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アレク様の家へ

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そして、その後私は散歩の途中王女さまらの手下に攫われたが、アレクサンドリス様に助けられた。
「聖女様。申し訳ありませんが、しばらく私の家に。」
「わかりました。」

あのあと、宰相がなんと謀反を起こし陛下と王太子は殺害され私の身も危なくなった。
そして、宰相からの捜索を逃れるため、リエ、瑠璃、犬のさくらと共に王都から出、騎士団長であるアレク様に保護された。
「あ、あと私のことはアレクと呼んでかまいません。」
「はい、わかりました。ここが、アレク様の家なのですね。」
家は、二階建てで、シンプルに木でできるいる。普段は、結界により見えないらしい。庭もあるため、さくらと一緒にいれるのは嬉しかった。
「はい。」
「念の為、結界を張っているので聖女様がいることは気づかないかと。」
「そうですね。」
実は、聖女は魔力や特別な力を持っていない一般の人でも気づくぐらい強いのだ。
だから、結界を張っていなければ、すぐに見つかる。いま、私は力を抑える腕輪により捜索から逃れている。
もしも、捕まれば、彼らは私の力を使い更なる被害が起こるだろう。
「では、お入りください。」
「はい。」
「聖女様には、こちらの部屋を。」
「うわぁ。」
この部屋は、可愛らしく綺麗な部屋だった。
「ふふっ。よかったですね。」
「リエと瑠璃の部屋は?」
「はい、ありますよ。」
「向かい合わせになっています。」
まず、家の構造を説明すると、玄関がありその奥には階段、左は庭、右には台所と大きなテーブルがある。
2階には、階段を登り前にはアレク様の部屋が、瑠璃とリエは別々でアレク様の左にある。
私の部屋は、右だ。そして、お風呂はなんと地下にあり、とても広い。
さらに、地下2階にはたくさんの書棚、地下3階には倉庫がある。
騎士団長って、かなり儲かるんだなぁって思った。
「ざっと、説明するとこんなもんですね。」
「あとは、壊す以外なにをしてもかまいません。」
「わかったわ。」
壊そうとは、誰も思わないと思いますよ?
「ねぇ、旦那さまは?」
「いえ、まだ会ってなくて。」
「私もです。」
リエの夫は副団長のルカーシュ殿。
瑠璃の夫も副団長のルクア殿。
ちなみに、2人は兄弟だ。
そして、瑠璃とリエは一見血が繋がって無さそうだが実際は姉妹だ。瑠璃いわく、ルリとしようとしたが母が漢字の方がかっこいいですよ。と、いうことで瑠璃になったらしい。
「うーん、アレク様に聞いてみますか?」
「確かに、それがいいわね!!」
「はい、私もルカ(ルカーシュの愛称)が心配で……。」
「私もです。ルク(ルクアの愛称)が生きてるのか……。」
「そうね。ひとまず、私達は夜ご飯とお風呂の準備をしましょう。」
窓を見ると夕日が暮れていた。
「あ、もう夕方ですね。」
「じゃあ、私が夜ご飯をするわ。」
「はい。聖女様が井戸にいくと見つかるかも知れませんしね。」
「リエ、そうね。」
「確かにね。じゃあ、私今晩はなにがいい?」
「カレーは、どうですか?」
「あ、私も!」
「じゃあ、カレーできまりね!」
「「はい!!」」
2人は、井戸に水を汲みにいった。
「ふぅ。いつになったら、この国は平和になるのでしょう。」と、呟いた。
この国は、長年戦争はなかったと言え、国内の戦争や跡継ぎ争いが多発しその度にたくさんの犠牲が生まれた。
その話は、私が今は亡きお母様から聞いた話だ。その話を聞いたとき、私は悲惨なことが過去にあったんだって思ってた。戦争なんて、過去の事だと思ってたのに……。
私は、戦火になり荒れているであろう王都の方向を見た。
 
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