異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉

文字の大きさ
表紙へ
上 下
113 / 303
8巻

8-1

しおりを挟む



 第一章 いろいろ作ろう。


 僕は茅野巧かやのたくみ。元日本人。
 何故なぜ〝元〟がつくかと言うと……今僕がいる世界、エーテルディアの神様の一人である風神シルフィリール――シルが時空の裂け目を直そうとした際に、力加減を間違えた影響で死んでしまったからだ。まあ、不慮ふりょの事故だな。
 責任を感じたシルによって、眷属けんぞくとしてエーテルディアに転生した僕だが、飛ばされた先はガヤの森という危険な場所だった。
 そこで出会った幼い二人の子供達の面倒を見ることにした僕は、自由気ままな冒険者としての生活を始める。
 その過程で子供達――アレンとエレナが水神様の子供だということがわかり、今では本当の弟妹のように可愛がって一緒に生活している。
 そんなアレンとエレナは先日、誕生日を迎えて六歳になった。
 誕生日パーティでたくさんの人にお祝いしてもらった二人は、一晩明ければ迷宮に行こうと催促さいそくしてくるほどに行動的だ。
 まあ、元々約束していたことだったので、僕と子供達は契約獣達も連れて、『巨獣迷宮』に向かった。
 前に一度行った時は、僕達が滞在するガディア国の第三王子であるアルフィード様達も同行していたから、六日ほどかけて十階層に辿たどいた。だけど今回は、子供達が大変張り切ったこともあって、大量の肉を手に入れつつ、五日であっさりと攻略してしまったのだった。


 そんな迷宮攻略を終え、新しい年になり、寒さがうすれつつある今日この頃。

「あっ! しまった!」

 王都にあるルーウェン伯爵はくしゃく家のやしき、その一室でゆっくりと休んでいた僕は、シルにお願いされていたアイスクリームをまだ送っていなかったことを唐突に思い出した。

「「なーに?」」
「アイスクリームをあげるって約束していたのを忘れていたんだよ」
「アレンもあいすたべるー」
「エレナもあいすたべるー」

 あげるのであって、食べるわけじゃないんだけど……まあ、いいか。

「アイスの在庫はまだあるけど、時間もあるし……作るか!」
「「つくるー!」」

無限収納インベントリ》に入っているストックは、外出先で食べたい時のためのものだから、なるべく切らしたくない。
 一の月――春になったとはいえまだ寒いので、アイスクリームを外で食べることはないけど……暖かい部屋で食べるアイスクリームって、わりと好きなんだよな~。

「シルに送る分と補充ほじゅう分、あとは新しいアイスにも挑戦するか」
「「あたらしいの!!」」

 新作と聞いて、アレンとエレナの目が輝く。

「手伝ってくれるかい?」
「「うん!」」

 二人は元気よく手を挙げた。

「アレン、つくるー」
「エレナ、たべるー」
「……おや?」
「んにゅ?」
「あれ~?」

 アレンとエレナは何かがおかしい、とばかりに左右対称に首をかしげる。
 これはあれだよな? エレナの「食べる」は、きっと言い間違いだよな~。

「エレナは手伝ってくれないのかな?」
「「あっ!」」

 僕がそのことを指摘すると、二人は同時に声を上げた。

「えへへ~、まちがえちゃった~」
「あはは~、エレナ、まちがえた~」

 そしてエレナは少し恥ずかしそうにペロッと舌を出し、アレンはそんなエレナを見て笑う。

「エレナもつくるの!」
「ははっ、じゃあ、お願いするよ」
「うん!」

 可愛い間違いはあったものの、僕達は早速、厨房ちゅうぼうに移動してアイスクリーム作りを始める。

「さて、アレンとエレナは何の味のアイスが食べたいんだ?」
「んとねー……アレン、ちょこれーと!」
「んとねー……エレナはみるくー!」
「了解、チョコレートとミルクな」

 うーん、シルに送る分は何の味にするかな~。
 チョコレート味は前に送ったので、それ以外の味がいいよな。
 じゃあ、王道のミルクとイーチと……それから新しく作ろうと思っているミルクティーあたりにするかな。

「アレンとエレナには混ぜ混ぜをお願いしてもいいか?」
「うん、まぜまぜする~」
「あとねー、たまごわる~」
「お、じゃあ、お願いするかな」

 まずは二人のリクエストであるミルクアイスとチョコレートアイスを作ろうと思うんだけど……刻んだチョコを入れて、チョコチップ系のアイスにするのもいいな!

