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ヒミツの餃子
(2)
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木曜日。
叶恵と並んでスーパーを出ると、ちょうど学校帰りの葵と出くわした。
「芽衣ちゃん!」
葵はカタカタとランドセルを揺らしながら、芽衣の元へ駆け寄ってくる。
「葵ちゃん、お帰りー」
「ただいまー。ねえ、今日のごはん何?」
「今日はね、えーっと……」
「鶏の照り焼きと春雨サラダ、高野豆腐の煮物」
横から、叶恵が言った。
「やった、全部好きなやつ!」
ガッツポーズをする葵が可愛くて、芽衣は思わず目を細めた。
買い物袋は叶恵が持ってくれていたので、芽衣は葵と手をつないで歩く。これから柴村家に向かい、ごはん会がはじまる。
週に一度、芽衣と叶恵、葵の三人でごはんを食べる。
ごはん会をしようとなったときに、約束事も決めていた。
ごはん会は毎週木曜日に行うものとする。
これは、葵の習い事や芽衣のバイトを考えたとき、一番都合の良かったのが木曜日だったからだ。
ごはん会のための買い出しには、芽衣と叶恵の二人で行くこと。
これは単純に、予算を考え、相談しながら献立を決められるからだった。週に一度のこととはいえ、ごはん会が互いの負担になってはいけない。
芽衣は毎回、叶恵と一緒にスーパーで食材を選ぶひとときを、楽しみにしていた。新鮮な野菜を見極めるコツや、果物の熟し具合を確かめる方法などを語るときの叶恵は、本当に生き生きとしている。そんな叶恵の姿を見ていると、芽衣はなんだかとっても嬉しい気持ちになるのだった。
「ねえ、今日もお兄ちゃんがごはん作っている間、芽衣ちゃん宿題手伝ってくれる?」
葵が訊いた。
「うん」
芽衣は葵に、にっこりと笑いかける。
ごはん会は今日で三回目となる。暗黙の了解で、調理のほとんどは叶恵が担当していた。叶恵がキッチンに立っている間、料理が苦手な芽衣は葵の宿題を見るのが常となっている。
歩きながら、芽衣は視線を落とした。アスファルトの上、葵を間に挟んで、三人分の影が映っていた。
その影を指差して、葵が言った。
「葵たち、なんだか三きょうだいみたいだね」
食卓の上には、炊き立てのごはんとお味噌汁、湯気の立ったお皿が並ぶ。
三人、声を揃えて、
「いただきます」
すぐに葵の「おいしーい」という声が響く。
葵はごはんと鶏肉を口いっぱいに詰め込み、至福の表情を浮かべていた。「葵、お肉大好き」
自分の作った料理をおいしそうに食べる妹の姿を見て、叶恵は満足げに微笑んでいた。
しかし葵が鶏肉の付け合わせのピーマンを、皿の隅によけはじめた途端、その笑みに陰りが差した。
ピーマン入りのハンバーグを一口食べられて以降、葵はまだ一度もピーマンを口にしていない。
帰り際、葵がテレビに夢中になっているうちに、芽衣はこそりと叶恵に訊いてみた。
「まだ葵ちゃんがピーマン苦手なの、気になる?」
叶恵はちょっと考えてから、首を横に振った。
「何がなんでもピーマンを食べてほしいってわけじゃないんです。ただ俺は、葵になんでもバランス良く食べてほしいだけなんです。葵には、いつも健康でいてほしいから」
妹を思う叶恵の気持ちに、芽衣の心は打たれた。
「わたし、次のごはん会までにピーマンの食べ方、調べてみるよ。葵ちゃんでも食べやすい方法が、何かあるかもしれない」
「そうですね。俺も調べてみます」
「ピーマン克服大作戦だね」
「はい」
こうして芽衣と叶恵は協力を誓った。
その夜、芽衣は早速ピーマンを使ったレシピを検索した。すると、表示された数に驚いた。どうやら世の中に、ピーマンを使った料理は膨大な数存在するらしい。
一つ一つレシピを確認していくうち、芽衣の瞼は重たくなってきた。
結局この日は、目ぼしい情報を見つけられないまま、芽衣は眠りについた。
「芽衣ちゃん、休憩行っておいで」
店長に声をかけられ、芽衣は振り返った。「はい、これ片付けたら行きます」と返事をする。
汚れた食器を運び、次の客を通せるようテーブルを整える。テーブルは油でテカテカと光っている。芽衣は念入りに油を拭き取り、テーブルの上の調味料の瓶を並べ直した。
エプロンを外しながら、厨房にいる店長と店長の奥さん――和美に声をかける。
「それじゃあ、休憩いただきます」
「はいよ」
店長が短く答え、和美が、
「今日のまかないは芽衣ちゃんの好きな餃子よ」
と微笑んだ。
「わあい、ありがとうございます」
芽衣は階段を上り、休憩室に飛び込んだ。
休憩室は、店長夫婦の生活スペースでもある。夫婦は一階で中華料理店を営み、二階を住宅としていた。芽衣がいつも休憩を取るのは、階段を上がり、廊下の左手にある和室だ。そこにいつも、和美がまかないを用意しておいてくれている。
座卓の上には、ごはんと餃子、さらにネギと卵のスープまで並べられていた。
「わあ、おいしそう」
芽衣がこの中華料理店のバイトに応募した主な動機は、まかないだった。
両親の帰宅時間は遅い。ひとりで食べるレトルト食品やコンビニ弁当が、芽衣にとっての夕食だった。そんな日々に、いい加減嫌気が差していた。
人の気配を傍に感じながら、手作りのごはんが食べたい。
そう願い、芽衣は考えた。夕方から飲食店でバイトをすれば、まかないを食べられるんじゃないか。
我ながらいい案だと思った。早速まかない付きのバイトを探した。そうして運良く自宅から近いところで、この中華料理店の求人を見つけたのだった。
「いただきまーす」
まずはスープに手をつける。ふんわりとした卵と、シャキシャキの食感を残したネギがおいしい。和美が作るスープは、お店で出しているものより薄味だ。そのぶん胡椒とショウガを利かせていて、食べるとじんわり体の芯が温まる感じがした。
スープでお腹を慣らした後は、いよいよメインの餃子に手をつける。さっとタレをつけると、ひといきに口へ放りこんだ。つるんとした皮の歯ざわり。その後で、じゅわりとした肉汁が口いっぱいに広がった。
(あれ……?)
そのとき、芽衣は何ともいえない清涼感が鼻から抜けていくのに気付いた。和美が作る餃子は、これまで何度も食べている。お肉たっぷりのジューシーな餃子。しかし今日の餃子は、いつもより後味がさっぱりしている。
不思議に思いながら、芽衣は二個目の餃子に齧りついた。中身を確認すると、ニラとはちょっと違う、濃い緑色をした葉野菜が包まれているのが見えた。
(何だろう、これ)
休憩を終えて下に戻ると、芽衣は和美に尋ねてみた。
「今日の餃子、何かいつもと違うものが入ってるんですか?」
「あら、気付いた?」
和美は愉快そうに言った。
「今日の餃子はね、大葉を入れているの」
「大葉」
「そうそう。ご近所さんからたくさんいただいたから」
「そういえばわたし今まで大葉って、薬味としてしか口にしたことなかったかも」
「じゃあ今日の餃子は食べたとき、びっくりしちゃったかしら?」
「しました。わたし餃子って一口で食べちゃうから、最初中身に気付かなくて……」
「どう? おいしかったでしょう?」
「はい。とっても」
「こんなにおいしいのに、うちの人、大葉が苦手なのよ」
和美はいたずらっぽい目を、店長に向けた。店長は咳ばらいをしながら、読んでいた新聞を顔に近づけた。店内は常連客がひとり、カウンターでビールを飲んでいるだけで、他に客の姿はない。
常連客が店長に、野球の話題を振る。二人が話しはじめたのを見てから、和美は芽衣にそっと目くばせした。
「うちの人、料理人のくせに食べ物の好き嫌いが多いのよ。だからあの人の苦手なものは、わたしいつも隠しちゃうの」
「隠しちゃう……?」
「そうよ。餃子の皮で包んで見えなくしておくと、あの人気付かないで食べちゃったりするのよね」
その瞬間、芽衣はあっと声を上げた。
