ヤンデレ後輩に好かれました

三章〜願いを叶えて〜

十四（※）

　渉が安心させるように、俺の頭をなでる。ペニスに触れて何度かしごくと肉壁が締まると同時に、痛みがほんの少し和らぐ。

　一本で余裕が感じられたのか、すぐに二本目と本数が増える。その一本がまた圧迫感を与えてくるのだが、同じように快感を与えてきた。俺が落ち着いたころを見計らい、三本目まで増やされた。それが内部を広めようとうごめき、とある一点をするたび声が出そうになるのを我慢することとなる。

「ぐっ……ぐぁ……ぎ……」
「もっと色っぽい声が聞きたい」
「お前も、いれられてみろ！」

　涙目になりながら反論すれば、ごめんねといって首筋を撫でられた。優しくされたからって、許すと思うなよ。


　ようやく中が充分にほぐれたらしく、指が抜かれてパンツを脱いでいる音がした。このあとどういうことが行われるか、分かっている。だからこそ、唇をより強く噛んで耐えようと試みた。

「力抜いてね……」

　今まできいたことのないほど優しい声が耳に届くと同時に、先ほどの指なんかとは比較にならない大きさの異物によって呼吸を忘れた。あまりの痛さに目を閉じる。唇を噛む気力さえ抜けていき、だらしなく開いてしまう。

「……いた、痛い…痛い、痛い、渉…抜いて、ぬい……あぁ！」

　渉に懇願しながら痛みが引くのを待つが、なおも最奥を貫くように腰を尻に押し付ける。声を抑えることなんて考えることができない。ただ熱い棒が俺の中に入ってくることしか集中出来なかった。口からでるのは喘ぎ声なんて色っぽいものではなく、嗚咽に近い。

　責め苦に似た挿入が終わるころには涙がとめどなく流れ、痛さに身を震わせている状態だった。それでも、心の内では、渉が自分の中にいて脈打っているという充実感にみまわれている。それは嬉しさであり、快感だ。だがそんな心境を表面にだせるほど、今の状況は柔でなかった。

「力抜ける？」
「無理……無理、本当……無理、だって……痛い、いたっ……うぐっ」

　背後にだけ感じる渉に向かって泣きながら答えると、「ごめんね」といって背中を撫でてくれる。触れてくる手の平だけで、無性に彼の顔が見たくなる。どうにかして顔だけ振り向こうとしたが、歪む視界では髪の毛が僅かにちらりとみえるだけ。後ろにいる渉に手を伸ばす。

「渉、顔……」
「なに？」
「顔……見たい」

　顔が見たい、抱きしめたい、キスをしたい、もっと撫でてほしい。顔に触れて、こちらを見て、俺も見つめたい。舐めて、口にしてほしい。好きだと、言ってほしい。
　感情が迸り、それら全て渉一人に向けられる。必死に名を呼び、顔を見たいとまた名を呼んだ。

「渉……言って、好きっていって」
「鳴海さん……好き。好き、好きだよ。だからちょっと痛いけど、我慢してよ！」

　痛みに震えていた俺の体が持ち上げられ、視界がぐるりと再度上を向いた。それに伴い激痛の波が下半身を襲う。だが、その痛みに耐えることよりも渉の顔が目の前にあることの方が、俺を驚かせた。どうやら、挿入されたまま半回転させられたようだ。そのためか穴には生温かい液体の感触が感じられ、血が出たのかもしれないと確信が持てた。しかしそんなことよりも彼の顔を目に出来て、ほっと息がつける。

「さっきの体位が、一番負担かかんなかったのに……。でも、俺の顔みたかったんでしょ？」
「おう……」
「あんたは俺を喜ばせるのが、本当に上手いな」
「でも……お前全然気持ち良くないだろ？」
「鳴海さんの中にいれるだけで、今すごい気持ちいいよ」
「そっか」
「なんでそれ聞いてまた泣くのさ。まったく……ほら、泣きやんでよ」

　正面で向かい合っているから、キスをしてもらえる。しかも渉の心臓と俺の心臓が重なるように、胸がふれあう。