21 / 33
第1章 策士、俺 (1543年 4月〜)
第二十話 晴幸、覚醒
しおりを挟む
上原城は、信濃国諏訪郡にそびえる金毘羅山の中腹に建つ。
其の山の麓から見上げているのは、
諏訪家の家紋が描かれた陣羽織を羽織る男。
男は諏訪の者がいないことを確認し、叫ぶ。
「良いか皆の者!
此れより原虎胤殿を、一所懸命に御守りする!
各々、馬を信じよ!!」
呼応と共に手綱を引き、一斉に駆け出す。
彼等の先頭に立つ男こそ、武田への寝返りを聞き入れた諏訪家家臣、高遠頼継である。
〈数刻前、武田家陣中〉
原虎胤が夜襲に遭ったと聞き、晴信は直ぐさま板垣に上原城へ向かうよう指示する。
「虎胤、其方は武田に必要な男だ。
死ぬな、まだ死んではならぬ」
晴信の呟きに、返す言葉も無い。
傍で見ていた俺はいたたまれず、明後日の方を眺める。
原虎胤は、武田家中でも特に徴用されていた男らしい。
故に起こる、重苦しい雰囲気。
どうも居心地が悪い。息苦しい。
今直ぐにでも、此処を離れてしまいたいと思うほどである。
しかし、この重苦しさの中で、俺だけは場違いに冷静であった。
理由は一つ。俺にしか分からない、理解されない理由である。
そんな中、突然陣に伝令役の男が転がり込む。
「殿!!高遠殿がお見えです!」
その報告に、晴信の目が開いた。
「……来たか」
旗差が翻る。途端に風向きが変わる。
まるで此の時を待ち詫びていたかの様に、彼は立ち上がるのだった。
「御初に御目にかかります、
高遠頼継にございます」
外見は若く、好青年。
しかし、彼こそ諏訪を裏切り、板垣によって自ら此処に来る事を選んだ男である。諏訪から見れば立派な〈逆賊〉であろう。
晴信は彼を歓迎しつつ、直ぐに任せたい仕事があると、彼を陣中へ招いた。
「今、我が家臣を上原城に救援に向かわせておる。じきに辿り着く筈じゃ。
そこで高遠、其方も向かえ。諏訪の家臣ならば地には理があるだろう」
晴信は扇を取り出し、ばっと開く。
其処に描かれているのは、武田の家紋である四つ割菱。
高遠は、直ぐさま我が同志五十名を率いて向かうと返答する。
扇を仰ぐ晴信は、俯いている高遠の顔を覗き込んだ。
「頼むぞ、高遠」
高遠は目を背ける事なく、頷く。
そんな晴信の様子はまるで、人の奥底に眠る〈何か〉を探り出そうとしているかのよう。
晴信はまだ、疑っている。
俺の時と同じ、あくまで相手の器量諸々を見定めている段階。
ならば恐らく高遠のもとに、御付きとして誰かを付かせる筈だ。
(高遠頼継、彼と共に上原城へ向かうとなれば、誰が相応しいだろうか。)
家臣を脳裏に羅列させようと思考したが、直ぐに首を振る。
......いや、それらはきっと俺の役目ではないな。
未だ武田に仕えて日が浅い俺が、御家を網羅しきれていない事は重々承知だろう。
俺の目の前には、眉間に皺を寄せる晴信の姿。
彼に問いかける為に身を乗り出そうとした、
その時である。
突如、身体中に悪寒が走る。
「っ......!」
驚く暇も与えず、複雑に絡み合う論理が無意識に脳裏で合わさり、一つの〈策〉がまるで泉から湧き出たように俺の頭に現れる。
《行くのは御前じゃ。策を使え。
高遠が此処へ来た今こそ、絶好の使い時だ》
雑音が走り、途切れ途切れの声が響く。
途端に意識を埋め尽くす、文字の羅列。
それは、特定の文字列の繰り返し。
まずい、吐き出さなければ。
早く吐き出さなければ、壊れてしまう。
俺は無意識に、深く息を吸っていた。
「殿、私めを是非御連れ下され」
晴信は声の方を振り返る。
彼の目に映るのは、紛れもない〈俺〉。
月光が照らす晴信の赤き目が、鋭く光る。
「......何か策があるのか」
晴信の前に片膝をついた俺は、静かに彼を見上げる。
「は、虎胤隊を救い、かつ頼重殿を誘き出す策を。
必ずや、皆の前に頼重様を御連れ致しましょう」
「頼重を誘き出すだと?......ふん、面白い。
その目、よほどの自信があるようだな。
其方の策とやら、儂にも聞かせよ。晴幸」
俺は一度頷き、高遠の方を向く。
「突然申し訳ない、儂は山本晴幸と申す。
高遠殿。儂の頼みを聞いては貰えぬだろうか?」
時々、頭が異常に冴える時がある。
俺の頭に突如として現れたのは、
恐らく誰も死なず、誰も殺さずして勝てる、
〈俺〉には到底思いつかないであろう、狡猾で、残酷な策。
あぁ、やはり。
この感覚は、以前と同じ。
俺の中で、俺が殺されてゆく感覚。
身体が勝手に動く、まるで誰かに支配されているかのように。
意識が遠ざかる。徐々に自分が何を話しているのか、分からなくなってゆく。
従わなければならない。
語らなければならない。
次々に溢れ出す言葉が、俺を支配する前に。
為す術を無くした俺は、自我を失う寸前に悟る。
〈異物〉が再び、俺の身体をして現れたことを。
〈諏訪頼重の陣〉
自陣に居座る諏訪頼重の許に、男が現れる。
「伝令、城兵の既に半数以上を我らが討ち取っております」
「ふん、よほど苦しんでおる様じゃな」
伝令役の言葉に頼重はほくそ笑む。
既に兵は諸国から集まり始めている。
じきに、武田と対等な兵力が集まるだろう。
それまで戦力を削りつつ、我らは耐える。
それこそが典型的な諏訪家伝来の戦法だと、頼重は自覚していた。
されど、頼重は心から笑うことが出来ないでいる。
(武田とは盟友であった。
裏切った我等に怒りを示すのも無理はない)
此度の戦と二人(頼重と晴信)に関連する、取り去る事の叶わぬ〈弊害〉が、常に頼重の前に立ち開かっていたのだ。
此の戦は、元を辿れば己の利己的な行為が生んだ無価値の産物。
しかし、頼重は武田に対し、頭を下げるべきではないと考えていた。
言い分や行為を正当化したい訳では無い。
ただ、今が潮時なのだと、常々そう思うのである。
それでも考え込んでしまうのは、武田への未練が残っているからではないのか。
頼重は自身に問いかけ、首を振った。
起きてしまった事はどうしようもない。
少なくとも今、こんな様子を家臣に見せてしまっては、全体の士気に関わる。
本当は考えたくないだけなのではないか、そう言われれば多少は正当性を認める事になろう。
しかし、記憶の断片が脳内にこびりつき、
時折、容赦なく心を抉る。
それは、己を支配する罪悪感のせいか。
「ーーーっ」
頼重は頭を抱える。
どうして此処まで、記憶は自分の首を絞めようとするのか。
問いかけながらも、本当は分かっていた。
それはきっと、魔が差した自身への相応の天罰なのだと。
「殿っ!」
その時、再び頼重の許に転がり込んだ男に、頼重は直ぐ様、平然とした態度を装った。
「上原城に、敵の救援が来ております!」
「っ!」
平穏も束の間、頼重は至急城が見える場所へと赴いた。
信濃を吹く風は、昼間よりも強くなっている。
上原城は、相変わらず閑散としていた。
風に吹かれ、揺らめく火に照らされた旗が靡いているのが見える。
上原城を囲むのは、紛れもない武田の旗印。
「……」
頼重は目をこする。
早い、幾ら何でも早すぎる。
まさか、既に囲まれておるとでも言うのか?
頼重の想定では、武田が陣を立てた御射山から此処まで、二時間は掛かる筈だった。
しかし、未だ一時間も経っていない。
まさか、我らの動きが読まれていた?
そう思った次の瞬間、
一筋の閃光が、頼重の傍を通り抜ける。
「うぁっ!?」
「頼重様っ!!」
一瞬の出来事に、頼重は思わず腰を抜かす。
光は大きな音を立て、傍に立つ木に突き刺さった。
その正体に気付く頼重は、顔をしかめる。
「火矢か……っ!」
矢が刺さり、先端が燃えている。
それこそが閃光の正体。
飛ぶ方向からして、恐らく武田の何者かが、背後から上原城へ救援に駆けつけているのだろう。
「頼重様、此処は危のうございます!
急ぎ戦線を退いた方が宜しいかと......」
家臣の言葉を耳に、頼重は立ち上がる。
「あいわかった、桑原城じゃ、あそこに行こう」
桑原城は、上原城と同じく諏訪領内に存在する。
城へ辿り着いた頼重を待っていたのは、幾名の男達。
「頼重様、此方へ!」
諏訪家の家紋が描かれる旗印を背に差している。
頼重は安堵する。既に先回りをしてくれていた様だ。
「忝い」
頼重は流れるままに、男達に城内を案内される。
「廊下を進み、突当りに部屋がございます。
ひとまず其処に御隠れを。我らは直ぐに戦線へ戻ります」
そう言い残し、男達は去った。
頼重は薄暗さの中で、男たちの背中を見送る。
彼の表情には、もはや迷いなど無かった。
頼重は歩き出す。そして思考する。
幾ら動きがばれていたところで、もはや遅い。
時間は掛からない。いや、掛けはしない。
此処で、じっとしていれば良い。
己の策がはまれば、翌朝には勝負が決している。
頼重の心の内には、確信めいた何かが光っていた。
彼は確信する。
〈諏訪家の勝利〉という結末で、終戦を迎えるのだと。
其の山の麓から見上げているのは、
諏訪家の家紋が描かれた陣羽織を羽織る男。
男は諏訪の者がいないことを確認し、叫ぶ。
「良いか皆の者!
此れより原虎胤殿を、一所懸命に御守りする!
各々、馬を信じよ!!」
呼応と共に手綱を引き、一斉に駆け出す。
彼等の先頭に立つ男こそ、武田への寝返りを聞き入れた諏訪家家臣、高遠頼継である。
〈数刻前、武田家陣中〉
原虎胤が夜襲に遭ったと聞き、晴信は直ぐさま板垣に上原城へ向かうよう指示する。
「虎胤、其方は武田に必要な男だ。
死ぬな、まだ死んではならぬ」
晴信の呟きに、返す言葉も無い。
傍で見ていた俺はいたたまれず、明後日の方を眺める。
原虎胤は、武田家中でも特に徴用されていた男らしい。
故に起こる、重苦しい雰囲気。
どうも居心地が悪い。息苦しい。
今直ぐにでも、此処を離れてしまいたいと思うほどである。
しかし、この重苦しさの中で、俺だけは場違いに冷静であった。
理由は一つ。俺にしか分からない、理解されない理由である。
そんな中、突然陣に伝令役の男が転がり込む。
「殿!!高遠殿がお見えです!」
その報告に、晴信の目が開いた。
「……来たか」
旗差が翻る。途端に風向きが変わる。
まるで此の時を待ち詫びていたかの様に、彼は立ち上がるのだった。
「御初に御目にかかります、
高遠頼継にございます」
外見は若く、好青年。
しかし、彼こそ諏訪を裏切り、板垣によって自ら此処に来る事を選んだ男である。諏訪から見れば立派な〈逆賊〉であろう。
晴信は彼を歓迎しつつ、直ぐに任せたい仕事があると、彼を陣中へ招いた。
「今、我が家臣を上原城に救援に向かわせておる。じきに辿り着く筈じゃ。
そこで高遠、其方も向かえ。諏訪の家臣ならば地には理があるだろう」
晴信は扇を取り出し、ばっと開く。
其処に描かれているのは、武田の家紋である四つ割菱。
高遠は、直ぐさま我が同志五十名を率いて向かうと返答する。
扇を仰ぐ晴信は、俯いている高遠の顔を覗き込んだ。
「頼むぞ、高遠」
高遠は目を背ける事なく、頷く。
そんな晴信の様子はまるで、人の奥底に眠る〈何か〉を探り出そうとしているかのよう。
晴信はまだ、疑っている。
俺の時と同じ、あくまで相手の器量諸々を見定めている段階。
ならば恐らく高遠のもとに、御付きとして誰かを付かせる筈だ。
(高遠頼継、彼と共に上原城へ向かうとなれば、誰が相応しいだろうか。)
家臣を脳裏に羅列させようと思考したが、直ぐに首を振る。
......いや、それらはきっと俺の役目ではないな。
未だ武田に仕えて日が浅い俺が、御家を網羅しきれていない事は重々承知だろう。
俺の目の前には、眉間に皺を寄せる晴信の姿。
彼に問いかける為に身を乗り出そうとした、
その時である。
突如、身体中に悪寒が走る。
「っ......!」
驚く暇も与えず、複雑に絡み合う論理が無意識に脳裏で合わさり、一つの〈策〉がまるで泉から湧き出たように俺の頭に現れる。
《行くのは御前じゃ。策を使え。
高遠が此処へ来た今こそ、絶好の使い時だ》
雑音が走り、途切れ途切れの声が響く。
途端に意識を埋め尽くす、文字の羅列。
それは、特定の文字列の繰り返し。
まずい、吐き出さなければ。
早く吐き出さなければ、壊れてしまう。
俺は無意識に、深く息を吸っていた。
「殿、私めを是非御連れ下され」
晴信は声の方を振り返る。
彼の目に映るのは、紛れもない〈俺〉。
月光が照らす晴信の赤き目が、鋭く光る。
「......何か策があるのか」
晴信の前に片膝をついた俺は、静かに彼を見上げる。
「は、虎胤隊を救い、かつ頼重殿を誘き出す策を。
必ずや、皆の前に頼重様を御連れ致しましょう」
「頼重を誘き出すだと?......ふん、面白い。
その目、よほどの自信があるようだな。
其方の策とやら、儂にも聞かせよ。晴幸」
俺は一度頷き、高遠の方を向く。
「突然申し訳ない、儂は山本晴幸と申す。
高遠殿。儂の頼みを聞いては貰えぬだろうか?」
時々、頭が異常に冴える時がある。
俺の頭に突如として現れたのは、
恐らく誰も死なず、誰も殺さずして勝てる、
〈俺〉には到底思いつかないであろう、狡猾で、残酷な策。
あぁ、やはり。
この感覚は、以前と同じ。
俺の中で、俺が殺されてゆく感覚。
身体が勝手に動く、まるで誰かに支配されているかのように。
意識が遠ざかる。徐々に自分が何を話しているのか、分からなくなってゆく。
従わなければならない。
語らなければならない。
次々に溢れ出す言葉が、俺を支配する前に。
為す術を無くした俺は、自我を失う寸前に悟る。
〈異物〉が再び、俺の身体をして現れたことを。
〈諏訪頼重の陣〉
自陣に居座る諏訪頼重の許に、男が現れる。
「伝令、城兵の既に半数以上を我らが討ち取っております」
「ふん、よほど苦しんでおる様じゃな」
伝令役の言葉に頼重はほくそ笑む。
既に兵は諸国から集まり始めている。
じきに、武田と対等な兵力が集まるだろう。
それまで戦力を削りつつ、我らは耐える。
それこそが典型的な諏訪家伝来の戦法だと、頼重は自覚していた。
されど、頼重は心から笑うことが出来ないでいる。
(武田とは盟友であった。
裏切った我等に怒りを示すのも無理はない)
此度の戦と二人(頼重と晴信)に関連する、取り去る事の叶わぬ〈弊害〉が、常に頼重の前に立ち開かっていたのだ。
此の戦は、元を辿れば己の利己的な行為が生んだ無価値の産物。
しかし、頼重は武田に対し、頭を下げるべきではないと考えていた。
言い分や行為を正当化したい訳では無い。
ただ、今が潮時なのだと、常々そう思うのである。
それでも考え込んでしまうのは、武田への未練が残っているからではないのか。
頼重は自身に問いかけ、首を振った。
起きてしまった事はどうしようもない。
少なくとも今、こんな様子を家臣に見せてしまっては、全体の士気に関わる。
本当は考えたくないだけなのではないか、そう言われれば多少は正当性を認める事になろう。
しかし、記憶の断片が脳内にこびりつき、
時折、容赦なく心を抉る。
それは、己を支配する罪悪感のせいか。
「ーーーっ」
頼重は頭を抱える。
どうして此処まで、記憶は自分の首を絞めようとするのか。
問いかけながらも、本当は分かっていた。
それはきっと、魔が差した自身への相応の天罰なのだと。
「殿っ!」
その時、再び頼重の許に転がり込んだ男に、頼重は直ぐ様、平然とした態度を装った。
「上原城に、敵の救援が来ております!」
「っ!」
平穏も束の間、頼重は至急城が見える場所へと赴いた。
信濃を吹く風は、昼間よりも強くなっている。
上原城は、相変わらず閑散としていた。
風に吹かれ、揺らめく火に照らされた旗が靡いているのが見える。
上原城を囲むのは、紛れもない武田の旗印。
「……」
頼重は目をこする。
早い、幾ら何でも早すぎる。
まさか、既に囲まれておるとでも言うのか?
頼重の想定では、武田が陣を立てた御射山から此処まで、二時間は掛かる筈だった。
しかし、未だ一時間も経っていない。
まさか、我らの動きが読まれていた?
そう思った次の瞬間、
一筋の閃光が、頼重の傍を通り抜ける。
「うぁっ!?」
「頼重様っ!!」
一瞬の出来事に、頼重は思わず腰を抜かす。
光は大きな音を立て、傍に立つ木に突き刺さった。
その正体に気付く頼重は、顔をしかめる。
「火矢か……っ!」
矢が刺さり、先端が燃えている。
それこそが閃光の正体。
飛ぶ方向からして、恐らく武田の何者かが、背後から上原城へ救援に駆けつけているのだろう。
「頼重様、此処は危のうございます!
急ぎ戦線を退いた方が宜しいかと......」
家臣の言葉を耳に、頼重は立ち上がる。
「あいわかった、桑原城じゃ、あそこに行こう」
桑原城は、上原城と同じく諏訪領内に存在する。
城へ辿り着いた頼重を待っていたのは、幾名の男達。
「頼重様、此方へ!」
諏訪家の家紋が描かれる旗印を背に差している。
頼重は安堵する。既に先回りをしてくれていた様だ。
「忝い」
頼重は流れるままに、男達に城内を案内される。
「廊下を進み、突当りに部屋がございます。
ひとまず其処に御隠れを。我らは直ぐに戦線へ戻ります」
そう言い残し、男達は去った。
頼重は薄暗さの中で、男たちの背中を見送る。
彼の表情には、もはや迷いなど無かった。
頼重は歩き出す。そして思考する。
幾ら動きがばれていたところで、もはや遅い。
時間は掛からない。いや、掛けはしない。
此処で、じっとしていれば良い。
己の策がはまれば、翌朝には勝負が決している。
頼重の心の内には、確信めいた何かが光っていた。
彼は確信する。
〈諏訪家の勝利〉という結末で、終戦を迎えるのだと。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
旅行先で目を覚ましたら森長可になっていた私。京で政変と聞き急ぎ美濃を目指す中、唯一の協力者。出浦盛清から紹介された人物が……どうも怪しい。
俣彦
ファンタジー
旅先で目を覚ましたら森長可になっていた私。場面は本能寺直後の越後。急ぎ美濃に戻ろうと試みると周りは敵だらけ。唯一協力を申し出てくれた出浦盛清に助けられ、美濃を目指す途中。出浦盛清に紹介されたのが真田昌幸。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
落ちこぼれの半龍娘
乃南羽緒
ファンタジー
龍神の父と人間の母をもついまどきの女の子、天沢水緒。
古の世に倣い、15歳を成人とする龍神の掟にしたがって、水緒は龍のはみ出しもの──野良龍にならぬよう、修行をすることに。
動物眷属のウサギ、オオカミ、サル、タヌキ、使役龍の阿龍吽龍とともに、水緒が龍として、人として成長していく青春物語。
そのなかで蠢く何者かの思惑に、水緒は翻弄されていく。
和風現代ファンタジー×ラブコメ物語。
よくある転生だった!だが俺は勇者じゃなかった
ベルピー
ファンタジー
よくある異世界転生。俺こと、美波勇気もテンプレのように毎日毎日の残業残業で倒れてしまった。
ここでテンプレならチートを授かるモノだが、気づいたらゲームの世界にいた。
そう、昔少しだけ流行ったドラゴンファンタジーのゲームの世界だ。有名ロールプレイングゲームを真似て作られた為、そこまで人気はなかったが俺はこのゲームが好きでけっこうやりこんでいた。
勇者だったらハッピーエンドを迎えたのに、俺が転生したのは勇者とともに魔王を討伐する友人のキャラだった。
一緒に魔王を倒したならそこそこ良いキャラじゃね?と思うかもしれないが、このキャラ。魔王と戦う直前に好きな人を勇者に取られてそのままヤケクソになって魔王に向かって死んでしまうのだ。。。
俺は死にたくない。ゲームの知識を活かして生き残るしかない!!
我は山本勘助
瀬戸 生駒
ファンタジー
県立高校2年の「俺」は、たぶん電車事故のせいで、異世界に転生してしまった。
そこは昔の日本をイメージさせる世界だった。
試験勉強のために蓄えた知識を駆使して、俺は「山本勘助」になる!
下克上で武田信玄を滅ぼして、俺の幕府を興すのもいいな。
知略と権謀術数を駆使して、この世界で成り上がれ!
女奉行 伊吹千寿
大澤伝兵衛
歴史・時代
八代将軍徳川吉宗の治世において、女奉行所が設置される事になった。
享保の改革の一環として吉宗が大奥の人員を削減しようとした際、それに協力する代わりとして大奥を去る美女を中心として結成されたのだ。
どうせ何も出来ないだろうとたかをくくられていたのだが、逆に大した議論がされずに奉行が設置されることになった結果、女性の保護の任務に関しては他の奉行を圧倒する凄まじい権限が与えられる事になった。
そして奉行を務める美女、伊吹千寿の下には、〝熊殺しの女傑〟江沢せん、〝今板額〟城之内美湖、〝うらなり軍学者〟赤尾陣内等の一癖も二癖もある配下が集う。
権限こそあれど予算も人も乏しい彼女らであったが、江戸の町で女たちの生活を守るため、南北町奉行と時には反目、時には協力しながら事件に挑んでいくのであった。
名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します
カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。
そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。
それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。
これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。
更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。
ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。
しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い……
これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる