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第37話
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王城に着いたので馬車を降りる。
王城はとても大きく、大きくなったレオの何倍もありそうだ。
「それでは、こちらへどうぞ」
一緒に乗ってきた執事さんが案内してくれます。
王城の中を右へ左へ、上へ下へと移動します。
そうしてようやく辿り着きました。
「こちらが謁見の間になります」
「え、あの、いきなり謁見ですか?服とかそういうのは…」
「冒険者のアレン様にとってはその服が正装と言えましょう、気にする必要はございません」
「そ、そうですか…」
「それでは私はこれで、後はお願いします」
執事さんは帰っていき、代わりに騎士さんがいてくれます。
「準備はよろしいですか?」
「はい」
「では」
騎士さんが謁見の間の扉を開ける。
僕たちはそのまま前へ進み、陛下の前で止まります。
そして片膝をつき、頭を下げます。
みんなも同じように…やってない!?
「貴殿らも早く膝をつかんか」
陛下の横にいる人からそう言われます。
「みんな!なにやってるの!早く僕の真似をして!」
『主よ、どうして膝をつくのです?あの者たちは主より、いやわたくしたちよりも弱いのですよ?膝をつく理由がどこにあるのです?』
『そうだよー、膝なんてついてないで立って立って』
ピノが僕を立たせます。
「ちょ、本当にまずいから!」
『なんだ?あいつら弱いくせに偉そうにしているのか?俺が噛み殺してやろうか?』
「そんなことしなくていいの!」
『私のアイスブレスで氷漬けに』
「しない!」
『じゃああたしのアースニードルで』
「しないから!ちょっと待ってよ!」
僕たちのこの様子を見て周りの兵士さん、騎士さんが武器を構えます。
『武器を構えた、ということは殺される覚悟が出来たということで合っていますか?』
『燃やし尽くしちゃうよー!』
『お?やるのか?やるならやるぞ!』
『仕方ありませんね、荒事はあまり好きではないのですが』
『全員串刺しだー!』
「みんな待っ…」
「全員武器を下ろせ!」
僕たちの前で椅子に座っている人、陛下がそう言います。
「すまない、アレンと従魔の者たち、不快な思いをさせた」
「い、いえ、こちらも従魔たちが言うことを聞かなくて、申し訳ありません」
「よい、魔物の世界には魔物のルールがあるのだろう、それに対して文句を言ったりはしない。今回の謁見も私が君に会いたくて呼んだのだ、楽な格好で受けてくれて構わない」
「へ、陛下!しかしそれでは他の者に示しが」
「黙れ!貴様には分からんのか、あの者たちの強さが、あれは1人で一国を落とせる力を持つのだぞ、それが5人も…ここで機嫌を損ねたとしたらどうなる?地獄へ行くのなら貴様だけにしてくれ、私を巻き込むな」
陛下が横の人と何かを話していますが、小声でよく聞き取れません。
「待たせたな、私がこのアインゼル王国の国王、ディーン・オスガル・アインゼルだ」
「お初にお目にかかります、アレンと申します、ほら、みんなも挨拶して」
『ルナです』『ピノだよー』『クロだ』『レオと申します』『リル!』
「従魔はみなSランク魔物だと聞いたのだが、本当なのだろうか?」
「えぇ、みんなSランク魔物です」
「そうか、少し鑑定させてもらってもいいか?」
「はい、みんないいよね?」
『どうぞ』『いいよー』『勝手にするがいい』『はい』『調べてみてー』
「では、鑑定板を持ってこい」
そう言うと騎士さんが僕の半分くらいの大きさの板を持ってきました。
「これが鑑定板といって、持った者のステータスを写して見ることが出来るんだ」
「へー、そんなものがあるのですね」
「では、持ってみてくれ」
まずはルナ、次にピノ、クロ、レオ、リルの順で持っていく。
「なるほど、さすがはSランク魔物だな、強さの桁が違う、それを従えるアレンも相当の強さなのだろう」
「いえ、僕なんてこの子たちに比べたらまだ全然ですよ」
「そう謙遜するな」
謙遜ではないんだけどな。
王城はとても大きく、大きくなったレオの何倍もありそうだ。
「それでは、こちらへどうぞ」
一緒に乗ってきた執事さんが案内してくれます。
王城の中を右へ左へ、上へ下へと移動します。
そうしてようやく辿り着きました。
「こちらが謁見の間になります」
「え、あの、いきなり謁見ですか?服とかそういうのは…」
「冒険者のアレン様にとってはその服が正装と言えましょう、気にする必要はございません」
「そ、そうですか…」
「それでは私はこれで、後はお願いします」
執事さんは帰っていき、代わりに騎士さんがいてくれます。
「準備はよろしいですか?」
「はい」
「では」
騎士さんが謁見の間の扉を開ける。
僕たちはそのまま前へ進み、陛下の前で止まります。
そして片膝をつき、頭を下げます。
みんなも同じように…やってない!?
