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本編
464.またも貴石の迷宮
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「「こんどはみどりだ!」」
一日だけ休養を取った翌日、僕達は再び『貴石の迷宮』に来ていた。
すると、一階層の森がエメラルドの森に変化しているではないか!
「運が良すぎないか?」
「タクミ、細かいことは気にするでない」
「「きにしな~い」」
アレン、エレナ、カイザーは当たり前のように人のいない方向へと進んでいき、周囲に人がいないのを確認するとポキポキ枝を折っていく。
これで三種類目の枝だな。あとは最初に見たダイヤモンドの枝だ。あの時は枝を採るっていうことを考えていなかったからな~。あの時、手に入れていれば全種類揃っていたのだな。
「ディルも一緒に連れて来れば良かったか?」
「あ~……僕達と行動するっていうディルさんの依頼は終了して、今度はまた違う依頼の予定も入っているからな~。難しかったんじゃないか?」
僕達が多くの冒険者と遭遇しそうな階層を突破したので、晴れてディルさんの役目は終了した。だが、今度は一階層で枝の欠片を手に入れるという依頼が舞い込んでいた。たぶん、これから忙しくなることだろう。
「さて、枝は確保したし、転移装置で移動しようか」
「「はーい!」」
「うむ」
というわけで、僕達は一階層をさくさく進み、十一階層と十二階層の間の転移装置の間へと移動した。
《あっ、転移装置! 約束通り迷宮だね!》
《わ~い。迷宮だ~》
《わ~い》
そして、転移装置の間には誰もいなかったので、そこでジュール達を呼び出した。
ジュールがすぐに転移装置に気がついて場所を特定すると、ベクトルとラジアンが転移装置の周りをくるくると回り出す。
ベクトルは契約獣の中では一番年上のはずなのだが……ラジアンと同い年のようだ。
《兄様、ここは『貴石の迷宮』でいいのかしら?》
「うん、そうだよ。そこの十二階層に行くところだ」
《どんな迷宮なのか楽しみなの!》
《兄上、早く行きましょう》
みんなわくわくしている様子だったので、僕達はすぐに十二階層へと移動した。
「「あかだ!」」
「なるほど、こうくるのか」
十二階層は、十一階層と色違い。全体が赤い岩の坑道だった。
《あれ? ここは『色彩の迷宮』?》
「いや、間違いなく『貴石の迷宮』だよ」
やっぱり『色彩の迷宮』に似ていると思うんだな~。
「「あっ! 来た!」」
《え、何あれ!》
「ソルジャーアントだな」
《あらまあ~》
《黒くないよ!?》
真っ赤なソルジャーアントが現れると、アレンとエレナが嬉々として倒すために駆けていく。
ジュール達は本来の色ではないソルジャーアントを見て驚いていた。色違いは初めて見たようだな。
「十一階層は緑の坑道で、そこでは緑のソルジャーアントが出たよ」
《えぇ!? やっぱりここって『色彩の迷宮』じゃないの?》
「ははは~、違う違う」
ジュールはどうしてもここを『色彩の迷宮』にしたいようだ。でも、気持ちはわかる。
「ありみつ~」
「いっぱいあったよ~」
ドロップアイテムはやはり蟻蜜で、今度は赤色だった。
「やっぱり赤かったか~」
「「うん、あかだった!」」
《え、蜂蜜?》
「いや、蟻の蜜。まあ、蜂蜜みたいな甘いものだな」
《わ~、それも初めて聞いた~》
《私も初めて見たわ~》
ジュールとフィートは子供達が持ち帰った蟻蜜の瓶をまじまじと見つめていた。
迷宮の外でアント系の魔物に出会ったことはないが、そっちでは蟻蜜は手に入らないのかな? あ、でも、蜂の巣みたいに発見すれば手に入るわけじゃないから、やはり珍しいものなのか。
《兄上、この蟻蜜は兄上が作る甘味に使えるんですか?》
「うん、もちろん使えるよ」
《よし、いっぱい集めるぞ!》
《なになにー?》
《兄ちゃんに美味しいものを作ってもらうために、蟻蜜っていうものをいっぱい集めるんだよ》
《おぉ~、ラジアンもあつめる~》
ボルトがお菓子作りに使えるか確認すると、ベクトルとラジアンがわかりやすく張り切り出した。
「ラジアンはちょっと心配だから、誰か一緒に行動して!」
ソルジャーアントは上位種で、アレンとエレナにも物理でなく魔法で倒すように指示しているので、ラジアンが特攻して行くのだけは止めておく。
《兄様、大丈夫よ。私が見ているわ》
「フィート、お願いな」
フィートが見ていてくれるなら安心だ。
《あ、あかいのきたよ~》
《あらあら》
早速、ソルジャーアントを見つけたラジアンが走っていき、その後をフィートが追いかけていった。
……ラジアンって、戦闘狂になりつつあるのかな? それとも魔物本来の性分か?
