22 / 40
準備期間です。
22.不機嫌です
しおりを挟む
今、私の目の前にいる王様の顔は、真っ青になっています。
「リア? 何があったんだい?」
「……」
父が私に話し掛けてきますが、私はそれを無視。
今は父にでも口を開きたくありません。
「……リア嬢、何があったのかね」
「……」
そうそう、私が今何処にいるかというと、城の……王様の執務室にいます。
私と王様と父の他には、ヒューリーと父の従者であるアスター。
王様の護衛でいた騎士団長と王様の侍従。
あとは、フレッド兄とバード兄に、私の護衛のカイル=スピネル。
計十名が集まっています。
何があったって?
私が超ー不機嫌なんです。
何故って?
それはね――
◇ ◇ ◇
「リア、準備はできたかい?」
「はい!」
今日、私は普段よりも質素なワンピース着て、次男のフレッド兄と三男のバード兄と街へお出掛けするんです!
前々から約束していて、すっごく楽しみにしていたんだ!
だって、お嬢様の買い物といえばお店の方が邸まで来るですよ。
洋服だってオーダーメイド。
お嬢様って、なかなか自由に出掛けられないのだ。
だから、今日という日を楽しみにしていたのだ!
「そうだリア。彼はどうするんだい?」
「あっ……」
フレッド兄が言う彼とは、カイルのことです。
正直、忘れていました。
街に出掛けて、近衛の制服を着たままのカイルが側にいたら目立つよね?
「スピネル様、騎士の制服だと目立ちますので、服をお貸ししますので着替えていただけませんか?」
騎士を連れて歩いていたら目立つから、普通の洋服に着替えるように言ったら――
「私は騎士として護衛に付いております」
と、言われた。
融通の利かなさがまた発揮された。
こいつには“お願い”が通じないんだよな~。
一応、彼は国から派遣されている護衛だから、私に命令権がないに等しいんだよ……。
「…………。でしたら、せめて一般騎士の制服に着替えてください。近衛の制服だと目立ちますので」
一般騎士なら巡回とかで街を回っているから、近衛騎士の制服より目立たないよね?
騎士と近衛騎士の制服は、作り自体は同じだが色が違う。
黒と白。
白が近衛騎士ね。
ぱっと見でわかってしまうんだよ。
騎士として護衛しなくてはならないなら、せめて黒い制服を着て!
それでいいでしょ!
「一般騎士の制服に着替える必要性を感じられません」
却下された。
くっ~~~。
「…………。では、スピネル様はお留守番ということで!」
「それでは護衛の意味がありません」
「でしたら、今日はうちの護衛のように少し距離をおいてください」
「私はヴィクトリア嬢の側で護衛するのが任務です」
「……」
こいつ、本当に融通が利かない!!!
こんな奴、もう知るかっ!!
「あなたはついて来ないでっ! 兄様、行きましょう!!」
そう言って、私は彼を置き去りにするように兄様達と出掛けたが、カイル=スピネルは当然の如く私についてきた。
何処に行っても付かず離れず……。
しかも、すれ違うだけの通行人を睨みつけたり、接客しようとする店員を威圧したり……。
本当にどうしようもない行動ばかり起こしたのだ。
それで私がとうとう感情を爆発させ、ついでにヒューリーがキレてて、王様の執務室に突撃したわけだ。
「リア? 何があったんだい?」
「……」
父が私に話し掛けてきますが、私はそれを無視。
今は父にでも口を開きたくありません。
「……リア嬢、何があったのかね」
「……」
そうそう、私が今何処にいるかというと、城の……王様の執務室にいます。
私と王様と父の他には、ヒューリーと父の従者であるアスター。
王様の護衛でいた騎士団長と王様の侍従。
あとは、フレッド兄とバード兄に、私の護衛のカイル=スピネル。
計十名が集まっています。
何があったって?
私が超ー不機嫌なんです。
何故って?
それはね――
◇ ◇ ◇
「リア、準備はできたかい?」
「はい!」
今日、私は普段よりも質素なワンピース着て、次男のフレッド兄と三男のバード兄と街へお出掛けするんです!
前々から約束していて、すっごく楽しみにしていたんだ!
だって、お嬢様の買い物といえばお店の方が邸まで来るですよ。
洋服だってオーダーメイド。
お嬢様って、なかなか自由に出掛けられないのだ。
だから、今日という日を楽しみにしていたのだ!
「そうだリア。彼はどうするんだい?」
「あっ……」
フレッド兄が言う彼とは、カイルのことです。
正直、忘れていました。
街に出掛けて、近衛の制服を着たままのカイルが側にいたら目立つよね?
「スピネル様、騎士の制服だと目立ちますので、服をお貸ししますので着替えていただけませんか?」
騎士を連れて歩いていたら目立つから、普通の洋服に着替えるように言ったら――
「私は騎士として護衛に付いております」
と、言われた。
融通の利かなさがまた発揮された。
こいつには“お願い”が通じないんだよな~。
一応、彼は国から派遣されている護衛だから、私に命令権がないに等しいんだよ……。
「…………。でしたら、せめて一般騎士の制服に着替えてください。近衛の制服だと目立ちますので」
一般騎士なら巡回とかで街を回っているから、近衛騎士の制服より目立たないよね?
騎士と近衛騎士の制服は、作り自体は同じだが色が違う。
黒と白。
白が近衛騎士ね。
ぱっと見でわかってしまうんだよ。
騎士として護衛しなくてはならないなら、せめて黒い制服を着て!
それでいいでしょ!
「一般騎士の制服に着替える必要性を感じられません」
却下された。
くっ~~~。
「…………。では、スピネル様はお留守番ということで!」
「それでは護衛の意味がありません」
「でしたら、今日はうちの護衛のように少し距離をおいてください」
「私はヴィクトリア嬢の側で護衛するのが任務です」
「……」
こいつ、本当に融通が利かない!!!
こんな奴、もう知るかっ!!
「あなたはついて来ないでっ! 兄様、行きましょう!!」
そう言って、私は彼を置き去りにするように兄様達と出掛けたが、カイル=スピネルは当然の如く私についてきた。
何処に行っても付かず離れず……。
しかも、すれ違うだけの通行人を睨みつけたり、接客しようとする店員を威圧したり……。
本当にどうしようもない行動ばかり起こしたのだ。
それで私がとうとう感情を爆発させ、ついでにヒューリーがキレてて、王様の執務室に突撃したわけだ。
29
お気に入りに追加
3,714
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の恋愛事情
水無月 静琉
恋愛
あれ? もしかしてここは前世にあった乙女ゲーム『悪役令嬢の恋愛事情』の世界ではないですか? どうしましょう、わたしが悪役令嬢ですか? 兄が攻略対象ですか!? 大変です、それは阻止しないと!
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
【二部開始】所詮脇役の悪役令嬢は華麗に舞台から去るとしましょう
蓮実 アラタ
恋愛
アルメニア国王子の婚約者だった私は学園の創立記念パーティで突然王子から婚約破棄を告げられる。
王子の隣には銀髪の綺麗な女の子、周りには取り巻き。かのイベント、断罪シーン。
味方はおらず圧倒的不利、絶体絶命。
しかしそんな場面でも私は余裕の笑みで返す。
「承知しました殿下。その話、謹んでお受け致しますわ!」
あくまで笑みを崩さずにそのまま華麗に断罪の舞台から去る私に、唖然とする王子たち。
ここは前世で私がハマっていた乙女ゲームの世界。その中で私は悪役令嬢。
だからなんだ!?婚約破棄?追放?喜んでお受け致しますとも!!
私は王妃なんていう狭苦しいだけの脇役、真っ平御免です!
さっさとこんなやられ役の舞台退場して自分だけの快適な生活を送るんだ!
って張り切って追放されたのに何故か前世の私の推しキャラがお供に着いてきて……!?
※本作は小説家になろうにも掲載しています
二部更新開始しました。不定期更新です
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
悪役令嬢ですが最強ですよ??
鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。
で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw
ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。
だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw
主人公最強系の話です。
苦手な方はバックで!
盲目のラスボス令嬢に転生しましたが幼馴染のヤンデレに溺愛されてるので幸せです
斎藤樹
恋愛
事故で盲目となってしまったローナだったが、その時の衝撃によって自分の前世を思い出した。
思い出してみてわかったのは、自分が転生してしまったここが乙女ゲームの世界だということ。
さらに転生した人物は、"ラスボス令嬢"と呼ばれた性悪な登場人物、ローナ・リーヴェ。
彼女に待ち受けるのは、嫉妬に狂った末に起こる"断罪劇"。
そんなの絶対に嫌!
というかそもそも私は、ローナが性悪になる原因の王太子との婚約破棄なんかどうだっていい!
私が好きなのは、幼馴染の彼なのだから。
ということで、どうやら既にローナの事を悪く思ってない幼馴染と甘酸っぱい青春を始めようと思ったのだけどーー
あ、あれ?なんでまだ王子様との婚約が破棄されてないの?
ゲームじゃ兄との関係って最悪じゃなかったっけ?
この年下男子が出てくるのだいぶ先じゃなかった?
なんかやけにこの人、私に構ってくるような……というか。
なんか……幼馴染、ヤンデる…………?
「カクヨム」様にて同名義で投稿しております。
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
悪役令嬢は頑張らない 〜破滅フラグしかない悪役令嬢になりましたが、まぁなるようになるでしょう〜
弥生 真由
恋愛
料理が好きでのんびり屋。何をするにもマイペース。そんな良くも悪くも揺らがない少女、
陽菜は親友と共に事故にあい、次に目覚めたら乙女ゲームの悪役令嬢になっていた。
この悪役令嬢、ふわふわの銀髪に瑠璃色の垂れ目で天使と見紛う美少女だが中身がまぁとんでも無い悪女で、どのキャラのシナリオでも大罪を犯してもれなくこの世からご退場となる典型的なやられ役であった。
そんな絶望的な未来を前に、陽菜はひと言。
「お腹が空きましたねぇ」
腹が減っては生きてはいけぬ。逆にお腹がいっぱいならば、まぁ大抵のことはなんとかなるさ。大丈夫。
生まれ変わろうがその転生先が悪役令嬢だろうが、陽菜のすることは変わらない。
シナリオ改変?婚約回避?そんなことには興味なし。転生悪役令嬢は、今日もご飯を作ります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる