記憶喪失の君と…

R(アール)

文字の大きさ
上 下
10 / 15

9.すれ違い

しおりを挟む


あれから湊と話すことが増えた。

湊は友達として接してくれる。

でも付き合ってたときのような、あの蕩けるような目で見てくることも可愛いと言ってくれることもない。

それが僕には辛くて仕方がなかった…

それに湊は車の事故で助けたときの女の子と付き合ったらしい。

大学内で湊を見かけるたび、その子と楽しそうに話している姿ばかりが目に入る。

僕はそれを見るたびに胸が苦しかった。

もう湊は思い出さないのかもしれない。

でも…湊が幸せならそれでいいのかもしれない。

最初からこれが正しい形で、僕とのことは間違いで夢だったのかもしれない。


事故に会う前、湊と付き合って1年半くらい経ってた。

もう少しで記念日だねって笑ってたのが、もう随分と昔のことのように感じる。

湊は誰にでも優しくて勉学もでき、かなりかっこいいと前から人気で周りに人も溢れていた。

でも、そんな彼が僕と一緒にいたいんだと、そう言っていつも一緒に居てくれて笑いかけてくれた。

僕はそれが何よりも嬉しかった…。

でももうそれは失われちゃったんだな…。

今でもメッセージに文字を打ち込んで送信してしまう…。

返信がこないってわかってるけど、いや、だからかもしれない。

返信がこないことがわかってるからこんなに素直に思いを伝えられるのかも…


でも、いつまでもうじうじしてちゃダメだよな。

忘れなきゃいけない、前に進まなきゃいけないことくらいわかってる…。


そう思ってもなかなか涙が止まらなかった。



本当に大好き。今でもずっと。


彼と過ごした日を忘れることなんてできない。


僕はその日家に帰っても眠るまで、僕は泣き続けていた…。



《湊視点》

あれから陽とは話すようになった。

だけど、なんだか浮かない顔をしていることが多い。

前よりも話さなくなったしな…

でも何だかそのことに胸がざわつく。

陽の近くにいたいと…そう思う。

俺は陽のことばかり、今日も考えていた…。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

遠くて近い世界で

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:7

手足を鎖で縛られる

BL / 連載中 24h.ポイント:1,385pt お気に入り:914

その杯に葡萄酒を

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:6

優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:20,898pt お気に入り:2,673

俺が竜人の番に抱いてもらえない話する?

BL / 完結 24h.ポイント:319pt お気に入り:4,096

処理中です...