悩むところである。
「……我の出番がないな」
ラジアンの成長具合を悩んでいると、カイザーが出遅れた……とばかりに僕の横に来る。
少しだけしょんぼりしている様子だ。
「これだけ戦力がいたら仕方がないね。僕なんて最近、めっきり魔物と対峙しなくなったよ」
特に進んで戦いたいというわけではないが、やはり何となく気になってしまう。
「カイザーは熟練者なんだから、みんなの戦いを見て助言してあげてよ。より良くなるようにさ」
「うむ、心得た」
「ああ、でも、カイザーは人型での戦闘は不慣れだから、それを考慮してよ」
「……うむ、まだいまいち手加減具合がわからぬからな~。タクミ達といるためだ、努力しよう」
今はまだ他人と接する機会が少ないので問題は起きていないが、街中で家を破壊したとか、人とぶつかって骨を折った……なんてことは絶対に避けたいからな。
というか、カイザーっていつまで一緒にいるんだろう? 僕はちょっと遊びに来た……という感覚だったが、わりとずるずると一緒にいるよな~。まあ、一緒にいるのが嫌っていうわけではないし、「いつまでいるの?」なんてことは僕が迷惑がっているみたいなので聞かないけどな。
「おにぃちゃん! ありみつ、いっぱいだよ!」
「あとね、あとね! あかくないのもあったの!」
アレンとエレナが蟻蜜を大量に抱えて戻ってきたのだが、蟻蜜の中には赤くない通常の黄金色の蟻蜜もあったようだ。
「いっぱい集めたな~。これ、使い切れるかな?」
「「だいじょうぶ! あまいのだいすき!」」
「食べるだけじゃなくて、おやつを作るのも手伝ってよ」
「「うん、てつだうよ!」」
そういえば、そろそろおやつの作り溜めをしようと思っていたけど、しないまま迷宮に来ちゃったな~。まあ、まだ《無限収納》には作り置きはあるし、大丈夫か。
「さてと、ここら辺の魔物は一掃したし、先に進もうか」
「「うん!」」
==========
第1弾PVが配信されました☆
https://www.youtube.com/watch?v=nAR16wBkC4M
動いて喋るタクミや双子達が見られますよ~。
一日だけ休養を取った翌日、僕達は再び『貴石の迷宮』に来ていた。
すると、一階層の森がエメラルドの森に変化しているではないか!
「運が良すぎないか?」
「タクミ、細かいことは気にするでない」
「「きにしな~い」」
アレン、エレナ、カイザーは当たり前のように人のいない方向へと進んでいき、周囲に人がいないのを確認するとポキポキ枝を折っていく。
これで三種類目の枝だな。あとは最初に見たダイヤモンドの枝だ。あの時は枝を採るっていうことを考えていなかったからな~。あの時、手に入れていれば全種類揃っていたのだな。
「ディルも一緒に連れて来れば良かったか?」
「あ~……僕達と行動するっていうディルさんの依頼は終了して、今度はまた違う依頼の予定も入っているからな~。難しかったんじゃないか?」
僕達が多くの冒険者と遭遇しそうな階層を突破したので、晴れてディルさんの役目は終了した。だが、今度は一階層で枝の欠片を手に入れるという依頼が舞い込んでいた。たぶん、これから忙しくなることだろう。
「さて、枝は確保したし、転移装置で移動しようか」
「「はーい!」」
「うむ」
というわけで、僕達は一階層をさくさく進み、十一階層と十二階層の間の転移装置の間へと移動した。
《あっ、転移装置! 約束通り迷宮だね!》
《わ~い。迷宮だ~》
《わ~い》
そして、転移装置の間には誰もいなかったので、そこでジュール達を呼び出した。
ジュールがすぐに転移装置に気がついて場所を特定すると、ベクトルとラジアンが転移装置の周りをくるくると回り出す。
ベクトルは契約獣の中では一番年上のはずなのだが……ラジアンと同い年のようだ。
《兄様、ここは『貴石の迷宮』でいいのかしら?》
「うん、そうだよ。そこの十二階層に行くところだ」
《どんな迷宮なのか楽しみなの!》
《兄上、早く行きましょう》
みんなわくわくしている様子だったので、僕達はすぐに十二階層へと移動した。
「「あかだ!」」
「なるほど、こうくるのか」
十二階層は、十一階層と色違い。全体が赤い岩の坑道だった。
《あれ? ここは『色彩の迷宮』?》
