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書籍該当箇所こぼれ話
閑話 子供達の再会
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懇意にしている冒険者であるタクミさんと子供達の訪問に、私は自然と笑みが零れる。
王妃という地位にいると、必要以上のお世辞などを言ってご機嫌取りをしてきたり、おもねる相手が多い。そんな人達の相手は気が抜けないし、本当に疲れるのよ。
しかし、タクミさん達は違う。彼らはとても自然体なので、こちらも安心して付き合うことができるのだ。もちろん、タクミさん達が私達を敬っていない……とかではない。
タクミさんも最初の頃は慇懃な感じだったわ。良い意味のほうのね。慣れていない感じがあったけれど、とても丁寧な受け答えをしていたもの。だけど、私達がもっと砕けるように唆したのよねぇ~。
普通なら私達がそう言ったとしても安易に態度を変えたりしないのだけど、私達が本当に望んでいるのだと感じ取ったのか、少しだけ気安い態度を取ってくれるようになったの。
裏表がなく、素直な性格がひしひしと伝わるので、好感度は上がる一方だ。夫や息子達もタクミさん達のことはとても気に入っているわ。
タクミさんには驚かされるっていうことが多々あるのだけどね。そこは……まあ、ご愛嬌ね。
「アレンくんとエレナちゃんはこちらにいらっしゃい」
「「はーい」」
「二人とも元気そうね。怪我とかはしていない?」
「「だいじょうぶだよ!」」
タクミさんは男性陣と込み入った話をするため、子供達をこちら側へと呼び寄せると、二人は素直にこちらにやって来る。本当に素直な子達だわ。
「あ、えほんのおにーちゃんとおねーちゃんだ!」
「「ユーちゃん、こんにちは~」」
「こんにちは~」
孫のユリウスとアレンくんとエレナちゃんが会うのはこれが三度目。それなのに、ユリウスは二人のことをしっかりと覚えていたようね。
側近、友人候補である貴族子息と何度か対面させたのだけど、そちらのほうはうろ覚えだったのにねぇ~。二人と過ごした時間が余程楽しかったから記憶に残っているのかしら?
「ユーちゃん、おっきくなったー!」
「ユーちゃん、げんきだった?」
「うん、げんき。おにーちゃんとおねーちゃんは?」
「「げんきだよー」」
孫自慢な発言になってしまうが、ユリウスは言葉は早いほうだし、頭も良い。それに加え、育っている環境もあってか……とても警戒心が強い子だ。しかし、アレンくんとエレナちゃんには完全に気を許しているのよねぇ。
……両親も祖父母も気を許しているのを感じ取っているのかしら?
「「あっ!」」
「どうかしたのかしら?」
「「ちょっとまっててー」」
アレンくんとエレナちゃんが、何かを思い出したように声を上げたと思ったら、すぐにタクミさんのほうへ駆けて行ってしまった。
「どうしたのかしら?」
「タクミさんから何かを受け取っていますね」
子供達はタクミさんから籠を受け取ると、笑顔でこちらに戻ってきた。
「はい、これ」
「おみやげだよ」
お土産を用意していてくれたようだ。子供達はそれを思い出して、タクミさんから受け取ってきてくれたのだろう。
「あらまあ! ありがとう」
渡された籠の中には、黒い皮の実と淡い色合いと水玉模様の液体が入った瓶が入っていた。
「こちらの黒いのは果実ね」
「「うん、レイシのみ!」」
「こちらの液体は……綺麗な色ですけど、何かしら?」
「「えっとね、せんりょうだって」」
「染料!? 布を染めたりする?」
「「そう! おようふくつくるやつ」」
「何てことなの!?」
今まで見たことのない種類の染料に私は思わず声を上げてしまった。
「「どうしたの?」」
「おばーさま?」
私が突然声を上げてしまったので、子供達が心配そうに声を掛けてくる。
「ごめんなさい。ちょっと取り乱しちゃっただけで、何でもないわよ」
「「「ほんとう?」」」
「ええ、本当よ」
三人揃って心配そうに見上げてくる顔が可愛いわ!
「アレンくん、エレナちゃん、こんなに珍しいものどうしたの?」
「「めいきゅうでみつけたの!」」
「……迷宮ね」
染料が出る迷宮と言えば、セルディーク国の『色彩の迷宮』ね。でも、あそこでこのような淡い色合いのものや模様のある染料が出るなんて聞いたことがないわよ! 後でタクミさんに詳しく話を聞かないといけないわね!
「めいきゅう? なーに?」
ユリウスが聞いたことのない単語に首を傾げていた。普段の会話では〝迷宮〟なんて言葉は出てこないものね。ユリウスが知らないのも無理はない。
「たのしいところだよ!」
「おもしろいところだよ!」
「ぼくもいきたい!」
「「いいよ~。いっしょにいこう!」」
ちょっと待ってちょうだい。迷宮は気軽に遊びに行くようなところではないわ。
「アレンくん、エレナちゃん。さすがにユリウスには迷宮はまだ早いわ」
「「そうなの?」」
「ええ、ユリウスはまだ武術の稽古などはしていないの」
武術ができるできないの問題でもないのだけど、とにかく止めないといけないわ!
「じゃあ、アレンがまもる!」
「エレナもまもってあげる!」
迷宮というところは、子供が子供を守りながら進めるような場所ではないのだけど……この子達ならできそうね。そんな感じがするわ。でも――
「それでも、すぐにはちょっと無理ね」
「「だめー?」」
「おば~さま~?」
「今は駄目ね。ユリウスが大きくなってから行きたいと思った時、その時は一緒に行ってあげてちょうだい」
「「「……わかった~」」」
三人とも聞き分けの良い子で良かったわ~。
それからユリウスは、行けないのであれば話だけでも……とばかりに迷宮の話を強請り、アレンくんとエレナちゃんの話をキラキラした目で聞いていた。
「「おにぃちゃ~ん」」
「難しいお話は終わったかしら?」
そろそろ込み入った話にもキリがつく頃だと思い、アレンくんとエレナちゃんを連れて、男性陣のテーブルのほうに向かうと、子供達が嬉しそうにタクミさんのところへ駆け寄っていた。本当にお兄さんが大好きだということが窺える光景である。
「おやつ」
「ちょうだい」
アレンくんとエレナちゃんが、ユリウスのためにタクミさんにおやつを要求していた。
タクミさんお手製のものは、料理も甘味も素晴らしく美味しい。なので、ユリウスが気に入ることは間違いない。しかし、それらを気に入ったユリウスが、今後食べたいと強請ってきたとしても、簡単に食べさせてあげることができないのが難点である。
王妃という地位にいると、必要以上のお世辞などを言ってご機嫌取りをしてきたり、おもねる相手が多い。そんな人達の相手は気が抜けないし、本当に疲れるのよ。
しかし、タクミさん達は違う。彼らはとても自然体なので、こちらも安心して付き合うことができるのだ。もちろん、タクミさん達が私達を敬っていない……とかではない。
タクミさんも最初の頃は慇懃な感じだったわ。良い意味のほうのね。慣れていない感じがあったけれど、とても丁寧な受け答えをしていたもの。だけど、私達がもっと砕けるように唆したのよねぇ~。
普通なら私達がそう言ったとしても安易に態度を変えたりしないのだけど、私達が本当に望んでいるのだと感じ取ったのか、少しだけ気安い態度を取ってくれるようになったの。
裏表がなく、素直な性格がひしひしと伝わるので、好感度は上がる一方だ。夫や息子達もタクミさん達のことはとても気に入っているわ。
タクミさんには驚かされるっていうことが多々あるのだけどね。そこは……まあ、ご愛嬌ね。
「アレンくんとエレナちゃんはこちらにいらっしゃい」
「「はーい」」
「二人とも元気そうね。怪我とかはしていない?」
「「だいじょうぶだよ!」」
タクミさんは男性陣と込み入った話をするため、子供達をこちら側へと呼び寄せると、二人は素直にこちらにやって来る。本当に素直な子達だわ。
「あ、えほんのおにーちゃんとおねーちゃんだ!」
「「ユーちゃん、こんにちは~」」
「こんにちは~」
孫のユリウスとアレンくんとエレナちゃんが会うのはこれが三度目。それなのに、ユリウスは二人のことをしっかりと覚えていたようね。
側近、友人候補である貴族子息と何度か対面させたのだけど、そちらのほうはうろ覚えだったのにねぇ~。二人と過ごした時間が余程楽しかったから記憶に残っているのかしら?
「ユーちゃん、おっきくなったー!」
「ユーちゃん、げんきだった?」
「うん、げんき。おにーちゃんとおねーちゃんは?」
「「げんきだよー」」
孫自慢な発言になってしまうが、ユリウスは言葉は早いほうだし、頭も良い。それに加え、育っている環境もあってか……とても警戒心が強い子だ。しかし、アレンくんとエレナちゃんには完全に気を許しているのよねぇ。
……両親も祖父母も気を許しているのを感じ取っているのかしら?
「「あっ!」」
「どうかしたのかしら?」
「「ちょっとまっててー」」
アレンくんとエレナちゃんが、何かを思い出したように声を上げたと思ったら、すぐにタクミさんのほうへ駆けて行ってしまった。
「どうしたのかしら?」
「タクミさんから何かを受け取っていますね」
子供達はタクミさんから籠を受け取ると、笑顔でこちらに戻ってきた。
「はい、これ」
「おみやげだよ」
お土産を用意していてくれたようだ。子供達はそれを思い出して、タクミさんから受け取ってきてくれたのだろう。
「あらまあ! ありがとう」
渡された籠の中には、黒い皮の実と淡い色合いと水玉模様の液体が入った瓶が入っていた。
「こちらの黒いのは果実ね」
「「うん、レイシのみ!」」
「こちらの液体は……綺麗な色ですけど、何かしら?」
「「えっとね、せんりょうだって」」
「染料!? 布を染めたりする?」
「「そう! おようふくつくるやつ」」
「何てことなの!?」
今まで見たことのない種類の染料に私は思わず声を上げてしまった。
「「どうしたの?」」
「おばーさま?」
私が突然声を上げてしまったので、子供達が心配そうに声を掛けてくる。
「ごめんなさい。ちょっと取り乱しちゃっただけで、何でもないわよ」
「「「ほんとう?」」」
「ええ、本当よ」
三人揃って心配そうに見上げてくる顔が可愛いわ!
「アレンくん、エレナちゃん、こんなに珍しいものどうしたの?」
「「めいきゅうでみつけたの!」」
「……迷宮ね」
染料が出る迷宮と言えば、セルディーク国の『色彩の迷宮』ね。でも、あそこでこのような淡い色合いのものや模様のある染料が出るなんて聞いたことがないわよ! 後でタクミさんに詳しく話を聞かないといけないわね!
「めいきゅう? なーに?」
ユリウスが聞いたことのない単語に首を傾げていた。普段の会話では〝迷宮〟なんて言葉は出てこないものね。ユリウスが知らないのも無理はない。
「たのしいところだよ!」
「おもしろいところだよ!」
「ぼくもいきたい!」
「「いいよ~。いっしょにいこう!」」
ちょっと待ってちょうだい。迷宮は気軽に遊びに行くようなところではないわ。
「アレンくん、エレナちゃん。さすがにユリウスには迷宮はまだ早いわ」
「「そうなの?」」
「ええ、ユリウスはまだ武術の稽古などはしていないの」
武術ができるできないの問題でもないのだけど、とにかく止めないといけないわ!
「じゃあ、アレンがまもる!」
「エレナもまもってあげる!」
迷宮というところは、子供が子供を守りながら進めるような場所ではないのだけど……この子達ならできそうね。そんな感じがするわ。でも――
「それでも、すぐにはちょっと無理ね」
「「だめー?」」
「おば~さま~?」
「今は駄目ね。ユリウスが大きくなってから行きたいと思った時、その時は一緒に行ってあげてちょうだい」
「「「……わかった~」」」
三人とも聞き分けの良い子で良かったわ~。
それからユリウスは、行けないのであれば話だけでも……とばかりに迷宮の話を強請り、アレンくんとエレナちゃんの話をキラキラした目で聞いていた。
「「おにぃちゃ~ん」」
「難しいお話は終わったかしら?」
そろそろ込み入った話にもキリがつく頃だと思い、アレンくんとエレナちゃんを連れて、男性陣のテーブルのほうに向かうと、子供達が嬉しそうにタクミさんのところへ駆け寄っていた。本当にお兄さんが大好きだということが窺える光景である。
「おやつ」
「ちょうだい」
アレンくんとエレナちゃんが、ユリウスのためにタクミさんにおやつを要求していた。
タクミさんお手製のものは、料理も甘味も素晴らしく美味しい。なので、ユリウスが気に入ることは間違いない。しかし、それらを気に入ったユリウスが、今後食べたいと強請ってきたとしても、簡単に食べさせてあげることができないのが難点である。
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