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《珍しいわね。緑のが城にいるなんて》
《光のか。僕の契約者がここに呼ばれたみたいでね》
《契約者!? 緑のが!! 人嫌いで偏屈のあなたがっ!?》

王様との謁見途中で、突然乱入者が現れました。
美女のお姉さんです。
どうやらこのお姉さんは、光の精霊さんのようだ。
人間と変わらないサイズのボン・キュッ・ボンな美女です。
ところでお姉さん、今のはヒューリーのことを言っているんですかね?
人嫌いで偏屈?
そんな馬鹿な。
ヒューリーは初めて私と会った時から人懐こかったぞ。

《煩い。リアは特別だ》
《あらあら~。あなたがそんなこと言うなんて、さらに珍しいわねぇ~》

ヒューリーとお姉さんが口喧嘩するようにポンポンと言葉の遣り取りをしています。
ヒューリーは無口って訳ではないが、ここまで捲し立てて話すのは珍しいです。

「ヒュー、なんかいつもとちがうねー。それがす?」
《あっ!》
《あら? 猫を被っていたの? そういえば姿も違うしね~》
《おいっ!!》

姿も違うのか?
それは気になるな。

「ヒュー、みしぇて」
《………》
「ダメ~?」
《………》
「おお~」

ヒューリーは無言で元の姿を見せてくれた。
髪や目の色彩は小さい姿の時と一緒の深緑色。
普通の人間サイズで、大人か子供のどちらかといえば大人だが、成人した大人ではないな。
高校生くらいの青年だな。
そして何より、イケメンだ。
もう一度言う。
イケメン、だ!
モデルかと言わんばかりの容姿だ。

「ヒュー、かっこいーね~」
《怖くないの?》
「なんでー?」

怖い?
怖いとこなんて一つもないよね?

《この姿で人間の前に出るとみんな驚いて固まる。小さい姿でもそうだけど、こっちの姿の時は目も合わさない》
「ヒューがきれーでかっこいーから、みんな、みちょれてるんだよ」

こんだけ格好良かったら見惚れるよね。
あとはあれかな?
精霊だって気がついて放心しているとか?
うん、それはあり得るなぁ。

《リア!》

おう、突然ヒューに抱きしめられた。
いや、抱きしめられたというよりは、抱っこされたが正解か?
ヒューリーの片腕に座るような恰好になっている。
そしてヒューリーは抱き上げた私の肩に顔を押し付けていた。
ん~どうしたんだ?

《あなた変わっているわね~。でもいいわ~。とても可愛いわ~♪》

ヒューリーの行動に疑問を抱いていたら、お姉さんには何故か絶賛された。
しかも気に入られたようだ。
そして何故か頭を撫でられている。
よくわからん……。

「おねえしゃんは、びじんよ~」
《あら、ありがとう~》

とりあえず、褒められたのでお姉さんの容姿を褒め返すと、嬉しそうに微笑まれました。
お姉さんは微笑むとさらに艶が増して、益々美人です!
ちょっと眩しいですが、羨ましいです~。

《私にも名前をくれない?》

おお!
これはあれだよね?
このお姉さん――光の精霊さんが契約してくれるってことだよね?

「んとねー。ミリアはどう?」
《可愛い! 気に入ったわ。ありがとう》

光の精霊――ミリアと私から白い光が放たれた。
ヒューリーの時とは緑色だったが、色が違うのは属性が関係あるのかな?
光属性が白、闇属性が黒、火属性が赤とか……そういうことだよね、きっと。

「あっ!」

無事にミリアとの契約が結ばれたのですが、私は大事なことを忘れていました!

「……ヒュー、ごめんなちゃい……。かってにけいやくしちゃった……」

精霊契約についてあまり詳しくは調べてませんが、複数の精霊と契約するのって大丈夫だったんでしょうか?
契約して貰えるって浮かれて、何も考えずに契約しちゃいました!

《どうしてリアが謝るんだ?》
「だって、リアのせいれーしゃんは、ヒューなのに……」
《ああ~。リア、気にしなくてもいいよ。確かに僕はリアの精霊で、リアの事は独り占めしたいくらい好きだよ。だけど、僕はリアの事が一番だから、リアが力を持つ事に反対はしないよ?》

そうなの?
問題ないの?

《リアは光のがいるから、僕のことがいらないとは言わないだろ?》
「いわにゃいよ! ヒューはリアのだいじなちょもだちだもん!」
《ありがとう、リア》

そんなこと言うわけないじゃないかっ!
友達をホイホイ変えるなんて冗談じゃないっ!

《それにまあ、光のならリアの役に立つしな》
《ミリアよ。そう呼んでちょうだい。今のあなただって“緑の”って呼ばれるのは嫌でしょう~》
《そうだな。それは悪かったな、ミリア。僕はヒューリーだ》
《ええ。よろしくねぇ~ヒューリー》

ヒューリーとミリアが仲良くできそうで良かった~。



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