――もしかしたら今聞いた方法が、そのまま葵ちゃんにも使えるかもしれない。
叶恵と並んでスーパーを出ると、ちょうど学校帰りの葵と出くわした。
「芽衣ちゃん!」
葵はカタカタとランドセルを揺らしながら、芽衣の元へ駆け寄ってくる。
「葵ちゃん、お帰りー」
「ただいまー。ねえ、今日のごはん何?」
「今日はね、えーっと……」
「鶏の照り焼きと春雨サラダ、高野豆腐の煮物」
横から、叶恵が言った。
「やった、全部好きなやつ!」
ガッツポーズをする葵が可愛くて、芽衣は思わず目を細めた。
買い物袋は叶恵が持ってくれていたので、芽衣は葵と手をつないで歩く。これから柴村家に向かい、ごはん会がはじまる。
週に一度、芽衣と叶恵、葵の三人でごはんを食べる。
ごはん会をしようとなったときに、約束事も決めていた。
ごはん会は毎週木曜日に行うものとする。
これは、葵の習い事や芽衣のバイトを考えたとき、一番都合の良かったのが木曜日だったからだ。
ごはん会のための買い出しには、芽衣と叶恵の二人で行くこと。
これは単純に、予算を考え、相談しながら献立を決められるからだった。週に一度のこととはいえ、ごはん会が互いの負担になってはいけない。
芽衣は毎回、叶恵と一緒にスーパーで食材を選ぶひとときを、楽しみにしていた。新鮮な野菜を見極めるコツや、果物の熟し具合を確かめる方法などを語るときの叶恵は、本当に生き生きとしている。そんな叶恵の姿を見ていると、芽衣はなんだかとっても嬉しい気持ちになるのだった。
「ねえ、今日もお兄ちゃんがごはん作っている間、芽衣ちゃん宿題手伝ってくれる?」
葵が訊いた。
「うん」
芽衣は葵に、にっこりと笑いかける。
ごはん会は今日で三回目となる。暗黙の了解で、調理のほとんどは叶恵が担当していた。叶恵がキッチンに立っている間、料理が苦手な芽衣は葵の宿題を見るのが常となっている。
歩きながら、芽衣は視線を落とした。アスファルトの上、葵を間に挟んで、三人分の影が映っていた。
その影を指差して、葵が言った。
「葵たち、なんだか三きょうだいみたいだね」
食卓の上には、炊き立てのごはんとお味噌汁、湯気の立ったお皿が並ぶ。
三人、声を揃えて、
「いただきます」
すぐに葵の「おいしーい」という声が響く。
葵はごはんと鶏肉を口いっぱいに詰め込み、至福の表情を浮かべていた。「葵、お肉大好き」
自分の作った料理をおいしそうに食べる妹の姿を見て、叶恵は満足げに微笑んでいた。
しかし葵が鶏肉の付け合わせのピーマンを、皿の隅によけはじめた途端、その笑みに陰りが差した。
ピーマン入りのハンバーグを一口食べられて以降、葵はまだ一度もピーマンを口にしていない。
帰り際、葵がテレビに夢中になっているうちに、芽衣はこそりと叶恵に訊いてみた。
「まだ葵ちゃんがピーマン苦手なの、気になる?」
叶恵はちょっと考えてから、首を横に振った。
「何がなんでもピーマンを食べてほしいってわけじゃないんです。ただ俺は、葵になんでもバランス良く食べてほしいだけなんです。葵には、いつも健康でいてほしいから」
妹を思う叶恵の気持ちに、芽衣の心は打たれた。
「わたし、次のごはん会までにピーマンの食べ方、調べてみるよ。葵ちゃんでも食べやすい方法が、何かあるかもしれない」
「そうですね。俺も調べてみます」
「ピーマン克服大作戦だね」
「はい」
こうして芽衣と叶恵は協力を誓った。
その夜、芽衣は早速ピーマンを使ったレシピを検索した。すると、表示された数に驚いた。どうやら世の中に、ピーマンを使った料理は膨大な数存在するらしい。
一つ一つレシピを確認していくうち、芽衣の瞼は重たくなってきた。
結局この日は、目ぼしい情報を見つけられないまま、芽衣は眠りについた。
「芽衣ちゃん、休憩行っておいで」
店長に声をかけられ、芽衣は振り返った。「はい、これ片付けたら行きます」と返事をする。