「貴殿らも早く膝をつかんか」
陛下の横にいる人からそう言われます。
「みんな!なにやってるの!早く僕の真似をして!」
『主よ、どうして膝をつくのです?あの者たちは主より、いやわたくしたちよりも弱いのですよ?膝をつく理由がどこにあるのです?』
『そうだよー、膝なんてついてないで立って立って』
ピノが僕を立たせます。
「ちょ、本当にまずいから!」
『なんだ?あいつら弱いくせに偉そうにしているのか?俺が噛み殺してやろうか?』
「そんなことしなくていいの!」
『私のアイスブレスで氷漬けに』
「しない!」
『じゃああたしのアースニードルで』
「しないから!ちょっと待ってよ!」
僕たちのこの様子を見て周りの兵士さん、騎士さんが武器を構えます。
『武器を構えた、ということは殺される覚悟が出来たということで合っていますか?』
『燃やし尽くしちゃうよー!』
『お?やるのか?やるならやるぞ!』
『仕方ありませんね、荒事はあまり好きではないのですが』
『全員串刺しだー!』
「みんな待っ…」
「全員武器を下ろせ!」
僕たちの前で椅子に座っている人、陛下がそう言います。
「すまない、アレンと従魔の者たち、不快な思いをさせた」
「い、いえ、こちらも従魔たちが言うことを聞かなくて、申し訳ありません」
「よい、魔物の世界には魔物のルールがあるのだろう、それに対して文句を言ったりはしない。今回の謁見も私が君に会いたくて呼んだのだ、楽な格好で受けてくれて構わない」
「へ、陛下!しかしそれでは他の者に示しが」
「黙れ!貴様には分からんのか、あの者たちの強さが、あれは1人で一国を落とせる力を持つのだぞ、それが5人も…ここで機嫌を損ねたとしたらどうなる?地獄へ行くのなら貴様だけにしてくれ、私を巻き込むな」
陛下が横の人と何かを話していますが、小声でよく聞き取れません。
「待たせたな、私がこのアインゼル王国の国王、ディーン・オスガル・アインゼルだ」
「お初にお目にかかります、アレンと申します、ほら、みんなも挨拶して」
『ルナです』『ピノだよー』『クロだ』『レオと申します』『リル!』
「従魔はみなSランク魔物だと聞いたのだが、本当なのだろうか?」
「えぇ、みんなSランク魔物です」
「そうか、少し鑑定させてもらってもいいか?」
「はい、みんないいよね?」
『どうぞ』『いいよー』『勝手にするがいい』『はい』『調べてみてー』
「では、鑑定板を持ってこい」
そう言うと騎士さんが僕の半分くらいの大きさの板を持ってきました。
「これが鑑定板といって、持った者のステータスを写して見ることが出来るんだ」
「へー、そんなものがあるのですね」
「では、持ってみてくれ」
まずはルナ、次にピノ、クロ、レオ、リルの順で持っていく。
「なるほど、さすがはSランク魔物だな、強さの桁が違う、それを従えるアレンも相当の強さなのだろう」
「いえ、僕なんてこの子たちに比べたらまだ全然ですよ」
「そう謙遜するな」
謙遜ではないんだけどな。
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