表紙へ
上 下
99 / 313
7巻

7-3

しおりを挟む

「「ただいまー」」
「おかえり。見事に懐いているな~」

〝こちらに来る=捕食者達がいる〟ということであるにもかかわらず、パステルラビット達は落ち着いた様子で、アレンとエレナの腕の中で鼻をひくひくさせている。

《全然、おびえていないわね?》

 フィートは、エレナが抱いている黒いパステルラビットに顔を近づけるが、パステルラビットは平然としている。

《本当だ~》
『がる~ん』

 ジュールとベクトルもアレンが抱くパステルラビットに近づくが、パステルラビット達は本当に全く動じなかった。

「……感覚が鈍いんだか、度胸があるんだかわからないな~」
《兄上、これで依頼達成ですか?》
「ん? あ~、そういうことになるかな?」

 どんな色のパステルラビットでも二匹確保できれば良かったので、パステルラビットそうさくはこれで終了しても問題ない。

「きいろはー?」
「あかはー?」

 だが、アレンとエレナは、リリーカ様とシスティーナ様に指定された色のパステルラビットを探さないのかと訴えてきた。

「絶対に黄色や赤じゃなくてもいいんだぞ?」
「えぇ~」
「でも~」

 ……探したいようだ。
 わがまま、というよりはきょうしたくないのかな?

「わかった、わかった。森に入ってからそんなに時間も経っていないことだし、もう少し探してみようか」
「「うん、さがすー」」

 アレンとエレナの訴えを了承すると、二人は満面の笑みでばんざいをした。

「ほら、三匹をここに入れな」
「「は~い」」

 僕は《無限収納インベントリ》から籠を取り出し、アレンとエレナにパステルラビット達を入れさせる。ついでに野菜くずを入れてあげると、三匹は飛びつくように食べだした。

「おなか~」
「へってる?」
「……そうみたいだな」

 冬だからえさに困っていたんだろうか? いや、でも、周りを見る限り、草や木の実が全くないというわけではないのだけどな~。

「まあ、野菜ならいくらでもあるからいいさ。ほら、どっちに行くんだ?」
「「んとねー……あっちー!」」

 アレンとエレナに行きたい方向を聞くと、山のほうを指した。

「あっちだな」
「「うん!」」

 僕達は再度、パステルラビットを探して森の奥へと進む。そしてしばらく進むうち――

《あそこに赤い花がある~》
《あれはこうせんね。ジュール、珍しい花を見つけたわね》
「これー」
「ひかげそう?」
《本当ですね。かげそうで間違いないです》
《兄ちゃん、これ美味しいやつだ!》
《ベクトル、ゆきまめなの! 採るの!》

 子供達は次々と薬草や食材を見つけて採取していく。

「あっ!」
「いた!」

 しかも、しっかりとパステルラビットも見つけ、黄色と紫色の二匹を捕獲していた。

「あ~か~♪」
「ピンク~♪」
「いないかな~♪」
「でておいで~♪」

 黄色のパステルラビットを見つけたアレンとエレナは、ごげんに歌いながら次のパステルラビットを探すのだった。


 パステルラビットを探しつつ、森の深くへと進んでさらに山を登って行くと、かなり寒さが増してくる。

「うわっ! ここは一面、雪景色だな~」
「ふわふわ~」
「これなーに?」
「雪だよ。雪」
「「ゆきー?」」

 ガディア国では冬でもあまり雪は降らないと聞いていたが、標高が高く気温が低いからか、二、三十センチくらいの雪が積もっていた。

「「つめたーい」」

 アレンとエレナは雪を見るのが初めてなので、不思議そうにしながらしゃがみ込んで雪を触っている。

「冷たいだろう? ほら、マフラーを巻いて、手袋をはめておきな」

 素手で雪を触って手を真っ赤にさせているアレンとエレナに、僕は慌てて防寒具を身につけさせる。
 本当にレベッカさんに感謝だな。着ぐるみを作ってくれた時にいろいろと注文したものがとても役に立っている。