汚れた食器を運び、次の客を通せるようテーブルを整える。テーブルは油でテカテカと光っている。芽衣は念入りに油を拭き取り、テーブルの上の調味料の瓶を並べ直した。
エプロンを外しながら、厨房にいる店長と店長の奥さん――和美に声をかける。
「それじゃあ、休憩いただきます」
「はいよ」
店長が短く答え、和美が、
「今日のまかないは芽衣ちゃんの好きな餃子よ」
と微笑んだ。
「わあい、ありがとうございます」
芽衣は階段を上り、休憩室に飛び込んだ。
休憩室は、店長夫婦の生活スペースでもある。夫婦は一階で中華料理店を営み、二階を住宅としていた。芽衣がいつも休憩を取るのは、階段を上がり、廊下の左手にある和室だ。そこにいつも、和美がまかないを用意しておいてくれている。
座卓の上には、ごはんと餃子、さらにネギと卵のスープまで並べられていた。
「わあ、おいしそう」
芽衣がこの中華料理店のバイトに応募した主な動機は、まかないだった。
両親の帰宅時間は遅い。ひとりで食べるレトルト食品やコンビニ弁当が、芽衣にとっての夕食だった。そんな日々に、いい加減嫌気が差していた。
人の気配を傍に感じながら、手作りのごはんが食べたい。
そう願い、芽衣は考えた。夕方から飲食店でバイトをすれば、まかないを食べられるんじゃないか。
我ながらいい案だと思った。早速まかない付きのバイトを探した。そうして運良く自宅から近いところで、この中華料理店の求人を見つけたのだった。
「いただきまーす」
まずはスープに手をつける。ふんわりとした卵と、シャキシャキの食感を残したネギがおいしい。和美が作るスープは、お店で出しているものより薄味だ。そのぶん胡椒とショウガを利かせていて、食べるとじんわり体の芯が温まる感じがした。
スープでお腹を慣らした後は、いよいよメインの餃子に手をつける。さっとタレをつけると、ひといきに口へ放りこんだ。つるんとした皮の歯ざわり。その後で、じゅわりとした肉汁が口いっぱいに広がった。
(あれ……?)
そのとき、芽衣は何ともいえない清涼感が鼻から抜けていくのに気付いた。和美が作る餃子は、これまで何度も食べている。お肉たっぷりのジューシーな餃子。しかし今日の餃子は、いつもより後味がさっぱりしている。
不思議に思いながら、芽衣は二個目の餃子に齧りついた。中身を確認すると、ニラとはちょっと違う、濃い緑色をした葉野菜が包まれているのが見えた。
(何だろう、これ)
休憩を終えて下に戻ると、芽衣は和美に尋ねてみた。
「今日の餃子、何かいつもと違うものが入ってるんですか?」
「あら、気付いた?」
和美は愉快そうに言った。
「今日の餃子はね、大葉を入れているの」
「大葉」
「そうそう。ご近所さんからたくさんいただいたから」
「そういえばわたし今まで大葉って、薬味としてしか口にしたことなかったかも」
「じゃあ今日の餃子は食べたとき、びっくりしちゃったかしら?」
「しました。わたし餃子って一口で食べちゃうから、最初中身に気付かなくて……」
「どう? おいしかったでしょう?」
「はい。とっても」
「こんなにおいしいのに、うちの人、大葉が苦手なのよ」
和美はいたずらっぽい目を、店長に向けた。店長は咳ばらいをしながら、読んでいた新聞を顔に近づけた。店内は常連客がひとり、カウンターでビールを飲んでいるだけで、他に客の姿はない。
常連客が店長に、野球の話題を振る。二人が話しはじめたのを見てから、和美は芽衣にそっと目くばせした。
「うちの人、料理人のくせに食べ物の好き嫌いが多いのよ。だからあの人の苦手なものは、わたしいつも隠しちゃうの」
「隠しちゃう……?」
「そうよ。餃子の皮で包んで見えなくしておくと、あの人気付かないで食べちゃったりするのよね」
その瞬間、芽衣はあっと声を上げた。
――もしかしたら今聞いた方法が、そのまま葵ちゃんにも使えるかもしれない。
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