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準備期間です。
15.脱出しましょう
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「すみませーん、誰かいませんかー?」
私は唯一の扉をノックしながら外に向かって声をかけた。
「ねぇ」
コンコンッ、と手を休めずに扉を叩き続けると――
「煩せぇーな! 静かにしてやがれっ!!」
扉が開き、大男が怒鳴り込んできた。
見張り役かな?
ガラの悪そうな男だ。
「うぅ……だって、お手洗い…に…行きたいの……」
「っ!!?」
必殺『泣き落とし』の『おトイレー』作戦です!
美少女の涙を見て、狼狽えないなんて人間じゃないですよっ!
厳つい男だろうが、狼狽えてしまえ!
「うぅ…ごめんなさい……」
「ちっ。仕方がねぇーな。ほら、こっちだ。付いてこい。言っとくが変な真似をしようとすんじゃねぇーぞ」
私は涙を手で拭うフリをしながらコクコクッと首を縦に振った。
あまり狼狽えた感はなかったけれど、どうやら部屋を出ることに成功したようです!
やったね♪
無事に部屋を出られた私はきょろきょろと見渡しながら廊下を進んだ。
む~、部屋の外も精霊の姿がない。
精霊が近づけない仕掛けはここら辺一体に施されているらしい。
「ほらここだ。さっさと行って来い」
「はい。ありがとうございます」
私は男に案内された部屋へと入ると、素早く扉を閉めて周りを確認した。
やった、小さいけど窓がある。
直ぐさま窓に飛びつき、外を覗いてみたのだが……。
高かった。
窓は小さいが、私なら何とか出れそうなんだけど……。
うぅ~、ここ二階だよ。
さすがに飛び降りるのは無理だ。
今、二階なら何とか飛び降りられるんじゃない? とか、思った人いるでしょう。
無理だよ、無理無理。
ここ、城じゃなく、何処かの邸っぽいんだけど、貴族の屋敷の作りって普通の家より高く作られているんだよ。
飛び降りたら絶対に怪我する。
私、骨折する自信がある!
あ、でも、外には精霊がいるな~。
……邸には近づけないみたいだけど。
壁から三十センチってところか?
見えないバリアみたいのがあるみたいで、そこからこちら側に来れないようだ。
でも、外にさえ出られれば、ヒューリーとミリアと連絡が取れるってことだよね!
そうだよね?
あ、あそこの外壁のでっぱり!
あれを足場にして、壁伝いにあっちのバルコニーに行けるかな?
うん、行けそうだ。
バルコニーに行けば近くに木があるから、その木に乗り移れる?
木に乗り移れさえすればヒューリーとミリアに連絡が取れるから、木から下りれなくてもなんとかなる……よね?
うん、大丈夫だ!
頑張ろう!
私は慎重に窓をくぐった。
ちょっとスカートが捲れ上がってしまったが、誰も見てないから気にしないでいこう!
そのままゆっくりと、でっぱりに足を乗せる。
ふぅ~、何とか下りれた~。
あとは壁に張り付いたまま横歩き。
んしょ、んしょ……。
結構疲れるなー、これ。
でも、頑張るしかないしな~。
んしょ、んしょ……。
張り付いたままカニ歩きで進み、半分くらい進んだその時――
バタンッ、と扉が勢い良く開けられる音がした。
「おい、遅いぞ! んなっ! ガキがいねぇーぞ!」
「なにっ!? どこに行ったっ!」
あっ!
私がなかなかトイレから出てこないから、不審に思った見張り役の男が部屋に入ってきたようだ。
しかも、見張り役だった男以外にも人がいる模様。
「窓だ! 窓が開いてる」
「いたぞっ! 壁伝いに逃げようとしてやがる」
「ガキ、今なら許してやる。さっさと戻ってこい!」
「誰か隣の部屋へ行けっ!」
おう、見つかってしまった。
窓から顔を突き出した男が凄い形相でこっちを睨み付けている。
あ、しかもあちら側の部屋にも先回りされた模様……。
ヤバイ……私、ちょーピンチ!
どうしよう……。
私は唯一の扉をノックしながら外に向かって声をかけた。
「ねぇ」
コンコンッ、と手を休めずに扉を叩き続けると――
「煩せぇーな! 静かにしてやがれっ!!」
扉が開き、大男が怒鳴り込んできた。
見張り役かな?
ガラの悪そうな男だ。
「うぅ……だって、お手洗い…に…行きたいの……」
「っ!!?」
必殺『泣き落とし』の『おトイレー』作戦です!
美少女の涙を見て、狼狽えないなんて人間じゃないですよっ!
厳つい男だろうが、狼狽えてしまえ!
「うぅ…ごめんなさい……」
「ちっ。仕方がねぇーな。ほら、こっちだ。付いてこい。言っとくが変な真似をしようとすんじゃねぇーぞ」
私は涙を手で拭うフリをしながらコクコクッと首を縦に振った。
あまり狼狽えた感はなかったけれど、どうやら部屋を出ることに成功したようです!
やったね♪
無事に部屋を出られた私はきょろきょろと見渡しながら廊下を進んだ。
む~、部屋の外も精霊の姿がない。
精霊が近づけない仕掛けはここら辺一体に施されているらしい。
「ほらここだ。さっさと行って来い」
「はい。ありがとうございます」
私は男に案内された部屋へと入ると、素早く扉を閉めて周りを確認した。
やった、小さいけど窓がある。
直ぐさま窓に飛びつき、外を覗いてみたのだが……。
高かった。
窓は小さいが、私なら何とか出れそうなんだけど……。
うぅ~、ここ二階だよ。
さすがに飛び降りるのは無理だ。
今、二階なら何とか飛び降りられるんじゃない? とか、思った人いるでしょう。
無理だよ、無理無理。
ここ、城じゃなく、何処かの邸っぽいんだけど、貴族の屋敷の作りって普通の家より高く作られているんだよ。
飛び降りたら絶対に怪我する。
私、骨折する自信がある!
あ、でも、外には精霊がいるな~。
……邸には近づけないみたいだけど。
壁から三十センチってところか?
見えないバリアみたいのがあるみたいで、そこからこちら側に来れないようだ。
でも、外にさえ出られれば、ヒューリーとミリアと連絡が取れるってことだよね!
そうだよね?
あ、あそこの外壁のでっぱり!
あれを足場にして、壁伝いにあっちのバルコニーに行けるかな?
うん、行けそうだ。
バルコニーに行けば近くに木があるから、その木に乗り移れる?
木に乗り移れさえすればヒューリーとミリアに連絡が取れるから、木から下りれなくてもなんとかなる……よね?
うん、大丈夫だ!
頑張ろう!
私は慎重に窓をくぐった。
ちょっとスカートが捲れ上がってしまったが、誰も見てないから気にしないでいこう!
そのままゆっくりと、でっぱりに足を乗せる。
ふぅ~、何とか下りれた~。
あとは壁に張り付いたまま横歩き。
んしょ、んしょ……。
結構疲れるなー、これ。
でも、頑張るしかないしな~。
んしょ、んしょ……。
張り付いたままカニ歩きで進み、半分くらい進んだその時――
バタンッ、と扉が勢い良く開けられる音がした。
「おい、遅いぞ! んなっ! ガキがいねぇーぞ!」
「なにっ!? どこに行ったっ!」
あっ!
私がなかなかトイレから出てこないから、不審に思った見張り役の男が部屋に入ってきたようだ。
しかも、見張り役だった男以外にも人がいる模様。
「窓だ! 窓が開いてる」
「いたぞっ! 壁伝いに逃げようとしてやがる」
「ガキ、今なら許してやる。さっさと戻ってこい!」
「誰か隣の部屋へ行けっ!」
おう、見つかってしまった。
窓から顔を突き出した男が凄い形相でこっちを睨み付けている。
あ、しかもあちら側の部屋にも先回りされた模様……。
ヤバイ……私、ちょーピンチ!
どうしよう……。
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