「「うにゃっ!」」

 すると突然、アレンとエレナの顔を目掛けて雪が飛んできた。

《隙あり~》
『がる~ん♪』

 ジュールとベクトルが前足で雪を投げ飛ばしたようだ。

「「ほりゃ~」」

 お返し、とばかりにアレンとエレナも両手ですくった雪をジュールとベクトル目掛けて投げる。

《当たらないよ~》
《残念~♪》

 しかし、ジュールとベクトルは子供達の行動を読んでいたのだろう、やすやすと雪をけていた。

「「あぅ~」」
「アレン、エレナ、雪をこうやってぎゅっとして丸く固めるんだ」
「「おぉ~」」

 悔しそうにするアレンとエレナに雪玉を作ってみせると、二人は感心したような声を上げる。

「「そりゃー」」

 そしてその雪玉でどうするかを理解したアレンとエレナは、すぐに雪玉を作ってジュールとベクトル目掛けて投げつけた。

《うわっ! それ、ズルい!》
《危なっ!》

 ジュールとベクトルは高速で飛んでくる雪玉をギリギリで避ける。

「「むぅ~」」
「アレン、エレナ、くれぐれも本気で投げるなよ。二人が本気で投げたら、ジュールとベクトルでも重傷になる」
「「は~い」」

 雪玉も避けられ、ますますやる気をみなぎらせるアレンとエレナ。そんな二人に、ほどほどにと注意すると、元気の良い答えが返ってきた。

《ちょっと、お兄ちゃん! 止めないの!?》
「最初に雪を掛けたのはジュールとベクトルだしな」


 アレンとエレナの様子を見てジュールとベクトルは慌てだす。

《ジュールとベクトルったら、悪戯いたずら好きなんだから~》
《子供なの!》
《そうですね》

 フィート、マイル、ボルトは、呆れたように首を振っていた。

《それにしても、アレンちゃんとエレナちゃんは楽しそうね》
《はい、嬉々ききとして追いかけていますね》
《でもでも、ジュールとベクトルが凄い勢いで逃げているの~》

 ボルト達は、アレンとエレナが雪玉を作っては、ジュールとベクトルを追いかけて投げる様子を微笑ましそうに見ている。

「やぁー」
《ちょっと、アレン!? それはごうそっきゅうすぎるよぉ!?》
「ほいっ!」
《わ~、エレナ~。少し手加減してよ~》

 雪玉が作れないジュールとベクトルが防戦一方になるのが面白いのか、アレンとエレナは本当に楽しそうである。

容赦ようしゃないよ~》
《やられた~》

 ジュールとベクトルは全力で逃げ回っていたが、しばらくすると降参して雪の上に倒れこんだ。

「「かったー!」」

 そんな二匹を見て、アレンとエレナはほがらかな表情を浮かべていた。

《ねぇ~、兄ちゃん、兄ちゃん》

 すると突然、力なくはらいになっていたベクトルが鼻をひくひくさせる。

「ん? ベクトル、どうかしたか?」
《なんか、この下から良いにおいがする~》
「匂い? 雪の下に何かが埋まっているのかな?」
《そうみたい! オレ、掘ってみる!》

 がばり、と勢いよく起き上がったベクトルは、その場の雪を掘り始める。

「「なーに?」」
「何か良い匂いのものがあるんだって」

 ベクトルの行動を見て、全員が周りに集まってくる。

《本当だ。良い匂いがする~》
《そうねぇ~》

 ジュールとフィートも辺りの匂いを嗅ぎ、同意する。

《これだ!》

 しばらく様子を窺っていると、ベクトルは雪の下から十数センチほどの青白いキノコを掘り出した。

「ユキシタだけだ。また珍しいキノコを見つけたな~」

 ユキシタ茸は、その名の通り雪の下で成長するキノコである。
 積雪が少ないと成長しないという特殊な生態で、大量の雪が積もってしまえば掘り出すのがやっかいになるため、あまり市場には流れない品だ。
 うまがたっぷりでとろけるような食感ということもあって、高級品として扱われている。
 冒険者ギルドにもユキシタ茸の採取の依頼書があったはずだが、確か……Bランクとわりと難易度が高かったっけ。