「いや、間違いなく『貴石の迷宮』だよ」
やっぱり『色彩の迷宮』に似ていると思うんだな~。
「「あっ! 来た!」」
《え、何あれ!》
「ソルジャーアントだな」
《あらまあ~》
《黒くないよ!?》
真っ赤なソルジャーアントが現れると、アレンとエレナが嬉々として倒すために駆けていく。
ジュール達は本来の色ではないソルジャーアントを見て驚いていた。色違いは初めて見たようだな。
「十一階層は緑の坑道で、そこでは緑のソルジャーアントが出たよ」
《えぇ!? やっぱりここって『色彩の迷宮』じゃないの?》
「ははは~、違う違う」
ジュールはどうしてもここを『色彩の迷宮』にしたいようだ。でも、気持ちはわかる。
「ありみつ~」
「いっぱいあったよ~」
ドロップアイテムはやはり蟻蜜で、今度は赤色だった。
「やっぱり赤かったか~」
「「うん、あかだった!」」
《え、蜂蜜?》
「いや、蟻の蜜。まあ、蜂蜜みたいな甘いものだな」
《わ~、それも初めて聞いた~》
《私も初めて見たわ~》
ジュールとフィートは子供達が持ち帰った蟻蜜の瓶をまじまじと見つめていた。
迷宮の外でアント系の魔物に出会ったことはないが、そっちでは蟻蜜は手に入らないのかな? あ、でも、蜂の巣みたいに発見すれば手に入るわけじゃないから、やはり珍しいものなのか。
《兄上、この蟻蜜は兄上が作る甘味に使えるんですか?》
「うん、もちろん使えるよ」
《よし、いっぱい集めるぞ!》
《なになにー?》
《兄ちゃんに美味しいものを作ってもらうために、蟻蜜っていうものをいっぱい集めるんだよ》
《おぉ~、ラジアンもあつめる~》
ボルトがお菓子作りに使えるか確認すると、ベクトルとラジアンがわかりやすく張り切り出した。
「ラジアンはちょっと心配だから、誰か一緒に行動して!」
ソルジャーアントは上位種で、アレンとエレナにも物理でなく魔法で倒すように指示しているので、ラジアンが特攻して行くのだけは止めておく。
《兄様、大丈夫よ。私が見ているわ》
「フィート、お願いな」
フィートが見ていてくれるなら安心だ。
《あ、あかいのきたよ~》
《あらあら》
早速、ソルジャーアントを見つけたラジアンが走っていき、その後をフィートが追いかけていった。
……ラジアンって、戦闘狂になりつつあるのかな? それとも魔物本来の性分か?
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ラジアンの成長具合を悩んでいると、カイザーが出遅れた……とばかりに僕の横に来る。
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「これだけ戦力がいたら仕方がないね。僕なんて最近、めっきり魔物と対峙しなくなったよ」
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今はまだ他人と接する機会が少ないので問題は起きていないが、街中で家を破壊したとか、人とぶつかって骨を折った……なんてことは絶対に避けたいからな。
というか、カイザーっていつまで一緒にいるんだろう? 僕はちょっと遊びに来た……という感覚だったが、わりとずるずると一緒にいるよな~。まあ、一緒にいるのが嫌っていうわけではないし、「いつまでいるの?」なんてことは僕が迷惑がっているみたいなので聞かないけどな。
「おにぃちゃん! ありみつ、いっぱいだよ!」
「あとね、あとね! あかくないのもあったの!」
アレンとエレナが蟻蜜を大量に抱えて戻ってきたのだが、蟻蜜の中には赤くない通常の黄金色の蟻蜜もあったようだ。
「いっぱい集めたな~。これ、使い切れるかな?」
「「だいじょうぶ! あまいのだいすき!」」
「食べるだけじゃなくて、おやつを作るのも手伝ってよ」
「「うん、てつだうよ!」」
そういえば、そろそろおやつの作り溜めをしようと思っていたけど、しないまま迷宮に来ちゃったな~。まあ、まだ《無限収納》には作り置きはあるし、大丈夫か。
「さてと、ここら辺の魔物は一掃したし、先に進もうか」
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