12 / 40
準備期間です。
12.ダメでした
しおりを挟む
結局、ツカレトール薬はプロの薬師でも作ることができませんでした。
材料は私が提供して試しに作ってみたんだけどね、緑の魔力が流し続けられなかったのさ。
「なんてことだ……」
《だから言っただろ。あーあ、リアの育てた魔霊草を無駄にしてー》
薬師さん達が作った薬草を煮込んだ液体は、なぜか真っ黒だった。
火が強すぎて焦がした、ってわけじゃないのに黒くなっていく様は不思議だった。
なんでも魔霊草は魔力が足りないと黒く変色し、薬効成分が駄目になってしまうんだって。
薬師さん達も知らなかったらしく、目を見開いて驚いていた。
「ヒュー、物知り! 凄い凄いっ!」
《え、凄い?》
「うん!」
《へへへ~》
全力で褒めたら、ヒューリーが照れた~。
今は小さな姿だから、滅茶苦茶可愛いっ!
私は思わずヒューリーをぎゅう~。
私がヒューリーを抱きしめたら、ヒューリーも私にすり寄ってきたっ!
ホント、可愛いなぁ~。
おっと、ここで父も参戦。
ヒューリーを抱きしめていた私を持ち上げ、座っていた自分の膝へと導く。
後ろから抱え込むように抱きしめられた~。
「ヒューリー殿ばかりズルイよ、リア。父様もー」
私の頭に頬ずりする父。
父も可愛いな、おい……。
これで4児の父親かい?
でも、可愛いから許す!
ではでは、期待に応えてあげよう!
「お父様ー」
「リア~」
片手でヒューリーを抱きしめたまま、もう一方の手で父の首に抱きついた。
おお、父の顔が弛みきっている。
デレッデレだよ。
うん、父のデレ具合に、薬師達は呆然としているね。
「氷の宰相様が……」
……氷の宰相?
ああ、父のあだ名か?
確か執務をしている時の父は、それはそれは怖いという評判。
私はそんな父を目撃したことがないので詳しくはわからないが、不備のある書類を提出した者に、人を殺せるような冷酷な視線が漏れなく贈られる、とか……。
見てみたい気もするんだが、私の気配があるところでは発動しないんだよな~。
ちょっと残念……。
今度、こっそり見に行ってみようかなぁ?
ミリアに協力してもらったら、バレなさそうじゃない?
ほら、光の屈折とかを利用して姿を消すとか。
あーでも、気配でバレるか?
よし、じゃあ気配を消す方法も探しておこう!
というか、もう用件は終わったよね?
薬の作り方も教え終わってるし、試しに作ったしさー。
「お父様ー。もう帰ってもいい?」
ほら、そろそろ温室の水やりをしないといけないしね。
「ん? そうだね。所長、私達はそろそろ失礼するよ」
「あ、宰相様待ってくださいっ!」
ええー、まだ何かあるの~。
なに……薬が欲しい?
所長さんのたっての願いで、欲しい時は私が注文を受けて作って売ることになった。
うん、私の財源がまた増えたってことだね!
しかも早速、三本ほど売ったよ。
それも結構な高値で。
二、三本ならタダで提供しても良かったんだけど、父も所長さんもそれじゃあいけないって。
今回だけならそれでもいいかもしれないが、定期的に購入を望むかもしれないから、しっかりと値段をつけて契約を交わした方がいいんだってさ。
契約は父に全面的に任せたけどね。
なんでも、王族が使うかもしれない薬の出所はきちんとしておかないといけないとか、そういう理由もあるらしい。
購入記録とか、入手ルートとかだね。
まあ、今回は研究目的らしいから関係ないみたいだけど、一応ね。
あ、因みにツカレトール薬は魔法薬なので、普通に保管していても劣化する可能性とはないみたい。
だから、父の分の薬はちゃんとアスターに預けておいた。
「食事をきちんとして、睡眠もきっちりと取って、それでも疲れが残る場合に飲む」と約束して。
もちろん、父が飲む場合は一緒にアスターも飲むように厳命しておいた。
今回もそうだったが、父が疲れているってことは、アスターも疲れているわけだからね。
普通に言うだけなら、アスターは飲むのを遠慮しそうでしょ?
父にも言っておいたから、「私も飲みました」なんて嘘で誤魔化すことはできないだろう。
じゃあ、お家に帰って薬草に水やりしないと!
材料は私が提供して試しに作ってみたんだけどね、緑の魔力が流し続けられなかったのさ。
「なんてことだ……」
《だから言っただろ。あーあ、リアの育てた魔霊草を無駄にしてー》
薬師さん達が作った薬草を煮込んだ液体は、なぜか真っ黒だった。
火が強すぎて焦がした、ってわけじゃないのに黒くなっていく様は不思議だった。
なんでも魔霊草は魔力が足りないと黒く変色し、薬効成分が駄目になってしまうんだって。
薬師さん達も知らなかったらしく、目を見開いて驚いていた。
「ヒュー、物知り! 凄い凄いっ!」
《え、凄い?》
「うん!」
《へへへ~》
全力で褒めたら、ヒューリーが照れた~。
今は小さな姿だから、滅茶苦茶可愛いっ!
私は思わずヒューリーをぎゅう~。
私がヒューリーを抱きしめたら、ヒューリーも私にすり寄ってきたっ!
ホント、可愛いなぁ~。
おっと、ここで父も参戦。
ヒューリーを抱きしめていた私を持ち上げ、座っていた自分の膝へと導く。
後ろから抱え込むように抱きしめられた~。
「ヒューリー殿ばかりズルイよ、リア。父様もー」
私の頭に頬ずりする父。
父も可愛いな、おい……。
これで4児の父親かい?
でも、可愛いから許す!
ではでは、期待に応えてあげよう!
「お父様ー」
「リア~」
片手でヒューリーを抱きしめたまま、もう一方の手で父の首に抱きついた。
おお、父の顔が弛みきっている。
デレッデレだよ。
うん、父のデレ具合に、薬師達は呆然としているね。
「氷の宰相様が……」
……氷の宰相?
ああ、父のあだ名か?
確か執務をしている時の父は、それはそれは怖いという評判。
私はそんな父を目撃したことがないので詳しくはわからないが、不備のある書類を提出した者に、人を殺せるような冷酷な視線が漏れなく贈られる、とか……。
見てみたい気もするんだが、私の気配があるところでは発動しないんだよな~。
ちょっと残念……。
今度、こっそり見に行ってみようかなぁ?
ミリアに協力してもらったら、バレなさそうじゃない?
ほら、光の屈折とかを利用して姿を消すとか。
あーでも、気配でバレるか?
よし、じゃあ気配を消す方法も探しておこう!
というか、もう用件は終わったよね?
薬の作り方も教え終わってるし、試しに作ったしさー。
「お父様ー。もう帰ってもいい?」
ほら、そろそろ温室の水やりをしないといけないしね。
「ん? そうだね。所長、私達はそろそろ失礼するよ」
「あ、宰相様待ってくださいっ!」
ええー、まだ何かあるの~。
なに……薬が欲しい?
所長さんのたっての願いで、欲しい時は私が注文を受けて作って売ることになった。
うん、私の財源がまた増えたってことだね!
しかも早速、三本ほど売ったよ。
それも結構な高値で。
二、三本ならタダで提供しても良かったんだけど、父も所長さんもそれじゃあいけないって。
今回だけならそれでもいいかもしれないが、定期的に購入を望むかもしれないから、しっかりと値段をつけて契約を交わした方がいいんだってさ。
契約は父に全面的に任せたけどね。
なんでも、王族が使うかもしれない薬の出所はきちんとしておかないといけないとか、そういう理由もあるらしい。
購入記録とか、入手ルートとかだね。
まあ、今回は研究目的らしいから関係ないみたいだけど、一応ね。
あ、因みにツカレトール薬は魔法薬なので、普通に保管していても劣化する可能性とはないみたい。
だから、父の分の薬はちゃんとアスターに預けておいた。
「食事をきちんとして、睡眠もきっちりと取って、それでも疲れが残る場合に飲む」と約束して。
もちろん、父が飲む場合は一緒にアスターも飲むように厳命しておいた。
今回もそうだったが、父が疲れているってことは、アスターも疲れているわけだからね。
普通に言うだけなら、アスターは飲むのを遠慮しそうでしょ?
父にも言っておいたから、「私も飲みました」なんて嘘で誤魔化すことはできないだろう。
じゃあ、お家に帰って薬草に水やりしないと!
33
お気に入りに追加
3,714
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の恋愛事情
水無月 静琉
恋愛
あれ? もしかしてここは前世にあった乙女ゲーム『悪役令嬢の恋愛事情』の世界ではないですか? どうしましょう、わたしが悪役令嬢ですか? 兄が攻略対象ですか!? 大変です、それは阻止しないと!
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
私はモブのはず
シュミー
恋愛
私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。
けど
モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。
モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。
私はモブじゃなかったっけ?
R-15は保険です。
ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。
注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
【二部開始】所詮脇役の悪役令嬢は華麗に舞台から去るとしましょう
蓮実 アラタ
恋愛
アルメニア国王子の婚約者だった私は学園の創立記念パーティで突然王子から婚約破棄を告げられる。
王子の隣には銀髪の綺麗な女の子、周りには取り巻き。かのイベント、断罪シーン。
味方はおらず圧倒的不利、絶体絶命。
しかしそんな場面でも私は余裕の笑みで返す。
「承知しました殿下。その話、謹んでお受け致しますわ!」
あくまで笑みを崩さずにそのまま華麗に断罪の舞台から去る私に、唖然とする王子たち。
ここは前世で私がハマっていた乙女ゲームの世界。その中で私は悪役令嬢。
だからなんだ!?婚約破棄?追放?喜んでお受け致しますとも!!
私は王妃なんていう狭苦しいだけの脇役、真っ平御免です!
さっさとこんなやられ役の舞台退場して自分だけの快適な生活を送るんだ!
って張り切って追放されたのに何故か前世の私の推しキャラがお供に着いてきて……!?
※本作は小説家になろうにも掲載しています
二部更新開始しました。不定期更新です
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とある侯爵家で出会った令嬢は、まるで前世のとあるホラー映画に出てくる貞◯のような風貌だった。
髪で顔を全て隠し、ゆらりと立つ姿は…
悲鳴を上げないと、逆に失礼では?というほどのホラーっぷり。
そしてこの髪の奥のお顔は…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドで世界を変えますよ?
**********************
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
転生侍女シリーズ第二弾です。
短編全4話で、投稿予約済みです。
よろしくお願いします。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる