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準備期間です。
11.製作は難しいらしい
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難しい?
薬草を刻んで鍋で加熱しながら混ぜるだけの薬が?
「ど、どういうことでしょう!?」
所長さんが狼狽しながらヒューリーに理由を尋ねたが、ヒューリーはそれを無視した。
答える気がないらしい。
「どうして所長さんは作れないの?」
《それは作る時に緑の魔力が必要なんだよ。魔力を注ぎながら煮詰める必要があるんだ。彼等にそれができるのかい?》
仕方がないので私が理由を聞くとヒューリーは答えてくれた。
まあ、私も気になったしね。
薬を作る上で難しいとされるのは、魔力を注ぐことらしい。
あっ、この世界には魔力というものある。
そして誰もが大なり小なり持っていて、簡単な魔法なら誰でも使える世界である。
ああでも、『使う』というと語弊があるかもしれない。
魔法のような事象を起こすのは精霊なのだから。
例えば、火を出したいとする。
必要な分の魔力を込めて念じ、言霊を発する。
言霊っていうのはあれだね。
『火よ』という呼びかけや、やたら長い詠唱のこと。
その呼びかけに、そこら辺に浮遊する火の精霊が魔力を受け取り、火を出す。
という訳だ。
魔法の大きさは精霊に譲渡する魔力量によって、ロウソクのような火になるか、焚き火のような火になるか変わってくるのだ。
自ら持つ魔力量によって精霊に貸してもらえる力が違う訳だが、冒険ファンタジーのような攻撃魔法が使える人間はほんの一握りで、一般的には生活に活用する程度のことしかできない。
その常識を覆すのが精霊契約だ。
対価無しで精霊が力を使ってくれることができるのだから。
国が重要視する訳がわかるだろう?
そして、緑の魔力っていうのは、いわゆる魔力に属性を込めたもののことだ。
属性は火・水・土・風・光・闇。
他にも緑・雷・氷・時などがある。
人の体内に保有する魔力は属性がない状態、無属性だね。
火の精霊に魔力を渡す時、無属性の魔力ではなく、火属性の魔力を使えば、魔力量が少なくて済むのだ。
魔力をそれぞれの属性に変質させる事、それを魔力変換という。
残念ながら、私はまだ魔力の扱いについては習っていない。
そもそも魔力の扱いについて正式に習うのは初等部に入ってからだ。
緑の魔力を注ぐ?
何それ。
私、そんなことしていなかったけど?
やり方知らないし。
「ヒュー、何で私は作れたの? 魔力は注いでいないよ?」
《リアは意識せずとも薬には魔力が流れ込んでいるんだよ》
マジかっ!?
無意識にやっていたってことか!
そりゃーびっくり!
《というか、そもそも薬は人が作りだしたものだろう? 何で人である君達が作り方を知らないんだよ》
「そうなの?」
《そうなんだよ、リア。だって、精霊に薬が必要だと思うかい?》
素直に首を振っておいた。
そうだね、精霊は薬なんて使わないよね……。
「じゃあ、ヒューは何で薬の作り方を知っていたの?」
長く生きている間に何となく覚えただけだってさ。
精霊って長生きだからね。
ヒューリーは見た目が高校生でも、生まれてから数百年とか経っているもんね。
《どうせ、くだらない争い事で遺失したんだろうけどさ。まあ、ここには必要そうな道具は揃っているみたいだし。リア、おさらいがてら作って見せてあげてみなよ》
あっ、私が作って見せるのか。
まあ、作り方の復習になるからいいか…。
で、薬を作りました。
所長さんだけでなく、この部署に所属している人達もたくさん集まった場所で。
そうしたら、集まっていた人達が呆然としていました。
「あれ程の魔力を一定して流し続けられるなんて……」
本当に私は無意識のうちに魔力を流しているらしい。
私にはよくわからんが…。
「それに材料! 魔霊草を使っていますよっ!?」
魔霊草は珍しい薬草らしい。
私は自分で栽培しているので使い放題だが、ここで働く人にとっては調達自体も難しいんだってさ。
うん、ヒューリーの言ってたとおり、本当に私以外の人は作れないような気がしてきた。
薬草を刻んで鍋で加熱しながら混ぜるだけの薬が?
「ど、どういうことでしょう!?」
所長さんが狼狽しながらヒューリーに理由を尋ねたが、ヒューリーはそれを無視した。
答える気がないらしい。
「どうして所長さんは作れないの?」
《それは作る時に緑の魔力が必要なんだよ。魔力を注ぎながら煮詰める必要があるんだ。彼等にそれができるのかい?》
仕方がないので私が理由を聞くとヒューリーは答えてくれた。
まあ、私も気になったしね。
薬を作る上で難しいとされるのは、魔力を注ぐことらしい。
あっ、この世界には魔力というものある。
そして誰もが大なり小なり持っていて、簡単な魔法なら誰でも使える世界である。
ああでも、『使う』というと語弊があるかもしれない。
魔法のような事象を起こすのは精霊なのだから。
例えば、火を出したいとする。
必要な分の魔力を込めて念じ、言霊を発する。
言霊っていうのはあれだね。
『火よ』という呼びかけや、やたら長い詠唱のこと。
その呼びかけに、そこら辺に浮遊する火の精霊が魔力を受け取り、火を出す。
という訳だ。
魔法の大きさは精霊に譲渡する魔力量によって、ロウソクのような火になるか、焚き火のような火になるか変わってくるのだ。
自ら持つ魔力量によって精霊に貸してもらえる力が違う訳だが、冒険ファンタジーのような攻撃魔法が使える人間はほんの一握りで、一般的には生活に活用する程度のことしかできない。
その常識を覆すのが精霊契約だ。
対価無しで精霊が力を使ってくれることができるのだから。
国が重要視する訳がわかるだろう?
そして、緑の魔力っていうのは、いわゆる魔力に属性を込めたもののことだ。
属性は火・水・土・風・光・闇。
他にも緑・雷・氷・時などがある。
人の体内に保有する魔力は属性がない状態、無属性だね。
火の精霊に魔力を渡す時、無属性の魔力ではなく、火属性の魔力を使えば、魔力量が少なくて済むのだ。
魔力をそれぞれの属性に変質させる事、それを魔力変換という。
残念ながら、私はまだ魔力の扱いについては習っていない。
そもそも魔力の扱いについて正式に習うのは初等部に入ってからだ。
緑の魔力を注ぐ?
何それ。
私、そんなことしていなかったけど?
やり方知らないし。
「ヒュー、何で私は作れたの? 魔力は注いでいないよ?」
《リアは意識せずとも薬には魔力が流れ込んでいるんだよ》
マジかっ!?
無意識にやっていたってことか!
そりゃーびっくり!
《というか、そもそも薬は人が作りだしたものだろう? 何で人である君達が作り方を知らないんだよ》
「そうなの?」
《そうなんだよ、リア。だって、精霊に薬が必要だと思うかい?》
素直に首を振っておいた。
そうだね、精霊は薬なんて使わないよね……。
「じゃあ、ヒューは何で薬の作り方を知っていたの?」
長く生きている間に何となく覚えただけだってさ。
精霊って長生きだからね。
ヒューリーは見た目が高校生でも、生まれてから数百年とか経っているもんね。
《どうせ、くだらない争い事で遺失したんだろうけどさ。まあ、ここには必要そうな道具は揃っているみたいだし。リア、おさらいがてら作って見せてあげてみなよ》
あっ、私が作って見せるのか。
まあ、作り方の復習になるからいいか…。
で、薬を作りました。
所長さんだけでなく、この部署に所属している人達もたくさん集まった場所で。
そうしたら、集まっていた人達が呆然としていました。
「あれ程の魔力を一定して流し続けられるなんて……」
本当に私は無意識のうちに魔力を流しているらしい。
私にはよくわからんが…。
「それに材料! 魔霊草を使っていますよっ!?」
魔霊草は珍しい薬草らしい。
私は自分で栽培しているので使い放題だが、ここで働く人にとっては調達自体も難しいんだってさ。
うん、ヒューリーの言ってたとおり、本当に私以外の人は作れないような気がしてきた。
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