「アレン、エレナ、刻んだチョコレートも入れて、カリカリの食感のアイスにするか?」
「「おぉ~、いいねぇ~」」

 僕の提案に、二人は目をキラキラさせる。
 あ、あとはイーチ味で作ってもいいかな? チョコチップ系のアイスといえば、僕はチョコミントも好きなんだけど。
 でも、ミントアイスってどうやって作るんだろう? ミントエキス的なものを混ぜるということはわかっているんだけど、そのミントエキスがな~。
 ミントをレイ酒にけ込めばいいのかな? いや、それではあくまでもお酒であって、アイスには使えないか?
 あ、蜜液――ガムシロップみたいな樹液じゅえきで煮出してみるか? うん、やってみよう。
 お酒と言えば、ラムレーズンアイスっぽいものを、ブランデーとレーズンに似ている乾燥かんそうさせたククルの実で作れるかな? 子供達には食べさせられない大人用だけど、やってみるか。
 いや~、困った。挑戦してみたいものがいっぱいだ。
 そうそう、氷菓子こおりがしといえば、かき氷もまだ作っていなかった。
 まあ、まず最初に、氷を削る機械を作ってもらわないといけないんだけどな! あの魔道具屋のおじいさんなら作ってくれるだろうか?
 ホットプレートを作ってもらいたいと思っていたことだし、明日にでも訪ねてみよう。
 そんなことを考えている僕をよそに、アレンとエレナはどんどん作業を進めてくれていた。

「「おにーちゃん、たまごわれた~」」
「二人とも上手!」
「「えへへ~」」

 いや~、本当に上達したな~。少し前まで卵をつぶしていたのが懐かしいよ。

「じゃあ、僕は他の材料を用意するから、次は混ぜるのをお願いな」
「「うん!」」

 結局、チョコチップ入りのミルク味とチョコ味、シルに送る用に普通のミルク味、イーチ味に、紅茶の茶葉入りじゃなく、ミルクティーを使ったアイスを作った。それから、ペースト状になるまですり潰した黒ゴマで作ったアイス、粒餡つぶあんを混ぜ込んだアイス、ブランデーに漬けた干しククルの実を入れたアイス、蜜液で作ったエキスを使ったミントアイスも。
 早速、アレンとエレナと一緒に味見していく。

「あ~、これは駄目だめだったか~」

 ほとんどのアイスが良い出来であったが、ミントアイスだけがちょっと失敗だったかな?
 ミントエキスが薄かったせいか、ミントの香りがほとんど感じられなかったのだ。それこそ、ほんのりミント風味っていう感じだ。
 ミントが入っていることを知らなければ、ただのミルクアイスだと思うだろう。

「「おいしいよー?」」
「ミルクアイスとしてならな」
「「みんと? においするの~」」
「そうか? アレンとエレナはミント味も大丈夫なのか?」
「アレン、これすき~。すっきり?」
「エレナもすき~。さっぱり?」

 ミントアイスって好き嫌いが出る味だと思うのだが、アレンとエレナは好きらしい。
 とはいっても、今食べているミントアイスはそこまで味に出ているわけではないからな~。

「でも、もっと濃い味にしたものはどうだろうな? 今日はもう試さないけれど、また作ってみようか」
「「たのしみ~♪」」

 ミントアイスは時間ができたらまた作ることにしよう。
 ……おっと、忘れないうちにシルにアイスを送っておかないとな~。

「よし、これでいいな。――じゃあ、チョコチップのミルクとチョコアイスを器に盛って、マティアスさんとレベッカさんのところに突撃するか?」
「「とつげき?」」

 今日は僕達の後見をしてくれているルーウェン伯爵家の当主、マティアスさんと伯爵夫人のレベッカさんがおやしきにいるそうだ。
 なのでそう提案してみると、アレンもエレナも目をキラキラとさせた。

「「する♪」」

 器に盛ったアイスを《無限収納インベントリ》に入れて、マティアスさんとレベッカさんのいる部屋に向かうと、アレンとエレナは文字通り、二人に突撃していく。

「「とつげき~」」
「おやおや、可愛い攻撃が来たぞ」
「あらあら、本当ね。二人ともいらっしゃい。どうしたのかしら?」

 ちょうどお茶を楽しんでいたマティアスさんとレベッカさんは、子供達を大歓迎してくれた。

「あいす、つくったの~」
「いっしょにたべよ~」
「まあ、うれしいわ~」

 それから僕達は、みんなでアイスを食べながらおしゃべりを楽しんだのだった。
 あまりに楽しかったので気づかなかったんだけど、シルから大量のモウのミルクとコッコの卵が送られてきていた。
 ……これはまたアイスを作って送ってくれという意味だろうか?


