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本編
476.補充と新作
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「タクミさん達の部屋ですが、そちらの二部屋を使ってください」
「一人部屋ですか?」
「いいえ、両方とも二人部屋になりますね」
「じゃあ、一室で問題ないです」
「「いっしょにねる~」」
「ええ、ですから、タクミさんと子供達で一室、彼――カイザーさんでしたね。彼に一室です」
「「カイザーもいっしょ~」」
カイザーが一人で部屋を使用は……問題しかないだろうし、僕達と同じ部屋のほうがいい。
幸い、アレンとエレナが我が儘を言った風にしてくれたので、下手な言い訳をしなくても同室になれるだろう。
「もし、パトリックさん達の誰かが相部屋をしているなら、僕達に割り当てようとしていた部屋は使ってください」
寝室的な部屋は見たところ四部屋って感じなので、間違いなくパトリックさん達は相部屋にしているはずだ。なので、僕達が使う予定だった部屋は開けておかずに使うように勧める。
「ありがとうございます。後で相談させていただきます。それと、あちらには少々手狭ですが調理できる設備もあります。食事は必要時に宿に注文して届けてもらうことになっていますので、我々が使うことはほぼありません。ですので、お好きに使ってかまいませんよ」
「ありがとうございます。じゃあ、そちらは遠慮なく」
四人はほとんど、というかまったく料理はしないようで、せいぜいお茶などを淹れる程度しか使わないようだ。それも平民らしいユージンだけだ。
まあ、貴族の……それも男性が自分でお茶を淹れたりはしないので、ここに従者っぽい人がいないほうがおかしいのかもしれないな。
「本日の晩餐はタクミさん達のもお願いしています。まだ少し時間はありますので、休息なり設備の確認をしていてください」
「はい、わかりました」
とりあえず、この後の晩餐までは自由時間ということになった。
「さて、どうしようか?」
迷宮から帰って来たばかりだが、僕も子供達もそこまで疲れているわけではない。なので、ちょっと横になって休む……などの時間は欲していなかった。
「「おやつ、つくる?」」
「おやつ作りか?」
「「そう」」
「クレープと!」
「ありみつのおやつ!」
「ああ、そういえば、まだ作っていなかったな」
いろんな味のクレープを作っていつでも食べられるように補充するという話と、緑、赤、青の蟻蜜を使ってカラフルなおやつを作るっていう話をしっかり覚えていたようだ。
「わかった。それじゃあ、作ろうか」
子供達のおやつの作り置きは大事なので、僕達は調理場を早速使わせてもらうことにした。
「まずはクレープ作りをしようか」
「「は~い」」
「うむ!」
子供達だけではなく、カイザーもしっかりと手伝う態勢だ。
「僕が生地をどんどん焼いていくから、三人は果実やクリームを包む係な」
「「すきなのつくっていい?」」
「うん、いいよ。だけど、組み合わせはよく考えるんだよ。あと、カイザーは初めてだから、教えてあげてな」
「「は~い」」
生クリームにカスタードクリーム、チョコレートソースに餡子、いろんな果実や木の実を用意をしたので、できる組み合わせはかなりあるだろう。
アレンとエレナはたぶん加減を知っていると思うが、カイザーはあれこれといろんなものを組み合わせたものを作りそうなので、二人にはカイザーの面倒を見てもらう。
「「おにぃちゃん」」
「つくったの」
「まぜていい?」
「ん? ちょっと待って、どういうことだ?」
「「なにがあたるかわからない」」
「ああ、そういうことか」
食べるまでは、中身がわからない。クジ引きスタイルというか、ハズレのないロシアンルーレットみたいな感じだな。……まあ、もしかしたらカイザーの組み合わせ次第では、ハズレはあるかもしれないけどな。
「それだと〝チョコナナのクレープが食べたい!〟とかの希望は聞けなくなるよ?」
「「いいの~」」
「アレンとエレナが、それでいいなら混ぜていいよ」
というわけで、僕が生地を焼いていく横で、子供達は思いつくままにクリームや果実を包んだクレープを量産していった。
……《無限収納》にある食器をかなり使ったな~。皿もだが、タッパーのようなものやバットなどの容器も仕入れておこう。
「「いっぱいできた~」」
「これでしばらくはクレープの心配はしなくても大丈夫だな」
「「うん!」」
「我も頑張ったぞ~」
「そうだな。カイザーも徐々に綺麗な形で包めるようになったよな」
初めの一、二個は中身を入れ過ぎたり、力を入れ過ぎて破いてしまっていた。まあ、破れたものは子供達と仲良く分け合いお腹に収まったので、無駄にはしていないけどな。
そして、数をこなしているうちに上達していった。
「カイザー、いくつか自分のマジックリングに入れておきな~」
「良いのか!?」
「うん、いいよ。――アレンとエレナも駄目とは言わないだろう?」
「「いいよ~」」
「ただ、海に戻ったりして一人でいる時用だから、一緒にいる時に食べるのはなしな」
「それはダメ!」
「それはずるいの!」
「うむ、それは絶対にしないと約束しよう!」
カイザーはしっかりと子供達と約束をしていたので、一緒にいる時にこっそり食べて子供達の怒りを買うことをないだろう。
「しかし、改めて思うが、マジックリングは本当に便利だな~。今までは腹が減った時にその場その場で調達しておったが、これのお蔭でいつでも美味しいものが食べられる」
「時間経過の遅延機能があるものは、本当に便利だよね」
遅延機能がなく、たくさんの荷物を運べるだけでも便利なのだが、収納したものが劣化しないって本当に良い機能だよな~。
「アレンとエレナにもおやつくらい持たせてあげたいけど、二人のバッグは容量が多いだけだから日持ちしないものは持たせられないんだよな~」
「「ざんね~ん。でもね、でもね」」
「アレン、おにぃちゃんといっしょにいるからだいじょうぶ!」
「エレナ、おにぃちゃんといつもいっしょにいる!」
「ははは~、そうか」
僕と離れないので、おやつは自分で持っていなくても問題ないそうだ。
僕に見せる顔はまだまだ子供っぽい感じの割合が多い。だが、最近の子供達は僕以外の人が相手だと年相応の、あるいは大人びた対応を見せたりする。なので、近いうちに…………寂しいが、親(兄)離れをしてしまうんじゃないかと思っている。
「でも、そのうち二人にも時間経過が遅延するバッグかリングが手に入るといいな。やっぱり便利だしな」
「ふむ、引き続き迷宮などで魔道具を探すのであろうが、我も海に戻った時には海の中でも探すようにしよう」
「お願いな」
探したわけでもないのにマジックリングを三個も所有していたカイザーなら、本当に見つけてくれそうな気がする。
「さて、次はどうするかな~」
続いては蟻蜜を使ったものだが、どうせなら色が綺麗に出るものがいい。
「パンケーキ!」
「ホットケーキ!」
「「あれ?」」
アレンとエレナがお互いに顔を見合わせると不思議そうに首を傾げた。
同じものを言ったつもりで揃わなかったからだな。
「ごめん、僕のせいだな。ちょっと言い方が違うだけの同じものだよ」
詳しいことまでは知らないが……パンケーキの分類にホットケーキがあるんだったか?
僕が話す時にどちらかで統一しないでその時によってふらふら使っていたから、こういうことが起こったんだな。
「えっと……フライパンで焼くケーキだから、パンケーキで統一しようか」
「「パンケーキ! つくろう!」」
「パンケーキに蟻蜜をかけて……じゃないな。混ぜて作るって話していたか」
「「そう」」
野菜ペーストなどを混ぜたりしたものだったら蟻蜜の色は気にならないとは話していた。だが、気にならないものができるのであって、色を活かしたものではないんだよな~。
あ、焼かずに蒸すと色を活かせるかな?
「アレン、エレナ、蒸しケーキでもいいか?」
パンケーキと同様に、蒸しケーキのことも蒸しパンと言ったりしそうなので気をつけよう。
「「むし? ……あり、いれるの?」」
「え? あり? 蟻!? 虫ケーキ!? その〝むし〟じゃないから! 肉まんとかみたいに蒸すケーキな!」
子供達の勘違いに、僕は思わず絶叫してしまった。
==========
【お知らせ】
アニメの放送局が増えましたよ!
