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第14話

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家の中に入り奥に進み、部屋に案内される。

そこには80歳くらいのおじいさんエルフがいた。

「里長、お客を連れてきました」

「初めまして、里長をしています、オーザと言います」

「ケンイチです、よろしくお願いします」

「して、ここに訪れた理由はなんでしょうか」

「里長、どうやら野菜を売りにきたらしいのです」

「野菜ですか、正直助かりますね、毎年餓死者が出ているほど野菜や肉の量は少ないのです」

「そうなんですか」

確かに、みんな痩せている。

エルフは太っているイメージはないが、それでも痩せすぎな気がする。

「こちらとしてはほぼ無限に野菜は採れるので、買ってくださるならいくらでも出せますよ」

「ほぼ無限とはどういう…」

「ケンイチさんはね、転移者なのよ」

「なんと!転移者様でございましたか、つまり野菜が無限に採れる知識があると?」

「知識ではなく力ですね、魔法の力でほぼ無限に採れます」

「ケンイチさんは無限ともいえるような魔力量と全ての魔法、私たちの知らないような魔法の知識を持っているの」

「それは…まるで賢者様のようですね」

そのまま賢者です俺。

「野菜を買いたいのですが、まずは野菜の質を見せてもらってもよろしいですか?」

「いいですよ」

俺はアイテムボックスから野菜をいくつか出す。

「生で食べても大丈夫なものですから、どうぞ」

「では私が先に」

そう言ってガゼルが先に食べた。

「…!こ、これは!」

「どうお父さん、美味しいでしょ?」

「…美味い、今まで食べたことがないくらいに」

「ではワシもいただこう…お、美味しい!」

反応は上々だな。

「申し訳ありません、この美味しさに釣り合うものを私たちは持っていないのですが…」

「調味料を貰えればそれでいいですよ、野菜には困っていないのですが、調味料には困っていまして」

「調味料ですか、分かりました、ではこの野菜と調味料の物々交換ということでよろしいですか?」

「はい」

「それでは、ガゼル、調味料を持ってきなさい」

「分かりました」

ガゼルが調味料を取りに行った。

「ケンイチ殿、心苦しいのですが1つ、お願いを頼まれてはくれませんか」

「俺に出来ることでしたら」

「何人か里の者をケンイチ殿の住んでいる場所へ移住させてほしいのです」

「それは…」

「野菜が買えたとしても肉は少ないのです、里の長がこんなことを言うのも皆には悪いのですが、次の冬の月が越せるかどうかも分からないのです…」

要するに口減らしってことか。

「分かりました、いいですよ」

「本当ですか!ありがとうございます!」

「ちなみに何人ほど移住させるつもりで?」

「そうですね…30人ほど行かせたいのですが…」

30人か、問題は無いかな。

「分かりました」

「ありがとうございます、それでは行かせる者に準備をさせますので、一緒にお願いします」

言い終わると同時にガゼルが帰ってきた。

「待たせた、これが調味料だ」

塩、お酢、みりん、味噌、醤油があった。

「砂糖はやはり高価ですか?」

「そうですね、砂糖を買う余裕がないというのも事実ですが」

「マヨネーズは無いみたいですね」

「マヨネーズ…ですか?聞いたことのないものですね」

マヨネーズが作られたのは意外と近年だったからまだ無いのか。

味噌や醤油は多分前の転移者が残した物だろう。

…今この世界に転移者はいるのだろうか?

今度教会に行ったら神様に聞いてみよう。

「今後も定期的に取引をしたいので今回は少量いただいいきます、ちなみに次の冬の月はどのくらいで来ますか?」

「ついこの前冬の月が終わったので今は春の月です、4月毎に季節が変わります、次が夏の月、秋の月、冬の月となります」

4月毎ってことはこの世界は16ヶ月あるってことか。

「1月は何日になりますか?」

「1月は40日になります」

前の世界よりだいぶ1年が長いんだな。

「分かりました、教えていただきありがとうございます」

「いえいえ、では、ガゼル、ケンイチ殿のところへ何人か移住させるのでその者たちのところへ行こう、ケンイチ殿はしばらくこの家でゆっくりしてください」

「分かりました」

オーザさんとガゼルさんは移住者の元へと行った。
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