 ◇ ◇ ◇


「お爺さん、こんにちはー」
「「こんにちはー」」
「おお、おまえさん達か。よく来たのぉ~」

 翌日、僕達は街の魔道具屋にやって来た。
 ここはフィジー商会のステファンさんに紹介してもらったお店なんだけど、見た目をあえてボロボロのお化け屋敷やしき風に偽装している、ちょっと変わった魔道具屋なのだ。

「作っていただいた道具、とても便利に使わせていただいています」

 以前訪れた際にミキサーとジューサーを買い、さらには店主のお爺さんに、ハンドミキサーとミンサーまで作ってもらったので、そのお礼を言う。

「それは良かった。で、また何か作って欲しい道具ができたかい?」
「実はそうなんです。無理なら無理と言ってくれて構わないので、話を聞いてもらえませんか?」
「ふぉ、ふぉ、ふぉ。いいぞ。この老いぼれに作れそうなものならよいのだがな~」
「ありがとうございます!」

 お爺さんが快く僕の話を聞いてくれることになったので、まずはかき氷を作るための氷を削る魔道具と、ホットプレートのような魔道具を説明する。

「氷を薄く削るものと、大きめの鉄板に合う魔道コンロだな。うむ、その二つなら問題なく作れるだろう」
「本当ですか!」

 これで、かき氷機とホットプレートが手に入るな~。

「かきごおりー?」
「こんろー?」
「かき氷は氷を削って作るおやつだな。コンロはお肉をいっぱい焼くものだよ」
「「おぉ~!」」

 アレンとエレナが、僕が頼んだ魔道具はどんなものか気になったようなので簡単に説明する。
 すると二人は、目をキラキラさせた。

「お願いしてもいいですか?」
「「おじーちゃん、おねがい!」」
「ふぉ、ふぉ、ふぉ。構わんぞ。ただ、以前に作った回転刃を使う魔道具のように、削る刃や鉄板は鍛冶屋かじやに特注になるな」
「構いません。あっ、鉄板は交換用というか、予備も一緒に注文してもらってもいいですか?」
「ん? わかった、頼んでおこう」

 あ、交換用の鉄板といえば、平らなタイプの他に、深さのある鍋タイプも欲しいよな~。
 ああ、あと、タコ焼き用のものとかも作ってもらえるかな? でも、これは直接鍛冶屋にお願いしたほうがいいかもしれない。 

「お爺さん、特注の鉄板の他に、鍋とかもお願いしたいんですけれど、お爺さんが頼む鍛冶屋さんはそういうもの……というか、僕の注文でも受けてくれますかね?」
「ああ、大丈夫だぞ。ヴァンの坊主のところは包丁や鍋を専門にしておるからのぉ。ふぉ、ふぉ、ふぉ、鍛冶屋でも何かいろいろ頼みたいものがありそうだのぉ」
「ええ、そうなんです」
「それなら店を教えるから、わしの代わりに注文に行ってもらうとするかのぉ」
「はい、任せてください」

 紹介してもらえてよかった~。僕じゃあ、武器を作る店と鍋とかを作る店の見分けがつかないからな。

「あと、お爺さん、もう一つお願いしたいものがあるんですが、いいですか?」
「ん? なんじゃい?」
「これなんですが……」

 僕は炊飯器すいはんきを《無限収納インベントリ》から取り出し、お爺さんに見せる。

「これと同じものは作れますか?」
「どれ、中をちぃーと見せてもらうぞ」
「はい、どうぞ」

 ルーウェン家、リスナー家、城の人達、さらに以前カレーライスの昼食会を開いた際の他参加者から、ご飯を作る方法を聞かれていた。
 しかし、僕が使っている炊飯器はシルからもらったもので、買ったわけではない。
 だから炊飯器を手に入れられるお店は知らないし、かといって鍋でご飯を炊く方法を正確に教えることもできない。
 なので、炊飯器の複製ができないかな~と思ったのだ。
 お爺さんは炊飯器を調べながら、感心したようにつぶやく。

「ふむ……加熱が主軸のようだが、加熱温度や時間が細かく設定されているのぉ」

 へ~、そうなんだ。でも確かに、鍋でご飯を炊く時って、火加減を強くしたり弱くしたりした気がする。

「これは料理に使うものか?」
「はい、白麦を加熱するためのものなんです」
「白麦? 白麦ってあの白麦か? 食べるのかい?」

『白麦』というのはお米のことなんだけど、この世界では家畜かちくえさとして扱われている。そのせいか、お爺さんは不思議そうにしていた。

「はい、その白麦です。食べてもらったほうが早いかな?」

 僕は作り置きしていたホカホカのご飯を《無限収納インベントリ》から取り出してお爺さんに手渡す。

「パンの代わりにしたりするんです。昼食には少し早いですけれど、おかずも用意しますので食べてみませんか?」
「ふむ、ご馳走ちそうになるかのぅ。だが、どうせならこの魔道具を実際に使うところを見たいんじゃが……構わんか?」
「大丈夫です。すぐに用意しますね」

 お爺さんのリクエストに応えて、ご飯は一旦しまい、新たに出した白麦と水をセットした炊飯器を起動させる。
 お爺さんが炊飯器をまじまじと観察し始めたので、僕は場所を借りて早めのお昼ご飯を用意することにした。

「何がいいかな~」
「しょーゆ!」
「みそ!」
「そうだな。ご飯にはショーユとミソの味付けがいいよな!」
「「うん!」」

 おかずを何にしようか悩んでいると、アレンとエレナがリクエストを言ってくる。
 お爺さんにもご飯の魅力をわかってもらいたいので、やはりここは和食っぽい、というか定食っぽい感じにするかな~。

「じゃあ……魚の塩焼きに……肉じゃが、浅漬け、味噌汁みそしるでどうだ?」
「「いい~」」

 よし、メニューは決まりだな。
 ご飯は十分で炊き上がるから、さくさく作ってしまわないとな!


「おっ、止まったかのぅ?」
「できたみたいですね」

 レインボーサーモンという魚の切り身の塩焼きがもう少しで焼ける……と思ったところで、ご飯が炊き上がった。
 マロ芋、タシねぎ、ニンジンにオーク肉をいっぱい使った肉じゃがは《エイジング》の魔法を使ったのでもうでき上がる。
 キャベツとミズウリに昆布の細切りを入れた浅漬けは、アレンとエレナが一生懸命いっしょうけんめいみこんでくれたので、これも大丈夫。
 ダイコンとシィたけの味噌汁は、ミソの実を溶かせば大丈夫だから……――

「アレン、エレナ、ご飯を混ぜてからお茶碗ちゃわんによそえるかい?」
「「できるー」」
「じゃあ、お願いな」
「「うん!」」

 ご飯をよそうのはアレンとエレナにお願いし、僕はおかずを仕上げてお皿に盛っていく。

「お爺さん、温かいうちに食べませんか?」
「おお、すまんのぅ」

 せっかくだから炊き立てのご飯を食べてもらわないとね。
 出来上がったお昼ご飯を出すと、お爺さんは嬉々ききとして食べ始めた。

「おぉ、これは美味うまい」
「「おいしい~」」
「白麦がこれほど柔らかくなるのか~。うん、おかずとの相性も良いのぉ~」

 お爺さんはとても気に入ったらしく、ぺろりと完食した。
 もちろん、アレンとエレナも残さず食べる。そういえば、二人は魚や野菜なんかの好き嫌いはないな~。


「――それで、どうですか?」
「ふむ……結論から言うと、儂では同じものは作れなそうだ」

 食事を終え、いよいよ炊飯器が作れるかどうか聞くが、お爺さんからはそんな答えが返ってきた。

「……そうですか、残念です」
「これこれ、話は最後まで聞きなさい」
「え?」

 落ち込む僕に、お爺さんがあきれたように注意してくる。

「同じものは無理だが、下位――劣化版なら作れそうだ」
「え? 作れるんですか?」

 お爺さんの言葉で、落ち込んでいた気持ちが浮上する。

「これには時空魔法を使って時間を短縮する仕組みが組み込まれておる」
「あ、そういえば……」

 確かに、この炊飯器はかなり短い時間でご飯が炊き上がる。そういうものだと思っていたから何も考えていなかったが……時空魔法が組み込まれていたのか。

「時空魔法を組み込むのは儂には無理じゃ。だが、それ以外ならば可能だ」
「おぉ~」

 じゃあ、結果的には炊飯器は作れるんだな! それは朗報だ!
 時間短縮ができないといっても、普通に炊けば三十分から一時間くらいで炊き上がる。だったら、全然問題なんてないもんな~。

「ぜひ作ってください!」
「うむ。儂も白麦が気に入ったのでな、喜んで作らせてもらおう」
「ありがとうございます!」

 炊飯器については、複数作ってもらうようにお願いしておいた。


しおりを挟む
表紙へ
感想 9,541

あなたにおすすめの小説

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

てめぇの所為だよ

章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~

空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。 どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。 そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。 ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。 スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。 ※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

押し付けられた仕事は致しません。

章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。 書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。 『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。