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ラーサル帝国

大学入学式

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 私は、しっかりとした制服に着替えアレクと共に馬車にのった。
 これから、ルリア大学の入学式にいくのだ。
「ふ~んふ~ん。」
「はは。そんなにたのしみなのか?」
「はい!そうですよ!」
「そういえば、噂に聞いたんだが、エルは幼い時毒蛇に遭遇し、どんな症状がでるのかわざと手をだし両親に怒られたそうだな。」
「ど、どうしてしってるんですか!??」
「はは。どうしてだろうな?」
「もぅ!」
「はははは!!!だが、どうして、あのような行動を?」
「あー、図鑑に書いてあることが本当なのか確かめてみたかったからです。」
「……なるほど。」
 (エルは、目を離したらどっかにいって迷子になりそうだな。影を付けておくか。)
「どうかしました?」
「いや、なんでもない。」
「?そうですか。」
「あ、スピーチの練習はできたか?」
「はい!」
「なら、よかった!!」
「はい。」
「よし、着いたそうだな。」
「おりるぞ。」
「はい!!」
「俺がだっこする。」
「え?」
 と、あっという間にだっこされた。
「アレク、下ろしてください!」
 さっきから周りからの生暖かい目線に我慢できなかったのだ。
「いいから、さっ講堂についたぞ。」
「あら?聖女様と皇子様だわ。」
「仲のいいことね。」
「おい、あれ。聖女様じゃねえか?」
「おっ!本当だ!!」
と、周りか声がきこえる。
そしたら、いつの間にか大学の講堂の前に並んだ。
「よし、いくぞ。俺の手を離すなよ?」
「はい、もちろんですよ。」
「いい子だ。」
「ふふっ。」
私たちは、新入生代表挨拶を担当するので先頭を歩くことになる。
「新入生入場!!」と、声が聞こえ私たちは入場した。そして、いよいよ新入生代表挨拶。
「新入生代表挨拶。ラーサル・ア・アレクサンドリス皇太子殿下と、婚約者エリサエル・ラ・エルサ様。」
「はい。」
「はい。」
と、席をたち私とアレクはステージに上がった。
ぼーっと立っているといつの間にか席に戻っていた。なんとか、スピーチが成功してよかった。
そして、講堂は医学部医学科に入学した人たちだけになった。これから、教室に移動するそうだ。
「では、医学部医学科の方は50名です。」
「50名って少ないですね。」
「ああ。だろ?」
医学部医学科に入学できるのは50名。ルリア大学は12万人が受験しそんな中から医学部医学科に入れるのほんの1割にも満たないんだと思う。
(そんなに、難しくはなかったけど。)
しかし、これは、口に出さないでおこうときめた。「では、これから10クラスにわかれます。」
「10クラス?」
「ええ。医学科ではまず最初に基礎を2年で学び残りの4年で応用や実習、国試に向けた授業を行います。」
「では、クラスを発表します。Aクラスはラーサル・ア・アレクサンドリス、エリサエル・ラ・エルサ、エリエル・リア、ガーナ・ルギア、ブラックス・ガリアの5名です。前に集まってください。」
リアさんは、赤い髪に黒い瞳でルギアさんは青い髪に、水色の瞳だった。いっぽう、ガリアさんは金髪に茶色の瞳だった。
リアさんは貴族、ルギアさんは王族、ガリアさんは平民だそうだ。
「よろしくお願いします。」
「よろしくー!」
「よろしくな!」
(リアさんと、ルギアさんめっちゃ元気だなー。)
「よ、よろしく。」
「よろしくな。」
「では、Aクラスの部屋にいましょう。」
「「はい!!!」」
「はい。」
「ふぅ。」
「はじめまして!あなたがエルサ様ね?」
「はい。」
「聖女様の近くにいただけでなにかいい事がおきそうだわー!」 
「んなわけないですよ!」
「え?そうなの?」
「はい!祈らないとなにも起きないと思います!」
「うーん?そうなのかなー?」
「はい!そうです!」
「さぁ、みなさんこちからがAクラスの教室です。」
 5人分の机と前には黒板があった。
「では、名前が書いてあるところに座ってください。」
「はい。」
「まず、このルリア大学に入ると平民、皇族、関係ない。つまり、身分は関係なく実力次第だ。1つでも単位を落とせば留年だ。」
「はい。」
「では、明日からの時間割及び持ち物を説明する。」
「はい。」
しばらくするとチャイムが鳴った。
「これで、説明をおわります。では、弁当を出してください。」
「はい!」
「はい。」
「おう。」
「はい。」
「……はい。」 
弁当は手作りだ。
「エルサ様はなににしたんですか?」
「わたしは、唐揚げです!」
「唐揚げ、いいなー!」
「あの、僕トイレにいってきます。」と、ガリアさんは教室からでた。
「ああ、わかった。トイレは左だ。」
「ありがとうございます!」
「ルギアさんはなににしたんですかー?」と、リアさんがきく。
「俺は、普通にオムライスだ。」
「オムライス!いいですね!」
「ああ、だろ?見せてやろか?」と、立って私の、席に向かってくる。しかし、ルギアさんは転んでしまった。
「いたっ!」
「大丈夫ですか?」
「おい、大丈夫か!?」
「は、はい。」
「あの、ガリアさんのが……。」
「あ。」
「どうします?」
ガリアさんの弁当箱がひっくり返ってしまった。恐らく、ルギアさんの足がガリアさんの机にぶつかりガリアさんの弁当箱が落ちたのだろう?
「ど、どうします?」
「とりあえず、ルギアくん怪我はないかい?」
「はい。」
「それは、よかった。よいしょっと。」と、先生はガリアさんの弁当箱を持つ。
「うん?」
「先生?」
「中身はなにもないぞ?」
「え?」
「は?」
「食べるのはやくね?」
「いや、出ていったのは4分前だから弁当はまだ蓋を開けたあとがないからそうは考えられない……。もしくは、最初からなかった?」
「あの?」
「え?」
「実は、ガリアくんは成績が優秀だが両親が亡くなってしまい施設で育てられた。」
「え……。」
「そうなのですか……。」
「そうじゃ。」
「うーむ。とりあえず、そなたたちはたべろ。」
「はい。」
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