《見事に真っ二つだけどね~》
《勢いよく掘り過ぎたわね~》
《価値が半減です》
《残念なの~》
『……がる~ん』

 しかし、掘り出されたユキシタ茸を見たジュール、フィート、ボルト、マイルが口々にそう言うので、ベクトルが見るからに落ち込んでしまっていた。
 容赦ないな~。

「こらこら、みんなしてそんなに責め立てるなよ。ベクトル、調理する時に切るし、半分に割れていても問題ないから。見つけてくれてありがとう」
『がるんっ!』

 僕が頭をポンポンと軽く叩いてやると、ベクトルは僕のお腹に頭をぐりぐりと擦りつけてきた。
 アレンとエレナもこちらに寄ってきて、ベクトルを撫でてあげる。

《確かに食べる時は切るもんね~》
《そうね。形は関係ないわね》
《はい。売るのでなければ問題ないですね》
《それにそれに、まだここら辺にはユキシタ茸があるかもなの!》

 僕とアレン、エレナがベクトルをなぐさめる様子を見て、みんなは慌ててつくろう。
 こちらをチラチラと見てくるのは、僕が怒っていないか気にしているからかな?

「……怒ってないぞ?」

 ぼそりと呟いてみたら、みんなはあんした様子を見せた。
 やはり、気にしていたようだ。
 そしてその後、子供達は仲良くユキシタ茸を掘り出し始めた。
 ここら辺はユキシタ茸の生育の条件に当てはまりつつも、掘り出せないほど雪が積もっているわけでもなかったので大量に採取することに成功したのだった。
 ……雪とキノコに気を取られてパステルラビットを探すのを忘れていたけどね~。


「すっかり夢中になってしまったな」

 ふと気がつくと日が沈みかけて、夕方になっていた。

「ジュール達に全力で走ってもらえば閉門までには間に合うか?」
「あかはー?」
「ピンクはー?」

 急いで帰るべきか考えていると、アレンとエレナはまだ赤、もしくはピンクのパステルラビットを捕まえていないと訴えてくる。

《泊まろう!》
《それがいいわ!》

 ジュールとフィートも野営しようと主張した。

《オレ、ベッドになる~》
《みんなで固まっていれば寒くないの!》

 ベクトルは、寝る時は自分に埋もれれば良いと言い、マイルも後押しする。
 最初は一晩野営してもいいと思ってたけど、目標は達成しているので、わざわざする必要はないんだよな~。

「寒さに耐えられるだけの装備はあるけど、さすがに夜空の下は寒いことには変わらないぞ?」

 先ほどの場所と違って、ここは一面雪が積もっているのでかなり寒いだろう。

《じゃあ、ぼく、滞在できそうなどうくつを探してきます!》

 僕の言葉に、ボルトはすぐさま飛んでいった。
 ……僕が「帰るぞ」と言う前に、という感じだな。

「も~、仕方がないな~」

 ボルトならきっと手頃な洞窟を探して帰ってくるはずだ。それなら夜空の下よりましになるだろうし、あとはジュール達の毛皮に頼ればいいか。

「この寒い時期に連泊はしたくない。明日には街に帰るからな」
「「《《》》」」

 子供達とジュール達は元気よく返事をする。その時、子供達は顔を見合わせ、〝やった〟という表情をしていた。
 みんなのれんけいといい、こういう展開を狙っていた……とか? ……いや、まさかね。


 しばらくして戻ってきたボルトにゆうどうされて、僕達は洞窟へと向かう。

「広さも奥行きもちょうどいいな」
《良かったです》

 洞窟の中は、寝る時にベクトルが大きくなってもきゅうくつではなく、だからといって広すぎることもない。ほのかに暖かいし、ここでなら寝ても子供達が風邪かぜを引く心配はないだろう。

「寝るところも決まったことだし、ご飯にしよう。せっかくだから、ユキシタ茸を使って鍋にでもするか」
「「おなべ~」」

 今夜のメニューはいろんなキノコをたっぷりと入れた温かいキノコ鍋だ。味付けはそうだな~、ショーユにするかな。
 あ、あとレモネーを使ったおやつも作らないと!
 とりあえず、果汁を使ってゼリーにしてみよう。

《楽しみ~》
《兄ちゃん、キノコはいっぱい入れてよ♪》

 ジュールとベクトルは料理を始める僕の横に来て、作業をのぞき込んでくる。
 煮込んでいる途中、匂いを嗅ぎながら鍋の中に顔を入れそうになるベクトルには注意が必要だった。
 あっという間に鍋はでき上がり、早速みんなで食べ始める。

「ん~」
「「おいしぃ~」」

 ユキシタ茸は本当にとろけるような食感で大変美味しかった。

《これ、美味しいね~》
《本当に美味しいわ~》
《面白い食感ですね》
《オレ、これ、好きー!》
《美味しいの!》

 ジュール達もみんなが絶賛。
 その上、帰りにもユキシタ茸を採りに行こうと子供達が訴えてきて、僕は勢いに負けて拒否することができず、帰り道にもユキシタ茸採取が決行されることになった。

《兄上、美味しいです。ありがとうございます!》

 レモネーゼリーは、ボルトにとても気に入ってもらえたようだ。
 もちろん、他の子達もペロリと完食。もっと食べたいと言われたが、食べ過ぎもよくないので我慢がまんしてもらおう。
 食後にしばらくおしゃべりしたが、早めに休むことにした。元の大きさに戻ったベクトルに寄りかかったところで、両脇にアレンとエレナが抱きついてくる。
 そんな僕達を挟むようにジュールとフィートが寄り添い、ボルトとマイルは僕のお腹の上で丸くなった。せっかくなので、僕の契約獣であるパステルラビットのシロ達も召喚する。

「「あったか~い」」

 みんなで固まっているとやはり暖かく、僕達はすぐに眠りに落ちたのだった。


 そして、翌朝。

「……何だ、これ」

 僕は目の前の光景に呆然ぼうぜんと声を出すしかなかった。
 その一方でアレンとエレナ、契約獣達は大声ではしゃいでいる。

「「いっぱーい!」」
《ボク達が寝てから寄ってきたみたいだね》
《全然気づかなかったわ~》
《気配察知の能力が凄いらしいですけど、気配を消すのも得意みたいですね》
《凄ーい》
《そうなの! わたし達全員に気づかれないって、凄いの!》

 なんと、目を覚ました僕達の周りにパステルラビットが大量にいたのだ。

「この洞窟、パステルラビットの巣か何かだったのか?」

 まぎらわしいのでシロ達はすぐに影の中に戻したが、それでも十二、三匹はいた。
 そのうちの五匹は昨日捕まえたパステルラビットかな? と思ったが、その子達は逃げる様子もなく相変わらず籠の中で大人しくしている。
 籠に蓋をしているわけではないので、逃げようと思えば逃げられる状況だが、一匹も逃げていない。それどころか、籠の中には七匹いるので二匹ほど増えている。

「あかいこ、いる~」
「ピンクのこも~」
「そうだな。というか、いろんな色がいるから……凄くカラフルだ」

 どうやら、今日やろうとしていたパステルラビット探しは達成できたらしい。

「じゃあ、連れて帰るのは、黄色と赤とピンクの三匹か?」

 今回はリリーカ様とシスティーナ様が希望するパステルラビットさえいればいいからね。

「「《《《!?》》》」」

 僕の言葉が予想外だったのか、みんな驚いた表情で僕を見てくる。

「「なんで~」」
《三匹だけ? 三匹だけなの?》
《いっぱいいるよ!?》

 アレンとエレナ、ジュールとベクトルは〝納得できない〟と訴えた。

《でも、そうね。薬草や果物と違って、見つけたら見つけただけってわけにはいかないわよね~》
《はい、生き物ですからね》
《そうなの!》

 フィート、ボルト、マイルは驚いたものの、すぐに納得したように頷いた。

「「あげないのー?」」

 アレンとエレナが言っているのは、他の人の分も連れて帰らないのかということだろう。

「リリーカ様とシスティーナ様の分は一応、依頼って形で請け負っているからね。誰彼だれかれ構わずにあげることはできないな~」

 パステルラビットを捕まえられた場合、二人には冒険者ギルドを通して届けることになっている。
 無償で引き受けてしまったら、「私にも」と言ってくる人が出てきて厄介なので、僕がギルドに出されていた依頼を気紛れに受けた、というていさいにしたのだ。
 前の時はパステルラビットを売却するのが躊躇ためらわれたので、マティアスさんに引き取り手を探してもらったが……今回も、というわけにはいかない。

「テオドールくん!」
「ラティスくん!」

 そう思っていたら、アレンとエレナが二人の名前を挙げた。

「そうだな。一匹は残る予定だから二人に頼んでみるつもりだよ」

 赤とピンクのパステルラビットのうち、システィーナ様が選ばなかったほうは、リスナー家のテオドールくんとラティスくんに引き取ってもらえないかな~と思っている。

「ラリーくん!」
「ヘレナちゃん!」
「え?」

 だが、アレンとエレナはテオドールくん達だけではなく、仲良くなったマクファーソン家のラリーさんとヘレナさんにもパステルラビットをあげたいようだ。
 ん~、下手をしたら無理やり押し付けることになりかねない。まあ、あの二人なら喜んで貰ってくれるとは思うけどな。

「……もう一匹だな。じゃあ、アレン、エレナ、パステルラビットを入れ替えるよ」

 もし、マクファーソン家が駄目だった場合でも、一匹なら引き取り先はどうにかなるだろう。
 アレンとエレナにはそれで納得してもらい、二人に連れて帰るパステルラビットを捕まえるように言う。すると――

「「あぅ~~~」」

 ここにいるパステルラビット全てが、アレンとエレナの足元に集まった。……自分を連れていけと言わんばかりに。

「このパステルラビット達は僕達の言葉を理解しているのか?」
《ん~、どうなんだろう?》
《様子を見る限り、理解していそうね~》
《ですが、パステルラビットはそこまで知能は高くなかったですよね?》
《本能?》
《より安全な場所へ行こうとするしゅうねんなの!》

 さすがのジュール達でも、パステルラビットの言葉はわからないらしい。

「僕達はお前達を飼うことはできないし、信用できる人にたくすこともできない。だから、ついてきても欲しがっている人に売ることになってしまうぞ?」

 僕はパステルラビット達に向かって説得じみたことをしてみたが、ますます群がってくる。
 おかしくないか?

《野で生活するより、飼われるほうが良いみたいだね~。まあ、弱いから当然かな?》
「じゃあ、何で捕獲しようとする冒険者から逃げるんだよ。飼われたいのなら、普通は寄って行くだろう?」
《ん~、それはその冒険者達が捕まえようと張り切ってギラギラしているからじゃない? だから、怖くて逃げるとか?》
「……」

 ジュールの言うことに、僕はもの凄く納得してしまった。

「「つれてくー?」」
「そうだな~……」

 ここに放置しても、パステルラビット達はついてこようとするだろう。
 まあ、ジュール達に乗って走れば振り切ることはできるだろうけれど……――

「生き物を売ることはあまりしたくないが、グレイス様からパステルラビット不足だって聞いたばかりだからな~。連れていくか」
「「おぉ~」」

 僕はここにいるパステルラビット達を連れて帰ることに決めた。
 そうと決まればさくさく帰らないとな。
 なんて意気込んだまでは良かったものの、帰路の途中、子供達からユキシタ茸の採取を忘れないでと指摘を受け、しっかりとユキシタ茸の採取もしてから戻ることになったのだった。

しおりを挟む
表紙へ
感想 9,362

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。 戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。 『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。 ※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。 時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。 一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。 番外編の方が本編よりも長いです。 気がついたら10万文字を超えていました。 随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!

婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。

アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。 いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。 だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・ 「いつわたしが婚約破棄すると言った?」 私に飽きたんじゃなかったんですか!? …………………………… たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!

ありぽん
ファンタジー
[第3回次世代ファンタジーカップエントリー] 特別賞受賞 書籍化決定!! 応援くださった皆様、ありがとうございます!! 望月奏(中学1年生)は、ある日車に撥ねられそうになっていた子犬を庇い、命を落としてしまう。 そして気づけば奏の前には白く輝く玉がふわふわと浮いていて。光り輝く玉は何と神様。 神様によれば、今回奏が死んだのは、神様のせいだったらしく。 そこで奏は神様のお詫びとして、新しい世界で生きることに。 これは自分では規格外ではないと思っている奏が、規格外の力でもふもふ相棒と、 たくさんのもふもふ達と楽しく幸せに暮らす物語。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

3歳児にも劣る淑女(笑)

章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。 男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。 その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。 カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^) ほんの思い付きの1場面的な小噺。 王女以外の固有名詞を無くしました。 元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。 創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。