テレ東 7月7日から毎週日曜深夜1時50分~
BSテレ東 7月11日から毎週木曜深夜24時30分~
テレビ愛知 7月11日から毎週木曜深夜1時30分~
テレビ北海道 7月12日から毎週金曜深夜1時43分~
チューリップテレビ 7月11日から毎週木曜深夜2時26分~
テレビユー福島 7月12日から毎週金曜深夜1時23分~
新潟放送 7月12日から毎週金曜深夜1時23分~
熊本放送 7月12日から毎週金曜深夜2時23分~
静岡放送 7月13日から毎週土曜深夜2時13分~
秋田放送 7月16日から毎週火曜深夜1時24分~
鹿児島讀賣テレビ 7月18日から毎週木曜深夜2時07分~
テレビユー山形 7月19日から毎週金曜深夜1時23分~
IBC岩手放送 8月2日から毎週金曜深夜1時23分~
AT-X 7月12日から毎週金曜20時00分~
見てくれる方が増えると嬉しいです!
「一人部屋ですか?」
「いいえ、両方とも二人部屋になりますね」
「じゃあ、一室で問題ないです」
「「いっしょにねる~」」
「ええ、ですから、タクミさんと子供達で一室、彼――カイザーさんでしたね。彼に一室です」
「「カイザーもいっしょ~」」
カイザーが一人で部屋を使用は……問題しかないだろうし、僕達と同じ部屋のほうがいい。
幸い、アレンとエレナが我が儘を言った風にしてくれたので、下手な言い訳をしなくても同室になれるだろう。
「もし、パトリックさん達の誰かが相部屋をしているなら、僕達に割り当てようとしていた部屋は使ってください」
寝室的な部屋は見たところ四部屋って感じなので、間違いなくパトリックさん達は相部屋にしているはずだ。なので、僕達が使う予定だった部屋は開けておかずに使うように勧める。
「ありがとうございます。後で相談させていただきます。それと、あちらには少々手狭ですが調理できる設備もあります。食事は必要時に宿に注文して届けてもらうことになっていますので、我々が使うことはほぼありません。ですので、お好きに使ってかまいませんよ」
「ありがとうございます。じゃあ、そちらは遠慮なく」
四人はほとんど、というかまったく料理はしないようで、せいぜいお茶などを淹れる程度しか使わないようだ。それも平民らしいユージンだけだ。
まあ、貴族の……それも男性が自分でお茶を淹れたりはしないので、ここに従者っぽい人がいないほうがおかしいのかもしれないな。
「本日の晩餐はタクミさん達のもお願いしています。まだ少し時間はありますので、休息なり設備の確認をしていてください」
「はい、わかりました」
とりあえず、この後の晩餐までは自由時間ということになった。
「さて、どうしようか?」
迷宮から帰って来たばかりだが、僕も子供達もそこまで疲れているわけではない。なので、ちょっと横になって休む……などの時間は欲していなかった。
「「おやつ、つくる?」」
「おやつ作りか?」
「「そう」」
「クレープと!」
「ありみつのおやつ!」
「ああ、そういえば、まだ作っていなかったな」
いろんな味のクレープを作っていつでも食べられるように補充するという話と、緑、赤、青の蟻蜜を使ってカラフルなおやつを作るっていう話をしっかり覚えていたようだ。
「わかった。それじゃあ、作ろうか」
子供達のおやつの作り置きは大事なので、僕達は調理場を早速使わせてもらうことにした。
「まずはクレープ作りをしようか」
「「は~い」」
「うむ!」
子供達だけではなく、カイザーもしっかりと手伝う態勢だ。
「僕が生地をどんどん焼いていくから、三人は果実やクリームを包む係な」
「「すきなのつくっていい?」」
「うん、いいよ。だけど、組み合わせはよく考えるんだよ。あと、カイザーは初めてだから、教えてあげてな」
「「は~い」」
生クリームにカスタードクリーム、チョコレートソースに餡子、いろんな果実や木の実を用意をしたので、できる組み合わせはかなりあるだろう。
アレンとエレナはたぶん加減を知っていると思うが、カイザーはあれこれといろんなものを組み合わせたものを作りそうなので、二人にはカイザーの面倒を見てもらう。
「「おにぃちゃん」」
「つくったの」
「まぜていい?」
「ん? ちょっと待って、どういうことだ?」
「「なにがあたるかわからない」」
「ああ、そういうことか」
食べるまでは、中身がわからない。クジ引きスタイルというか、ハズレのないロシアンルーレットみたいな感じだな。……まあ、もしかしたらカイザーの組み合わせ次第では、ハズレはあるかもしれないけどな。
「それだと〝チョコナナのクレープが食べたい!〟とかの希望は聞けなくなるよ?」
「「いいの~」」
「アレンとエレナが、それでいいなら混ぜていいよ」
というわけで、僕が生地を焼いていく横で、子供達は思いつくままにクリームや果実を包んだクレープを量産していった。
……《無限収納》にある食器をかなり使ったな~。皿もだが、タッパーのようなものやバットなどの容器も仕入れておこう。
「「いっぱいできた~」」
「これでしばらくはクレープの心配はしなくても大丈夫だな」
「「うん!」」
「我も頑張ったぞ~」
「そうだな。カイザーも徐々に綺麗な形で包めるようになったよな」
初めの一、二個は中身を入れ過ぎたり、力を入れ過ぎて破いてしまっていた。まあ、破れたものは子供達と仲良く分け合いお腹に収まったので、無駄にはしていないけどな。
そして、数をこなしているうちに上達していった。
「カイザー、いくつか自分のマジックリングに入れておきな~」
「良いのか!?」
「うん、いいよ。――アレンとエレナも駄目とは言わないだろう?」
「「いいよ~」」
「ただ、海に戻ったりして一人でいる時用だから、一緒にいる時に食べるのはなしな」
「それはダメ!」
「それはずるいの!」
「うむ、それは絶対にしないと約束しよう!」
カイザーはしっかりと子供達と約束をしていたので、一緒にいる時にこっそり食べて子供達の怒りを買うことをないだろう。
「しかし、改めて思うが、マジックリングは本当に便利だな~。今までは腹が減った時にその場その場で調達しておったが、これのお蔭でいつでも美味しいものが食べられる」
「時間経過の遅延機能があるものは、本当に便利だよね」
遅延機能がなく、たくさんの荷物を運べるだけでも便利なのだが、収納したものが劣化しないって本当に良い機能だよな~。
「アレンとエレナにもおやつくらい持たせてあげたいけど、二人のバッグは容量が多いだけだから日持ちしないものは持たせられないんだよな~」
「「ざんね~ん。でもね、でもね」」
「アレン、おにぃちゃんといっしょにいるからだいじょうぶ!」
「エレナ、おにぃちゃんといつもいっしょにいる!」
「ははは~、そうか」
僕と離れないので、おやつは自分で持っていなくても問題ないそうだ。
僕に見せる顔はまだまだ子供っぽい感じの割合が多い。だが、最近の子供達は僕以外の人が相手だと年相応の、あるいは大人びた対応を見せたりする。なので、近いうちに…………寂しいが、親(兄)離れをしてしまうんじゃないかと思っている。
「でも、そのうち二人にも時間経過が遅延するバッグかリングが手に入るといいな。やっぱり便利だしな」
「ふむ、引き続き迷宮などで魔道具を探すのであろうが、我も海に戻った時には海の中でも探すようにしよう」
「お願いな」
探したわけでもないのにマジックリングを三個も所有していたカイザーなら、本当に見つけてくれそうな気がする。
「さて、次はどうするかな~」
続いては蟻蜜を使ったものだが、どうせなら色が綺麗に出るものがいい。
「パンケーキ!」
「ホットケーキ!」
「「あれ?」」
アレンとエレナがお互いに顔を見合わせると不思議そうに首を傾げた。
同じものを言ったつもりで揃わなかったからだな。
「ごめん、僕のせいだな。ちょっと言い方が違うだけの同じものだよ」
詳しいことまでは知らないが……パンケーキの分類にホットケーキがあるんだったか?
僕が話す時にどちらかで統一しないでその時によってふらふら使っていたから、こういうことが起こったんだな。
「えっと……フライパンで焼くケーキだから、パンケーキで統一しようか」
「「パンケーキ! つくろう!」」
「パンケーキに蟻蜜をかけて……じゃないな。混ぜて作るって話していたか」
「「そう」」
野菜ペーストなどを混ぜたりしたものだったら蟻蜜の色は気にならないとは話していた。だが、気にならないものができるのであって、色を活かしたものではないんだよな~。
あ、焼かずに蒸すと色を活かせるかな?
「アレン、エレナ、蒸しケーキでもいいか?」
パンケーキと同様に、蒸しケーキのことも蒸しパンと言ったりしそうなので気をつけよう。
「「むし? ……あり、いれるの?」」
「え? あり? 蟻!? 虫ケーキ!? その〝むし〟じゃないから! 肉まんとかみたいに蒸すケーキな!」
子供達の勘違いに、僕は思わず絶叫してしまった。
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