔物を見つけては突撃していった。
「クローディアもあった~」
ライラに続けて、クローディアの人形も手に入ったようだ。
「あ、本当だな。ダークパンサー……だ? あれ? ブラックパンサーのほうか?」
ブラックパンサーとダークパンサーはとてもそっくりの魔物だ。
両方とも黒い体躯の豹で、確か……ブラックパンサーが赤い瞳で、ダークパンサーが金の瞳だったはず……反対だったけ? あれ? いや、それで合っているはずだ。
「クローディアはあかいめ~」
「あかいめは、ブラックパンサー!」
僕よりも子供達のほうが正確に魔物の特徴については把握しているようだ。
そういえば、クローディアを鑑定したわけではないし、オズワルドさんから種族を紹介されたわけでもないんだよな~。で、僕がブラックとダークを混同していて、あやふやだったってことだな。
……鑑定ばかりに頼らないで、子供達を見習ってちゃんと勉強しないとな~。反省。
《うぅ~、オレはまだなのにぃ~》
知り合いの人形は手に入るのに、自分の人形がなかなか手に入らなくてベクトルがとうとう拗ねだした。
『クルルルー♪』
他にもいろいろと人形が集まり、二個目のエデンバードが手に入ったりしたが、なかなかスカーレットキングレオが手に入らなかった。そろそろ諦めさせるべきかと僕が考え出した時、ラジアンの嬉しそうな鳴き声が響いた。
《ベクトルおにーちゃんだ!》
《あら、本当ね。――ベクトル、お待ちかねの人形が手に入ったわよ~》
念願のスカーレットキングレオの人形が手に入ったようだ。
そして、手に入れたのはラジアン、フィート組だな。
《本当!? 見せて見せて!》
《これだよ~》
《うわぁ~、本当だ! オレだ!》
ラジアンとフィートに呼ばれると、ベクトルはすぐさま駆け寄って人形をまじまじと見つめていた。
尻尾をぶんぶんと振っているので、かなり嬉しいのだろう。
「「わ~、本当にベクトルだ~。すご~い」」
「おお! きりりとした格好良い人形だな」
《格好良い? オレ、格好良い?》
「……」
百獣の王の風格を漂わせる人形を褒めると、何故かベクトル本人(獣)が嬉しそうにさらに尻尾をぶんぶん振り回していた。
《タクミ兄は、ベクトルじゃなくて人形を褒めたの!》
マイルが冷静に突っ込んでいたが、喜びで興奮しているベクトルの耳には届いていないようだった。
足を踏み入れてすぐに子供達は手頃な岩を拾うと、僕のところへ持ってくる。
僕はすっかり忘れていたが、緑のものは確かに素材として回収しておいたんだよな~。
「それじゃあ、ここではスカーレットキングレオが目標だね」
「「がんばってみつける~」」
早速、とばかりにアレンとエレナは急ぎ足で坑道を進んでいく。
《おっ、来たね来たね~》
《おぉ! いっぱい来たぞぉ~》
ちょうど十字路に差し掛かったところで、前方と左右の道から魔物が近づいてくるのが見えた。
「アレンはひだりー」
「じゃあ、エレナはみぎ~」
《えっ、アレンとエレナ、分かれて行くの!?》
アレンとエレナが左右に分かれて走っていくと、ジュールが慌てだす。
「大丈夫だと思うけど、ジュールはアレンのほうに行って。フィートはエレナをお願い」
《わかった!》
《わかったわ~》
アレンとエレナには、フォロー役としてジュールとフィートに行ってもらう。
「正面はベクトルとボルト、カイザーがお願い」
《うん、行ってくる!》
《任せてください!》
《えぇ~、ラジアンは~?》
「では、ラジアンは我と行こうか」
《わ~い。カイザーおにーちゃん、ありがとう!》
そして、残りの戦力を正面の通路に振ると、ラジアンが拗ねていた。
ここら辺の階層になると、ラジアンはまだ力不足だ。ラジアンがとても羨ましがっていると、カイザーが一緒に連れて行ってくれる。自由奔放そうに見えるが、カイザーは意外と面倒見がいいんだよな~。
「マイルは僕と待ってような」
《はいなの!》
どこで何が起こってもすぐに対応しやすいように、僕は分かれ道で待機する。
マイルはあまり戦闘に重きを置いていないので、一緒に待機してもらう。一人で待つのは寂しいからな。
「みんなあっさり倒しているな~」
《余裕なの!》
上級迷宮であることを忘れそうなくらいの余裕な戦いぶりである。
《残念。オレはいなかった~》
「こっちもなかった~」
「こっちも~」
残念ながら目的の人形のドロップはなかったようだ。
「人形のドロップはなかったか~。残念だったな」
《お兄ちゃん、人形はあったよ~。ボクのほうはパステルラビットだね》
《私達のほうにはレッドウルフとブラッディウルフの二つがあったわよ~》
《トカゲがあった~》
「ん? そうなのか」
それぞれ人形のドロップアイテムはあったようだ。ただ、スカーレットキングレオがなかった……ということだけでな。
「結構な種類が集まってきたな~」
「「もっとあつめる~」」
着実に人形の数が増えている。そして、子供達はまだまだ集めるつもりのようだ。
それを《無限収納》に入れておくだけでは勿体ないよな~。なら、飾るべきだよな。飾っておくとしたら、どうするべきかな? 壁に棚を作って並べるか、雛壇のようなもので整列しているように並べるか……かな? 並べ方もだけど、並べるところも考えないとな~。
「「あっ! ――《ウォーターバレット》」」
アレンとエレナはゴーレムを見つけ、すぐさま魔法を放つ。
「お、良くなっておるな。その調子だ。もう一、二発当てれば貫通できそうだ」
「「やった! がんばる!」」
初めはゴーレムの固さに負けて弾け消えていた二人の魔法が、今回はゴーレムの身体を陥没させていた。
「「《ウォーターバレット》」」
子供達は、先ほど陥没させたところに正確に水の弾丸を当てる。
すると、見事にゴーレムを倒した。
「「あっ!!」」
「何だ? どうした?」
「「……たおしちゃった~」」
「え? 倒していいだろう?」
「「……かんつうさせてない」」
「ああ、そういうことか」
ゴーレムを倒して悲壮そうな声を出すので何事かと思ったよ。
「貫通させる前に倒しちゃったから、がっかりしていたのか。まあ、魔石は身体の中央にあるだろうからな。貫通させなくても倒せるよな~。カイザーみたいに貫通させて倒したいのであれば、まずは魔石のない部分で練習して、近くまで来ちゃったら倒す……みたいな感じで練習するのがいいんじゃないかな?」
「「そうする!」」
絶対に貫通させるぞ! という意気込みが感じられた。
まあ、アレンとエレナなら、あと数回くらい練習すれば貫通させることだろう。
《見てみて~。今のゴーレムから良い人形が出たよ~》
「ん? スカーレットキングレオの人形だったか?」
《それは出てない! けど、見てこれ!》
「「あっ、ライラだ!」」
「ん? お、エデンバードか。可愛いな」
ベクトルが嬉しそうに拾ってきたドロップアイテムは、エデンバードの人形だった。
「む? ライラとは、エデンバードなのか? タクミの契約獣か?」
「あ、カイザーは会ったことがなかったよな。ライラはオズワルドさんという知り合いの従魔だよ」
「お、そうなのか」
ライラの話題になると、会ったことがないカイザーが首を傾げていたので説明しておく。
「この人形、オズワルドさんにあげたら喜びそうだよな~」
「「おぉ~、そうだねぇ~」」
「じゃあ、もう一こずつ!」
「あつめないとだね!」
「ん? もう一個ずつ?」
「「だって、これはうちの~」」
「あ、うん、そういうことか~……」
自分達の分を確保するため、オズワルドさんにあげるならもう一個ずつ手に入れる必要があるそうだ。
「……じゃあ、手には入ったらあげるっていうことでいいな」
「「ぜったいてにいれる~」」
さらにやる気を漲らせた子供達は、魔物を見つけては突撃していった。
「クローディアもあった~」
ライラに続けて、クローディアの人形も手に入ったようだ。
「あ、本当だな。ダークパンサー……だ? あれ? ブラックパンサーのほうか?」
ブラックパンサーとダークパンサーはとてもそっくりの魔物だ。
両方とも黒い体躯の豹で、確か……ブラックパンサーが赤い瞳で、ダークパンサーが金の瞳だったはず……反対だったけ? あれ? いや、それで合っているはずだ。
「クローディアはあかいめ~」
「あかいめは、ブラックパンサー!」
僕よりも子供達のほうが正確に魔物の特徴については把握しているようだ。
そういえば、クローディアを鑑定したわけではないし、オズワルドさんから種族を紹介されたわけでもないんだよな~。で、僕がブラックとダークを混同していて、あやふやだったってことだな。
……鑑定ばかりに頼らないで、子供達を見習ってちゃんと勉強しないとな~。反省。
《うぅ~、オレはまだなのにぃ~》
知り合いの人形は手に入るのに、自分の人形がなかなか手に入らなくてベクトルがとうとう拗ねだした。
『クルルルー♪』
他にもいろいろと人形が集まり、二個目のエデンバードが手に入ったりしたが、なかなかスカーレットキングレオが手に入らなかった。そろそろ諦めさせるべきかと僕が考え出した時、ラジアンの嬉しそうな鳴き声が響いた。
《ベクトルおにーちゃんだ!》
《あら、本当ね。――ベクトル、お待ちかねの人形が手に入ったわよ~》
念願のスカーレットキングレオの人形が手に入ったようだ。
そして、手に入れたのはラジアン、フィート組だな。
《本当!? 見せて見せて!》
《これだよ~》
《うわぁ~、本当だ! オレだ!》
ラジアンとフィートに呼ばれると、ベクトルはすぐさま駆け寄って人形をまじまじと見つめていた。
尻尾をぶんぶんと振っているので、かなり嬉しいのだろう。
「「わ~、本当にベクトルだ~。すご~い」」
「おお! きりりとした格好良い人形だな」
《格好良い? オレ、格好良い?》
「……」
百獣の王の風格を漂わせる人形を褒めると、何故かベクトル本人(獣)が嬉しそうにさらに尻尾をぶんぶん振り回していた。
《タクミ兄は、ベクトルじゃなくて人形を褒めたの!》
マイルが冷静に突っ込んでいたが、喜びで興奮しているベクトルの耳には届いていないようだった。
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